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理論物理学者・加来道雄のエイリアンについての見方

2021.04.24(11:25) 823

 ヤフーのニュースサイトに「理論物理学者ミチオ・カクが語る『エイリアンに接触するなんて、とんでもない』」という見出しの記事が出ていて、びっくりしました。これは、それだけ見ると、「エイリアンなんか存在するはずがない。だからそれに接触するなんて話はナンセンスだ」というふうにも解釈できるからです。

 今度出るジョン・マックの『エイリアン・アブダクションの深層』にはこの加来道雄(日系人学者なのでミチオ・カクではなく、漢字で表記しましたが)の本からの引用がかなり出てきます。それなのに、英語圏ではかなり有名らしいこの理論物理学者がエイリアンについて上記のような「エイリアン否定」解釈をしているなら、マック教授は“不正な”引用の仕方をしているのだと非難されかねないからです。

 内容をよく見てみたら、「何だ…」という感じで、全然そういう意味ではないので、元のサイトのクーリエ・ジャポンを見てみると、見出し自体が違っている。「しよう」が「する」に変えられ、最後の「考えです」もヤフーはカットしていて、サブも表記されていない。元々のものだと誤解は生じないでしょう。

理論物理学者ミチオ・カク「エイリアンに接触しようなんて、とんでもない考えです」(おそらくフレンドリーだけど「慎重に」)

 ミチオ・カクはニューヨーク市立大学シティカレッジの理論物理学教授で、ひも理論(弦理論)の提唱者だ。だが、それと同時にテレビに出演したり複数のベストセラー書籍を出版したりして、科学の普及者としても広く知られている。

 カクの新著『神の方程式』(未邦訳)は、アインシュタインの一般相対性理論と量子論を組み合わせて、宇宙のあり方の「すべてを説明する包括的な理論(万物の理論)」を確立しようとする取り組みを、明確かつ親しみやすい形で取り上げている。


 と紹介した上で、そこからインタビューになっているのですが、エイリアン云々の話が出てくるのは後ろの方です。

──今後1世紀以内に、人類は地球外文明と接触すると考えられています。懸念していることはありますか?

 もうすぐウェッブ宇宙望遠鏡が軌道を飛行するようになり、何千もの惑星を見られるようになります。そのため、地球外文明と接触する可能性は極めて高いと考えています。彼らに接触を試みるべきだという科学者仲間もいます。けれど私は、とんでもない考えだと思っています。何百年も前にアステカ王のモンテスマ2世がメキシコで征服者のコルテスに出会ったあとどうなったのか、は誰でも知っています(コルテスに捕らえられて人質となる)。

 ちなみに、個人的には地球外生命体は友好的だろうと思っています。だからといって、そうであるほうに賭けるわけにはいきません。ですから、人類は地球外文明と接触すると思いますが、その際は非常に慎重になるべきです。


 要するに、今後「地球外文明と接触する可能性は極めて高い」だろうが、今の人類がエイリアンと接触するのは、あちらの方がずっと進んだ知識とテクノロジーをもっているだろうから、自分は「個人的には地球外生命体は友好的だろうと思ってい」る(ちなみに僕もそう思っています)けれども、仮にそうでなかった場合、とんでもないことになりかねないから「非常に慎重になるべき」だと言うのです。むしろ明確に「存在する」派だと言ってよい。

 インタビューの最後は、これだけでは何のことかよくわかりませんが、興味深いものです。

──ご自分のことを、神の存在の有無は証明できないとする「不可知論者」と呼んでいますね。研究を通じて、設計者としての神という概念に近づいていますか。それとも遠ざかっていますか。

 スティーブン・ホーキングは神を信じない理由を「ビッグバンは一瞬にして起こり、神が宇宙を創造する時間はなかったことから、神は存在し得なかった」としています。

 ですが、私の見解は違います。私の両親は仏教徒なのですが、仏教には涅槃(ねはん)というものがあります。それは時間の区切りがない境地で、始まりも終わりもありません。一方で両親は、私を長老派教会に入れたため、私は毎週、日曜学校に通い、創世記や宇宙が7日間で創造されたことを学びました。

 現在の多元宇宙論の概念をもってすれば、この2つの正反対の枠組みを融合することができます。ひも理論によれば、ビッグバンはたびたび発生しています。こうして話しているあいだにも、宇宙のどこかで創世がされているのです。そして、宇宙は膨張の末にどうなるのでしょうか? 涅槃にいたります。11次元の超空間は涅槃なのです。

 ですから、仏教とユダヤ・キリスト教哲学を一つの理論に内包することができるのです。

 このあたりのことが今度の『神の方程式』(未邦訳)では詳しく説明されているのでしょう。この人の著書は、2006年以降、日本でも数点が翻訳――斉藤隆央氏(東大工学部卒)によるものが多い――されていて、『エイリアン・アブダクションの深層』の参考文献のところでもその邦訳書の紹介はしておいた(マックの本に引用されている本の邦訳はないと見られる)のですが、こちらも訳していただけませんかね? 面白そうなので、僕はきっと買うと思います。

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