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さよなら、トランプ

2020.12.08(05:59) 783

 彼の場合、完全に精神病理学の範疇に入るレベルなので、この記事も「異常犯罪」のコーナーに分類しておくことにしますが、来年の1月20日正午以降は、この老狂人に世界が振り回されることも少なくなりそうだという喜ばしいニュースです。

トランプの陰謀論の拡散、ツイッターの警告ラベルに抑制効果

 ツイッターは各国のリーダーたちの投稿について、規約に反する場合でも閲覧可能な状態にしておく特例を認めている。それは、大半の人たちは自国のトップの発言の内容をそのまま知りたいだろうと考えるためだ。そして、トランプも現在、そうした特別な扱いを受けている。

 これまでトランプがとがめ立てされることなく、新型コロナウイルスや先月行われた大統領選などについて、いくつもの陰謀論を広めたり、(抗議デモの参加者による暴動の発生を受けて)「略奪が始まれば射撃が始まる」など暴力を示唆する発言をしたりすることができたのは、同社のこの方針のためだ。

 だが、ツイッターの広報担当者がフォーブスの取材に対して明らかにしたところによれば、トランプに対するそのような特例措置が適用されるのは、来年1月20日の正午までだ。それ以降、トランプは一般のユーザーたちと同じガイドラインに従うことになる。

 つまり、トランプがその後もツイッターの規約に繰り返し違反すれば、利用を禁止されるかもしれないということだ。


 全く、「やれやれ…」という感じです。「トランプのツイートへのユーザーの反応は非常に大きいものの、ツイッターは内容が誤った投稿はその大半について、真偽検証を行ってきた。フォーブスが確認したところでは、投票日と翌日のトランプのツイートは、50%に警告ラベルが付けられている」という有様だったのだから。

「類は友を呼ぶ」で、嘘つきの周りには嘘つきが群れ集まってくるものなので、例のQアノンをはじめ、元議員だの、弁護士だのまで登場して、次々新たな陰謀論デマを作り出し、それにトランプ自身がリツイートするというかたちで、その後も騒動は拡大したのです。日本でも一部の著名人までがそのデマに乗せられ、「選挙で大がかりな不正があったのは明らかだ。これは民主主義の危機だ!」などと言って、少し調べてみればトランプこそが「民主主義の危機」を生み出した張本人であることは明らかなのですが、それで引っ込みがつかなくなって、今後言論人商売の存続が危ぶまれる人までいるようです(尤も、日本人は健忘症なので、憶えているのは僕のような性格の悪い人間だけかもしれませんが)。

 ついでなので、BBCに便利なまとめサイトがあったので、全部を網羅してはいませんが、その「まことしやかな嘘」がどう検証されて、どういうふうに「嘘」認定されたのか、興味深い記事なので、ご紹介しておきます。「BBCリアリティーチェックチーム」によるものです。

【米大統領選2020】 検証:投票について色々なうわさ 投票の数や投票機など

 通常の場合、これだけ嘘が多ければ、その人は病的な虚言症として誰からも相手にされなくなります。しかし、トランプとトランプ応援団の人たちは、そうした虚偽の指摘には何も答えず、また新たな陰謀ネタを思いついて、ときには無関係な写真まで「証拠」としてくっつけて、「大がかりな不正があった!」と騒ぎ続けたのです。

 トランプは元々「超利己的な、頭のおかしな幼児人格」です。そう断定していいだけの十分な証拠を彼自らが提供してきたのですが、そう言うと、「あんたはトランプが嫌いだから、彼の主張を何でもデマ扱いして片づけようとするのだ」などと反論されるのです。彼がビジネスマン(実業家)としても全く信用の置けない人間であるという「本物の証拠」を伴った情報は、僕自身は何度も見てきました。「詐欺師まがいの悪徳不動産屋」という僕の評言は何ら不当なものではないのですが、「トランプが嫌いだからそう言っているだけ」と片づけられては唖然とする他ない。

 試しに、これは僕も最近見つけたのですが、アマゾン・プライムの会員になっている人は、無料で見られるドキュメンタリーの中に、『ユーブ・ビーン・トランプド・トゥー(You've Been Trumped Too)』というのがあるので、これはトランプ物の中でも地味な方ですが、トランプとその息子たちのビジネスのあくどいやり口や、2016年、彼が大統領選に出馬するにあたってどういう差別的言動を繰り返してきたか、よくわかるものなので、一度ご覧になればいいと思います。「トランプ財団が弾圧しようとした絶賛の映画」なんて説明がついていますが、あまり見る人がいないらしく、今でもコメントはゼロです。彼が大統領を4年間やって、「善と正義に目覚めて」民主主義の“希望の星”に変身したという証拠が何かあるのか、僕はゼロだと見ていますが、それが常識的な判断というものでしょう。中国共産党政府と対立する「大紀元」や「看中国」といった中国系のネットメディア(どちらも宗教がらみ)は、なぜかデマ拡散の片棒を担いでトランプを熱烈応援していますが、習近平が国家主席の任期を撤廃して終身独裁への布石を打った時、それを批判するどころか、うらやましがるツイートをしていたのもトランプなのです(僕はそういうことはちゃんと記憶している)。彼はウイグル人弾圧にも進んで「理解」を示している。トランプは実際は独裁や弾圧にきわめて親和的な人間なので、それは彼の人となりからしてむしろ当然のことなのです。彼が不動産屋としてどれほど弱い立場の人を踏みつけにしてきたか、よく見てみるといいのです(実の息子二人も、揃ってロクでもない)。こういうのはデマではなく、ちゃんとした証拠があるわけです。

 トランプの最大の功績は、ファクトチェックの機能をもたない今のネット社会では、恥知らずの異常なデマゴークにいかに人々が翻弄されやすくなるかをよく示したことかもしれません。その最適の培地になっているのは政治や経済システムの機能不全によってもたらされた社会の閉塞感や、経済のグローバリズムの割を食って沈んだ人たちのやり場のない不満や怒りです。彼らにはMake America great again!のフレーズを繰り返し叫ぶトランプの姿は、空手形を出す詐欺師の口上ではなく、「約束の地」(皮肉なことに、これはオバマの羊頭狗肉的な自伝のタイトルですが)へと導いてくれるモーゼのように見えるのです。彼の反知性主義丸出しの品位のない言動や左翼への罵倒も、彼らには逆に心地よく聞こえる。悪いのはお高く止まって既得権益をむさぼるだけの連中であり、トランプはそれに戦いを挑むヒーローなのです。実際の複雑に入り組んだ社会の利権構造を理解することなど、彼らにはできないし、する気もない。トランプはわかりやすくていいのです。トランプとしても、ウォール・ストリートを敵に回したのでは勝ち目はない(そのときこそ本物の陰謀が動き出して、葬り去られる)が、左翼なら攻撃しても安全だということがよくわかっているのです。そのセコさが、彼らにはわかっていない。

 かつてヒトラーは民衆の間にある「経済を牛耳るユダヤ人の陰謀」説をうまく利用しました(ナチの宣伝相ゲッベルスなど、若い頃からユダヤ陰謀説にとりつかれていた)。それがユダヤ人迫害につながったのですが、目の上のタンコブだった共産党も「左翼の陰謀説」を煽って、国会放火事件を彼らのせいにして潰すのに成功した。たしかに一部のユダヤ金融資本が戦争まで利用する「死の商人」として暗躍してきたことは事実としてあるようですが、ナチスはそれを拡大解釈して、全ユダヤ人に適用したのです。共産党も、彼らはたしかに共産主義革命を夢見ていたが、あくまで当時最も先進的な憲法とされていたワイマール憲法下の民主的な手続きに則って勢力拡大していたにすぎなかった。しかし、それも「邪悪な陰謀」視されたのです。ナチスはそうした各種の陰謀論を最大限に利用して恐怖を煽り、敵対勢力を駆逐し、授権法によって憲法を完全に無効化することによって恐怖の独裁体制をつくり上げた。「偉大なドイツ帝国の栄光を取り戻す」と称して。トランプ一派の寝言と、どこか似ていませんか?

 幸いなことに、当時のドイツ社会と較べれば、今のアメリカにはまだ余裕がある。公正を旨とするチェックシステムも機能しているので、トランプの「選挙不正」の主張は大半が証拠のないもので、訴訟の大部分が門前払いされたのは当然の措置だと、大多数のアメリカ人は見ているわけです。ヤフコメなど見ていると、「アメリカの有権者の7割はそれが不正な選挙だったと思っている」などという、トランプの主張と同じで何の根拠もないたわごとまでありますが、世論調査でもトランプ支持よりバイデン支持が明確に上回るようになった。「トランプよりはマシだ」ということでバイデンに投票したにすぎない人が多かったということからして、積極的支持は元から弱かったことを考えれば、トランプの嘘つきぶりを人々があらためて再認識して、見切りをつける人が増えていることを示すものでしょう(そもそもの話、これこそ陰謀ですが、トランプは2016年の選挙で、ロシアのプロパガンダ組織によるSNSを悪用したヒラリーに対するネガティブ宣伝の恩恵を受け、個人的にプーチンの世話にもなっている。これらは証拠のあることなので、陰謀論者たちはなぜそのことは言わないのでしょう? プーチンは善玉で、陰でロシアの支援を受けることはアメリカ大統領としては当然の話だとでも言うのでしょうか?)。

 4年後、トランプは再び大統領選に立候補すると言っていて、共和党が彼に対して及び腰の対応なのはそれを恐れているからだという報道もありますが、それはおそらくないでしょう。今後の4年間で、各種の裁判などを通じて彼がどんな醜悪な人間であるかが白日の下にさらされれば、もはや熱狂は戻らないだろうと思われるからです。第二のトランプが出てくる可能性はありますが、トランプ自身はすでに終わった。アメリカの政治はきわどいところで破滅を免れたわけで、それはアメリカのためにも、世界のためにも慶賀すべきことであると、僕は思います。トランプのような異常な人間を大統領に選んでしまう結果を生んだ、アメリカが抱える深刻な問題がそれで解決したわけではないので、今後も道のりは困難なものになるだろうことは確かですが、とにかく「最悪の事態」だけは免れたわけです。

 さよなら、トランプ。


【追記】これをアップする前にグーグルのニュースサイトをたまたま見ると、同じ見立ての記事があって、読んでみると面白かったので、こちらもURLを付けておきます。

トランプ風船がしぼむ時
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祝子川通信 Hourigawa Tsushin


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