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二次受験までの過ごし方

2020.01.27.14:42

 塾商売をやっていると、センターが終わって国立前期入試までの間の今が一番忙しい時期です。個人の零細塾なので大したことはないとはいえ、今年は割と三年生が多い年で(逆に言うとそれが抜けた後大穴ができてしばらくひどい赤字になるということですが)、当然ながら受験大学・学部がみんな違うので、二次用の個別対応をしなければならず、ふだんの授業とは別個に過去問答案の添削などにかなりの時間とエネルギーがとられるからです。

 しかし、ここをちゃんとやっておかないと、受かるものも受からなくなる。二次科目は英語だけではないので、他の科目は各自しっかりやってもらうとして、文系・理系を問わず、二次の英語の出来は影響が大きいので、サポートの良し悪しは合否にかなりの影響を及ぼすのです。幸い、うちの塾の生徒たちは強運の持ち主が多いのか、合格率も高くて、それは喜ばしいことなのですが、今まではよかったから今年も…なんてことはアテにできないので、塾教師としてはできる範囲のことはしておかねばなりません。

 わかりきったことですが、センターリサーチの判定がAだろうとDだろうと、それはあんまり関係ない。二次の出来次第でかんたんに逆転が起きてしまうからです。経験の少ない学校の先生や保護者にはそのあたりよくわかっていない人が多いようですが、二次が小論文だけで200点(センターは900点)というような場合はそれほど番狂わせは起きないとしても、二次がセンターと同比率かそれより高い(難関大の場合は二次の比重が圧倒的に高いのがふつう)場合、二次ができるかどうか次第なので、仮にA判定になっていたとしても、「だから何なんですか?」というようなものなのです。

 その証拠に、駿台や河合塾は「度数分布表」というのを公開していて、前年度のセンター得点別の合否の分布が出ていますが、それを見るとAやBなのに落ちて、D(場合によってはそれより下)なのに受かっているケースはいくらもあるので、いかに二次のパフォーマンスが大きいかは、データによって裏付けられているのです。しかも、今は得点開示制度のおかげで、そのあたりも確認できるのですが、センター判定Dの受験生が上位合格しているケースもかなりあるので、ものすごい「下剋上」が実際にそこでは起きているわけです。

 だから僕は、二次学力とメンタル面の強さがあると見た生徒にはCやDでも「突っ込め!」と言います。今から2月25日までの約一ヶ月、効果的な対策を立てて、なりふりかまわず二次科目を必死に勉強すれば、合格圏内に飛び込むことは十分可能だからです。競馬にたとえると不謹慎だと叱られそうですが、一番感動的なのは、最後の直線になったとき、うしろの方からすーっと出てきて、前を走る馬をごぼう抜きして、一気にゴールに飛び込む馬です。ターボエンジン搭載車みたいなもので、他の馬とは加速が違う。本来実力があるのに、センターを「事故」でやりそこなってE判定になったという受験生も、その可能性はあるでしょう。二次の比重が大きければ、センター得点率5ポイント(5%)程度のボーダー・ビハインドははね返すことができるのです。

 但し、センターですっかり「敗戦ムード」になってしまい、判定を見て親御さんも一緒に「もう無理」と思い込んでしまったようなケースでは、「大丈夫だよ。本来の力を出せば二次で逆転できる」なんて言っても、それが信じられないので、大きな不安の中で二次試験までを過ごすことになり、勉強にも集中できず、本番でのパフォーマンスも芳しくないものになって、「やっぱりDだから落ちた」ということになってしまうのです。ほんとの因果関係は違うのですが、あとでそんなこと説明しても意味はない。だからそういう受験生の場合には、ランクを下げて、本人が不安にならずにすむAかBの判定が出た大学を受けることに同意するのです。受験は半分は「心理学」なので、生徒の性格面も見なければならない。

 勝気にはやって意欲が空回りするのは禁物ですが、入試というのは「何とかなる」ものではなく、「何とかする」ものです。高いモチベーションが維持できれば、運命の女神を味方につけることができる。有名な英語のことわざ、Heaven helps those who help themselves(天は自ら助くる者を助く)というのは真実なのです。

 そうは言っても、人間はそう強いものではないので、後期の押えがあるとか、私立のスベリ止めを用意しておくとか、どうしてもあそこに行きたいので、駄目なら浪人してでもチャレンジするとか、そこらへんの気持ちの整理がきちんとついているかどうかは重要です。親子間のコミュニケーションも大事で、子供の気持ちを確認して、それならこういう考え方で行け、ということで家族間に明確な合意ができていると受験生には心強い。そのあたりが曖昧なまま、希望的観測だけに頼っていると、無意識の不安に妨害されて、勉強に集中できなくなる。これは仕事でも、スポーツでも、勉強でも同じですが、踏ん切りがつかない中途半端な気持ちでやっているとたいていは失敗するのです。

 そういうふうに、問題を一つ一つ潰してゆけば、おのずと「どうすべきか」の答は出る。答が出たら、考えるのはそこでもう済んだので、目標に向かって邁進するのみです。残された時間、その目標を達成するのに全力を挙げる。

 今は「父権失墜」の時代で、すっかりお父さんたちの影が薄くなってしまっていますが、入試の時などは父親の役割はかなり重要です。僕も息子の受験のとき、こういうことがありました。その年はセンターの国語の平均点が5割を切り、共通一次・センター通じて「史上最低」になった年ですが、わが子は文系で、国語は英語社会と並ぶ重要な得点源の一つだったのに、大失敗してしまい、模試の点数より50点も低かったのです。それだけで、第二志望の私大のセンター利用が吹っ飛んでしまった。第一志望の国立の判定も、Dが二つに、Cが一つという結果(予備校によって判定が異なる)。周囲でも志願先の変更が続出していたようで、母子は意気消沈してしまったようでしたが、ボーダーから圧縮換算で10点下回る程度だったので、二次は500点あるのだから、これは誤差の範囲内です。元々二次に照準を合わせて勉強していたのだから、何ら問題はない。彼の性格からして、下手にセンターがよすぎると守りに入ってしまう(野球のピッチャーで言うと、リードを守ろうと「球を置きに行く」姿勢になって、かえって打ち込まれてしまう)おそれがあったので、これは攻めに徹することができるいい位置取りで、かえって好都合なぐらいだと言うと、本人はすぐに元気を回復しましたが、元々わが子が「大それた野望」をもつのを恐れていた心配性の母親からすると、これはリスキーそのものです。しかし、センター利用の不合格が確定した第二志望の私大の方は、一般受験で四学部出していて、元が私大志望だった彼は、ちゃんとそちらの過去問もやっていたから、それが全滅することはまずない。あんたは「親の欲目」でそういうことを言っているだけではないかと言われましたが、そんなことはない、こちらは「受験のプロ」で、ここは信用してもらわないと困るということで押し切ったのですが、仮に失敗していれば、「あんたがテキトーなことを言ったせいで、あの子が泣く羽目になった!」と僕は母親に殺されていたかもしれません。小さい頃も、不良の父が母親の目を盗んで危険なことをやらせている(高いところから飛び降りたり、遊泳禁止の深い川で泳がせる等)というので、「あの子に万が一のことがあったら、私は後を追うからね!」と脅迫されたりしていたのですが、大げさな話で、別に大学に落ちたからと言って命が取られるわけではないのです。他の面ではそういう母親はケアが行き届いていていいのですが、わが子と一心同体だから、えてしてそんなふうになりやすいのです。男の子の場合とくに、父親が冒険のガイド役を務めなければならない。入試にはリスクがつきものだから、ここでも背中を押してやる役回りがあるのです。むろん、やみくもに根性論をぶったりするだけでは、かえって害になるだけなので、現実を踏まえた冷静な対応とサポートができなければなりませんが。

 その意味では、受験は家族の「総力戦」だと言えるでしょう。実際に試験を受けるのは受験生で、家族はそれを見守るだけですが、ポジティブな態度で背中を押してもらえると、落ち着いて勉強でき、当日のパフォーマンスも確実に向上して、いい結果が出やすいのです。

 まとめるとこういうことです。単純にセンター判定に一喜一憂するのではなく、CやDでも、二次ができれば合格できるのだから、過去問を解いて何とかなりそうだと思ったら、受験を決断していい(そういう感触がまるでもてないときは無理に突っ込んではならない。ついでに言うと、ボーダーが同じような大学でも、二次の難易度がかなり違うことがあるので、選択の際、そこは注意すること。記述の場合、主観が入りやすいので、一度過去問を解いたものを信頼できる人に見てもらって、意見を聞くといいでしょう。そうするとどこを補強すべきかもよくわかって、効果的な対策が取れる)。逆にAやB判定でも、油断するとひっくり返されてしまうから、安心するのはまだ早いので、当日まで地道な努力の積み上げを怠ってはならない。後期や私立の押えをどうするか、また、浪人してでもそこに行く気があるのか、そういうこともきちんと考えて、家族の了解も得て、雑念や迷いが生じにくいようにしておく。そして志願先を決定したら、一心にその合格に向けて必要な勉強をすることです。

 入試に「絶対確実」はあり得ません。運という不確定要因はつねにあって、だから心配性な人は不安になるでしょうが、結果を心配しすぎてかんじんの勉強がなおざりになるのは本末転倒なので、そこは神様にお任せするということで、「今自分がやるべきこと」に集中することです。やるべきことをやっていれば自然に結果はついてくるものなので、それが運を味方につける一番いい方法なのだということを忘れないことです。

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