日米同時政権崩壊?~問題は「ポスト安倍」に移った

2017.07.12.12:24

 海の向こうではトランプも崖っぷちに立たされているようです。「カテゴリー5のハリケーンがホワイトハウスを襲う」なんて見出しが米紙には躍り、大統領選挙前、トランプ・ジュニアがロシア政府の意を体したロシア人弁護士と会見、ロシア政府はクリントンを落とすためにネットを使って中傷情報を意図的に流したのが知られていますが、それに「歓迎の意」を表明していたことがバレてしまったのです。

 前にも書いたように、何かといえば「印象操作だ!」と叫ぶ安倍と同じで、トランプはマスコミ報道を「フェイク」呼ばわりして、メディア叩きを熱心にやってきましたが、それは物笑いのタネになっていて、政権不信をさらに強めるだけの結果になりました。共和党は元から「トランプ切り」をやりたかったが、トランプの度重なる自滅行動により、それはやりやすくなった。今回のジュニアの件で、大統領弾劾も現実味を帯びてきたのです。

 安倍政権も、頼みの綱の支持率がガタ落ちで、調査メディア各社のすべてで不支持が支持を10ポイント以上上回り、その不支持理由も「首相が信頼できない」がトップに来るようになって、完全に「死に体」に陥ったのです。いくらか遅きに失したとはいえ、久しい以前から「安倍叩き」を行ってきた僕のような人間には喜ばしい話です。

 現金そのものながら、自民党内部からも「安倍降ろし」の動きがようやく顕著になってきたようです。次はアエラの記事。

自民党が策動する「安倍おろし」 非公開の額賀派会合で安倍氏への悪口が噴出

 これを読む限りでは、次期政権での「憲法改正」(大体が前に出ていたあの自民の改憲草案それ自体、内容以前に「おまえらまともな日本語能力あるの?」と言いたくなるような品格もクソもない悪文なのです)はなくなりそうですが、アベノミクスのおかしなトリックで下手にいじるととんでもない副作用が出かねないものになっているので、経済・金融政策では「慎重な取り扱い」が必要でしょう。それでしくじったところで、「安倍再々登板」の声が出てくることはない(いかにつまらない男であるかはもう十分すぎるほどわかったでしょう)と思いますが、国民は難儀するので、そのあたりは重々気をつけてもらいたいものです。

 思えば安倍政権というのは奇妙な政権でした。おかしな「愛国妄想」にとりつかれた連中(それは全体からすればごく一部にすぎないのですが)が「草の根」を装って安倍支持を過大に見せ、たまたまのタイミングにも大いに助けられたアベノミクスの「成果」が過大評価され、幼稚な彼の驚くべき公私混同体質が自民党、公的重要諸機関支配には逆に威力を発揮、マスコミは恫喝によって委縮させられるというわけで、現代版ヒトラーを思わせるような勢いで権力を巨大化させたのです。集団主義的な同調体質をもつ日本人の弱さが露呈したとも言えるわけで、このままでは「亡国」の瀬戸際まで行きかねなかった。そのあたり、僕ら国民も「真摯に反省」することが必要でしょう。

 僕は「ポスト安倍」政権にもあまり期待しませんが、安倍のような私的コンプレックスに根差す妄想にとりつかれた人間でなければとりあえずはよしとしたいので、誰でもいいから公私のけじめのついた、「地に足が着いた」政権運営をしてもらいたいと思います。

 野党も、民進党があのていたらくでは政権与党にとって脅威とはなりえないので、バランスの見地からも、「野党再編」に取り組んで、寄合世帯でない、明確な基本ポリシーをもつ強力野党を作ってくれないかなと思います(民進の不人気は、別に蓮舫代表の「二重国籍」問題によるのではありませんよ。産経ごときの言い分に振り回されるようでは情けない)。

帰国したくない安倍総理~支持率2割台はもはや時間の問題

2017.07.10.16:31

 まさか置いていくわけにもいかず、渋々アッキーを伴ってG20に出かけた安倍晋三ですが、誇示できるような外交成果はゼロで、九州豪雨のため、予定を一日早めて明日11日に帰国することにしたという話です。あんたが一日早く帰ったところで、災害救助に何の影響もないよと言いたいところですが、「被災者の苦難に心を痛める首相」という“印象操作”をしたいがためなのでしょう。

 予想通りというべきですが、内閣支持率はさらに下がり、安倍御用新聞の読売の調査ですら、支持36%、不支持52%と出たとのこと(御用新聞批判と顕著な読者離れにうろたえて、質問の仕方を変え、“脱安倍”に舵を切ったのでしょうか?)。朝日では支持33%、不支持は47%で、NNNでは、なぜか不支持率は報道されていませんが、支持率は31.9%だとのこと。毎日新聞では前回調査で一番支持率が低く、不支持と逆転していましたが、今回はまだ調査していないのか、データは出ていません。

 この前の都議選の結果からもわかるように、これで民進党がしっかりしていれば、次の選挙で自民は再び下野させられるでしょうが、不人気は変わらず、支持率は二ケタにも届いていないとのこと。結局は自民内部での「政権交代」しかないでしょう(NNNの調査では都民ファーストの国政への進出に期待している人は僅かなので、そこらへん、有権者は冷静であることがわかります)。

 前にも書きましたが、安倍自身が何より問題なので、内閣改造で馬鹿も度が過ぎるともちんや金田法相のクビ切りを行って、代わりに人寄せパンダみたいな人材を登用しても、「政権浮揚」なんかになるわけはなく「政権不要」の印象を強めるだけに終わるでしょう。一刻も早い安倍退陣が望まれるところです。彼にこの上「憲法改正のチャンス」など与えてはならない。「暗黒国家」への道まっしぐらです。

 海外からも批判が目立つ「共謀罪」も廃案が望ましいが、自民党政権のままではそれは難しいでしょう。国民としてはとにかくあの総理夫妻のアホ面や、下村・萩生田のセコい腰巾着顔、官房長官の菅の「私が仕切ってます」ふうの態度、ともちんの「私、メガネが似合って可愛いでしょ?(極右ですけど、シンゾーと龍示さんは味方よ)」みたいなぶりっこ面を早く見ないで済むようにしてもらいたいという心理が強くて、他のことはほとんどどうでもいいみたいな感じになっているのではないかと思います。女性の支持率が特に下がって、すでに2割台になっているという話ですが、今のこの政権、女性に嫌われる要素を完全装備するに至っているので、無理からぬところです。支持は一部の産経オヤジとネトウヨ、例の懲りない高橋洋一や、竹中平蔵の子分の岸博幸ぐらいになって、それも、前にも少し書きましたが、絵に描いたような詭弁で、まともに相手にするのも馬鹿馬鹿しいレベルなのです(高橋洋一は新たに次の郷原信郎氏のブログ記事でも完膚なきまでに批判されています)。

加計問題での”防衛線”「挙証責任」「議論終了」論の崩壊

 とにかく安倍政権は「もう終わった」ので、自民党は「敗戦処理」を急ぐことです。政権交代を迫られるような強力野党の不在をいいことに、「まだ安倍でももつかな?」なんて甘い考えでいると、都議選の悪夢が国政選挙で再現される羽目になるでしょう。「もり・かけ」問題では何一つ疑惑は解明されていない。トランプのロシア・ゲートほどスケールは大きくないが、逆にこの政権がどんなにみみっちいものであるか、それを裏書きしているのです。

 妻のアッキーに負けず劣らず独善的・自閉的な意識の持主である安倍は、こうした状況がまだ把握できていないでしょうが、「政権を投げ出す」タイミングを見誤ると、自民党内からも「石もて追われる」状況になってしまうでしょう。帰国したら内閣改造よりも、身を引くことを考えた方がいい。結局彼は、「祖父と父の七光り」で政治家になっただけの男で、どこからどう見ても「総理の器」ではなかったのです。生活には困らないだろうから、この際国会議員も辞めて、アッキーと一緒に山口県下関市の田んぼで有機農法にでも励んでくれれば、夫妻の健康にとっても国家の健康にとってもプラスなので、申し分なしなのですが(ついでに、下村夫婦や萩生田、ともちん夫婦なども連れて行って、来月は稲刈りシーズンなので、一緒にそれを手伝わせたらどうですかね? そしたら全員、少しは庶民の苦労もわかって、もっと「足が地についた」考えができる人間になれるでしょう。その節は特区の大甘認定で、売れるかどうかはともかく、『超特級 有機スピリチュアル銘酒 アキエ(神に近づける大麻入り!)』の販売ぐらいは許してあげてもいいと思いますが…)。

安倍は悪徳動物病院の救世主?

2017.07.09.14:49

 ヤフーのニュースサイトに、こういう記事が出ていました。

加計問題で判明「日本一美しい獣医」が訴える獣医業界の闇

 最後の「こうした状況を見かねたDr.kana氏は、エロでロックな歌で、まずは獣医の労働環境の改善を訴える。その先は、日本の全労働者を救う救世主を目指す」という箇所には思わずニッコリしてしまったので、「頑張れ!」と言いたくなりますが、この「ブラック動物病院」の話は、前に塾の卒業生からも聞いたことがあったので、一部の問題ではなさそうです。

 その元塾生(女性)は大変頭のいい生徒で、にもかかわらず、ブラックな学校(近年はいくらか改善しましたが)のよけいな課外授業と宿題で疲労困憊の極に達し(僕はもたないから「手抜きをしろ」と言っていたのですが)、センターで大失敗をやらかし、浪人になってしまったのですが、一浪後のセンターの得点率は92%で、むろん、二次の記述も抜群によくできたから、獣医ではなくて医学部でも楽勝で受かっていたはずの子です。

 元は「アフリカに渡って、絶滅を危惧される野生動物を救う」という遠大な理想だったのですが、大学を卒業する頃は「ペットを救う」に後退(?)していて、九州地方の某大手動物病院に就職、しかし、ここがひどいブラックで、数年して辞めて、某県某所の何とかセンターに移り(笑ったのは「ふつうにハローワークでそれを見つけた」というところです)、そこは幸いブラックではなかったようで、「コアラの世話をしている」今はハッピーらしいのですが、本人からその話を聞いたときは、「動物病院にもブラックなんてあるの?」と驚いてしまいました。しかし、それは存在するので、そのブラックさに耐えかねて次々獣医が辞めていく、という話だったのですが、この記事の「日本一美しい獣医」(ちなみにその元塾生も、本人にはそういう意識は全くないようでしたが、たいそうきれいな子でした)の証言は、それが一部の問題ではないことを裏打ちしているのです。

 加計学園の獣医学部新設問題で追及された安倍は、「国会閉会直後の会見ではお詫びしていましたが、陰では『一体、何が問題だというのか』と嘯いて」(週刊文春)いる始末だそうで、妻のアッキーと同じく、物事を道理に基づいて考える能力のないこの男に「反省」を求めるのはどだい無理なようですが、データの恣意的な解釈に嘘も織り交ぜて「アベノミクスによる雇用の飛躍的改善」を空自慢している彼は、むろんこういった問題には無関心なわけです。

 加計学園の他にも、獣医学部を二つでも三つでも作るそうなので、うがった見方をすれば、彼はそうしたブラック動物病院の悪徳経営者たちを助けるために、「使い捨て獣医」の供給を増やしたい、ということなのかも知れません。それだと「論理的整合性」はある。今の日本の最大の問題点の一つは、企業や組織のトップが無能で、利潤を維持または拡大するために職場のブラック化を進め、組合も御用組合が大半だから、それに加担し、政府も「規制緩和」の名目で、労働者保護に必要な法規制をどんどん緩めたり、外したりしていることです。当然ながら、そうした疲弊した職場からはイノベーションは生まれない。そうすると先細りになって、さらに職場のブラック化が進むという悪循環です。安倍はこうした点、「反革命の旗手」と言えるでしょう。そうして日本経済のジリ貧状況を悪化させているのです。

 僕はここの「延岡の高校」コーナーで、学校による生徒の長時間拘束は生徒を疲労させ、慢性睡眠不足に陥れるだけで、それで生徒の学力が伸びたら、その方がよっぽど不思議だという話を何度も繰り返しました。その分、授業や教材の「質の改善」に取り組んだ方がはるかに効果的だと。仕事でもそれは同じなので、ブラック職場では士気は上がらず、いいアイディアが出てくるどころか鬱と無気力を強化するだけになって、業績悪化を加速するだけなのです(馬鹿の一つ覚えでアメリカの後追いばかりするのではなく、少しはヨーロッパの先進国社会に学んだ方がいい)。

 企業経営者や政治のトップは、それがわかる人でないといけません。今はそこに頭の悪いのが揃っているわけで、安倍と来た日には、憲法改正が妄想と化して、その改正も、何のためなのかということは思慮の他なのです。ここまで頭の悪いクソは見たことがないというのが僕の率直な感想で、問題が問題だけに、小泉政権時の「郵政民営化」よりはるかに始末が悪い。早く追い払わないと危険だということで、毎回のように書いているわけです。

 話を獣医学部に戻して、そうした「ブラック動物病院」は本来違法なはずです。仮にまともな動物病院があったとすれば、従業員の獣医師にこういう超長時間労働を強いる(時間給に換算すれば当然低額となる)ところと比較して経営的にしんどくなってしまうでしょう。過大な超過勤務をさせず、同じサービスで対抗するにはシフト制にして、獣医師を多く雇うしかなく、人件費も高くなるからです。こういう現状を放置していれば、「悪貨は良貨を駆逐する」結果となってしまう。だから必要なのは、労働現場の「適切な法規制」だということになるでしょう。

 それを行わずに獣医の供給だけ増やすということでは、「いやならやめろ。もっと悪い条件でも働く奴はいくらでもいる」ということで、「使い捨て獣医」の現状をさらに悪化させることになりかねないわけです。獣医師のレベルも、それでは低下する。

 先に解決すべきは「獣医の適切な配置や待遇改善」の問題だと、この前記者会見した獣医師学界の先生たちも言っていましたが、悪徳動物病院の経営者たちの関心事はカネでしょうが、獣医一般のそれは違うはずで、薄給では困るが、カネより「まともな仕事ができるような職場環境」でしょう。僕は素人なので、そこらへん、具体的な対応策はわかりませんが、議論と対策が必要なのはそちらの問題なのだ、ということはわかります。

 うまく行かない社会の特徴というのは、本来支払われるべきところにまともな報酬が支払われず、ロクに仕事もしていない、あるいはその仕事内容がろくすっぽないようなところに高いお金が支払われるようになることで、資本主義社会でも、そのあたりは政治が関与して是正できる面がいくらもあると思いますが、そういうことを今の政治はやっていない。国会議員なんか、空疎な政治スローガンを振りかざすだけで、やっている仕事に見合わない報酬を得ている最たるものの一つですが、「現実に根差して理想を考える」視点が全体に欠落しているのです。

 アホな安倍ではどのみち使い物にはならないから、早く退陣させるにかぎりますが、会社や組織でも、現場の意見を吸い上げて必要な改革をしていくという機運が今はひどく低調なように思えます。役所や学校でも、いりもしない無駄な書類仕事ばかり増えて、何がほんとに必要なのか、現実を見て自分の頭で考える人が減っているように、僕は周囲の話を聞いて感じています。国家レベルでも同じになっているので、そうしたあれこれのせいで「社会のブラック化」がどんどん進んでいくのです。

 冒頭記事の若い女性獣医さん、「エロでロックな歌で、まずは獣医の労働環境の改善を訴える。その先は、日本の全労働者を救う救世主を目指す」そうですが、お行儀よくやっていたのでは、この鈍重そのものの社会はなかなか動かないから、ど派手なパフォーマンスでもやって、ゴルフのアン・シネ並におじさんたちの注目を集めれば、声も届きやすくなるかもしれません。頑張って下さい。

「安倍一強のおごり」説への違和感

2017.07.05.16:33

 都議選での自民の「歴史的大惨敗」を受けて、マスメディアへの責任転嫁ともとれる愚痴と共に、「(一強)体制でのおごり、気のゆるみがあった」と「反省」を口にするようになった安倍政権ですが、「そういう問題かね?」という疑問を僕はもっているので、それについて少し書いてみます。

 安倍晋三という政治家には元々「公」とか「客観性」という観念はありません。彼の「政治の私物化」は何も今に始まったことではないので、ちんぴら集団のボスよろしく、パーソナルな心情に基づき、周りの人間をお友達か敵かに分けて、敵は恫喝したり遠ざけたりし、周りを身内で固めて、お山の大将を決め込む。かつてNHK会長や内閣法制庁長官の人選まで同じやり方でやって、「私物化」の批判を浴びましたが、ほとんど全部がこれと言ってよい。自分をヨイショしてくれる人間はとにかく重用して、そうでない人間は追い払うのです。

 都議選大敗の最大の原因は安倍自身にありますが、「戦犯」とされる荻生田、下村、稲田にしても、能力に関係なく、「お友達だから重用してきた」連中ばかりです。安倍自身が言うような「気のゆるみ」の問題ではない。

「もり・かけ」問題が安倍のその同じ資質から胚胎したものであることも明白で、前者の場合、「籠池切り」に走ったのは、当初「素晴らしい教育」と称賛していながら、教育勅語の暗唱だの、運動会で「安倍首相がんばれ」などと幼稚園児に言わせていることが発覚して、「異常な教育の擁護者」という非難が強まるのを恐れたために他なりません。幸い、大した義理もないので、妻であるアッキーの「親しい関係」はまずすぎたが、籠池元理事長言うところの「トカゲのシッポ切り」でそこから逃れようとした。加計学園の件では、理事長との関係が深すぎたので同じ手は使えず、「岩盤規制突破のためにやったことで、知人かどうかは関係ない」という苦しい言い訳に頼らざるを得なかったのです。

 こうしたことはいずれも安倍自身の「体質」に由来する「必然の結果」であって、べつだん「気のゆるみ」のせいで発生したことではない。彼が総理を続けている以上、いくら「気を引き締め直し」ても、問題は解決しないのです。

 都議選で唯一街頭演説に立った秋葉原では、安倍はそこでならネトウヨ応援団の声援が期待できると思ったようですが、予期に反して「安倍やめろ!」「帰れ!」の大合唱が沸き起こって、逆ギレし、「人の演説を邪魔するような行為を自民党は絶対にしません」「憎悪からは何も生まれません」「こんな人たちに負けるわけにはいかないんです」と絶叫したのですが、自分が国会でしょっちゅう「総理にあるまじき野次」を飛ばし、「日教組!」などと、「左翼への憎悪」を丸出しにしていることは都合よく忘れるのです。言うことの「客観性」のなさは、その演説の中での出鱈目な「アベノミクスの成果」自慢にもよく表われていたので、どう「気を引き締め直し」ても、彼のこういう「体質」を変えることは不可能でしょう。

 何度も書きましたが、安倍の「悲願」は「憲法改正」で、それによって「祖父・岸信介を超えた」と言われることです。それも「真正右翼(?)」が言うような「独立国としての矜持」がもてるように、というのではない。そのアメリカべったりはトランプ大統領就任時のあの露骨なゴマスリ(多くの先進国首脳の失笑を買った)を見てもわかるので、植民地の総督が本国新大統領のもとに慌ててご機嫌伺いに駆けつけたのと同じようなものでした。要はその必要もないのに、アメリカの要請があれば戦争の助太刀をしに出かけられるようにしてしまうだけなのです(そうすれば「対等な関係」になれるのだと思い込んでいる)。

 安倍の「国民を守るため」が嘘なのは、例のISの日本人人質事件のときの対応を見てもよくわかるので、人質拘束を承知していながら、折も折、のこのこ中東にまで出かけていって、エジプトで「IS対策のために二億ドル支援」をぶち上げ、挙句はイスラエルのネタニヤフにまで会って、「力強く握手」する映像までニュースで流してひとり悦に入っていたことで、そういうことがISのみならずアラブ諸国全体にどういう印象を与えるか、なんにも考えていなかったのだから、アホというよりは日本という国家を進んで危地に招き入れる国賊です(当然人質は殺害された)。

 彼は観念右翼、ファンタジー右翼にすぎないというのは、あの幼稚なともちん(稲田朋美)に対する入れ込みようからもわかりますが、憲法改正も、彼がペラペラ紙みたいな軽さで口にしている「国民の安全のため」などでは全くないのです。「国家安全保障のため」でもない。北朝鮮に舐められきっているのは、あの拉致被害者再調査の「交渉」がどうなったかを見てもわかるので、北朝鮮からすれば、安倍政権は「アメリカの傀儡政権」でしかなく、残念ながらその見立ては正しいのです。アメリカの意向次第でその動きは決まるのだから、アメリカの動きだけ念頭に置いて対応していればいい、ということになる。ミサイル発射のたびに「強く非難する」と言われても、北朝鮮にはいい宣伝になるだけです。

 それでもとにかく憲法改正したい、それによって歴史に名前を残したい、彼にあるのはそれだけです(経済政策は人気取りの手段にすぎない)。いつぞや国会答弁で彼は「自衛隊」と言うべきところを「わが軍」と言ってしまうというハプニングがありましたが、子供の兵隊ごっこと同じで、自衛隊を実質「国家の正規軍」に昇格させ、総司令官として金正恩みたいに高いところから閲兵して、余裕の表情で手を叩くというのが彼のファンタジーの中では大きな意味をもっているのです。それも「私物化政治」の安倍のことだから、はからずもともちんが暴露してしまったように、安倍自民の「わが軍」であることが望ましいのです。

 それについてはくどくど説明する気力も湧かないので割愛しますが、憲法改正したって、日本の安全が高まるということはありません。昨日、ニューヨーク・タイムズか何かのかなり長い英文記事をニュースサイトで見ましたが、日本の排他的経済水域内に落下した北朝鮮のあれはたぶんICBM(大陸間弾道ミサイル)で、ハワイはともかく、アラスカまでは届きそうだが、核弾頭が付けられるかどうかはわからないし、中国とロシアは「話し合い」の慎重姿勢を崩していない。まあ、核弾頭はなくても、命中精度さえ上がれば、日本攻撃の場合には原発めがけて打ち込めば、それだけで足りるわけです。憲法改正して、自衛隊を国軍に昇格させても、それが防止できるわけではない。頼まれもしないうちから「朝鮮半島有事の際にはわが軍も…」なんて余計なことを言っていると、かえってその可能性が高まるだけの話なのです。

 関係を「対等」にしたいというので、「アメリカの戦争」に自衛隊をかませることになると、すでに見た安倍の不用意な対応のおかげで現段階ですでにそうなっていますが、わが国もイスラム過激派の「テロ対象国」の中にカウントされるようになるのです。目下、イラク軍がISからのモスル奪還作戦を展開中で、それは成功しそうだという話ですが、仮にそうなったとしても、イスラム過激派のテロが減ることはないでしょう(ISを「壊滅」させれば問題は片付くと考えているのは、よほどおめでたい人だけでしょう)。このまま憲法改正へと走り、「日本はアメリカと対等の同盟国となるため、平和憲法を捨て、軍事力強化に舵を切った」というニュースが流れると、中国の軍備強化にさらなる口実を与えるだけでなく、2020年の東京オリンピックでは、イスラム過激派に「見せしめ」パフォーマンスの最高の場を与えることになりかねない。それで数十人、数百人の死傷者が出たとして、そのとき安倍政権は「断じて許しがたい。テロとの戦いに邁進する」というアナウンスを出すわけです。

 しかし、そもそも何でそういうことになったのかといえば、安倍政権の動きが招き寄せた「人災」なのです。僕はむろん、イスラム過激派のテロを容認するものではありませんが、その根底にアメリカの覇権主義に対する反発と怒りがあることは確かで、過激派兵士の供給源が今のグローバル経済がもたらした「格差」にあることも確かです。力で粉砕すれば問題が解決するといった筋合いのものではない。自分たちは軍事力、経済力を背景に勝手なことをやり続けて、それに協力するテロリストは善玉だからテロリストとは呼ばないが、逆らう奴は全部テロリストだというご都合主義的な「定義」がそもそも問題なわけです。客観的・公正に見て、近年最大のテロリストは元アメリカ大統領、ジョージ・ブッシュ・ジュニアでした。僕はあの品性下劣な低能を許す気には今でもなれないのですが、こういうことを言うと、「テロリスト予備軍」として盗聴法で盗聴され、共謀罪の監視対象に入れられますかね?

 話を戻して、安倍という男は、そこらへんの複雑な事情が何もわかっていないまま、憲法改正がどうたらと言ってるわけで、究極の「マッチポンプ政治家」だと言えるでしょう(この「マッチポンプ」、若い人は知らないことが多いでしょうが、「マッチで火をつけておきながら、それを自らポンプで消すという意で、自ら起こした問題を自分で解決することをいう(日本語俗語辞書)」言葉です)。「わが国の安全保障が危機にさらされている!」と叫んで、集団的自衛権解釈、共謀罪新設、憲法改正へと走り、そうした軽挙妄動によって実際に危険を招来して、「ほらね、ボクの言った通りでしょ!」と胸を張り、さて、外交音痴、国際政治音痴なので、実際に深刻な事態に陥った場合には何ら有効な手立てがとれないまま、逃げ出すというパターンです。上の辞書の定義のように、「自ら起こした問題を自分で解決する」のならまだしも、それが彼にはできそうもないから困るのです。

 僕が面白いと思うのは、各種の世論調査で、憲法改正それ自体には賛成という人でも、「安倍政権下での憲法改正」には反対する人が多いことで、これはそこらへんの「安倍政治への不信」が関係しているからでしょう。ともちんや安倍の考えるような「国体」「国柄」の線で憲法改正など許したら、とんでもないことになりかねないという懸念をかなりの人が共有しているのです。

 それは健康な嗅覚だと、僕は思います。自民の議員たちが「安倍が総裁では国政選挙でも壊滅的大敗を免れない」と気づくのはいつかわかりませんが、内閣改造ではなく、安倍政権の一刻も早い退陣が望まれるところです。安倍政権の自己宣伝とは反対に、「国際環境の悪化」が深刻化すればするほど、この政権では危ない。そういう認識が有権者の間で支配的になる日は近い、少なくともそう望みたいものです。

死に体の安倍政権、「内閣改造」で乗り切れると思ってる?

2017.07.03.11:22

 7月2日は良き日でした。都議選で自民が現有57議席を23に減らした。何と34議席ものマイナスで、過去二回あった「歴史的惨敗」の38議席すら15も下回ったというのです。

 これは都政がどうのという以前に、国政の問題でしょう。それがモロに影響した。「もり・かけ」問題をめぐる安倍自身のごまかしに終始した「不誠実な対応」に加え、とくに大切なお友達の下村の二度目の政治資金規正法違反疑惑や、防衛省・自衛隊まで道連れにしたともちんの文字どおりの“自爆攻撃”が実を結んだかたちで、他にも安倍チルドレン、豊田議員の秘書に対する「このハゲぇーー!(バシ!)」や「でちゅか」いびり(あれは相当笑えましたが)、国会での共謀罪の強行採決なども挙げられていますが、案外大きかったのは、安倍の「加計の他にも、要望があれば獣医学部は二つでも三つでも作る」発言でしょう。別に加計にえこひいきしたのではないと言いたいがために、ついよけいなことまで口走ったのですが、これには全国大学獣医学関係代表者協議会の真面目な学者たちもブチ切れて、「少しは現実を知ってから物を言え、このアホが! わが国の獣医学教育を破壊するつもりか!」(前の部分はその真意をわかりやすく“翻訳”したものです)と記者会見で述べたことなども、安倍の信用をさらに下げる原因となったのです。

 要するに、最大の原因は安倍自身にある。その自分を取り替えずに、閣僚だけ入れ替えても、内閣支持率は上がらないでしょう。目玉に小泉進次郎や維新の橋下徹の入閣を考えているそうですが、進次郎は自民党だから断らないし、求められてそうしても彼の汚点にはならないから応じるだろうが、橋下は受けないでしょう。カチカチ山のタヌキではあるまいし、沈みかけた泥舟に喜んで乗り込むほど、彼は頭は悪くないからです。

 安倍は、しかし、降りようとしないでしょう。第三次安倍政権の目はもうないから、彼は妄執と化した「憲法改正」を今回何としても果たそうとする。アベノミクスは副作用だけよけいな空砲にすぎなかったし、盗聴法と共謀罪は通しても、その程度ではあの世の祖父、岸信介にほめてもらえない。「偉大な祖父を超えた」と言われるのが彼の悲願なのです。それはコンプレックスにまみれた彼の虚栄心から出たものですが、本人は「高貴な国家理想」だと思い込んでいる。明治の元勲たちに自分をなぞらえて、将来歴史教科書に「いのちとひきかえに憲法改正を果たした」と書いてもらいたいのです。「低次元の国政の私物化とお粗末な妻やお友達のせいで退陣を余儀なくされ、『ソンタク』と『デンデン』という言葉を流行らせたが、長期政権の割に業績と呼べるほどのものはなく、日本が三流国家に転落するきっかけとなる負の遺産をいくつか残しただけだった」では困るのです。

 日本会議に集う右翼の面々も、安倍は彼らにとってこの上なく利用しやすい“得難い人材”なので、どうにかして再び盛り立てようとするでしょう。都議選は「都民ファーストの会」ができて、それが受け皿になったが、国政ではそれに相当する政党が存在しない。民進は「追い風」にもかかわらず都議選でもサッパリでしたが、国会でもヤジキタ総理・安倍にいびられるほど不人気なままです。共産党では「左すぎる」し、適当な野党がいないから、今のままでは国政選挙で自公政権を倒すのは難しい。安倍政権が存続したとして、有権者が愛想をつかしても、受け皿が存在しないので、今回の都議選のようにはいかないのです。連合などの労働組合(それも御用組合です)に頼っているのから民進は既得権益に配慮しすぎて、何事も中途半端になるのだと言われていますが、そういうおかしなものからは手を切って、野党の中から全く新しい政党を作る動きがでてこないものかなと思います。

 何にせよ、安倍政権が今回の空前絶後の「都議選大敗」を受けてどういう醜態を見せるか、しばらく見物させてもらうことにしましょう。それにしても、その要領のよさに感心させられるのは、創価学会の公明党です。有能なコバンザメと言うべきか、権力につく本能的な嗅覚がすごい。弱気になった自民は都議選で敵方に寝返られても、文句を言うどころではなく、創価学会の組織票目当てに、今後はいっそうねんごろな対応を心がけるでしょう。今回の都議選を通じての真の勝者は、実は公明党だったのかも知れません(公明党が国民一般に見直されるときが来るとすれば、それは安倍自民的・戦前回帰的改憲に「待った」をかけられたときだけでしょう)。
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