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トランプ騒乱にとどめを刺すシュワルツェネッガーのスピーチ

2021.01.11(21:39) 794

 これは彼が超有名人(映画『ターミネーター』を知らない人はまずいない)であることのみならず、その内容と語り口の真摯さからも、アメリカ国民全体に大きな影響力を及ぼすでしょう。次のハフポストの記事は生の声が聞け、映像の字幕は英語ですが、記事で全訳されているから、両方ご覧になればいいと思います(彼の発音はやや聴き取りにくいので、リスリングの教材には不向きかもしれませんが)。僕は「よくぞ言ってくれた!」と素直に喜びました。

シュワルツェネッガーさん「全ては嘘から始まった」。議会襲撃とナチス重ねたスピーチが胸を打つ【全文】

 シュワルツェネッガー氏は2003年から11年までカリフォルニア州知事を務め、思想的にはリベラルな側面が強かったとはいえ、共和党に属していました。それが共和党の大統領であったトランプに激怒しているのですから、その意味でも説得力があります。彼は「嘘で人々をミスリード」し、支持者を煽動して「公正な選挙結果を覆そうとしたと」ことに怒っていて、トランプは「史上最悪の大統領(the worst President ever)」であると酷評しているのですが、全部正しい。要するに、この悪徳不動産屋にして詐欺師の、世の中にめったにいないほどの虚言症オヤジは、完璧なまでのナルシシズムに支配されており、自分に都合の悪いことは全部否認して、証拠もなく「陰謀論」を持ち出して、「本当は自分が圧勝していた」と喚き散らして、人々を混乱させ、僕には信じがたいことですが、麻原の荒唐無稽な主張を真実と信じたオウムの信者よろしく、それに乗せられる大量の人々が(日本にまで!)いて、あの何とかという女性弁護士などはその後何をしているのか知りませんが、「クラーケンを解き放つ!」と大言壮語して、陰謀論に肉付けしたものの、その憶測の根拠となるものはことごとくファクトチェックによって否定されて、逆に投票機メーカーから名誉棄損で告訴される羽目になったのです。次はブルームバーグの1/9付記事。

元トランプ陣営弁護士、名誉毀損で投票機メーカーが提訴-陰謀論被害

 トランプのみならず、彼女も精神鑑定が必要な病人です。僕も年齢と共に人相鑑定にはかなり熟達してきたので、最近は人を顔つきで判断して誤ることがあまりなくなったのですが、いい齢をして人間的な深みというものがまるでないマントヒヒ顔のトランプが狂人であるのはもとより、彼女の顔も典型的な「カルト顔」で、「生来性詐欺師」のトランプとは違って、「かもしれない」から「に違いない」に飛び移ると、すべてが自分が想定した陰謀論のピースにはまるよう解釈し、そこから出ることが不可能になってしまうタイプの、根は善良生真面目な「カルト的思考」の持主なのでしょう。だから同じようなタイプの人は「この人は信用できる」と思ってしまうのです。懐疑や不安は悪いものではなく、逆に人の精神的健康を担保してくれる大切なものなのですが、この手の人はそうしたものへの耐性が弱く、だから考えることがすべて自分の思い込みを強化する方向に働き、妄想に自信をもってしまうのです。そしてそれが多くの精神的に不安定な人には大きな影響を及ぼし、今回のような騒ぎになってしまう。カルトには二種類の病人が不可欠で、麻原やトランプのような平気で嘘をつく良心の欠落した人間(サイコパス)、もう一つはオウムの幹部にもよく見られた、生真面目なタイプの「信仰に入れ上げて、教祖の陰謀論を精緻化する」役目を果たす人間です。そして、この両者の下に煽動されやすく、自分が相手に投影したものと現実との区別がつかない一般信徒たちが位置する。トランプ騒動でもう一つ印象的なのは、この間に、その騒ぎで一儲けしたり、ドサクサ紛れ栄達を図ろうと企む、ミニトランプみたいな連中も関与していたことです。

 だから、トランプ現象はカルト現象なのです。今のアメリカの政治は、それはバイデンになっても大して変わらないかもしれませんが、民主主義が形骸化して、基本的にエスタブリッシュメントの利益に奉仕するようなものでしかなくなっています(トランプはそれを変えるために何かしたわけではない。だからウォールストリートにはトランプは好都合な存在として、支持者が少なくなかったわけです)。人気取り政策がアクセサリーのようにところどころあしらわれているというだけの話で、中身がなく、一般民衆の不満は根強い。そこでトランプが「正義の使徒」「希望の星」みたいに持ち上げられると、「あんな奴のどこが…」と僕などは思ってしまうのですが、それを信じたくなる心理があるのです。彼が下品で、知性のカケラもないことは、かえって庶民的で親しみを感じさせる要素として評価される。彼の数々の差別的暴言ですら、自らの没落の因果関係が理解できない白人至上主義者にとっては心地よく、「正直さ」「力強さ」の証しと解釈されるのです。無責任な、自分のことしか考えていないケチなデマゴーグの煽動に乗ることがどれほど危険な結果をもたらすかについては考えない。

 トランプが笛を吹いて、議事堂に暴徒が侵入するに至って初めて、あんな奴をこのまま放置しておいたのではどんなことになるやも知れないと、人々は本気で心配するようになったのです。狂信的なトランプカルトのコア層は懲りないでしょうが、他はこれをきっかけに離れるでしょう。冒頭の「シュワルツェネッガー・スピーチ」はそのために大きな役割を果たす。ネットしか見ない人たちもYoutube でそれを視聴するからです。こういうのがおそらくトランプにとっては一番応える。なぜだか低学歴白人層には激しく嫌われている左翼のインテレクチュアルの発言は響かないが、映画の正義の味方、ヒーローであり、知名度もトランプより上の相手が、自身のナチス体験まで語って、ど迫力で弾劾しているのですから。

 日本でもバイデン政権の失敗を待ち望んでいるかのような「隠れトランプ」の文化人は結構いるようですが、それに乗じてトランプが騒ぎをひき起こすようなことを許容しても、メリットは一つもない。トランプのアカウントを「永久停止」するとツイッター社は発表したそうですが、シュワルツェネッガーも示唆するように、トランプとその取り巻きそのものを政治の世界から「永久追放」するのが最もアメリカのため、世界のためになるでしょう。

 オウムの麻原は総理大臣になるのが積年の夢で、サリンを使ったクーデタで国家を転覆させ、「麻原王国」を樹立しようと目論んで失敗したのですが、アメリカの場合、本当にトランプを大統領にしてしまった。アメリカ社会の病はそれだけ深かったと言えると思いますが、一期だけでこの超利己的なナルシシスト、虚言症の煽動屋、札付きの詐欺師を追い払うことができたのは、不幸中の幸いだったのではないかと思います。


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祝子川通信 Hourigawa Tsushin


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