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早くも終わった菅政権

2020.10.07(11:41) 759

 メンツがあるから今さら任命拒否を撤回することもできないし、かといって6人の任命拒否の理由を明らかにすることもできない。自縄自縛とはまさにこのことで、菅義偉氏は内心穏やかではないでしょう。パンケーキおじさんだの、叩き上げの実力派だのと言われて、予想外に支持率が高くなり、しばらく前までは自分が総理になどとは考えていなかっただけになおさら、つい舞い上がってしまって、自分に権力があるところを見せようとよけいなところで愚かなスタンドプレーをしてしまったのが実情だろうと思われます。ネトウヨの応援団が「よくやった!」といくら熱い声援を送っても、国民の良質な部分には「そんなことする人だったの?」と呆れられ、信用をすっかり失う羽目になったのだから、損得は明らかです。

 こうなったらもうトランプの真似をして「反知性主義」路線を邁進するしかないと思っているのかどうか、ご本人に聞いてみないとわかりませんが、こういうことは政治家としての品格を思いきり下げてしまうものなので、就任早々やらかしたなと、自民党内部でも冷ややかに見ている人は多いでしょう。国民の方は、「これなら石破か岸田の方がずっとましだったな」とこの前の総裁選を思い出して呟く人が多いのではありませんか。これで解散総選挙に打って出ることはできなくなった。安倍政権の負の遺産しかこの政権は相続していないということがはっきりわかってしまったからです。「菅では選挙は戦えない」という声が自民からも公明からも出て、いずれ「菅おろし」が始まるでしょう。あの新総裁選びの不透明な経過は国民は大目に見たわけですが、早速やらかしたのがこれなのです。

 彼が任命を拒否した6人の学者たちは、いずれも実績も能力もある人たちです。それは少し調べてみるだけでわかる。だから学術会議が内部で力をもつ学者のえこひいきの類でこれらの人たちを選定したと見るのは難しい。おそらく任命された99人の学者・文化人の中には、これらの人たちより業績の点で見劣りする人たちもいるでしょう。なのに、なんでこの6人は駄目だったのか、一人一人についてその理由を説明する必要があるわけです。国民がそれを聞いて、「なるほど、それならわかる」と思えば、さすがに菅政権はレベルが高い、という評価にもなるでしょう。「総合的、俯瞰的に判断した」なんて意味不明の御託を並べているだけでは、総理大臣は偉いから、学者でも何でもそのよしあしを「総合的に判断」する能力があるのだと自慢しているのと同じです。そんなものがあるとは、少なくとも国民の大半は思っていない。そういうカン違いの甚だしい権力者は、この先も自分の恣意を法律や社会的不文律に優先させて勝手なことをやらかすでしょう。学問の独立性否定から始まって、思想の自由、報道の自由と、次々侵害して恥じない事態となる。野蛮な独裁国家ではあるまいし、民主主義を標榜する近代国家の為政者にはあるまじきことです。

 聞けば、菅総理というのは法学部の出身です。法政大の第一部法学部政治学科というのを出ているのだという(だから苦学して夜間を出たわけではないのです)。政治学科だったから、いわゆるリーガル・マインドは身につかなかったとでも言うのか? 最低限それが身についていれば、学術会議それ自体が問題だと、急にそんなことを言い出している菅擁護派がたくさんいるようですが、それとこれとは別に分けて考えなければならない問題で、今まで名簿に従って任命してきたのにはちゃんとした理由があるのだから、何の説明もなく勝手に変えてはいけない(そういうのを「権力の乱用」と呼ぶ)ことぐらいわかるでしょう。その程度のこともわからない法学部出身者なんて、ただのアホですよ。そんなアホを卒業させた大学には罪があると言おうとしたら、法政の総長、田中優子氏が怒っているという、こういう記事が出ていました。

菅首相母校・法大の田中優子総長が声明 日本学術会議問題は「見過ごすことはできません」

 いちいちご尤もです。僕も前に法政大の山口二郎教授は韓国問題がらみで批判したことがありますが、読んでいただければわかるように、それは氏の言論のありようについての正面切っての批判で、最近も「女性は嘘をつく」発言で物議をかもしている杉田水脈(学者の科研費をとやかく言うなら、自分が高額な議員歳費を受け取っていること自体に問題がないか、反省してみるがいい)がしているような卑劣な難癖ではない。この点でも、田中総長が述べていることは正論で、今の法政大はよい学長をもっているのです。

 母校の総長からの批判に、菅首相はどう答えるのか知りませんが、あちこちから批判の声が上がり、それは「左翼の難癖」といったネトウヨ特有の決めつけで片づけていいようなものではない。「わかりました。権力の乱用という批判は尤もなので、今回の任命拒否は撤回します」と言えばまだ許されるし、男が上がるでしょうが、それだけの器量があれば、そもそもこんな愚かなことはしなかっただろうという気もするので、この事件は「菅政権の終わりの始まり」になりそうです。国会がこの問題が原因で空転するようなことになれば、それはひとえに彼が悪いのであって、政治を停滞させるために総理になったようなものだと二重の批判を受けるでしょう。自民も愚かな選択をしたものです。節操のない権力亡者の二階(そういえば彼も法学部です)と組むぐらいだから、不透明な闇政治の信奉者なのは当然だ、と言う人もいそうですが…。

 こういう珍妙な「首相インタビュー」の記事も出ていました。ふつうに質問されるとしどろもどろになって収拾がつかなくなるので、事前に質問票を出させ、突っ込みそうな記者は排除して、何とも姑息で閉鎖的な「形だけ記者会見」を行なったのです。先進国でこんなことやってるのは日本の総理大臣だけでしょう。犯罪容疑のかかった企業経営者なんかがやりそうなことで、彼はずっとこういう手法で逃げ回るつもりでいるのでしょうか? 本筋の政治とほとんど無関係なところで世間に顔向けできなくなるようなことをしでかして、どんな「改革」ができるというのか、期待はすでにして潰(つい)えたのです。

菅首相は会見から徹底逃亡…“閉鎖型インタビュー”の異常


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祝子川通信 Hourigawa Tsushin


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