たんなるいつもの北朝鮮

2017.05.14.12:21

 北朝鮮が「14日早朝、北西部の亀城(クソン)から弾道ミサイル1発を発射した」ことを受けて、

 安倍首相は総理官邸前で記者団に「国際社会の強い警告にもかかわらず、北朝鮮がミサイル発射を強行した。断じて容認できない。強く抗議する。北朝鮮の度重なるミサイル発射は我が国に対する重大な脅威であり、国連の安保理決議に明確に違反する」と述べた(CNN)

 そうですが、NHKのウェブニュースによれば、

 政府は、北朝鮮が発射した弾道ミサイルはおよそ800キロ飛んだと推定されるとしていますが、政府関係者によりますと、「ロフテッド軌道」と呼ばれる、通常よりも高い角度で高い高度まで打ち上げ、意図的に飛距離を出さないことを狙った可能性もあるということです。政府内には、今回の弾道ミサイルはおよそ30分間飛び、高い高度まで打ち上げられたと見られることなどから、発射は成功したのではないかという見方もあり、防衛省などが弾道ミサイルの種類などの詳しい分析を進めています。

 とのこと。飛行時間の割には飛んだ直線距離は小さいので、落ちたのは「日本の排他的経済水域の外」で、被害も確認されないという。要するに、「たんなるいつもの北朝鮮」なので、馬鹿の一つ覚えみたいに「断じて容認できない」と力み返るほどのものではありません。金正恩にしては自制が利いていて、“理性的”なのです。北朝鮮にしてみれば、これはアメリカのトランプ向けのメッセージで、「ボクちゃんのミサイル、その気になればほんとにアメリカまで届くんだから。でも今のところはそんなことはしないということを示すためにこういう飛ばし方をしたんだから、相談に乗ってよね」と言いたかったのかも知れません。

 要するに、アベちゃんのことは金正恩の念頭にはないわけで、この前うちから彼がやたらと北朝鮮ミサイルの危険性を騒ぎ立てて見せるのは、森友問題から逃れ、あわせて彼の考える「憲法改正の必要性」をアピールするためで、実際には自民党内部にもシラけた空気が漂いかけているのではないでしょうか。安倍の「個人的都合」に、この問題は利用されつつあるのです(失点続きで、「安倍後継」の目はもうなくなった稲田防衛相も、ずいぶんとやせておやつれになったようです)。ご本人にその自覚があるかどうかはともかく、「国家防衛」ではなく「自己防衛」が安倍の真の目的なので、ヤンキー政治家のそれが限界です。

 追いつめられた金正恩が今後“暴発”しないという保証はどこにもないので、危険は危険ですが、こういうことでいちいちギャアギャア騒ぐのと、それへの対応は別物です。安倍のように自己陶酔的に「毅然とした対応」ばかりアピールしたがる政治家はそのあたり心許ないので、二枚腰、三枚腰の、もっと頭の複雑な、肚(はら)のある人物に代えておかないと、イザというとき困るのではありませんかね? 僕はむしろそちらの方を懸念しています。

公私混同は今や「世界標準」か?

2017.05.12.14:53

 次のAFP電の記事には思わず笑ってしまいました。

【5月11日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー(James Comey)長官を電撃解任したニュースが伝わり、ブックメーカー(政府公認の賭元業者)では10日、トランプ氏が任期途中で弾劾されると見込むオッズ(賭け率)が跳ね上がった。一部では確率が60%となっている。
 9日の解任劇は、リチャード・ニクソン(Richard Nixon)元大統領が1973年、ウォーターゲート(Watergate)事件を捜査していたアーチボルド・コックス(Archibald Cox)独立特別検察官を解任した出来事をすぐに想起させた。この解任はニクソン氏の辞任を早める結果となった。
 野党・民主党は昨年の大統領選挙でトランプ氏陣営とロシア政府が共謀した疑惑をめぐり、独立した特別検察官の任命を求めている。(後略)


 トランプご本人は、大統領選の最中に問題になった「クリントン元国務長官のeメール問題捜査の拙さ」を理由に挙げているそうですが、アメリカ本国ですら誰もそんな話を信じる者はいないので、クリントンの問題ではなくて、ロシアは邪魔なクリントンよりトランプを大統領に当選させるためにあれこれサイバー攻撃やネット工作をしたと言われていますが、自分と「ロシア・コネクション」の関係ついての捜査が本格的になりそうになったので解任した、という見方が専らです。

 にしても、ロシアは、つい先日のフランス大統領選でも、マクロンの信用を失墜させるためにロシアの政府系メディアがネガティブキャンペーンに乗り出し、「表ではルペン候補を支持する報道を積極的に行い、裏ではハッキングやフェイク(嘘)ニュースで情報戦を仕掛ける」(週刊朝日、津田大介氏のコラム)ことを臆面もなくやってのけたらしいので、トランプの時と違ってそれは成功しなかったとはいえ、プーチン・ロシアのえげつなさは度を越しています(前からプーチンに異を唱える民主化勢力はロシア内部に存在して、プーチン退陣デモなども行われていますが、典型的な「サイコパス政治家」である彼は情報の隠蔽はもとより、平気でその指導者や幹部を暗殺したりします)。

 安倍晋三が森友問題(再々書いているように、それは問題の一部にすぎませんが)をものともせず居座り続けているのも、こういうお粗末で道義にもとる政治家のありようが今は「世界標準」になってしまっているからで、権力の自制や民主主義的プロセスの尊重は「弱い政治家の特徴」だと思い込んでいるのかもしれません。トランプや自分のような「横紙破り」政治家こそ、「強い政治家の証(あか)し」なのです。

 金正恩などはある意味わかりやすいが、世界的に進行するこうした「政治家の劣化」は、いずれ第三次世界大戦に結びつくでしょう。このままでは、それは時間の問題にすぎません。イスラム過激派の勢力拡張が経済的な行き詰まりや社会的不公平の拡大を背景にして起きていることはよく指摘されますが、低級なナショナリズムが力を得て、極右政党がどこでも勢力を伸ばしているのも、同じことが背景になっています。ヒトラーを生み出した当時のドイツ社会の閉塞感と同じものが、そこにはあるのです。

 もう一つ、今のIT社会の特徴として、人文的な教養の軽視と、その顕著な貧困化があって、これがまた不気味なまでの人間的軽薄さを生み出している。思考に腰だめがないというか、脳の配線が単純化しているというか、異様なまでに短絡的なのです。だからトランプや安倍のような馬鹿としか言いようがない政治家をリーダーに選んでしまう。複雑な話をすると、ただちに拒否反応が起きるので、「わかりやすく」話さねばならず、因果関係もトランプの話のような直接情緒に訴える単純なものでなければならないのですが、端的に言えばそれは事実関係とはほとんど無関係な嘘なので、それに基づいて政策決定しようとすれば、それは混乱を激化させることにしかならないのです。そうなると、また自分に好都合な敵をどこかに作り出して、それを攻撃することになる。行き着く先が言論封殺の奴隷化社会か戦争でしかないことは、火を見るより明らかです。

 今の日本の右傾化も、左翼全盛時代への反動というより、「失われた二十年」か何か知らないが、国に勢いがなくなってしまって、自尊心の拠り所を失ってしまった人が多く、過去の歴史を美化してそれを自分のつっかえ棒にしたり、国家に自己同一化して寒貧な自己から逃れたいという無意識的欲求から来ているところが多いでしょう。僕はよく、自分の内面のことは、外部につっかえ棒を求めるのではなく、自分個人の問題として解決するのが筋だと言うのですが、そういう“高踏的”な論理は今は全くはやらなくなっているのです。

 安倍晋三と昭恵夫人にしてからが、「自分で自分の内面の始末がつけられない」人間の典型で、その自己逃避の産物として、彼らは国家主義に傾倒するのです。それは「コンプレックスの昇華」ではなく、たんなる逃避にすぎないのですが、そういう自覚はまるでない。似たような人が、対象が神であれ国家であれ、はたまた財産であれ、今は世界的に増えているのでしょう。神の栄光または国家の栄光が自己の栄光、あるいは地位や資産額が自己の価値なのです。こういうのは宗教家のいう「無我の境地」とは何の関係もないので、逆に狂信的な宗教信者や国家主義者は呆れた傲慢さをもつものですが、それは対象への自己同一化によって「自我膨張」をきたす結果になってしまうからです。

 これはそれ自体が病的な性質(心理学でいう「補償」メカニズム)をもつものであるがゆえに、最後には破滅に行き着く。自分たちとよく似た幼稚なリーダーを擁する国が一定数に達したところで、人類はコントロール能力を完全に失って、破滅の急坂を転げ落ちることになるでしょう。過去に隆盛を誇った文明も、末期は大方そんなものだったので、そこに天変地異やら何やらが重なって、混乱のうちに幕を閉じたのです。

 そうなりたくなければ、ここらで足を止めて考える必要がある。北朝鮮のような愚かな独裁国家は別として、民主主義を標榜する国なら、システムの健全さを破壊するような政治リーダー(とそれを利用しようとする一味)の暴走は止めねばならないのです。金正恩は“小物”としても、習近平やプーチンは“大物”独裁者で、それに対抗するには独裁的な政治リーダーの方が好都合だと言う向きもあるでしょうが、それは火に油を注ぐ結果になる可能性の方が高いので、その圧力にもちこたえて、逆に独裁的な国々の民主化の進展を促す方向に向かうのが望ましい未来でしょう。僕の見立てでは後者の可能性はせいぜい30%ぐらいでオッズは不利ですが、あと十年ぐらいが正念場かと思われます。

安倍辞典における「誠実」の定義

2017.05.09.21:16

 安倍政権が大騒ぎしてみせた割に、その後の北朝鮮はおとなしく、ゴールデンウイーク中もミサイルは飛んできませんでしたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか? この間、フランスでは25歳年上の妻をもつ若いマクロン新大統領が誕生し(この前の米大統領選のこともあるので、極右のルペンが勝ってしまうのではないかという懸念も一部にありました)、韓国大統領選の結果も今夜半には判明する見通し(勝つのは文候補で、朝鮮半島情勢はさらに混迷を深めるものと見られていますが)で、色々ありましたが、僕自身はここ十日ほど、部屋の掃除・片づけに励み、golden week ならぬ sweeping week になったのですが、無精な人間には珍しいことなので、周囲には「凶事の前兆ではないか?」と恐れられています。

 すでにして世の中は大小様々な凶事に満ちているので、今さら「前兆」もヘチマもないと思えるのですが、日本国民として目下最大の凶事は、戦前的国家主義回帰への妄想にとりつかれた安倍政権が存続しているということです。僕が一番懸念しているのは、この手の幼稚な観念右翼ぐらい現実的、実際的な情勢認識や判断力に乏しいものはないからで、何かといえば「国民の安全を守る」なんて言っていますが、そんな能力などありはしないことです。端的に言って、安倍晋三は頭が悪すぎる。デンデンだけの話ではないので、日本会議その他が彼を担ぐことにしたのは、一番おだてに乗りやすく、利用しやすい政治家だったからにすぎません。閣僚に馬鹿が揃っているのも、基本的には頭(かしら)が彼だからです。

 いい加減、日本人はそのことに気づくべきです。夫婦そろって自分個人の内面の始末がつけられないまま、コンプレックスにまみれ、共に手を携えてそれと自覚のないまま政治を私物化するうちに「負の遺産」をどっさりこしらえて、それが後々日本社会に深刻な禍根を残すことになりかねないので、マスコミも世論も考えが甘すぎます。

 以下は、「首相、昭恵氏の国会招致改めて拒否 森友問題」という見出しの、朝日の昨日の記事です。

 学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題をめぐり、安倍晋三首相は8日の衆院予算委員会で、学園が新設を予定していた小学校の名誉校長だった妻昭恵氏の国会招致について、「もうすでに何十時間も議論し、(私が)家内のことについても誠実に答弁している」と述べ、応じる必要がないとの考えを改めて示した。
 学園前理事長の籠池泰典氏が先月28日、国有地をめぐる交渉経緯を昭恵氏に報告していたなどと明らかにしたことを受けて、民進党議員が「籠池氏のことをウソだというなら、昭恵夫人も国民の前に出てこないと説得力がない」(宮崎岳志氏)などと求めたのに対して答えた。委員会室では籠池氏も傍聴した。
 財務省の佐川宣寿(のぶひさ)理財局長は、籠池氏と同省の田村嘉啓・国有財産審理室長が昨年3月15日に面会した際に籠池氏が録音した音声データについて、「(田村氏)本人に聞くと、『当日のやりとりを記録したものと思われる』ということだった」と初めて認めた。田村氏は学園との取引を「特例」と発言していた。(後略)


 これで「アッキード事件」が終わってしまうなら、それこそ日本はもう終わりでしょう。道理もへったくれもない国になってしまったということの、それは明白な証拠だからです。森友問題は不透明な安倍式忖度政治、身内の利益優先を当然とする不正なお友達政治の象徴として大きな意味をもつので、アホな首相夫人と右翼学校の癒着というだけの問題ではない。基本的にこれは韓国・朴大統領の「崔順実ゲート」と変わらないので、加計学園の件もそうですが、安倍はお友達理事長のために「国家戦略特区」なる制度まで悪用したのです。女房のことをとやかく言えるわけはないので、夫婦そろって似たようなことをしているから「妻だけの問題」にとどまらなくなるのを本人は恐れるのです。

 この手の国政の私物化を、安倍は多数やってきました。内閣法制局長官や最高裁、NHK会長の人事から、何とか諮問会議の人選にいたるまで、従来の慣例を無視した「お友達ゴリ押し」人事を乱発し、それが機関の独立性を害し、民主主義を踏みにじる暴挙だという批判には何ら耳を貸さなかった。他方で、自分に批判的なことを言うマスコミには「公正さに欠ける」という噴飯ものの屁理屈で容赦なく圧力をかける。情実政治の韓国を超えて、北朝鮮の金正恩に近くなっているのです。ヤンキー政治とはよく言ったもので、それが「戦後政治の総決算」なら、未開の野蛮国への転落としか言いようがないでしょう。国辱ものです。

 今回の北朝鮮問題でも、やることの程度が低すぎる。森友学園に始まる一連の問題から目を逸らさせるためにむやみと恐怖を煽って、「ミサイルが飛んできた場合の対処法(実は対処にも何にもなっていない)」を政府自らが広報するなど、馬鹿すぎて物も言えない(4月29日早朝、一部地下鉄や新幹線もこの政府の煽りにおつきあいして運転を見合わせたという話ですが、それは打ち上げ後40分も経ってからだったというのは笑えるので、どんな“鈍行”ミサイルがあるのかと思います。しかも、それは数分後には爆発、落下したのは「北朝鮮内陸部」だったというのだから、泣けるのです)。危難の際に政府が自らパニックを招来しようとする国など聞いたことがありませんが、ブッシュも9.11の後、「またいつテロが起きるやも知れない!」と煽りまくっていたので、あれを真似たのかもしれません。オツムの程度もブッシュと安倍ではいい勝負ですが、あれは不法盗聴など国民監視の正当化と無理なイラク戦争への布石だったことを思えば、意味深長です。あのときブッシュは悪名高い「愛国者法」をドサクサ紛れ成立させましたが、安倍の場合は危機感を煽って「テロ等準備罪法案(この前も書いたように、大方はテロとは関係がない)」を通したいのです。

 姑息にもほどがあるので、先の朝日記事には、「『もうすでに何十時間も議論し、(私が)家内のことについても誠実に答弁している』と述べ、応じる必要がないとの考えを改めて示した」とありますが、説得力はゼロで、ごまかすから議論が長引くのです。一体『安倍国語辞典』では「誠実」の定義はどうなっているのでしょう?

 ネットのgoo辞書によれば、

私利私欲をまじえず、真心をもって人や物事に対すること。また、そのさま。

 とあって、この定義が標準的なものだとすれば、「安倍辞典」にはその反対の定義が書かれていることになるでしょう。たとえば、「自分の言いたいことだけ言い、不都合なことを訊かれると逆ギレして、それには答えず、相手の些細な落ち度を見つけだして、カサにかかってそれを攻撃すること」などです。これはいわゆるモンスター何とかの人たちに共通する性格ですが、安倍答弁も大方がこれで、安倍辞書では「誠実」はそう定義されていると見て間違いなさそうです。だからご本人にしてみれば、嘘をついているという自覚はない。

 問題はこういうモンスター総理に、国民が「そんな態度は通用しませんよ」とはっきり引導を渡せるかどうかです。森友問題をうやむやにして、昭恵夫人の証人喚問も行われず、そのまま政権が存続して、支持率も維持されるということになるなら、それを承認したのと同じになってしまう。「あの手にかぎる」と、他の政治家たちにも学習させることになって、説得によって相手を従わせるという民主主義の手法は死んでしまうでしょう。それでいいのか、ということです。どんな程度の低いヤンキーでも、それがボスになればその意向を忖度し、忠勤合戦に励むのが保身と昇進の最良の方策だということに、すでになってしまっているようですが、それが定着して日本政治の“常態”になれば、この国の有様はどうなってしまうでしょう? これは大げさな話ではないのです。

 安倍はやかましく教育問題にも口をはさんでいますが、彼の政治スタイルは子供の道徳教育の見地からしても甚だしく有害なので、オトナたちはそのあたりのことも心配しなければならないでしょう。最低限のけじめもつけられないような内閣は総辞職すべきです。「妻や私が関係していたとわかれば、総理も議員も辞める」と見えを切ったのは安倍自身で、役人たちがいくら口裏合わせしようと、「関係していた」のは明白で、夫人の証人喚問に応じられないこと自体、それを証明しています。

 野党議員の皆さんには頑張ってもらいたいので、昨8日、衆院予算委の審議中、森友問題で民進党の福島伸享議員に突っ込まれた際、安倍は「『ずぶずぶの関係』とか、そんな品の悪い言葉を使うのはやめた方がいい。それが、民進党の支持率に出ている」とうそぶいたそうですが、総理にあるまじき低級なヤジを飛ばす安倍ごときに「品の悪い言葉」などと言われる筋合いはどこにもないので、ご自慢の自民の支持率というのも、ネトウヨはともかく、大半が「積極的支持」ではないのです。いい加減、国民も愛想が尽きかけているから、安倍流「誠実」の正体が誰の目にも明らかになれば、支持率は急落するでしょう。彼が墓穴を掘るのを野党は手助けしてやればよいので、追及の手を緩めないことです。繰り返しますが、有事の際、口で勇ましいことを言うだけの、こういう腰だめのない無責任で幼稚な政権ではうまく対処できない。倒閣はだから、国益にもかなうのです。こういう安手の観念右翼もまた、「平和ボケ」の産物の一つなのだと気づいた人は、すでにかなりの数に上るでしょう。いつぞや彼は迷彩服に身を固め、戦車に乗って手を振るという「戦車パフォーマンス」をやって、「カッケ―!」とやんやの喝采を浴びてご満悦だったそうですが、今回の北朝鮮ミサイルへの騒ぎ方も、同じように妙に自己陶酔的でマンガチックなのです。

 そういう政治屋に国のかじ取りを預けて平気でいられる神経が僕には理解できないので、もう少し有権者も危機感をもった方がいいでしょう。北朝鮮は危ないが、それに対応するのがこういう政権だということが、事態をいっそう危険なものにしているのです。

女房も「更迭」したら?~終わらないアッキード事件

2017.04.28.15:41

 籠池前理事長は今もお元気なようです。以下、「籠池氏、また新証言『後ろ向きだった契約が突然…』」というタイトルの本日付朝日記事。

「交渉を昭恵先生に報告していた」「それを近畿財務局にも伝えていた」。森友学園への国有地売却問題で、約1カ月ぶりに公の場に姿を現した籠池泰典・前理事長が28日、また新たな説明を始めた。聞いていた民進党の議員らには、驚きが広がった。
 籠池氏はこの日、東京の衆院議員会館の部屋で開かれた民進党のヒアリングに出席。3月23日に衆参両院であった証人喚問以来、約1カ月ぶりの公の場で、笑みを浮かべながらあいさつし、紙に目を落としながら話し始めた。
 小学校建設のプロジェクトが動き出したのは2012年10月ごろ。安倍晋三氏側に接触し、「昭恵先生にご相談した」「ホテルオークラで会ったとき、主人にお伝えしますと言ってもらい、何かすることはありますか、とまで言ってくれた」。安倍首相の妻、昭恵氏とのつながりに言及した。
 土地の賃借交渉に関し、発言は核心に。「昭恵先生には、財務省との交渉内容について、電話で報告していた」「近畿財務局にもそのことは伝えていた」「突然、それまで後ろ向きだった定期借地契約に前向きになってくれた」。発言を聞く会場は驚きの声に包まれた。籠池氏は「14年4月に建設用地に昭恵先生を案内したとき、秘書も同行していた」とも述べた。
 定期借地契約後の16年3月、…
〔ネットの無料はここまで〕

 北朝鮮ミサイル問題で無駄に騒ぎ立て、「東北でよかった」発言の復興相を「更迭」して、“好感度”“頼もしさ”を必死に上げようとしていた矢先にこれで、「あの野郎また…」と安倍首相は苦り切っているでしょう。しかし、籠池氏を恨むには当たらない。全部「身から出た錆」なのですから。

 昭恵夫人に対する世間の認識は、「オカルトかぶれの軽信家で、信じられないほどアホなお調子者だが、ご本人が“善意”でしていたことはたしかなようだ」というものでしょう。越権行為や社会的公正に関する観念はゼロだが、理解能力そのものが低いのでそれは仕方がない。夫の公私混同ぶりも相当なものなので、見習うべきお手本も身近になかったわけです。「神様に呼ばれてしていること」と自己陶酔に陥って軽挙妄動しているうちに、いつのまにか騒ぎになっていて、「困ったことになった」という認識はあっても、悪いことをしていたという認識はおそらく今でもないのでしょう(森友問題はその一部にすぎない)。週刊誌等の「悪意に満ちた中傷」に傷つき、「頑張って下さいね」と励まされると「わかってくれる人はいる」と涙する。そういうところで自己完結してしまうのがこの手の人のつねです。

 政治家たる者、やはり妻は賢いのをもらわないと後々困ったことになると言っても後の祭りで、この夫婦は「馬鹿の二重奏」だとこの前書きましたが、大臣みたいに「更迭」できればどんなにいいことかと、思わざるを得ないでしょう。もはや「私人」の言い訳は通用しないが、証人喚問なんか許すと、しどろもどろになって大恥かくのは目に見えているので、それには絶対に応じられない。官僚に想定問答集を作らせ、それを暗記させてうまく切り抜けようとしても、籠池側からそれを覆す「新証拠」がまた出てきて、今度は偽証罪で告発されかねないのです。首相夫人が偽証罪に問われたとなると前代未聞で、世界的なニュースになってしまうでしょう。憲法改正で歴史に名を残すつもりが、別の恥ずべきことで歴史に記録されることになってしまう。

「ふつうの国」なら、これで政権は倒れます。アベノミクスは失敗だった(経済がコケなかったのは別の複数要因によるが、副作用の方はこれから)し、今審議中の「テロ等準備罪」も天下の悪法で、こんなもの、成立する方がどうかしている。にもかかわらず支持率が5割を超えているというのは、“お友達”の御用マスコミ、御用記者、御用コメンテーターを各所に配して、その連中がテキトーなことばかり並べて、「印象操作」に励んでいる“成果”と言うべきでしょう。そこらへんは朴槿恵政権よりうまかったわけです。

 第一次安倍政権の際のみっともない投げ出し方がトラウマになっているので、ああいうかたちで退陣になるのは避けたいと思っているでしょう。しかし、今は「名誉ある撤退」を彼はひそかに考えているはずです。後釜が例の「未曾有」の麻生では洒落にもならない(デンデンの方がもっとひどいが)が、そんなことはどうでもいい、とにかくカッコよく身を引く方法はないものかと、そればかり考えているはずです。「ほんとはその必要はなかったが、妻を守るためにやむなく身を引いた」というような美談仕立てなら、いずれ第三次安倍政権の目もある、と考えるかもしれません。憲法改正はそのときやればいいのだと(だから後継は不人気な政権の方がいい)。女房もこれに懲りて今度は行動を慎むだろうし、事ここにいたっては、離婚しても世間から悪く言われることはないはずだと。

 以上、取り巻きや官僚の皆さんにならって、首相の内面を“忖度”してみました。たぶんかなり当たっているでしょう。

「テロ等準備罪」はなぜ必要なのか?

2017.04.26.17:29

 4月24日の朝日新聞に次のような興味深い記事が出ていました。

米NSA、日本にメール監視システム提供か 米報道

 NSAは60年以上にわたり、日本国内の少なくとも3カ所の基地で活動。日本側は施設や運用を財政的に支援するため、5億ドル以上を負担してきた。見返りに、監視機器の提供や情報の共有を行ってきたと指摘している。
 たとえば、2013年の文書では、「XKEYSCORE」と呼ばれるネット上の電子情報を幅広く収集・検索できるシステムを日本側に提供したとしている。NSAは「通常の利用者がネット上でやりとりするほぼすべて」を監視できると表現している。ただ、日本側がこのシステムをどう利用したかは明らかになっていない。


 これは意味深長です。今国会で審議されている「テロ等準備罪」(多くがテロとは無関係)は、数々の強力な反対意見にもかかわらず、与党の数の力で成立しそうですが、一連の流れを見ると、特定秘密保護法(国民に対して国家の秘密を隠し、それを暴露する者を厳罰に処す)がまずあって、次に盗聴法(正式には「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律」の改悪→対象拡大)が来て、今回のこの法案というわけで、「国家機密は国民に対して隠すが、国民は犯罪に加担するおそれがあるものとして常時監視下に置かれるのだ」という「国のかたち」を法制度によって確実なものにしようとする意思が露わだからです。

 僕も頭が痛くなるのを我慢して、ネットに出ているその法案の条文にざっと目を通しましたが、煩雑の極みで、こういうのは法律学の素人にはチンプンカンプンでしょう。政府や法務省は「善良な国民がそれによって被害を受ける恐れは一切ない」と言い、日本弁護士会や法律学者の多く(野党も)は「危険きわまりない悪法だ」と批判する。どちらが正しいのか、一般国民にはわからないわけです。

 それをざっと見た印象で明確に言えるのは、これは大方はテロとは無関係で、カバーする領域が広すぎるということ、「テロ等準備罪」という名称は、安倍首相はよく野党やマスコミの批判に「不当な印象操作だ!」といってぶち切れますが、これはまさにその「印象操作」を狙った名称にすぎないということです。実態は以前三度も廃案になった「共謀罪」の焼き直しにすぎない(罪状を減らしたと言っていますが、依然として多すぎる)。

「準備段階で処罰できる新法がないと有効な防止にならない」というのは嘘です。というのも、内乱罪のような重罪に関しては、すでに刑法で「予備または陰謀をした者」への処罰が規定されているからです(78条)。法案を見ていて僕に気になったのは、「公務執行妨害罪」なども当然のように含まれていますが、これなど、行政に対する批判をしていたというだけでそれへの「準備」の疑いをかけられて、監視・盗聴される可能性があるのではないかということで、悪くすれば警察の“忖度”によってそのまま逮捕されかねないのです。私的なわずか数人の「行政監視ネットワーク」が明日は「危険な犯罪集団」に認定されるのです。

 大体が、「準備」しているかどうかを知るには早い段階から監視していなければならない。しかもこれだけ保護法益(と専門用語では言います)が広いと、監視の幅も当然広くならざるを得ない。「国民全体に網をかける」ていのいい口実になり、不正な盗聴やハッキングがバレでも、「国家と国民の安全のため」にしていたことだったと言い訳できるのです。だからこそ、「テロと何の関係がある!」という批判はあっても、対象にする犯罪をこれ以上減らしたくない。それがホンネでしょう。「広いことそれ自体に意味がある」のです。

 むろん、「監視による委縮効果」も狙っているわけですが、冒頭の朝日記事との関連でいえば、NSAから「提供」された「ネット上の電子情報を幅広く収集・検索できるシステム」を心安んじて使えるように、盗聴法とセットでこのような法律を成立させることは国家権力にとって不可欠な「準備」なのだということなのでしょう。法律お構いなしに国民の電話やネットの大規模盗聴をしていたアメリカと違って、われらが自民党は、一応「合法」かどうかを気にするだけの“ささやかな良心”は持ち合わせている、と言うべきでしょうか?

 いったんこういう法律が成立すると、強権的な政府がそれをさらに「改悪」して、思想弾圧、国民統制に悪用するようになる可能性は否定できない。いりもしない通信傍受法を、数年を経ずして「改悪」したことからもそれは十分考えられることです。最初は「忖度」と「拡大解釈」によって政府にとって好都合になるよう運用していたのが、「ええ、めんどくさい! もっと問答無用な締め付けができるように変えてしまえ!」となるのです。

 むろん、途中で改悪されなくとも、現段階ですでに「十分悪い」のですが、言いうることは国民を潜在的犯罪者、予備軍として監視(処罰を前提として)する「一億総監視社会」がすぐそこまで来ているということで、東京オリンピックもとんでもないことのダシに使われることになったものです。

 この問題に対する一般の関心は、中身がよくわからない上に森友問題のようなスキャンダルじみた側面がないので今一つのようですが、未来に及ぼす深刻な影響という点では比較にならない恐ろしさをもつので、「こんなの通しちゃっていいんですか?」とあらためて問いかけておきたくなったのです(問題は、そういうことに無関心な人はそもそもこんな記事は読まない、ということなのですが…)。

 安倍政権の「憲法改正」の真の狙いも、それを「国民主権」から「国家主権」に変えたいというところにあるのは自民のお粗末すぎる草案からして明白なので、彼の「戦前回帰」の野望は着々と実現しつつあるわけです。「家畜のようにおとなしい」今の日本のマスメディアと国民の行く末は、完全管理の養豚場か鶏舎のそれに近いものになるでしょう。どんな狭量で独善的な政権でも安心できる社会建設、それが現政権(申し分なく「狭量で独善的」な)の願いなのだと言って差し支えないだろうと思います。

【追記】新しい朝日の記事、貼っときます。

「共謀罪」法案へ反対声明 ジャーナリストら有志14人

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Author:大野龍一

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