本屋に行って、新書のコーナーを見ていたら、菅義偉著『政治家の覚悟』(何とも御大層なタイトルですが)がまだ置いてあって、その帯の広告文を見てブラックジョークかと思わず笑ってしまいました。
“国民の「当たり前」を私が実現する”
東京五輪の中止または再延期は、メディア各社の世論調査では8割を超えているものが複数あり、内閣支持率が31%(不支持率は59%)と最低になっている最新の毎日の世論調査でも、中止と再延期合わせて63%という数字が出ているようです。 詳しくは、
東京オリンピック・パラリンピックについては、「中止すべきだ」が40%で最も多く、前回(29%)から11ポイント増加した。「再び延期すべきだ」は23%(前回19%)で、「中止」と「再延期」を合わせて6割を超えた。海外からの観客を入れずに開催する現在の方針について、「妥当だ」は20%(同34%)で、「国内の観客も入れずに無観客で開催すべきだ」は13%(同14%)、「わからない」は3%(同4%)だった。(毎日新聞 5/22)
要するに、IOCと政府の今の方針を支持すると答えたのは僅か20%でしかないのですが、それでもやるのだという。状況に鑑みて、最も現実的なのは損切りして中止にする(再延期では損失が拡大するだけでなく、次のオリンピックとの間がなくなる)ことだと思いますが、その意見が最も多いということで、これが良識ある民意ということでしょう。ガースーのいう「国民の『当たり前』」がこれなのですが、その逆を彼は「実現する」というわけです。
海外の有力選手が次々不参加を表明していて、それだけでも東京五輪のメダルの価値は下がりそうですが、何よりオリンピックは“祭典”であり、祝福気分の全くないところで行なっても意味はありません。僕はもちろん会場に見に行ったりしませんが、テレビで見るのもやめようかなと思っているくらいです。とうていオリンピック気分ではないからで、IOCの醜さもすっかり暴露されたし、国民の大多数が反対したのに何でやるのかという思いが強いので、競技観戦を楽しむ気分にはなれないからです。アスリートたちもその雰囲気を鋭く感じ取っているので、日本人選手はとくに、メダルをとっても素直に喜べないでしょう。
いや、そんなことはない。いざ始まれば国民は夢中になって見て熱い声援を送るはずだし、やっぱりやってよかったと思うに違いない、なんてアホなことを言っているテレビ文化人もいるようですが、そういう国民はごく一部の「何も考えてない」ノーテンキな連中だけでしょう。「パンとサーカス」でいくらでもいいように操れる民衆は古代ローマの昔からつねにいたもので、これはそれ自体が災いの種だったのですが、長引くコロナ不況で明日の生活もままならないという人たちのことはほうっておき、かつ医療が逼迫して、自宅待機のまま亡くなるコロナ患者が跡を絶たないなんてニュースを見ながら、「さあ盛り上がりなさい」なんていくら言われても、馬鹿と白痴しかそんな煽動には乗れないのです。
むろん、五輪クラスター発生の可能性は常にある。最悪なのは五輪が変異株の展覧会みたいになって、それが世界中に拡散するきっかけになり、後で日本が非難されることですが、幸いそれは避けられたとしても、無観客でも選手含め8万人の関係者が来日し、「外部との関係は一切断つ」なんてできるわけがないし、そんな窮屈な思いをしてまでなぜ五輪が開催されなければならないのか、関係者にも理解できる人はほとんどいないでしょう。何より開催国の国民に歓迎されていないのです。菅政権とIOC、テレビ局、各種スポンサーの利益のために、開催が強行されたというだけの話なので、資本主義の論理に民主主義が完全屈服させられた例としては面白いかもしれないが、それは今の世界がどんな悲惨な世界になっているかを世界に示すだけで、自慢にも何にもならないのです。
日本は長らく「アメリカの属国にすぎない」と揶揄されてきましたが、大国アメリカに逆らえないだけならまだしも、たんなる“国際運動会”興業団体でしかないIOCにすら物申せないことが今回明らかになったのです。これのどこが主権国家なのかと、世界中の笑いものになっているはずで、菅政権はそれに追従するために「国民の『当たり前』を無視する」決断をしたわけです。実は日本政府はIOCの下部機関にすぎなかった。それなら先にそう言ってくれ、それがわかっていれば自民党に投票するなんて馬鹿なことはしなかったのにと思っている人は少なくないでしょう(僕個人は自民や公明には元から投票していませんが)。そういう政治屋たちをなぜ税金で養わねばならないのか、理由を説明してもらいたいものです。
大のスポーツ好きで、球団まで所有しているソフトバンクの孫社長がこう言ったという話です。
・五輪「誰が何の権利で強行するのか」 孫正義氏が投稿
ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長が22日、自身のツイッターを更新し、今夏に予定される東京五輪の開催について、「今、国民の8割以上が延期か中止を希望しているオリンピック。誰が何の権利で強行するのだろうか」と疑問を呈した。
孫氏は21日にも、新型コロナウイルスについて、「いつの間にか日本も変異株だらけになってしまった。入国管理を厳格にしなかった事の責任は重いと思う」と投稿。18日にはオーナーを務めるプロ野球のソフトバンクホークスについて、福岡県の緊急事態宣言中に主催する試合を無観客とすることを正式決定したともツイートしていた。
これがまともな感覚というものでしょう。「国民の『当たり前』」が何かわからなくなり、「五輪を成功させれば政権の不人気も一気に挽回できる」という妄想にとりつかれているガースーの方が異常なのです。
次のような記事はそんなガースーの癇にいたく障るもので、許しがたいと思われるでしょう。今頃は、「この真壁とかいう奴、早く学術会議から除名しろ! 何、会員ではないって? それならわが母校の法政大に命令して即刻解雇させろ!」なんて執務室でわめいているかもしれません。取り巻きの茶坊主たちはこの手の記事は首相の目に触れないよう細心の注意を払って遠ざけているので、知らない確率の方がずっと高そうですが(茶坊主たちいわく、「だって、そうしないとヒスを起こして、無理難題を言って私らを怒鳴りつけるだけなんですから」)。
・日本経済を襲う「五輪強行開催」のツケ 観光業壊滅、株価大暴落の悪夢も
大阪をはじめ、医療崩壊が現実のものとなっているにもかかわらず、菅政権は7月から予定される東京オリンピック・パラリンピックの開催を強行しようとしている。国会答弁や会見でも、菅義偉首相は「選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じ、安心して参加できるようにするとともに、国民の命と健康を守っていく。これが開催にあたっての私の基本的な考え方」という発言を繰り返すばかりだ。
思えば、2020年に予定されていた東京五輪の延期を発表した安倍晋三首相(当時)は、「今後人類が新型コロナウイルス感染症に打ち勝った証として、完全な形で東京オリンピック・パラリンピックを開催する」と発言していたが、現状では「コロナに打ち勝った証」は見えず、「完全な形」とはほど遠い状況にある。
肝心のコロナ対策もおぼつかないなかで菅政権が五輪開催を強行しようとするのはなぜか。最も大きな理由は、「これまでに費やしてきたお金と時間を考えると、簡単には引き下がれない」という行動経済学の「サンクコスト(埋没費用)」の回収にこだわっているからではないだろうか。
大会組織委員会は昨年末、総額1兆6440億円の大会予算を公表。これ以外にも、会計検査院は、「国は既に関連経費を含めて1兆600億円を支出した」と指摘。東京都の負担額まで合わせると、総額で3兆円を超える莫大なコストがかかるとされており、これまでの五輪で最もお金のかかる大会となる見通しなのだ。
だから意地になっているというのですが、この後の「コンコルド効果」の話が面白い。
1960年代に英仏が共同開発した超音速旅客機「コンコルド」は当初から収益化が難しいと言われてきた。だが、ここまで莫大な開発費をかけてきたからには今さら後戻りできないという思惑で運航を続けた結果、ついには2000年に墜落事故を引き起こす。それが引き金となり、運航停止に追い込まれた。この時の教訓から“わかっちゃいるけどやめられない”という心理を「コンコルド効果」と呼ぶようになった。
今後は「コンコルド&ガースー効果」と呼ばれるようになりそう(そうなると彼は歴史に名を残すことになる)ですが、その後に訪れそうな悲惨な日本社会の末路を予想しているので、それはかなりの高確率でそうなりそうなものです(詳しくは2~3ページをお読み下さい)。
思い出されるのはあの福島原発事故です。当時の原子力委員会の班目(まだらめ)委員長は、「水素はあっても爆発はしません」と力強く請け合ったものの、その直後に建屋が爆風で吹き飛び、「あちゃあ!」と叫んだという話で、「マダラメではなくデタラメだ」と言われました。その他の原子力ムラの専門家たちも「メルトダウンなんて起きるはずがない」と断言していて、にもかかわらず、見事なまでのメルトダウンを起こしていて、原子炉のぶ厚い底部もやすやすと貫通して手の施しようのない状態になっていることがその後判明したのですが、馬鹿の一つ覚えのように「安全安心な大会の実現」を繰り返すガースーの場合、初めから誰も信じる人はいないのです。福島原発事故も、奇蹟的な幸運がいくつか重なって「関東壊滅」が避けられただけだったのですが、われらがガースー総理はその程度では満足せず、神風が吹いて五輪の「一点の曇りもない大成功」が実現し、その頃はコロナも終息に向かっていて経済は回復軌道に乗り、それまでの悪評は嘘のように消え、一気に支持率は戻るはずだと考える。そこを見計らって総選挙に打って出れば自民は大勝し、菅政権は長期政権になることが確実だとソロバンをはじくのです。見よ、私の先見の明を!
その可能性はゼロではない。しかし、そうなったとすればそれは「奇蹟的な僥倖」の産物にすぎないので、危機管理のプロは最悪の事態を想定してそこから発想して物事を決めていくのに対し、彼の場合は宝くじの当選をアテにして浮かれ騒いで後で払いきれない借金を残す手合いと同じ発想なのです。そういう最低限の判断能力さえもたない人間を安んじて総理に選ぶ愚かな国民が世界のどこにいるでしょう。
政府は「コロナ対策」と「五輪開催」の“二兎”を追っている場合ではない。まずは「コロナ対策」を徹底して“一兎”を追う。いまほど冷静に適切な判断を下すことが重要な局面はないはずだ
という真壁教授の結論は、多くの良識ある日本国民の考えと一致しているはずです。ガースーの最大の弱点は、それは二流の人特有のものですが、「この私が…」という頑固でナルシシステックな思いが強すぎることです。それが「失敗の条件」の筆頭に挙げられるものであることを、彼は知らないのでしょうか?
“国民の「当たり前」を私が実現する”
東京五輪の中止または再延期は、メディア各社の世論調査では8割を超えているものが複数あり、内閣支持率が31%(不支持率は59%)と最低になっている最新の毎日の世論調査でも、中止と再延期合わせて63%という数字が出ているようです。 詳しくは、
東京オリンピック・パラリンピックについては、「中止すべきだ」が40%で最も多く、前回(29%)から11ポイント増加した。「再び延期すべきだ」は23%(前回19%)で、「中止」と「再延期」を合わせて6割を超えた。海外からの観客を入れずに開催する現在の方針について、「妥当だ」は20%(同34%)で、「国内の観客も入れずに無観客で開催すべきだ」は13%(同14%)、「わからない」は3%(同4%)だった。(毎日新聞 5/22)
要するに、IOCと政府の今の方針を支持すると答えたのは僅か20%でしかないのですが、それでもやるのだという。状況に鑑みて、最も現実的なのは損切りして中止にする(再延期では損失が拡大するだけでなく、次のオリンピックとの間がなくなる)ことだと思いますが、その意見が最も多いということで、これが良識ある民意ということでしょう。ガースーのいう「国民の『当たり前』」がこれなのですが、その逆を彼は「実現する」というわけです。
海外の有力選手が次々不参加を表明していて、それだけでも東京五輪のメダルの価値は下がりそうですが、何よりオリンピックは“祭典”であり、祝福気分の全くないところで行なっても意味はありません。僕はもちろん会場に見に行ったりしませんが、テレビで見るのもやめようかなと思っているくらいです。とうていオリンピック気分ではないからで、IOCの醜さもすっかり暴露されたし、国民の大多数が反対したのに何でやるのかという思いが強いので、競技観戦を楽しむ気分にはなれないからです。アスリートたちもその雰囲気を鋭く感じ取っているので、日本人選手はとくに、メダルをとっても素直に喜べないでしょう。
いや、そんなことはない。いざ始まれば国民は夢中になって見て熱い声援を送るはずだし、やっぱりやってよかったと思うに違いない、なんてアホなことを言っているテレビ文化人もいるようですが、そういう国民はごく一部の「何も考えてない」ノーテンキな連中だけでしょう。「パンとサーカス」でいくらでもいいように操れる民衆は古代ローマの昔からつねにいたもので、これはそれ自体が災いの種だったのですが、長引くコロナ不況で明日の生活もままならないという人たちのことはほうっておき、かつ医療が逼迫して、自宅待機のまま亡くなるコロナ患者が跡を絶たないなんてニュースを見ながら、「さあ盛り上がりなさい」なんていくら言われても、馬鹿と白痴しかそんな煽動には乗れないのです。
むろん、五輪クラスター発生の可能性は常にある。最悪なのは五輪が変異株の展覧会みたいになって、それが世界中に拡散するきっかけになり、後で日本が非難されることですが、幸いそれは避けられたとしても、無観客でも選手含め8万人の関係者が来日し、「外部との関係は一切断つ」なんてできるわけがないし、そんな窮屈な思いをしてまでなぜ五輪が開催されなければならないのか、関係者にも理解できる人はほとんどいないでしょう。何より開催国の国民に歓迎されていないのです。菅政権とIOC、テレビ局、各種スポンサーの利益のために、開催が強行されたというだけの話なので、資本主義の論理に民主主義が完全屈服させられた例としては面白いかもしれないが、それは今の世界がどんな悲惨な世界になっているかを世界に示すだけで、自慢にも何にもならないのです。
日本は長らく「アメリカの属国にすぎない」と揶揄されてきましたが、大国アメリカに逆らえないだけならまだしも、たんなる“国際運動会”興業団体でしかないIOCにすら物申せないことが今回明らかになったのです。これのどこが主権国家なのかと、世界中の笑いものになっているはずで、菅政権はそれに追従するために「国民の『当たり前』を無視する」決断をしたわけです。実は日本政府はIOCの下部機関にすぎなかった。それなら先にそう言ってくれ、それがわかっていれば自民党に投票するなんて馬鹿なことはしなかったのにと思っている人は少なくないでしょう(僕個人は自民や公明には元から投票していませんが)。そういう政治屋たちをなぜ税金で養わねばならないのか、理由を説明してもらいたいものです。
大のスポーツ好きで、球団まで所有しているソフトバンクの孫社長がこう言ったという話です。
・五輪「誰が何の権利で強行するのか」 孫正義氏が投稿
ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長が22日、自身のツイッターを更新し、今夏に予定される東京五輪の開催について、「今、国民の8割以上が延期か中止を希望しているオリンピック。誰が何の権利で強行するのだろうか」と疑問を呈した。
孫氏は21日にも、新型コロナウイルスについて、「いつの間にか日本も変異株だらけになってしまった。入国管理を厳格にしなかった事の責任は重いと思う」と投稿。18日にはオーナーを務めるプロ野球のソフトバンクホークスについて、福岡県の緊急事態宣言中に主催する試合を無観客とすることを正式決定したともツイートしていた。
これがまともな感覚というものでしょう。「国民の『当たり前』」が何かわからなくなり、「五輪を成功させれば政権の不人気も一気に挽回できる」という妄想にとりつかれているガースーの方が異常なのです。
次のような記事はそんなガースーの癇にいたく障るもので、許しがたいと思われるでしょう。今頃は、「この真壁とかいう奴、早く学術会議から除名しろ! 何、会員ではないって? それならわが母校の法政大に命令して即刻解雇させろ!」なんて執務室でわめいているかもしれません。取り巻きの茶坊主たちはこの手の記事は首相の目に触れないよう細心の注意を払って遠ざけているので、知らない確率の方がずっと高そうですが(茶坊主たちいわく、「だって、そうしないとヒスを起こして、無理難題を言って私らを怒鳴りつけるだけなんですから」)。
・日本経済を襲う「五輪強行開催」のツケ 観光業壊滅、株価大暴落の悪夢も
大阪をはじめ、医療崩壊が現実のものとなっているにもかかわらず、菅政権は7月から予定される東京オリンピック・パラリンピックの開催を強行しようとしている。国会答弁や会見でも、菅義偉首相は「選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じ、安心して参加できるようにするとともに、国民の命と健康を守っていく。これが開催にあたっての私の基本的な考え方」という発言を繰り返すばかりだ。
思えば、2020年に予定されていた東京五輪の延期を発表した安倍晋三首相(当時)は、「今後人類が新型コロナウイルス感染症に打ち勝った証として、完全な形で東京オリンピック・パラリンピックを開催する」と発言していたが、現状では「コロナに打ち勝った証」は見えず、「完全な形」とはほど遠い状況にある。
肝心のコロナ対策もおぼつかないなかで菅政権が五輪開催を強行しようとするのはなぜか。最も大きな理由は、「これまでに費やしてきたお金と時間を考えると、簡単には引き下がれない」という行動経済学の「サンクコスト(埋没費用)」の回収にこだわっているからではないだろうか。
大会組織委員会は昨年末、総額1兆6440億円の大会予算を公表。これ以外にも、会計検査院は、「国は既に関連経費を含めて1兆600億円を支出した」と指摘。東京都の負担額まで合わせると、総額で3兆円を超える莫大なコストがかかるとされており、これまでの五輪で最もお金のかかる大会となる見通しなのだ。
だから意地になっているというのですが、この後の「コンコルド効果」の話が面白い。
1960年代に英仏が共同開発した超音速旅客機「コンコルド」は当初から収益化が難しいと言われてきた。だが、ここまで莫大な開発費をかけてきたからには今さら後戻りできないという思惑で運航を続けた結果、ついには2000年に墜落事故を引き起こす。それが引き金となり、運航停止に追い込まれた。この時の教訓から“わかっちゃいるけどやめられない”という心理を「コンコルド効果」と呼ぶようになった。
今後は「コンコルド&ガースー効果」と呼ばれるようになりそう(そうなると彼は歴史に名を残すことになる)ですが、その後に訪れそうな悲惨な日本社会の末路を予想しているので、それはかなりの高確率でそうなりそうなものです(詳しくは2~3ページをお読み下さい)。
思い出されるのはあの福島原発事故です。当時の原子力委員会の班目(まだらめ)委員長は、「水素はあっても爆発はしません」と力強く請け合ったものの、その直後に建屋が爆風で吹き飛び、「あちゃあ!」と叫んだという話で、「マダラメではなくデタラメだ」と言われました。その他の原子力ムラの専門家たちも「メルトダウンなんて起きるはずがない」と断言していて、にもかかわらず、見事なまでのメルトダウンを起こしていて、原子炉のぶ厚い底部もやすやすと貫通して手の施しようのない状態になっていることがその後判明したのですが、馬鹿の一つ覚えのように「安全安心な大会の実現」を繰り返すガースーの場合、初めから誰も信じる人はいないのです。福島原発事故も、奇蹟的な幸運がいくつか重なって「関東壊滅」が避けられただけだったのですが、われらがガースー総理はその程度では満足せず、神風が吹いて五輪の「一点の曇りもない大成功」が実現し、その頃はコロナも終息に向かっていて経済は回復軌道に乗り、それまでの悪評は嘘のように消え、一気に支持率は戻るはずだと考える。そこを見計らって総選挙に打って出れば自民は大勝し、菅政権は長期政権になることが確実だとソロバンをはじくのです。見よ、私の先見の明を!
その可能性はゼロではない。しかし、そうなったとすればそれは「奇蹟的な僥倖」の産物にすぎないので、危機管理のプロは最悪の事態を想定してそこから発想して物事を決めていくのに対し、彼の場合は宝くじの当選をアテにして浮かれ騒いで後で払いきれない借金を残す手合いと同じ発想なのです。そういう最低限の判断能力さえもたない人間を安んじて総理に選ぶ愚かな国民が世界のどこにいるでしょう。
政府は「コロナ対策」と「五輪開催」の“二兎”を追っている場合ではない。まずは「コロナ対策」を徹底して“一兎”を追う。いまほど冷静に適切な判断を下すことが重要な局面はないはずだ
という真壁教授の結論は、多くの良識ある日本国民の考えと一致しているはずです。ガースーの最大の弱点は、それは二流の人特有のものですが、「この私が…」という頑固でナルシシステックな思いが強すぎることです。それが「失敗の条件」の筆頭に挙げられるものであることを、彼は知らないのでしょうか?
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