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それをただのいじめと言うのか?

2021.07.19(15:04) 847

 菅政権の特筆すべき特徴は、あの学術会議新会員任命拒否事件に始まって、お次はゴーツー、その次は中止にすべき五輪強行開催と、「何をやっても災いしかもたらさない(やらなくていい、やるべきでないことばかりやる)」ですが、ここにきてまた「やらかした」ようです。もはや人心を離反させ、世界に恥をさらし、日本社会を崩壊に導く特殊な才能の持ち主としか思えない。コロナ・経済政策の無能ぶりを隠すために、わざわざそういうことばかりして、注意をそちらに引きつけているのかと勘繰りたくなるほどです。

【東京五輪】世界に広がる3度目の恥…悪質いじめ小山田圭吾 世界各地で報道

 こういうの、報道を見ると前々から問題視されていたことらしいので、組織委はよりにもよってどうしてそういう人間的に最底辺の男に「五輪開会式の楽曲制作」を依頼するなんて馬鹿なことをしたんですかね? 「類は友を呼ぶ」と言うべきか、ガースー本人のみならず、とにかく関係者にまともなのがいない。「民意よりIOCの意向を尊重する国」をアピールするだけでは飽き足らず、「日本は人権感覚ゼロの国」ということまで宣伝しているのです。それでもまだ支持率が30%ある(毎日新聞.時事通信とANNは29%台)なんて、いくら最大の支持理由が「他に人がいない」からだとはいえ、ひどすぎやしませんか? 僕の周りでは今や支持率0%ですよ。

 話を小山田圭吾なる人物に戻して、彼は過去にどんないじめをしていたというのか? 一昔前なら、子供時代、いじめ(する方、される方、あるいは両方)を全く経験しなかったという方が例外的だろうと思うので、僕は釈然としませんでしたが、次のハフポストの記事を読んで驚きました(中にそのいじめ自慢インタビューの一部が引用されている)。

小山田圭吾さんの“いじめ自慢”記事は「間違った行為」。ロッキング・オン・ジャパン編集長が謝罪【声明全文】

 こういうのは最低最悪のいじめだと言わねばならないでしょう。しかも、このインタビューの時点ではむしろ自慢げに語っているのだから、つける薬がない。他の媒体にも同じような記事があるとわかったので、検索してみたら次のようなまとめ記事まで出てきて、読んでびっくり玉手箱です。知的障碍者を複数、しかも長期にわたっていじめていたというのですから。

 彼は僕より14歳年下で、かつモダンな東京の世田谷区生まれと山奥の僻地育ちとでは環境も全然違うわけですが、少なくとも僕の感覚では、こういうことをしていたら喧嘩の強い同級生か上級生に逆に半殺しにされていただろうと思います。そういう正義感というかモラルは、僕の育った環境の中にはあったので、げんに小1から中3まで九年間一緒だった同級生に知的障碍者が一人いたのです。僕は小学校の最初の三年間を山の上の分校に通った(同学年は15人)のですが、同じ学区で、その頃からずっと一緒でした。彼はお勉強が全くできなくて、見た目もすぐそれとわかる感じでしたが、どんな悪ガキも彼をいじめのターゲットにすることはなかった。だから、彼は学校の授業はちっともわからず、早い段階からテストなどは零点に近いことになったのですが、皆と遊べるのが楽しかったらしく、喜んで学校に通っていたのです(皆勤賞に近かった)。当時は特別学級の類は存在しなかったので、中学のときは学年70人だったのですが、ずっと皆と同じ普通クラスにいて、僕は彼の笑顔を今でもよく憶えているのです。別に親や教師がそうしろと言ったから親切にしていたのではなく、誰も馬鹿にしたりいじめたりはしなかった。皆、子供心にどういう対応をすべきかはわかっていたからです。

 昔の田舎の子供にはそういうところがあった。これは別の話ですが、中学に入学したての頃、上級生の悪ガキ数人がドカドカと教室に入ってきて、僕ら一年坊主をこう言って脅したことがありました。「おまえら、○○先生にナメた態度取ったら、ただじゃ済まんからよく覚えとけよ!」 こういうのは当時、ただの脅しではなくて、そうなったら確実にボコボコにされることを意味していたのですが、その「○○先生」というのはうちのクラスの副担で、三十歳かそこらの理科の男の先生でした。後でわかったのは、この先生はしばらく前に日本脳炎にかかって(大丈夫だと言って、一人だけ予防接種を受けなかったからだという)、それまでは優秀な冴えた先生だったらしいのですが、その後遺症で口が半開きになって、ときどきよだれを垂らすような感じで、言葉遣いもおかしな感じだったのです。善良な先生でしたが、明らかに後遺症でふつうではなくなっていて、それを上級生の悪ガキども(喧嘩ばかりして、半端でなく悪かった)は心配して、無礼なことをしたら俺たちが黙っていないからな、と事前通告に来たのです。それは彼らなりの正義感のなせるわざで、今にして思えば、彼らにはいいとこがあったのです。

 だから弱い立場にある障碍児をいじめるなんてこともなかったわけで、妙な言い方をするなら、いじめても大丈夫そうな人間しかいじめないという掟のようなものがあったということです。大体、かわいそうでそんなことはできない。これは上から目線でそう思っていたのではなく、同じ仲間として守ろうとしたのです。そういう自然な道徳感が、当時の田舎の子供にはあった。

 しかし、上の記事を見るかぎり、残念ながら小山田少年とその取り巻きには、そんな感性は微塵もなかったのです。さらに、それが卑劣極まりないことだという自覚が大人になってもなかったから、自慢げにそんな話を雑誌インタビューでしたりしていたのでしょう。これは相当深刻で、彼だけの問題ではない(げんにインタビュアーは平気で相手をしている)と思いますが、もし僕が若いとき周りでそんな話をするのを聞いていれば、それが飲みに行った隣のボックス席の見知らぬ人間でも、おまえは人間のクズかと言って挑発して、殴っていただろうと思います。それほどこれは正常な道徳感をもっている人には不快なことなのです。人選に当たった組織委員会は、彼の周辺ではかなり有名な話だったらしいこの件を「取るに足りないこと」とみなしていたのでしょうか?

 菅政権の特徴は、とにかくどんな道理にかなった批判があっても、自分たちが決めたことで、メンツに関わると思えば頑なに変えようとしないことです(だから、この件も撤回する気はないとのこと)。政治は国や国民のためにあるのではなく、自分のメンツを守るために、権力をひけらかすためにあるのだと思っている(『政治家の覚悟』という自著で彼はそういう強引さをあれこれ自慢しているそうですが)。もはや有能・無能をとやかく言うレベルではなく、政治などに絶対に携わってはいけない人間が総理大臣にまでなってしまったということなので、病理学的な現象と言うほかはありません(菅義偉という人は、自己肯定感に深刻な問題を抱えていて、それを補償するためにメンツや権力に異常に固執することになったのでしょう)。そこらの地域の自治会でも、こういうのが会長になると絶対うまく行かない。公共の利益や道理より、自分のメンツがつねに優先されるからです。

 だからこの手の非常識な問題が次から次へと出ることになるので、東京はコロナ感染者がまた増えているようですが、もうじき始まる東京五輪は、競技よりもIOC及び日本政府の暗部と支離滅裂さ加減を世界に喧伝する恰好の機会にしかならないでしょう。今度は何が出てくるかわかったものではないので、その度に「またか!」という嘆きの声が国民の間から漏れるのです。真に恥ずべきことで、公明党は創価学会票で決まるからどうしようもないとして、今度の総選挙で自民を惨敗させることにしか、この腐敗堕落した政治状況を変えるきっかけは見いだせないでしょう。

 ちなみに、毎日の世論調査結果を報じる紙面に面白い箇所がありました。

 五輪を楽しみにしているかについては、「楽しみにしている」は35%で、「楽しむ気持ちになれない」の48%を下回った。「もともと楽しみにしていない」も17%あった。開幕が間近に迫っているが、世論の期待は高まっていない。


 これ、並べ方が下手なので目立たないが、「楽しむ気持ちになれない」と「もともと楽しみにしていない」とを合わせると、65%もの高率になるのです。オリンピック開催国でこれほど国民に望まれていない大会がかつてあったのか? 独裁国家なら別として、通常の国家ではオリンピック史上初のことでしょう。安倍‐菅政権のレガシーとして今後長く語り継がれることになるかもしれません。

 さっさと五輪を中止にして、コロナ対策に傾注していれば、落ち込んだ経済を回復させる見通しもずっと早く立ったはずで、よけいなことですったもんだしたおかげで、それはさらに遅れる見通しなのです。僕が呆れたのは、公明が進言して、オリンピック後は「新ゴーツー」なるものを計画しているという話です。そういう一部業界に肩入れするようなことより、コロナ対策をしっかりやれば、経済は自動的に回復する。その一方で、長引いたコロナで深刻な経済的苦境に陥った人を助けるための施策を取ればいいわけで、コロナのさなか、政府は二階肝煎りの国土強靭化政策なるもので無駄な工事をずいぶんとやっているようですが、全体を見据えた経済政策なんてものはどこにもなく、利権政党の自民がやっているのは支持団体・業界への税金の配分だけなのです(政権支持のおそらく20%程度は関連業界人のそれなのでしょう)。もはや火事場泥棒に近い。そこらへんも一般国民はだんだん学習してきたので、投票率さえ上がれば自民に引導を渡せるでしょう。それを願ってやみません。

※尚、やっていることに大体目鼻がついたので、予定より早くこのブログに戻れそうです。オリンピック開催中も、僕はテレビ観戦なんかしないので。

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