自民「愛国」政治家の中身

　この前「もう一つ続けて」と書いた話は、今書きかけている文章の方（ちょっと疲れましたが、４万７千字に到達）に吸収されてしまったので、お詫びに別の話を。これはかなり笑えます。

・安倍前首相「反日的な人が五輪開催に強く反対」　月刊誌の対談に

「自由と民主主義を奉じる日本がオリンピックを成功させることは歴史的な意味があり、日本にはその責任がある」というのは言いも言ったりです。何らの説得的な議論もなく、平然と国民の大多数の反対を無視する「自由と民主主義を奉じる」国というのはどういうものなのか、安倍に一度とっくりお教えいただきたいものです。名ばかりとはいえ、一応政治学科卒と称しているのでしょう？

　月刊誌「Hanada」での対談という時点でおよその察しはつきますが、ほとんど宗教カルトに近い右翼の間では受けると思って言いたい放題言ったら、あれはふつうに書店で売られているので、“左翼”の毎日新聞記者の目にも留まって、こういう記事を書かれて、大ブーイングを食らう羽目になったのです。それにしても、言ってることが支離滅裂すぎ、頭が悪すぎる。さすがアッキーの夫だけのことはあるなと妙に感心させられたのですが、この記事のヤフコメは、記事がわかりやすいのもありますが、まともなよいものが多いので、ヤフーのサイトのものを引用しました。中で僕が思わずニヤリとしてしまったのは、nhjvさんのこれでした。

　反日とか関係ない。／五輪開催に反対している人は、家族や回りの大切な人を守りたいから反対してるんじゃないですか？／身近にコロナに罹った人がいて、発症から悪化までの様子を見ました。若い人達でしたが「息が苦しい」と死の恐怖を感じていました。／開催を強行しようとしてる人たちが愛国者だなんて、勝手に対立構造作らないでほしい。／この人の言うことはいつも保守層の愛国心を利用するようなトンチンカンなことばかり。

　自民党なんて中国に媚び売る政治家がトップにいる売国政党ですよ。二階の地元和歌山にだけ異常にたくさんパンダがいるの、笑えます。／自民党のどこが愛国保守なのか、教えてほしい。

　この「二階の地元和歌山にだけ異常にたくさんパンダがいるの、笑えます」は光ってますね。僕は和歌山出身ですが、前にも書いたことがあるように、二階を落選させる絶対確実な方法が一つあって、それは参院の世耕弘成を衆院に鞍替え出馬させることです。彼も安倍の茶坊主みたいなところがあって、そこは問題ですが、老害も甚だしい二階より百はマシだと地元では見られていて、仮に自民を離党して無所属で立ったとしても、99%の確率で世耕が勝ちます。そうして二階を追い払った上で、復党すればいい。それこそ「国家のため」です。二階はマフィアらしく「オレは喧嘩で負けたことがない」なんて豪語しているそうですが、それも嘘っぱちで、地元の御坊市長選に人望ゼロの腐れ長男を出馬させ、ど田舎の市長選なのに稲田のともちんや当時は人気絶頂だった進次郎まで応援に駆け付けさせ、にもかかわらずダブルスコアで落選するという“ありえない”失態を演じたのです。地元の人間もパンダぐらいでは騙されないので、あの二階には皆いい加減ウンザリしているのです。野党の強力な新人でも勝てると思いますが、無名で見た目もパッとしない共産党のじみーな中高年候補では無理だというだけの話。

　安倍なんかも、上の記事を読むまでもなく、程度の低い観念右翼で、アベノミクスの化けの皮はとうにはがれたし、どうしようもないアホだというのは十分わかっていることなのだから、山口４区の有権者にも顔をしかめている人まともな人はたくさんいるでしょう。地方は組織票で決まってしまうという悪弊からなかなか脱け出せないから健康な新陳代謝が進まず、これに当選者一人だけの小選挙区の致命的欠陥が重なって、死票が大量に出てしまうので、アホらしくて投票しない人も増え、自民は20%の支持率で60%の議席を確保するなんて馬鹿な話になっているのです。

　麻生なんかも、あれは何なのでしょうね。以前は漫画「ゴルコ13」を愛読していて、あれで「国際政治がわかる」なんて真面目に言っていたのですが、いちいちルビを振ってやらないと満足に漢字すら読めない御仁なのです。麻生財閥は福岡では強大な影響力を持っていて、その関係組織で雇われている人の数も半端ではないので、どんなトンデモ発言をやらかそうと無事なのは、ここが民主主義国家などでは全然ないことの証しみたいなものです。

　話を冒頭記事の安倍の珍論に戻しましょう。彼が今回の五輪を正当化したいのは十分理解できることで、あのIOCでの、誘致せんがための無責任な福島原発アンダーコントロール発言に始まって、この前は二年延期論が強かったのを、昔のスペイン風邪のことすら知らなくて、非科学的な上に万事に見通しが甘いので、一年延期で充分だ（そのときはまだ自分が政権にとどまっているつもりでいた）と言い張り、引き継いだのは当時の官房長官のガースーで、安倍に輪をかけて頭が悪くて頑固と来ているから、それでこんな悲惨なことになってしまったのです。これは民意無視の「亡国の2021年東京五輪」として後世に長く語り継がれることになるだろうと思いますが、それに賛成しないのは国を愛する心のない「反日」だと決めつけているわけです（記事からはわかりませんが、対談相手の櫻井よしこは「そうですとも！」なんてアホな相槌を打ったのでしょうか？）。

　ええ加減にさらせ、とはまさにこのことで、良識的な天皇陛下ですら「懸念」を表明しているというのに、それも完全に無視しているので、「ぼったくり男爵」ことバッハ率いるIOCと、アメリカのテレビ局と、五輪スポンサーと、自分たちの犬も食わないケチなメンツに仕えることこそがその「愛国」なるものの中身なのです。おまえらの薄汚いケツを舐めることが「愛国」なら、アホだけ集まって勝手に互いの尻を舐め合ってろ。

　安倍にはもう一言。例の「赤木ファイル」が出てきて、それも不完全なものである上に、やたら黒塗りも多いようですが、それでアッキーの関与は明白になるはずだから、裁判の証人喚問に彼女を応じさせ、安倍自身は、「妻や私が関係していたというのなら国会議員も辞める」と国会で明言していたのだから、潔くさっさと議員を辞めて、二度と国会に戻って来るな、ということです。一部報道によれば、安倍はみたび首相に返り咲くつもりだとか、キングメーカーとして君臨するのを狙っているとかいう話がありますが、そういうのは月刊「Hanada」あたりの狭い狭い右翼界隈だけの“人気”なので、大方の国民はとうの昔に見限っているのです。そこらあたり、カン違いするというのは、二階、麻生、ガースーなどとも共通する病的な独善体質で、現実が全く見えていないそういう連中が政治の舵取りに当たっているから、日本はここまで落ちぶれてしまったのです。

　今度の総選挙でそのあたり思い知らせてやることができるかどうか、日本の有権者の良識が問われるところです。野党が頼りなさすぎて、とくに立民なんて、何やってるんだろうという感じもしますが、頼りなくても自民に勝たせる弊害の方がはるかに大きいと見れば、野党に肩入れする他はない。今回の件で腐れ自民が大敗すれば、コロナにも社会を進歩させる思わぬ福があったということになるわけで、それを期待してやみません。