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汚染処理水の海洋放出と韓国の非難

2021.04.14(16:25) 819

 政府は13日、東京電力福島第一原発の処理水について関係閣僚会議を開き、海洋放出することを正式に決めた(朝日新聞)

 そうですが、これはどの程度有害なのか? 次は同じ朝日の別の記事です。

トリチウムってどんな物質? 海洋放出後に必要なこと

 国内外の原発や、使用済み核燃料の再処理工場からも、トリチウムは濃度や量を管理して出されており、震災前は全国の原発から毎年計350兆ベクレル前後が海に放出されていた。

 国の放出基準は1リットルあたり6万ベクレル。この水を70歳になるまで毎日約2リットル飲み続けても、被曝(ひばく)は年間1ミリシーベルト以下におさまるという。日本で1年間に自然界から受ける放射線による被曝量と同等かそれ以下で、国際的に許容されるレベルにとどまる。

 福島第一では、この基準の40分の1まで薄めるとしている。すでに次々に増設したタンクにたまる処理済み汚染水は約125万トンにのぼり、タンクの水に含まれるトリチウムは900兆ベクレル近くある。海水で薄めながら何十年もかけて流すことになる。


 これが本当だとすれば、実害はなさそうだと僕は安堵しました。ネトウヨ記事ではなく、意外や政府に批判的な「サヨクの朝日」が載せた記事なのです。最後の、

 放出する際には、基準を満たすかきちんと確認し、情報を公開する必要がある。放出した後も、海での影響評価のモニタリングや風評被害の対策が欠かせない。

 というところを押さえておくかぎりは。漁業関係者が恐れているのは何より風評被害でしょうが、国民にちゃんと説明しておけば、東北、福島沖で取れた海産物が売れなくなるということはないでしょう。特に中高年は、もっとはるかに濃度が濃くても、それが健康に影響を及ぼす以前に自然死しているわけだから、どんどん買って食べればいいのです。これだと子供でも安心できるレベルなのでしょう。

 すでにIAEA(国際原子力機関)やアメリカは支持を表明しているということで、国際的な非難は免れそうですが、福島原発事故の後、率先してあることないこと言い触らしてきたお隣の韓国は例外で、激しい反対を与野党ともにぶち上げているようです。

 この日、国民の党のホン・ギョンヒ報道官は論評で「隣国の大韓民国をはじめ世界88カ国の懸念表明にもかかわらず強行決定を出した」とし「野蛮で非常識だ」と述べた。

 ホン報道官は「人体の致命的な遺伝子変異や海洋生態系の破滅的な結果をもたらしかねない放射能汚染水」とし「国際基準値以下に汚染水を薄めて放出するといっても、今後30年間にわたり数百万トンの汚染水を人類の公共財である海の真ん中に投棄する行為は絶対に容認されない」と強調した。(中央日報)


 いかにも韓国的な誇張と臆断に満ちた言い方ですが、二つの市長選で大敗を喫し、レームダック化が顕著な文在寅の与党側も負けてはいない。

 韓国政府は13日、日本政府が東京電力福島第1原発の処理水を海洋放出する方針を正式決定したことについて「周辺国の安全と海洋環境に危険を招くだけでなく、最も隣接したわが国と十分な協議なしに行った一方的な措置だ」と批判し、「絶対に容認できない」との立場を表明した。韓国外務省は同日、相星孝一駐韓日本大使を呼んで抗議した。

 おそらく韓国では国を挙げて、良心が欠落した日本が危険極まりない暴挙に“また”出たというような報道がなされているのでしょう。中央日報の次の記事は冷静ですが。

韓国、原発汚染水の批判だけを繰り返している時…日本は、米国とIAEAから支持を引き出していた

「福島を日本の圧迫カードとして利用」という小見出しのついた節は、これまでの韓国の対応を思い出させてくれます。あの事故の後、率先して度の過ぎた輸入規制を敷いたのみならず、怪しげな風評を撒き散らしてくれたのが韓国でしたが、2019年にも海洋放出を先取りして大騒ぎしていたのです。

 2019年8月の1カ月間だけでも、外交部報道官の汚染水放出危険性公開議論、担当局長の駐韓日本大使館経済公使招致、康京和(カン・ギョンファ)外交部長官の韓日外相会談時の公式問題提起などが続いた。

 当時、国際社会でこの問題を提起したのは韓国だけだった。

 政界もこれに乗じた。ほぼ同じ時期、与党「共に民主党」日本経済侵略対策特別委員会の崔宰誠(チェ・ジェソン)委員長は「日本の放射能の危険が度を越している。福島農水産物を東京オリンピック(五輪)参加選手団のメニューに上げるだけでは飽き足らず、高水準放射性汚染水を太平洋に放出するという主張まで提起されている」とし「深刻な犯罪行為」と言った。東京五輪と福島をひとまとめにして日本の泣き所に一発加えてやろうという雰囲気だった。


 産経あたりが言っているのではなく、保守派とはいえ韓国の新聞が言っているのだから、これはたしかな話でしょう。たしかにあの頃、韓国与党は出鱈目な汚染マップや数値を捏造するなどして危険だと宣伝し、左右を問わず、日本人全員を怒らせていたのです(→こちら)。「反日だと何でもありの国だから、今さら真面目に取り合う価値もない」という声も聞かれましたが、やることが卑劣すぎる。その後、そういうことを何も言わなくなったのは、文大統領が東京オリンピックで南北合同チームを作って、北との話し合いにつなげたいと考えたからで、何から何までご都合主義的なのです。

「結局、当時の福島強硬対応が残した実益が何だったのかという疑問が外交界から出ている」とのことですが、自国に「実益」がありさえすればどんな嘘や出鱈目を言ってもいいのかと、皮肉の一つも言いたくなります。同じ中央日報の別の記事には、日本政府が「資料で韓国の月城(ウォルソン)原子力発電所について言及し、ここからも年間140兆ベクレル(放射能の測定単位)のトリチウムが排出されていると記述した」旨書かれていますが、それは事実のようで、韓国の政治家先生たちは都合よくそれには頬かむりして、上の朝日の記事によれば、それよりははるかに汚染度が低いと見られる今回の日本の海洋放出の方は「絶対に容認できない」とのたまうのです。韓国の反日市民団体は早速デモを行ない、これは「核テロ」だと言っているという話で、訴訟が好きな国なので、思いつく限りの罪状を並べて、損害賠償や慰謝料やら、あれこれまた後から請求されるかもしれません。

 これでどうやって「日韓関係の改善」なんてものが可能になるのでしょう? 隣国同士、仲が悪いというケースは珍しくなく、インドとパキスタンなんかその典型ですが、「日帝35年の支配」に対する恨みは「千年たっても忘れない」(朴槿恵前大統領の言葉)ので、不倶戴天の敵として、今後も事あるごとに罵り続ける(その際、嘘や歪曲、捏造は「愛国の証」なので差し支えない)ということなのでしょうか?

 あの国の最大の問題点は、チョ・グク(元法相/ソウル大法学部教授)に代表されるように、政治家や学者が二枚舌で、「平気で嘘をつく」ということです。韓国国内の党派抗争においてはしばしば派手な「嘘の暴露合戦」みたいになるのですが、相手が日本の場合には、左右が足並みをそろえて日本を非難し、マスコミも同じなので、日本が抗弁しても、それが韓国内に正しく伝えられることはない。それ以前に偏った歴史教育があって、日本のネトウヨの自民族美化に優るとも劣らないナルシシズム史観に国民の多くが支配されているがために、虚偽も真実として流通し、そこから覚めることがないのです。『反日種族主義』のような本が珍しくベストセラーになったのは、「何かおかしい」と思う韓国人が増えているからなのかもしれませんが、それでも著者たちは「親日の売国奴」として激しい非難罵倒にさらされ、それに対する反論として『反日種族主義との闘争』が出ても、駁論できないことには無視を決め込む。それは著しく知的誠実さに欠ける態度ですが、「赤信号、みんなで渡ればこわくない」心理で、韓国内ではそれがそのまま通ってしまうわけです。

 今の韓国は、人にたとえて言うなら「自己愛性パーソナリティ障害」で、日本の左派知識人・メディアは、自分たちの言論がいいようにあの国に利用されてきたことをいい加減自覚した方がいいでしょう。それは彼らの文脈に合わせて都合よく利用されるだけ(本家が誤りを認めた場合でも、彼らはそれにはそ知らぬ顔をする)で、真実追求のためでも、問題解決のためでもない。やっとその異常さが韓国内でも認識されるようになった、あの挺対協と尹美香がやってきたことを見てもよくわかる。彼らが気にかけていたことは元慰安婦の福祉や魂の救済でも、「歴史の真実」でもなく、それによって日韓対立を煽り、問題を利用して自分たちが権力を手にし、ついでに私腹を肥やすことだけだったのです(ラムザイヤ―論文への「為にする批判」も同じ。有馬教授はあれからも続きの反批判を書いておられますが)。

 自己愛性パーソナリティ障害の特徴は、異常にナルシシスティックで、通常の反省心をもたず、極度に多罰的で、自分の虚偽や捏造を指摘されても、逆ギレしてそれには答えず、鵜の目鷹の目で相手の別の落ち度を探し出し、今度はそれを新たな非難材料として激しく言い立てることです。今は日本でもこの手合いが増えていると言われますが、韓国がやっていることはまさにこれなのです。

 そういう人間は当然ながら、卑劣でおぞましい人間として孤立を余儀なくされますが、国でもそれは同じで、韓国はこういうことばかり続けていたのでは、今後国際的な孤立を深めるだけになるでしょう。困ったときに助けてくれと言っても、日本もアメリカももう無理は聞いてくれなくなる。手を差し伸べるのは、利用価値ありと見て接近する腹黒い国だけなので、それは友愛の証ではない。それは強い侮蔑心とセットになっているので、用済みになればゴミのように捨てられる運命なのです。

 これはむろん、日本は立派で素晴らしいという意味ではありません。全然立派でも素晴らしくもないのは、僕らが日々実感しているところで、今回の処理水海洋放出にしても、あの福島原発事故があったからで、地震列島に50基を超える原発を建設してきたというのは、思えば正気の沙汰ではありません。あの事故の教訓も喉元過ぎればで、大方忘れてしまった。この前イランの核施設テロのニュースがありましたが、原発の制御室がサイバーテロの標的になったり、ミサイルをぶち込まれたりすれば、たちまちジ・エンドなのはわかりきったことで、薄氷を踏むような危うい世界に僕らは暮らしているのです。

 しかし、それは韓国も同じです。日本の原発より韓国の原発の方が安全だとは、韓国人自身が思っていない。尤も、文大統領は脱原発派です。それは結構なのですが、彼は原発の早期閉鎖のために原発のデータをそちらに有利なように改竄させ、検察が捜査に乗り出したというニュースが前にありました。“正義”にかなうことなら不正もオッケーだというあたり、いかにも韓国らしいのですが、これにはとんでもないオマケがあって、ついでに「北朝鮮原発建設推進報告書」なるものが存在していたことが発覚してしまった。北と仲良くするために、自国では脱原発を進めるが、北朝鮮には原発を建設してあげるつもりだったらしいので、そんな無茶苦茶な…と思いますが、これが今の韓国なのです。

 そういう国が何を言っても説得力はありませんが、僕ら日本人は韓国の無理難題続きでかなり学習し、中国や他のアジア諸国も韓国が平気で嘘をついたり、約束を反故にすることは過去の経験から知っていますが、欧米諸国は必ずしもそうではない。だから今回のことでも、彼らの悪意に満ちた無責任なプロパガンダが海外で奏功しないよう、警戒する必要はありそうです。

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祝子川通信 Hourigawa Tsushin


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