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アメリカ帝国と中華帝国、どちらがマシか?

2019.12.11(17:00) 675

 先進国であれ、発展途上国であれ、国家運営がうまく行っているところは今はほとんどないように思われますが、今後は気候変動による異常気象の多発や自然破壊の末の食糧難、フロンティア喪失による資本主義の行き詰まりなど、ネガティブな要因の重なりが予想されるので、事態が大きく好転することは望み薄です。「貧すりゃ鈍する」で、今後は経済的な行き詰まりから国家間紛争が多くなり、戦争に発展する危険も高まるでしょう。弱り目に祟り目で、大地震や火山噴火なども起き、大混乱の中でついに核戦争に突入、なんてことももはや杞憂ではない。

 二十世紀、ことにその半ば以降は、アメリカの時代でした。米ソの冷戦は、ソ連の崩壊によってあっさり片がつきましたが、これは資本主義側にもマイナス面が多かったようで、それまでは共産主義の浸透を恐れて社会主義的な施策も多く行なわれていたのが、資本主義丸出しになって、金融資本と多国籍企業のやりたい放題になり、グローバリズムを錦の御旗として、政府がその使い走りと化したアメリカでは貧富の差の拡大と同時に、産業空洞化を招いて、国力は低下しました。そこに、make America great again!を叫ぶトランプが登場し、彼はそのあたりの因果関係は全く理解していないようなので没落白人層を救うことには少しもならないと思いますが、ともかくカン違いした彼らの不満を集めて大統領に当選したわけです。

「自由と民主主義」を掲げるアメリカが、自国の世界支配の拡大のために、裏でCIAなどの諜報機関を使って他国の民主政権の転覆を図り、軍事傀儡政権を作るなどのことを平然とやっていたというのは、ノーム・チョムスキーの著作などでおなじみですが、21世紀になった今、その力に大きな陰りが見えているのは歴然としているので、代わって台頭してきたのが広大な国土と14億の人口をもつ共産党一党独裁下の中国です。もはやあの国は共産主義国家ではありませんが、「自由と民主主義」を否定する(西側諸国を見てもわかるようにそんなものは腐敗と堕落しかもたらさないのだ!)中央集権独裁国家の強みと、国民の物質的欲望には応える資本主義的なシステムをもつという点で、旧ソ連とは違う強みをもつ。

 この新・中華帝国は世界制覇の目論見をもはや隠さなくなりました。習近平の時代になってそれが顕著になってきたので、まずカネ(AIIB、アジアインフラ投資銀行なるものを作った)で手なずけて衛星国を増やし、昔の日本の「大東亜共栄圏」の拡大バージョンみたいな「一帯一路」構想を出して、自分がその盟主になり、支配権を広げて、アメリカに代わって自分が覇権を取ろうという態度を公然と示すほど自信をつけたのです。領土的野心も隠さなくなった。

 その下心が露骨に見えるようになったので、他の国々は警戒するようになりましたが、9.11以後目に余るようになったアメリカの暴走(ブッシュ・ジュニア政権下でのアフガン、イラク攻撃はいずれも国際法違反で、まともな人たちを唖然とさせた)を斟酌したとしても、中国がそれと較べて「良心的」であるかどうかには疑問符が付くので、最近のウイグル自治区問題、香港騒乱は、習近平の「中華帝国」の“体質”を見る試金石になっています。

 次のニューズウイークの記事などはかなり笑えるものです。

・ウイグル人権法案可決に激怒、「アメリカも先住民を虐殺した」と言い始めた中国

「おまえが言うな!」と中国は怒っているという話ですが、確かにアメリカは先住民に対してひどいことをした。残された先住民も相変わらずひどい仕打ちを受けているのは、昨年公開された映画『ウインド・リバー』にも描かれている通りですが、中国のこの論理は、「たしかにオレは強盗殺人をしているが、同じ前科をもつおまえに言われる筋合いはない」と言っているのと同じで、あまり説得力はない。強権によるチベット支配(そもそもそれ以前の侵略が押し込み強盗に等しかった)も同じですが、無茶苦茶なことを今現在やっていて、それを批判されると、「他にも似たようなことをやっている奴はいるのだから、オレだけ非難するな!」と真面目に言い募るのです。

 アメリカの場合にはまだしも、国内に政府を批判する自由はある。中国にはそれはないので、ネットに書いただけで、監視者に密告されて逮捕されるのです。ウイグル問題でも、国内の情報統制は徹底しているから、大方の国民は自国政府がやっていることを知らないままでしょう。香港問題も、「政府発表」しか知らされていない。歴史教育にしてからが、韓国とどっこいどっこいの「洗脳自画自賛教科書」を使って行われているのです。そこには学問の自由も、言論の自由もない。北朝鮮みたいに経済的に無能ではないというだけの話です。

 中国、韓国、北朝鮮と、思えば日本は厄介な国々ばかりを最も近い隣人としているわけですが、わが国はかつて中国を侵略して日中戦争を戦い、朝鮮半島を植民地として支配下に置いていたのだから、今のこれらの国々のありようと無関係と言うことはできない。いずれもその後にできた国家であり、体制だからです。そうでなければもっと良い国々になっていたという保証はないが、関係はあるのであって、それで恨みも残してしまったので、これは一種のカルマのようなものです。

 話を戻して、アメリカをはじめ西側先進国には、「中国はいずれ一党独裁をやめて、政治も民主化の方向に舵を切るだろう。かんたんには行かないことなので、時期を見計らっているだけだ」と楽観視する見方があったようですが、それは完全に裏切られました。ウイグル問題でも、香港問題でも、逆の統制を強めようと強引な手法を取ったことから、事態は悪化したのです。むしろ先祖返りして、昔の王朝時代の中華帝国に戻ろうとしている。

 それは時代錯誤の間違ったことだと言っても聞かないなら、世界としてはその企てが潰れるようノーと言い続けるしかない。おぞましい国と見られて、国際的に信用を失うだけだということになれば、世界制覇もクソもなくなってしまうので、行いを慎まざるを得なくなるでしょう。中国人は実利感覚には秀でた民族なので、そのあたりバランスを取ることはできるだろうと思います。今の米中経済戦争も、覇権争いの側面が濃厚ですが、分の悪い中国は落としどころを模索しているところだろうと思います。

 両者の覇権争いは今後も続くのでしょうが、アメリカも中国も猛獣です。猛獣に通常の「良心」を期待することはお門違いなので、彼らがあまり勝手なことができないように、賢く仕向けるしかない。猛獣使いとしての自覚と能力を僕らはもつように努めなければならないということですが、さしあたってはこのウイグル問題と香港問題に世界の注目が集まっていることを、中国政府にアピールし続けることでしょう。「あーっ、あんなことしてる!」と騒がれるのが、習近平政権としては一番イヤなはずです。アメリカ議会の非難決議に対するヒステリックな反応も、それをよく示している。

 ちなみに、「再教育(re-education)」という名の洗脳と拷問は、毛沢東以来の中国共産党のお家芸です。僕が高校生のとき読んだ毛沢東の伝記(著者が誰か忘れましたが、西洋人の書いたもの)は高潔善良な人柄が強調されていて、「聖人伝」のようでしたが、彼の実像はサイコパスに近かった。習近平はそれを「お手本」にしているのかもしれません。

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祝子川通信 Hourigawa Tsushin


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