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福島原発事故から九年、それでもまだ原発を続ける国の異様さ

2020.03.11(18:38) 696

 ネットのニュースサイトを見ていると、相変わらずコロナウイルス関係の記事ばかり目立ちます(株2万円割れをとやかく言うのもちらほら)が、今日は3月11日で、あの東北大震災、福島第一原発事故の日です。もちろん、あの事故は収束からはほど遠いので、あれだけ悲惨な事故が起きて、それでもまだ原発をやめず、経産省あたりは新規原発建設まで目論んでいるという話なので、「喉元過ぎれば…」で、とうの昔に“原子力ムラ”は息を吹き返しているようだし、この国のエスタブリッシュメントというのはほんとにこわいなと思います。言葉の真の意味での「責任感」といったものは、彼らにはないのでしょう。自分たちの権力と利権の防衛がすべてです。外国と違って、その闇を描く映画やドラマも製作されない。そういうのは社会の健全さを示すバロメーターの一つになると思うのですが。

 僕は気になるニュースは「お気に入りバー」(名称が問題ですが)というのに登録しておいて、そのうち3分の1ぐらいはここの記事を書くとき使って、使ったら削除するというふうにしている(残り3分の2の半分ぐらいは消し忘れて残ってしまうので、増えて困る)のですが、次の記事は先日9日のものです。

福島第一原発の汚染処理水の海洋放出の知られざるリスク「サンデーモーニング」が指摘した“不都合な真実”

 これ、大問題ですよ。「処理後も基準の100倍以上というものもあり、全体で7割が規制基準を超えていることがわかった」のみならず、東電は「(生物への影響も小さい)トリチウム以外の放射性物質は除去できる」と言っていたが、「(汚染処理水に)トリチウム以外の物質が含まれていることが明らかになった」というのだから、またいつもの嘘が繰り返されていたわけです。

 しばらく前に韓国の政治家と団体が虚偽の「放射能汚染マップ」を作って、日本非難に悪用している、といったニュースがありましたが、韓国の「反日無罪」だから日本攻撃の嘘は何でも許されるといった異常な体質はいい加減にしてもらわないと困るが、こういうのはそれとは違うわけで、こういうことをやっていたのでは、「おまえら、嘘言うな」ときっぱり物申すこともできなくなるわけです。それでなくても溜まり続ける汚染水をどうするのかについては世界の注目が集まっているのに、東電の虚偽体質は全く変わっていない。

 こういうのは、元をただせば、あの「原発安全神話」に遡り、最初に嘘をつくと、居直りを交えつつ、嘘の上塗りを重ねるしかなくなるという、嘘つき特有の病理によって説明できるのですが、その元々の大嘘は完全に破綻したのだから、正直路線に切り替わっても不思議でないはずが、そうはならずに、まだ「組織防衛」にしがみついているのです。

 日本の裁判所は、昔からそうなのですが、国策がらみになると組織犯罪には非常に甘い。次の記事は今日出たものです。

原発事故9年、吉田所長の宿命と旧経営陣の無罪

福島第一原発の事故をめぐっては、2度の検察審査会を経て、当時の勝俣恒久会長、武黒一郎副社長、武藤栄副社長の3人が安全対策を怠った業務上過失致死傷の罪で強制起訴されている」が、「2019年9月19日に東京地裁で無罪判決が言い渡された」のです。

 この判決については、次のNHKのサイトに詳しい記事が出ています。下の方に「判決文の概要」が出ているので、そこをクリックしてご覧ください。

詳報 東電刑事裁判

 論点の中心は、法律学のいわゆる「予見可能性の法理」に基づいて処罰できるかどうか、だったのですが、

 以上のとおり、本件発電所に10m盤を超える津波が襲来する可能性について被告人ら3名がそれぞれ認識していた事情は当時の知見を踏まえ、上記津波の襲来を合理的に予測させる程度に信頼性、具体性のある根拠を伴うものであったとは認められない。

 したがって、被告人ら3名において、本件発電所の運転停止措置を講じるべき結果回避義務を課すに相応しい予見可能性があったと認めることはできない。

 指定弁護士は、被告人らが、一定の情報収集義務を尽くしていれば、10m盤を超える津波の襲来は予見可能であった旨主張するけれども、被告人らが更なる情報の収集又は補充を行っていたとしても、上記津波が襲来する可能性につき、信頼性、具体性のある根拠があるとの認識を有するに至るような情報を得ることができたとは認められない。


 ということで、無罪となったのです。しかし、上の記事では、「東電社内では福島第一原発の敷地内に15メートルの津波が到来するという具体的な予測データがあった」(事故の3年も前に)のであり、「この予測数値を当時の経営陣にあげていたのが吉田所長」だったとしているのです。しかし、防護策にカネがかかりすぎるとか、面倒だということで、結局それは握り潰されてしまった。吉田にしても、一応上には何度か言ってみたということで、「自らが抱いた危機感を経営陣に丸投げすると同時に、責任を転嫁しようとしたともいえる」わけですが、もしも彼が存命なら、割と正直率直な人柄だったので、自身の責任を回避することなく、そのときの詳しいやりとりを法廷で証言して、そうなれば判決も変わっていたのではないかというのが、この記事の趣旨でしょう。

 この記事のとおりなら、上の判決理由は間違いであり、「予見可能性」は十分あったことになって、ほんとは有罪なわけです。それは韓国式の国民感情に影響されての「情緒判決」の類とは全く違うので、それこそが客観性のある「正しい判決」だったということになる。上の引用文より少し前には、

 被告人ら3名は、条件設定次第では10m盤を超える津波が襲来するとの数値解析結果が出る、もしくはそのような津波襲来の可能性を指摘する意見があるということは認識しており、10m盤を超える津波の襲来を予見する可能性がおよそなかったとはいい難い。

 しかしながら、一連の事実経過を踏まえて考えても、被告人ら3名はいずれも平成23年3月初旬までの時点においては、本件発電所に10m盤を超える津波が襲来する可能性について、信頼性、具体性のある根拠を持っているとの認識がなかったとみざるを得ない。


 という曖昧な文言があって、「どっちなんだよ」と言いたくなりますが、吉田所長が出廷して、「自分はその危険性をずっと前に認識していたし、重く見たからこそ上に報告した」と証言していれば、裁判官も、彼ら経営幹部が「信頼性、具体性のある根拠を持っているとの認識がなかった」と認定することは、たとえそうしたくても難しかったでしょう。

 それにしても、これは甘い判決です。高い地位にある人間には、それだけ重い責任が課せられる、というのが近代民主国家の大前提ですが、日本的権威主義の下では、そこまで罪が及ばないように、もっと下の段階で「泥をかぶる」のが美徳みたいになっています。これは、「偉い人」が執行猶予なしの懲役判決など受けると、その権威が損なわれて、モラル・ハザードが起き、青少年教育に悪影響を及ぼす、なんて無意識に思い込んでいるからなのかもしれません。それと、裁判官としても、自分たちも結局は「原発安全神話」に加担していたのだから、それは棚に上げて、彼らだけ非難するのは人間としてどうか、なんて個人的な“道徳感情”も作用していたのかもしれません。

 むろん、それは無意識のことですが、日本人にはそういうところがある。これは韓国人とは正反対で、韓国の場合、歴代大統領のあの悲惨な末路を見てもわかるように、自分たちがやんやの喝采で大統領に押し上げていても、それが権力を失うと、安易に「新たな正義」を振りかざす側に自己同一化して、「水に落ちた犬」を叩くのに躊躇がないのです。それは自分が裏切られただけなので、自己の“善性”を証明するためにもなおさらそうしなければならないと思うからで、「悪は他者にあって自分にはない」と思いたがる性格がとくに強いからなのでしょう。日本人にもそういう幼稚な人はかなりいて、最近はそれが増えている気もしますが、国民性としては、「お互いさまというところがあるのだから、あんまり他者を悪く言うのはよくない」として、攻撃を抑制する性質が強い。

 これは、それ自体としては日本人の美点でしょうが、そのためきっちりけじめをつけるべきところでも甘くなりすぎて、上に見た妙な権威主義と結びつくと、高位権力者に対してはとくに及び腰になってしまって、権力の腐敗や弛緩を助長してしまい、かえってモラル・ハザードの原因を作りやすいと言えるかもしれません。とにかく、上の判決ではそれで「予見可能性」の見立てが甘くなって、それを予防するのを怠った「不作為責任」の認定が回避されたわけです。こういうのは、西洋先進諸国ではまず考えられないことでしょう。そういういい加減なことをしていたのでは、社会システムに対する信頼感が決定的に損なわれると、裁判官ならなおさら、それを危惧するはずだからです。

 あの原発事故のとき、今後の原発政策をどうするか、国民投票にかけるべきだという意見がかなり強くあったにもかかわらず、「原発廃止」が多数になるのを恐れて、自民に移った政府はそれをやろうとしませんでした。地震多発国の日本に原発を建てるということ自体、自殺行為に近いのだとわかったし、たとえ事故が起きなくても10万年も隔離しておかないといけない高レベル放射性廃棄物の処理場がどこにもないということにも、国民はあらためて気づかされた。プルサーマル計画とやらはとっくに破綻していて、もんじゅはカネ食い虫になっているだけ(言い繕うことができず、16年末ついに廃炉が決定)だし、ウランは百年ももたずに枯渇する。原発は電力単価を安くするなんてのも、実は嘘っぱちだったとわかったのです(あの福島原発事故のいつ終わるとも知れない膨大な後始末費も結局国民負担になる)。人的被害があの程度で済んだのは奇蹟みたいなものでしたが、周囲は人の住めないゴーストタウンになってしまったのです。次の大地震でまたどこかの原発がやられてメルトダウンしたら、日本はほとんど終わりでしょう。

 これまでの原発政策の誤りに気づいて「脱原発」に明確に方向転換した小泉元首相のような人もいますが、彼の言うとおり、オルタナティブ電源の開発に資金と技術力を傾注すれば、日本人の能力からして大きな成果が期待できるので、将来その技術を海外に売ることもできるし、経済的にも大きな見返りがある。なのに、元に戻って、新規に原発をまた建てたり、海外にそれを売ろうなんて、アホなことを考えるとはどういうことなのか。

 子供の教育を考えても、悪影響しかない。それは彼らを大きな危険にさらすだけでなく、日本というのはそういう国で、根本的なところは何も変えられないのだから、それにいくら問題があっても、逆らうのは無駄で、既存の権力構造やシステムの中でうまい汁が吸える立場になるよう、世渡りをうまくやるしかないのだと教えているのと同じだからです。そういう「後ろ向きの適応」しかできないのでは、労働生産性が先進国最低になってしまうのもわかるので、新しいアイディアややる気なんて、出てくる道理がないでしょう。老人ばかり増えて、生産・労働人口が減り、医療費と社会保障費の高騰の中で、何とかしのぐには生産性を上げるしかないのに、新陳代謝が止まってしまった産業界の中では、非正規を増やして人件費を抑えるだけで、旧態依然たる仕事を漫然と続ける。格差が拡大して、貧乏人が増えるばかりだから、購買力は落ちる一方で、モノもサービスも売れないから、余計に苦しくなるのです。

 今回の新型コロナウイルス騒動はそれにさらに拍車をかけているのですが、大本がそれなのです。悲惨な原発事故が起きても、ああいう大地震はめったにないだろうから、しばらくは大丈夫だろう(大地震は必ず来ると地震学者たちが言っているにもかかわらず)というので、そのままの路線で行きましょうということになる。温暖化が進んで、この先大変なことになるでしょうが、そういうことに対しても、日本人の危機感は他国よりずっと乏しいようです。環境大臣の進次郎が国連の気候サミットで語った言葉、「気候変動のような大きな規模の問題に取り組むことは、楽しく、クールで、セクシーに違いない」なども、「具体性ゼロで、意味不明」と批判されましたが、何を言っていいかわからないから、受け狙いであんなつまらないことを言ったのでしょうが、日本の面積の半分が消えたオーストラリアの山火事にしても、アマゾン密林の危機にしても、極地の氷山の溶解にしても、アフリカの大旱魃(プラス僅かな農地へのバッタの大襲来)にしても、現実に起きていることと比していかにもノーテンキな軽い印象を与えたので、目の前のそういう現実に悩まされている人たちのところに行って、「いやあ、こういう問題に取り組むのは、楽しく、クールで、セクシーですね」と言えば、その場で張り倒されるでしょう。しかし、その深刻な影響はいずれ日本にもやって来る。挑戦は受けて立つというような「進取の気象」がかつてないほど乏しくなっているところに、です。

 いくらか強引だと言われるかもしれませんが、福島原発事故のようなすさまじいことがあっても、しばらくたつとまるでそんなことは何もなかったかのようになってしまうこと、責任をとった人間は誰もおらず(あの大嘘こいた原子力ムラの東大教授なんかも、クビにもならず、そのままでしょう)、教訓が全く教訓にならず、ナアナアで済ませてすぐ元に戻ってしまう今の日本社会のありようが、日本人の道徳的退廃を助長し、困難に進んで立ち向かおうとする活力を奪っているのではないかということです。

 思い起こせば、中止の可能性が高まっているあの東京オリンピックにしてからが、誘致運動のとき、「今、そんなことやっている場合か。震災地の復興にもっと力を入れろ」と反対する意見が多かったのです。安倍はIOCで、全然まだその気配がなかったのに「アンダー・コントロール」と澄まして言い、進次郎の新妻、滝川クリステルは「お・も・て・なし」とやったわけで、今思えば奇妙な因縁に思われます。にしても、この異様とも言える「空気のぬるさ」はどこから来ているのでしょうか? どなたか分析して下さい。

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祝子川通信 Hourigawa Tsushin


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