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狩人ガースーの失敗

2021.01.09(16:20) 793

「さ、さぶ~」

 というのは、例の7日の「緊急事態宣言発出」総理記者会見の、

 これまでの国民の皆さんのご協力に感謝申し上げますと共に、今一度、ご協力を賜りますことをお願いして、私からの挨拶とさせていただきます

 という「結婚式の挨拶か?」とツッコミが入った締まらない“締め”の感想ではなく、僕はずっと「雨ニモ負ケズ、風ニモ負ケズ」のヘルシーな自転車通勤をしているのですが、昨夜(1/8)10時台後半、帰宅途中感じた寒さのことです。延岡というのは夏は過ごしやすく、冬も決して雪など降らず、大して寒くないという「地上のパラダイス」みたいな所なのですが、体感的にこれは零度を下回っているのは確実だなと思われたので、自転車をこぎながら、思わずそういう呟きが漏れたのです。-2度ぐらいにはなっていたようで、雪国では全然大したことのない温度(僕の郷里でも、山奥なので朝晩の冷え込みは激しい)ですが、このあたりではそれは驚愕に値する寒さで、前夜より一段と厳しく、僕も「10年に一度」ぐらいの寒さに感じたのです。山のてっぺんの方に住んでいる関係で、帰りはそれを上らねばならないのですが、早く暖かい部屋に戻りたい一心で、自転車をこぐ足が速くなり、いつもより早く帰り着いたのでした。

 それでコロナですが、宮崎県も各所でクラスターが発生し、100人の大台に近づいたという話で、知事が「緊急非常事態宣言」なるものを出し、「夜間外出自粛」を呼び掛けて、県立高校などは目下一斉休校中です。延岡は感染者が6人とか1人だったりするので、「そんな大げさな…」と思ってしまうのですが、宮崎県知事の危機感は菅総理のそれとは全然違うのかもしれません。そこらへん、極端と極端という感じがしないでもないので、そもそもの話、ついこの前まで「コロナはもう終わった」と言わんばかりにゴーツーイートだのトラベルだのの音頭を取り、自らステーキ会食の類を連日はしごしておいて、しかも、東京オリンピックは十分やれるなんていまだに言っている御仁の「緊急事態宣言」なんて、誰が真面目に聞くかということになるので、それがはからずも結婚式のスピーチみたいになってしまったことは、なかば必然の成り行きと思われます。

 大体、あのオリンピックそれ自体、初めから誘致なんかすべきではなかったわけで、当時の深刻な状況に鑑みて、東北震災後の復興に全力を挙げるという誠実まっとうな対応をしていれば、延期で莫大な税金が今も失われつつあるわけですが、それをどうするかなんて悩みとも無縁だったわけです。当時の安倍首相はIOCで、「アンダーコントロール」なんて、全然福島原発事故を収束させるめどはたっていないのにジェスチャーもたっぷりに大嘘こいて、僕はあれにはほんとに呆れましたが、経済浮揚がどうのといって、かえって経済のマイナスを呼び込むというあたり、今のゴーツーと同じ安易さ、いい加減さで、バチが当たっているのだと、自民党の利権アホ政治屋どもは思わないのでしょうか? 地震もコロナも天災(後者は中国政府の罪が大きいとしても)ですが、政治が何が本当に国民のためになるかを考えず、無責任なことを連発して、それが人災につながっているのです。昔なら切腹ものです。

 支持率“爆落ち”中のわれらが菅総理の場合、今となっては「早く辞めたい」と思っている(大多数の国民もそれを望んでいる)でしょうが、「二兎を追う者は一兎をも得ず」のたとえどおり、「経済とコロナ」の間で右往左往して、どういう順序、段階で事に対処するのかという青写真が何もないまま、行き当たりばったりの愚策を重ねているのが最大の問題です。「アクセルとブレーキを同時に踏む」と称していたそうですが、そうすると車が激しくスピンして、他の車まで巻き込む大事故に発展した後、自らも壁に激突してあえなく昇天、ということになるのは、わかりきったことではありませんか? そういうアホな見本、誰が見せてくれと頼んだ?

 前に何度も書いたとおり、僕が菅政権に見切りをつけたのはあの学術会議新会員任命拒否事件からです。あのときは一部の馬鹿なネトウヨたちの熱烈支持があり、そういうのはカルト的なトランプ支持心理とも連結していたわけですが、一体何用あって就任早々そういう思い上がった愚劣なことをして、権力乱用をアピールしなければならないのか、さっぱりわからなかった。要するにこいつはまともな考えや良心をもっている奴ではないなと、早々に認識させて下さったわけです。

 その後の報道によれば、彼は横浜市議時代から、小此木衆院議員の威光を笠に着て、市役所人事に介入し(例によって説明はしないまま)、「影の横浜市長」と恐れられていたそうですが、それで権力の蜜の味を占め、国会議員になってやがて安倍政権の番頭にまで上り詰めると、ここでも総理の威光を借りて「説明抜きの人事権行使」を盾に官僚や他の議員たちを恐れさせ、「影の総理」となった。それで二階と結託して首尾よく自らが首相となると、「オレに逆らうとためにならんぞ」ということを広く学者団体にもわからせようと、あの任命拒否事件を起こして、「騒ぎになるのは予想していた」とニヤリと笑って見せたのです。彼は「人事のことは説明できない」と言ってのけたのですが、むしろ説明しないことこそが人を支配し、忖度させ、操る最もいい方法であるという、前近代的な権力の論理が通用すると思っていたのです。国を思い、世界を思う、グランドヴィジョンが彼にはあって、目先のことに定見なく振り回される世論に従っていたのでは国の舵取りを誤らせることになるという、プラトンの哲人政治的な理想と叡知が宿っているとでもいうのならともかく、そんなものはカケラもなくて、そこは二階などとそっくりですが、利権政治の闇の中でどう動くのが自分の権力維持と伸長に役立つかという動物的なカンに頼って動いていただけなのです。

「善良な日本人」は最初それには気づかなかった。安倍政権の番頭時代、彼が木で鼻を括ったような答弁に終始していたのは、「総理の不始末」の尻拭いのためにやむなく強いられたことで、自分が首相になれば、そのような不正の隠蔽はもうしなくてすむので、その「堅実な考えと高い実務能力」がいかんなく発揮され、安定的な政治運営で社会を幸福へと導くであろうと、漠然とそう思って高い支持率を与えたのです。ところが、蓋を開けてみると、実は前政権の闇は、なかば以上彼自身のものでもあったということが暴露されることになってしまった。恫喝も、隠蔽も、お友達政治も、報道機関への圧力も、全部「スガ印」なのです。道理で、安倍が引いてからも変わり映えしないわけです。それどころか、学術会議問題は、ネガティブな面で彼が安倍の一歩前を行っていることを世に印象づけることになった。

「コロナ対策と経済」に話を戻しましょう。冬場にかけて感染が再拡大するであろうことは事前に予測されていたことなのだから、それをどう防ぐか、防ぎきれない可能性もあるから、その場合はどうするかについて、事前に対策を練っておく時間は十分あったわけです。しかし、そういうことをしていた形跡はほとんどないので、ゴーツーイートの次はトラベルと、そちらにばかり前のめりになって、彼特有の頑固さで、感染者が急増してきたからもうやめどきではという声は聞かず、「エビデンスがない」なんて、都合よくそういう時だけ科学用語を使って、世論の8割近くが反対に回っても、まだ続けていて、支持率の急激な低下にパニックになって、ようやく「全面停止」を発表したのが12月の半ばです。元々この政策は「経済振興策としてはひどく筋が悪い」と言われていて、それについては再論しませんが、“恩人”二階と自分のスポンサーのためにやっていたようなものでした。税金をジャブジャブ使ってもっと外で飲食しろ、旅行に行けと煽り立てておいて、それですっかりタガが緩んでしまったものだから、今さら自粛しろと言っても、説得力には乏しいわけです。他方、それで感染が急拡大して医療体制が危機に陥ったときはどうするのかということはまるで考えていなかったと言ってよいので、菅総理の口から具体的な話が出ることはほとんどないので、「医療体制の確保を指示した」とか、こういうのは火事のとき、現場に消防車も消防士も満足にいないのに、「あれを消すように」と澄まして“指示”だけして帰ってしまうのと同じです。そんなことならサルでもできる。目下、何とか対応ができているのは、危機感を抱いた現場の人たちがそれなりの準備を進めていたおかげなので、政治の手柄では全くない。無関係な「国土強靭化」対策なるものは、相変わらず進めているという話ですが、コロナ対策の方は何をしているのか、いまだによくわからないのです。PCR検査もいまだに不十分なままで、ゴーツー政策推進の邪魔になると見てわざとそれを進めなかった疑いさえある。

 コロナで打撃を受けるのは、航空、観光業界、飲食店の類だけではない。イベント団体などは壊滅的な被害を受けているし、僕がいる塾業界なども同じです。挙げていけばキリなくあるのですが、一部にだけ補償をして他にはしないのは不公平になるし、長引くと財政的に補償もできなくなる。だから、全然収束のメドなど立っていないのに、おかしな経済振興策などしてかえって感染を拡大させ、長引かせるのは愚の骨頂で、優先順位を間違ってもらっては困るのですが、頭が悪いのか、自分のスポンサーの利益が大事で仕方がないのか、やることが本末転倒しているのです。海外からの持ち込みを防ぐ水際対策も十分に取られていないようだし、政策的に全体の統一というものがまるでない。突き上げを食らうたびにその場しのぎの対応を取るという感じで、見ているだけでイライラが募るというのが大方の人の感想でしょう。目下、菅政権の頼みの綱はワクチンでしょうが、日頃の心がけが悪い人間にはいいことは起こらないものなので、そのワクチンも大して効かないことが後で判明した、なんてことにもなりかねない。菅や二階の“不徳”が災いしてそういうことになると言えば、あのアッキーも真っ青のオカルトになってしまいますが。

 とにかく、「二兎を追う」狩人、菅義偉は、その無能さをいかんなく発揮しているわけで、「3月辞任説」も浮上しているという話ですが、大きな問題が起きていないときの密室利害調整政治が専門の彼には、明らかに荷が勝ちすぎたということなのでしょう。強権政治家が肯定的に見られることがあるとすれば、それは有能で高い見識をもつ場合にかぎるので、彼にはそんなものはないように思われるのです。韓国で「またか…」という、日本政府に賠償を命じる慰安婦裁判の判決が出て、そういうことにも対処しなければならないのですが、頭がパニックになって、目も虚ろなガースー氏にはそんな余裕は全くないでしょう(あれはたんに韓国を相手にすれば済むという問題ではなくて、国際社会に誤解されないように、きちんとアピールして説明することが必要な問題です)。

 危機の時代に政治が混乱したまま漂流するというのは「国家の不幸」なので、早々に退陣してもらって、仕切り直しをした方がいいのではないかと思います。今度世論調査をやったら、菅政権の支持率は3割を切るのではないでしょうか? 僕ら日本人はあらためて自らの人を見る目のなさを反省した方がいいかもしれません。

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