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裏が表になってしまう国家と社会を待ち受ける悲喜劇

2020.11.11(13:42) 775

 前官房長官の菅義偉は二階俊博幹事長と組んで、一種の「政治クーデタ」のようにして首相の座を手に入れたわけですが、この二人はどちらも「叩き上げ」と評されていて、権力者の影として政治の実権を握り、「権力の快感」を得てきたというところも共通しています。もう一つ、「叩き上げ」が権力者にまでのし上がるには多くのスポンサーが必要なので、個人や各種業界から政治資金を吸い上げ、彼らに利益供与することによってその関係を維持するという利権政治家としての側面も強く出ます。彼らには元々思想や理念というものは稀薄で、そういうもののために政治家をやっているわけではない(では、何のためにやっているのか? 権力は最も自己目的化しやすいもので、よほど強い理念や自制心、醒めた目をもつ人でないと、それに溺れ、中毒するということが起こるのです。それは小さな組織でもそのトップになる経験を自らしたり、周りの小権力者たちを観察していてもわかることでしょう。権力によって人変わりしてしまうことも珍しくはないのです)。

 だから表には出ないナンバー2として、誰か毛並みのいい政治家を担ぎ、裏で権力を盾にあれこれ画策することによってコワモテとして恐れられるというのが彼ら本来のあり方なので、自分がトップになると、色々と不都合な面が出てきてしまいます。裏が表になってしまうと具合が悪いのです。世間には極力お見せしたくないような暗い側面が次々出てきてしまうからです。

 この点、菅義偉という政治家は目前の誘惑に負けて、なってはいけない総理になってしまったというところに最大の失敗があったということになるでしょう。裏で権力を行使してにらみを利かせていた人間が、表に出て、そのときと同じようなやり方をしてしまって失敗するのです。

 この前の日本学術会議の新会員任命拒否事件はその典型で、裏のやり方を表でやってしまったから、ああいう騒ぎになったわけです。そこには世間に向けて説明できるような正当な理由は元々何もない。だから支離滅裂な後付けの屁理屈しか出てこなくて、要は「権力の邪魔になりそうな人間はあらかじめ排除しておく」「学者団体にも圧力をかけて、官僚を忖度官僚だらけにしたのと同じやり方で、学者たちにも『彼に逆らうとこの先どんな不利益を受けるかわからない』という恐れを植え付け、服従させたい」という権力特有の願望に支配されてやっただけなのです。それは彼にとってはごく自然なことで、横浜市議時代からずっと続けてきたことです。だから、総理になってからも同じやり方をしたのではまずいということに思い至らなかった。騒ぎになって初めて、自分にはごく自然な裏のやり方が表では通らないということに気づいたのです。時すでに遅し、でしたが。

 そういうことだったのだろうと、僕は思います。おそらくこれから彼の「首相らしからぬ」過去のスキャンダルと、「表になっても裏と同じやり方をする」ことの深刻な弊害が次々出てくるでしょう。好々爺然とした「パンケーキおじさん」どころではない裏の政治家としての顔が、はからずも表に出てしまうのです。

 次の記事に見られるような話も、そうした例の一つです。

菅首相後援者の神奈川県有地転売疑惑 反社会勢力も関与か

 成光舎は反社会勢力と深いつながりがあるB氏から二束三文の土地を買い、県の県有地を随意契約で取得。転売禁止を破って、巨額の利益を懐にした。法秩序を無視するような取引だが、神奈川県はなぜか、不問にしている。菅さんにとって成光舎は多額の献金をくれたり、自身が所有するビルまで買ってくれるなど“タニマチ”的な存在。本当にこの土地取引は問題ないのでしょうか?

 というところがポイントですが、文中にもあるように、これは週刊新潮に既報があって、それにこのブログでも前に(10/31)取り上げましたが、こちらの方が事実関係がわかりやすいので再録しておきます。

「菅総理」密接業者が不可解な公有地取引 異例の好条件、交渉では総理の名も

 新潮は「第二の森友事件」と呼んでいますが、森友では妻のアッキーが直接絡んでいたが、首相自身の経済的利害は関係していない(加計事件の方は露骨なお友達への便宜供与)。しかし、これは彼のスポンサーの一人がやったことであり、モロに絡んでいるのです。しかも、

 こうして15年1月に土地を取得した成光舎。県と成光舎が結んだ契約書では、土地の用途を「保育所及び学生寮」とし、売買から10年間はこの目的で土地を使用することが義務付けられた。にもかかわらず、県から売却を受けた当日、成光舎はこの土地を関連会社に転売。さらに他の業者への転売も視野に入れていたのだ。河本代表は神奈川県の呼び出しに、保育所を整備するための開発が行えず、学生寮の設置も採算が取れない、と主張したという。

 本来であれば契約自体を無効にして、成光舎を訴えてもよいほどの事態だが、県は「保育所建設は困難」「成光舎は努力した」となぜか理解を示し、その後、用途指定が解除されたため、転売は公式に認められた。結果、この土地は翌16年に大手住宅メーカーに転売され、多額の利益を上げたとみられている。


 というのだから、かなりタチが悪いのです。公的な土地財産を転売目的の悪徳業者に安く売り払い、問題が発覚しても、お咎めなしにして問題全体を闇に葬り去ったわけで、裏に「政治家・菅義偉の威光」が働いていたことは間違いありません。

 次の記事は菅総理肝いりのGo To イートなるコロナ対策及び「文化功労者」選定にまつわる黒い話です。筆者は政治家の不正追及では定評のある、ジャーナリストの森功氏。

菅首相を操る面々 ぐるなび・楽天との関係と「Go To」

 こういうお手盛りの「文化功労者」えらびをしておいて、学術会議の会員選定には問題があるなどと、よくも言えたものです。韓国では政治家への批判に、「自分がやればロマンス、他人がやれば不倫」という言葉があるそうですが、それ以下の所業です。

 同じ森功氏の記事には、次のようなものもあります。これは自分の弟の面倒を見るのに政治権力を利用していたというもので、マメに弟の面倒を見ていたと言っても、自分の懐を痛めたわけでも何でもなく、たんなる権力の乱用にすぎないのです。やっていいことと悪いことの区別が、この公私混同政治家にはついていないらしい。権力に自己陶酔した人間の醜い姿があるのみです。

菅義偉首相の実弟が自己破産後、JR企業の役員に就任していた

 僕はこの前の記事に、「そのうち『闇の利権政治家・菅義偉の正体』という本が出る?」というタイトルを付けましたが、この調子ではそれはほんとに出そうです。彼の経済政策には、その都度スポンサーへの「見返り」疑惑がつきまとうことでしょう。大手ゼネコンと癒着した二階と組んでいることからして、そちらへの利益分配も忘れない。楽しみなことです。

 最後に、次の文春のプチ鹿島氏の記事はかなり笑えました。

“絶対に笑ってはいけない”ガースー内閣 「全集中の呼吸」で繰り出すフリとオチの結末~「こうしつおんかガス」に潜む危険性

 所信表明演説では「温室効果ガス」排出を2050年までに実質ゼロとする目標を高らかに掲げたが、菅首相はそのあとの衆院予算委員会で「こうしつおんかガス」と言ってのけた。
 いや、誰だって言い間違えはある。
 だけど普通のおじさんではなく実質ゼロ目標を宣言した一国の首相だ。
 ここまで間違えると自分の政策に興味無いのかと思わせる。たとえば歴史を熱く語っている人が豊臣秀吉のことを「とよとみひできち」と言っていたらこの人は大丈夫か? と思うだろう。それと同じ。


 昔、僕が勤めていた塾で、それは中学生相手の集団制教室での出来事ですが、夏期講習で社会の先生が足りないということで、数学と理科しかできない先生が急遽担当することになって、勝海舟が「かつ・うみふね」になり、「大塩平八郎の乱」を「オオシオダイラハチローの乱」と読んで、生徒たちの目がテンになったという話を聞いて、爆笑したことがあります。それでその先生(実は創業時からのメンバーで、副塾長だった)から電話がかかってくるたびに、性格の悪い僕は「ああ、カツウミフネ先生ですか」と言って、「オオノ氏、もうやめてよ!」といやがられ、それが楽しくて、今度は「オオシオダイラ先生」と呼んだりしていたのですが、それを懐かしく思い出しました(しかし、その塾は今や地域最大規模の塾にまで成長し、彼はそのグループ代表の地位に就いているようなので、今なら畏れ多くてそんな軽口は叩けないのです)。

 話を戻して、要するに、菅総理は「改革」だの「前例打破」だのを掲げた手前、何か新しいことを言わなければならないというので、お抱え官僚の進言に従って、「温室効果ガスゼロ」を入れただけの話で、国民のほとんどは「何で彼が急にそんなことを…」といぶかりましたが、首相ご本人にとってもそれは「急な話」だったので、「えーっと、あれは何だっけ?」ということになって、そういう言い間違えも起きるのです。裏の政治家は本来、そんなことに興味はもちませんからね。

 菅総理はバイデンに早速祝電を送り、安倍前首相がトランプと逸早くコンタクトを取ったのを真似て、他の各国首脳より早く彼に会おうと画策しているという話ですが、欧米のアカデミーに相当する日本学術会議に対してあのような強権的・統制的な対応を取ったのは、トランプ政権ならまだしも、まともな民主政体では「ありえないこと」なので、リベラル派のバイデン大統領からヒトラー的な全体主義志向の政治家だと見なされてしまう可能性大です。深刻化した対韓国問題でも、「偏向」しているのは韓国政府ではなくて日本政府だと頭から誤解されて、不利な扱いを受けることになりかねない。おそらく彼はそんなことは何も考えていないでしょうが、それはありうることで、そうなると日本国民が大きな不利益をこうむることになるのです。

 その意味でも、あの件は非常にまずかったわけですが、イエスマンの集まりの彼の内閣や取り巻きには耳に痛いことを言ってくれる人間は誰もいない。裏の政治家が表に出て、過去の隠されたスキャンダルがボロボロ出始め、新たな政策も関係業者への利益供与が目立ち、かつ、つまらないことをしたせいで外国にまで悪評が及んで国全体が誤解されてしまうとなると、いいことは一つもないということになってしまうでしょう。後者の件は、そうなると学術会議を悪者にして、自分はそれを「改革」しようとしているだけだというような説明を外部に向かってもするのでしょうが、いずれそんな嘘はバレてしまう(「自分もこうしつおんかガス規制には熱心なんです」と言って、不都合なことは隠し、エネルギー転換を公約に掲げているバイデンに取り入ろうとするのかもしれませんが)。

 こんなことになるのなら、石破か岸田にしておいた方がまだよかったと後悔する日が、いずれ自民党にもやってくるでしょう。それとも裏と表の区別がなくなって、裏が表になることを当然視する有権者が増えて、日本の政治は裏政治に完全に乗っ取られて、誰もそれを怪しまず、不正を告発するメディアは、ネトウヨたちが主張するようにたんなる「反日左翼」だとして、支持を全く得られないようになるのでしょうか? それもありそうな話ですが、そのときはこの国が三流国家に完全に落ちぶれるときで、上から下まで、権力をもつ人間の横暴や組織の私物化がありふれたものになる社会になっていることでしょう。その場合、それは自分たちがなかば選び取ったものなので、泣き言を言ってももう遅いのです。

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祝子川通信 Hourigawa Tsushin


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