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「守秘義務」についての悪質な脅しを許すな!

2011.05.03(02:22) 80

 このブログも遅まきながら「連休」に入るつもりでいたのですが、引っかかるニュースが飛び込んできたので、一言。まずは次の記事をごらん下さい。

【東京電力福島第一原子力発電所の事故対策を巡り、4月30日に内閣官房参与を辞任した小佐古敏荘(こさことしそう)・東京大学教授が2日夕に予定していた報道関係者向け説明会が中止された。
 民主党の空本誠喜・衆院議員によると、小佐古教授が官邸から守秘義務の指摘を受けたことが、中止の理由だという。
 小佐古教授は、政府の事故対応に納得できないとして、29日に辞任の意向を表明した。空本氏によると、小佐古教授は2日夕、小学校の校庭利用などについて文部科学省が説明した放射線被曝(ひばく)限度の問題点について詳細な説明を行う予定だった。
 ところが1日、小佐古教授から空本氏に、「(官邸関係者から)老婆心ながら、守秘義務があると言われた」として、説明会には出席できないと電話で伝えてきたという。
 文科省は校庭利用の放射線被曝限度を年間20ミリ・シーベルトとしている。空本氏は「小佐古教授は、子供の被曝量はせいぜい年間5ミリ・シーベルトにとどめるべきだという考え。きちんと説明する場がなくなったのは残念だ」と話している】(5月2日23時14分 読売新聞)

 これは一体、どういう意味なのでしょう? 「内閣官房参与」というのは「公務員」のうちに含まれて、だから、国家公務員法 第100条・第1項「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする」が適用される、ということなのでしょうか。あるいは小佐古教授が国立大学の先生で、国立大学法人法・第18条が適用されるからなのか、それともその職を拝命するに当たって、「一切の秘密を洩らさない」という一筆でも書かされていたのでしょうか?

 守秘義務というのは、ベースになる一般法の刑法では、医師・薬剤師・弁護士・宗教職の人たち等が「正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたとき」罰せられることになっています。

 公務員の場合などは、この「正当な理由がないのに」という条件が付いていないから、とにかく何も話してはいけないのだと思う人がいるかも知れませんが、公務員は国民に奉仕する者で、「公共の福祉」の大前提があるので、国民の知る権利との関係で、秘密にするのが不当と見られるものはバラして差し支えないのです。むしろそうしてくれないと困る。僕は法律の専門家ではありませんが、一応「法学士」ではあるので、記憶ではこれはとくに少数意見というものではなかったはずだと思います。

 むろん、教授がたとえば菅総理が赤いパンツをはいていて、ズボンを脱いでそれを見せびらかしながら歩き回るから、あるいはクサいおならを連発するから、その下品さがイヤでやめた、というような場合なら、あんまり「公共の福祉」とは関係ないので、それを暴露することには「プライバシーの侵害」の問題が出てくるかも知れません。しかし、別にそんなことを話そうと思ったわけではなく、「子供の被曝量」のことが心配で、文科省が医学的・科学的に見てひどすぎる基準値を「可」とし、原子力安全委員会が会合も召集しないまま、「助言要請からわずか約2時間後には『妥当だ』との助言をまとめ、議事録も作成しなかった」というようなデタラメがまかり通るような今の官邸のあり方に義憤を覚えてやめたのだとすれば、そうしたことについて報道関係者相手に説明会を開くことには何の問題もないどころか、それをおかしな脅しで制止すること自体が不当きわまりないことだということになるはずです。

 これは、官邸がおかしな情報操作をしたり、虚偽の情報を流したりしているとか、あるいは、重大な道義的違背行為があって、それを隠蔽しているというようなことなら、なおさらのことです。

 枝野官房長官はたしか弁護士のはずですよね? それならこういうことが悪徳弁護士か検事でないとやらないことだというのは、おわかりのはずです。

 今、刑法のテキストを引っ張り出して見ていたら、面白い記述がありました。

 「秘密とは、少数者にしか知られていない事実で、他人に知られることが本人の不利益になるものをいう」

 一般に秘密とはそういうものですが、今の官邸や東電、原子力安全委員会、保安院などの面々にはそういうものが満ち満ちているのかも知れません。真実でもバラすと「プライバシーの侵害」に当たることはありますが、先にも言ったように、それが「公共の福祉」(現下の「国政当事者の利益」ではない!)を害するものであったり、それを保持することが他者に不当な犠牲を強いるものである場合は、このかぎりではありません。法律は道徳と情理に基づいて解釈・運営されるべきものであることからして、これは当然の話と言うべきでしょう。

 菅総理とその取り巻きが、「他人に知られることが自分たちの不利益になる」「公共の利害」にかかわる事実を口外されるのを恐れて、そんな脅しをかけているのなら、権力を私物化して、公益をないがしろにする者として、厳しく指弾されても仕方はありません。

 国民にとって重要なのは「菅政権の命運」ではありません。愚かしい保身や権力欲に引きずられて公人としての自覚を失った政治家やお役人の名誉など知ったことではないので、小佐古教授はどうぞ説明会でも記者会見でも開いて、詳しい事実と、それについてのご自身の意見をご開陳下さい。「少数者にしか知られていない事実で、他人に知られることが本人の不利益になるもの」であっても、それが「公共の福祉」に益するものである場合、その暴露は許されるのです。
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祝子川通信 Hourigawa Tsushin


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