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最後のセンター試験

2020.01.16.17:10

 いよいよ明後日となりました。

 来年からの新共通テストなるものがどうなるのか、英語の民間試験導入も国数の「記述」も見送りになって、要するに目玉は全部潰れて、それでも残りをそのまま実施するつもりなのか、さっぱりわかりませんが、「元通りセンターを継続する」とは文科省や関係したセンセイたちのメンツがあるので言えないのでしょう。今の日本社会の最大の問題点はこの「オトナのメンツ」というやつで、ほんとの仕事というのは問題本位でやるべきなのですが、関係者の犬も食わないプライドがその邪魔をする。それがどれほどこの社会を腐らせているかという自覚はない。困ったものです。

 とにかく31年続いたというセンター試験は今回で終わりで、僕はいつもここでセンター試験の英語を「眠たい試験」と悪口ばかり言ってきましたが、これで終わりかと思うとそれなりに感慨深いものがあります。センター試験というのはひとくちに言うと、「それだけ出来たからといってどうということはないが、できないと困る試験」です。難関大なら全科目トータルで8割前後は必要で、東大・京大、医学部は9割前後必要というのは、学校の定期試験ではあるまいし、思えば恐ろしい試験です。全体ではものすごい暗記量で、それで8割、9割取れるなんてすごいなと、昔から暗記が苦手だった僕などは素直に感心します。新テストも基本的にそこは変わらないようですが、僕が今の高校生なら発狂してしまうのではないかと思うほどです。今の日本の高校生たちはほんとにエラい。

 だから、たとえ6割、7割しか取れなくても、君らは頭がいいのだと僕は言うのですが、一般のオトナはその大変さを知らないから、「たったこれだけしか取れないのか!」なんて言うのです。尤も、今の親の世代は大卒なら、共通一次を受験した世代だから、そう言う資格はあるのかもしれません。しかし私大卒なら自分は3教科で済ませていたわけで、それには知らぬ顔しておいて、わが子には国立受験を強いて、「この程度の易しい試験で8割も取れなくてどうする!」なんて脅すのは、フェアではないでしょう。一つ一つの試験は難しくなくても、科目が多いから暗記するだけでも大変なのです。

 たとえば、理系の工学部なら、英語、国語、数ⅠA・ⅡB、物理、化学(どちらも発展の方)、社会一つはたとえば日本史とか、これに二次では数Ⅲが加わるから、結構な量です。文系だと、英語、国語、数ⅠA・ⅡBまでは同じで、こちらは社会が二つ、たとえば世界史と地理Bとか、日本史と倫政経などの組み合わせになって、理科は基礎二科目、たとえば生物と化学といった組み合わせになるのです。むろん、学校の定期試験とは違って、出題は全範囲からです。昨日も生徒の一人が授業前に何か見ているから、それは何なのといって見せてもらったら、化学の暗記事項がびっしり書かれていて、見ているだけで頭痛がしてきましたが、全体としては膨大な暗記量です。興味があろうがなかろうが、大方は学校の教科書というのは恐ろしく退屈なものなので、そこに「知的興奮」なんてものはあまりなさそうですが、我慢して詰め込まなければならないのです。

 それで暗記に忙殺されてヘトヘトになっていると、今度は「今どきの子供は暗記ばかりで考える力がない!」などと言い出す。それで思考力、記述力を見る要素をさらに付け加えなければならないと言うのですが、暗記量は減らさず、面倒なものをさらに追加するだけ、ということになると、それはたんなる虐待ではありませんか? しかも、制度設計がメチャクチャで、ここをこうすればどうなるという全体の見通しがまるでなくて、今回の「改革」なるものはそれで頓挫したのだから、オトナの側に「考える力」がまるでないのが歴然としていて、高校生の側からすれば、「あんたたちにそんなこと言われたくないわ」ということになってしまうでしょう。この前ここで取り上げた旗振り役の鈴木寛・東大&慶大教授の、嘘と誇張と我田引水にまみれた出鱈目きわまりない言い分など読んでいると、日本の大学教授の知的レベルもそこまで落ちたかと慨嘆せざるを得なくなるので、問題なのはむしろ今のオトナのヤマイダレのついたチセイの方なのだということがはっきりするのです。お友達人事が目立ちすぎる安倍政権ではとくに、教育再生会議とか何とか、メンバーの選び方に難がありすぎるので、もっとマシな学者・教育者たちを集めて議論していただきたいものです(上の鈴木寛氏など、元は通産官僚、政治家で、元々が研究や教育畑の人ではないわけです。世渡り上手で、政治家時代は民主党だったのに、自民の有力者たちとも仲良しで、権力者に取り入る能力は抜群らしいから、東大や慶大はそこを見込んで彼に教授職を与えたのでしょうか?)。

 ともかく受験生たちはまずこの「暗記たくさん」のセンター試験をクリアしておいて、二次の本格的な学科試験に臨まなければならない。本格的な勝負は後者で、大学入試らしいのもこちらの方で、英語の試験なども二次にはレベルの高い問題が多いので、真の学力が試されるのはこちら、と僕は見ているのですが、多くの受験生はセンター用の暗記にエネルギーの大半を奪われてしまうので、そうでなければもっと緻密に、知識に有機的な関連性ももたせて、ていねいに深くものを考える力も身につくのではないかと、僕はいつも思っています。ここらへん、入試制度改革を考える人たちはもっとよく考えてもらいたいのですが、表面的なことに終始して、いたずらに受験生の負担を増やす方にばかり行ってしまうのは遺憾なことです。

 何はともあれ、受験生たちは結果の心配はあまりせずに、自分のこれまでの努力に信頼して、もてる力を出し切るつもりで頑張って下さい。これだけ科目が多いと、完全な準備などというものは誰にもできないのだから、不安になる必要はありません。人間の体というものは自分が信頼してあげないとうまく働いてくれません。脳はとくにそうなので、自分の頭を信頼してあげれば、それに見合った働きをしてくれるものです。ミスに過度に神経質になると逆にミスが増えてしまうということもあるので、思い切りのよさが大切です。

 うちの塾では、次の週にセンターの得点を集計して、生徒別に志願先の選択も含めてどうするかを相談し、決まったらそれに合わせた戦略的学習をするということにしている(二次に英語がない場合はその段階で終了)のですが、センターが予想を下回った場合でも、その時点でうまく戦略を立てて対応すれば、結果は吉と出るものです。

 だから二日後の最後のセンター試験、受験生諸君はあまり先の心配はせずに、落ち着いて頑張って下さいね。

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