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大学入試新テスト・民間試験導入、主犯はベネッセと下村か?

2019.11.13(16:46) 670

 非常に興味深い記事がネットに2本出ています。とくに最初のデイリー新潮(元は週刊新潮)の記事は強烈です。

英語民間試験ごり推しの裏に「ベネッセ」の教育利権…高校も大学も逆らえない

 前に楽天・三木谷会長の関与を指摘した記事を紹介しましたが、これを見ると、ベネッセの“黒さ”は半端なものではありません。クリックして詳細をお読みいただきたいのですが、記事は文科省の作業部会への露骨な関与や、関係者・大学教授の囲い込み、「個別の大学にもベネッセ関係者の天下りが増加中」だと指摘した上で、

 もはや受験生ファーストでなく、ベネッセ・ファーストの入試改革が進んでいたようにさえ見えるが、そうなった背景を教育ジャーナリストが説明する。
「14年に発覚した個人情報漏洩事件で、ベネッセは250億円を超える特別損失を計上。また事件を機に主力の“こどもちゃれんじ”や“進研ゼミ”など通信教育の会員が減少したため、一刻も早い業績回復が急務とされていました。その点、入試に英語民間試験が導入され、毎年、仮に20万人の受験生がGTECを選ぶことになれば、1回7千円として1人2回受けるとして、黙っていても28億円の売り上げが加算されます。そのうえ、GTECを受ける子は当然、GTECを作っているベネッセの問題集を買い、通信添削も受けておこう、ということになるでしょう」
 だが、それだけではない。
「ベネッセの営業マンは全国の高校を巡回し、模試や教材を売っていますが、高校にすれば買わざるを得ない状況にあるのです。ベネッセは8月には、大学入試共通テストに新たに導入される記述式問題の採点業務を、61億円で落札しています。加えて英語民間試験でも、GTECの受検者が多ければ、入試に関する情報をもっているベネッセの教材を、高校が無視できるはずがないのです」
 さらには、大学にもプレッシャーをかけていた、と打ち明けるのは、某大学関係者である。
「ベネッセは大学に、合格者のGTECのスコアが何点だったとか、他大学との併願状況がどうだとか、受験生情報を売りさばいています。実際、私学の担当者は、そういうデータを見て受験日を設定したりしますが、特に併願情報については、ベネッセは1学部につき350万円で販売しています。教育に関わる企業の倫理として認められるものでしょうか。リクナビが企業に学生の情報を売って問題視された件と、どう違うというのでしょうか」


 えげつないとしか言いようがありませんが、

「下村氏は見送りが決まってからも、まだ入試改革をあきらめていません。自民党内の部会では、国が英語民間試験の導入を私学助成金で支援することまで仄めかしています。導入しなければ助成金をもらえないのか、と大学側は受けとりかねません」

 とあるように、元々が東京の板橋区で小中学生相手の塾を経営していたという元文科相の下村博文がその背後につねに見え隠れしているのです。この安倍の太鼓持ち、茶坊主の腐れ政治屋については数々の疑惑があって、僕も前にここに「下村博文・文科相の不正献金疑惑問題」(2015.3.4)「下村博文・不正献金疑惑から浮かぶ加計学園理事長の巧妙さ」(2017.6.30)と題して二度書いたことがありますが、懲りずにまだやっているのかと呆れます。ベネッセは彼の隠れ政治団体「博友会」にせっせと献金するのみならず、何かおいしい餌でも与えているのでしょうか?

「ベネッセは一線を越えた」英語民間試験の導入の経緯はブラックボックスの中

 こちらはアエラの記事ですが、その露骨な「利益至上主義」が指摘されています。

 ベネッセは、株主・投資家向けのビジネスレポートで、2018年度に162億円だった営業利益を20年度には350億円、22年度には600億円に引き上げる目標値を設定している。この中で「国内教育」領域の柱に「教育・入試改革を機会点としたさらなる成長」を挙げ、英語4技能教材の開発を重視することを明言。実際、グループ会社が大学入学共通テストで来年から導入の決まった国語記述式試験の採点業務を今年8月、61億6千万円で落札した。
 英語民間試験は高校3年生の4月から12月までの間に2回受けることが可能で、仮に共通テストの受験者の半数がGTECを選択して2回受ければ延べ約55万人が受験者になる。ベネッセが発表した検定料は税込み6820円で、それだけで数十億円規模の収入だ。さらに受験生向けの対策講座や参考書などの商品開発も加われば「教育・入試改革を機会点としたさらなる成長」という皮算用をしていたのだろうか。


 民間試験導入は巨大な利権を生み、それにベネッセは子飼いの政治家、学者、さらには役人まで使って食い込み、主役の座をつかんだということですが、職業倫理もへったくれもないので、深刻なのはこれが新テストに参加する国公立・私立の大学すべての入試の合否に関わってくるということです。大学側も、「そんな不透明なものは無視する」とは言えない。上の新潮の記事にもあるように、

 …たとえば、東京大学は昨年3月10日、英語民間試験は「合否判定に用いない」と発表した。ところが、ひと月余りのちの4月27日、一転して「使う方向で検討を始めた」と公表したのである。
 その間になにがあったのかについて、さる政府関係者は耳打ちする。
「下村博文さんが東大の五神(ごのかみ)真総長と幹部を自民党本部に呼びつけ、“センター試験廃止は教育再生実行会議で決まっている”“これ以上、遠藤(利明)さんを困らせるな”と、叱責したと聞いています。大学への金銭的プレッシャーも仄めかされ、幹部は蒼ざめて帰っていったそうです」


 これを下村側は「『100%ない』と否定」しているそうですが、彼は政治家らしくと言うべきか、常習的な嘘つきなので、誰も信じる人はいないでしょう。そもそも、東大はそれならどうして対応を一変させたのか? いかにも「権力に弱い東大」らしいが、何らかの圧力がかからなければ、「正論だ」と評価されていたのに、それを急に撤回することはなかったでしょう。「逆らうと為にならんぞ」と脅されたのです。

 他にも僕が驚いたのは、天下の阪大にまで、ベネッセが社員を送り込んでいたことです。

「たとえば、大阪大学高等教育・入試研究開発センターの山下仁司教授は、ベネッセでGTECの開発統括を務めた人。旧帝大で阪大だけが英語民間試験を必須としていたことと、関係があるといわれています」

 たしかに、関係はあるでしょうね。しかもこの御仁、肩書は事務関係ではなく、「教授」なのです(調べてみると、阪大文学部卒)。一体、学問的などんな専門をもっているのか、不可解この上ないので、旧帝大ナンバー・スリーの阪大も格が落ちたものだなと嘆息させられます。アエラの記事には、「ベネッセグループには、今回の英語民間試験の導入経緯に密接に関わってきた政官財学のメンバーが大勢ぶら下がっている」とありますが、ベネッセと仲良くしておけば、文科省の覚えもよくなるとか、癒着の詳しい内情を知るがゆえの人事だったのでしょうか? そう疑われても仕方はないのです。

 今の高校生や親御さんたちは、こういう話を読んでどう思われますか? 長い物には巻かれろで、それなら進研ゼミを受講して、使う教材はベネッセのものにして、外部試験はGTECを選択して、できるだけ入試に有利なようにしたいと思うのでしょうか? それとも「薄汚い話だ!」と憤るでしょうか! 後者が正常だと、僕は思いますが。

 安倍内閣の主要人物が旗振り役となり、教育現場を舞台に民間企業への利益誘導を図る構図は「森友・加計学園問題」とそっくりで、関係者の間で第3の疑惑と目されてきた。

 アエラの記事にはそうありますが、その規模の大きさと不透明さ、大学入試全体に及ぼす悪影響において、これは「森友・加計学園問題」とは比較にならない。ベネッセにはおそらく有能な顧問弁護士がついていて、明確な違法・不正行為と判断されて検察の捜査を受ける羽目にはならないよう、指南を受けているのだろうと思いますが、アメリカの企業や産業組織がよく使う、法案や政策策定の場に関係者を送り込んで中身を好都合なものに変えてしまう「合法の外観を装った不正」が日本にも上陸していることが、これではっきりわかるのです。

 思うに、公金と受験生を食い物にするだけの英語の民間試験と国数記述式導入はやはり白紙撤回すべきでしょう。親は余分な出費を強いられ、受験生は一層多忙になり、しかも、その効果はないに等しい(その理由については前回も述べた)ので、ベネッセその他の業者とそれに飼われている学者先生、政治屋、一部のジャーナリストの懐を温めるだけなのです。

 仮にこういうことが「ちょっと延期されただけ」で、そのまま通ってしまうとすれば、それはバブル崩壊後の銀行救済のあれを凌ぐ深刻なモラル・ハザードをひき起こすかもしれない。とくに若者に影響するので、「日本社会というのはこういうものなんだな」と受験生たちは学習し、どんなおかしな社会になろうと、大事なのはそれに追随して「うまい汁を吸える」側につくことだと考えて、まともな感性を失うのです。そうして20年もたたないうちに活力のない、不正と賄賂にまみれた後進国になり下がる。

 後世の歴史家はこれを「重要なターニングポイントの一つだった」として、ベネッセ、下村、そして文科省をその「最大の功労者」としてとくに名前を挙げて記録し、子々孫々に伝えてくれるかもしれません。それは全5巻ぐらいの『日本国衰亡史』あるいは『いかにして日本は三流国家となったのか』の最後を飾るヤマ場の一つなのです。

 最後に一言、元同業者の下村博文に言っときたいのですが、彼のような根性の卑しい、ヤマイダレのチセイの持主が国会議員になり、文科相になり、数々の不正疑惑で名を馳せるなんて、学習塾業界としては恥以外の何ものでもありません。学部が違うのはせめてもの慰めですが、自分と母校が同じだと聞くとなおさら腹が立つ。悪質かつ恥さらしなことをいつまでも続けるのは許し難いので、潔くさっさと引退するよう勧告しておきます。

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