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英語民間試験導入に楽天・三木谷社長あり?

2019.11.09.13:29

 これは出色の記事です。なるほど、そういうことだったのかと、初めて納得が行った。

落胆の三木谷氏。ゴリ押し英語民間試験「身の丈」発言への恨み節

 どれだけ三木谷氏が、英語入試の改革に熱心だったかは、文科省の「英語教育の在り方に関する有識者会議」における発言を議事録でたどることによって確認できる。
 この有識者会議では民間試験導入にかなり慎重な意見もあった。たとえば明海大学外国語学部教授、大津由紀雄氏のこの発言。

「TOEIC、TOEFLのスコアが高い、700、800、900点というようなあたりを取っていても、英語が使える人というのが非常に少ない。それだけではなくて、日本語がきちんと使える人が非常に少ない。例えば、私が日常的に接している大学生だなんていうのも、とてもみじめな状況になっている。母語という礎なしの外国語の運用能力というのは、よくてただぺらぺらしゃべることができるという、ハリボテ英語力というものにすぎない」

 楽天社内の英語常用を進めるため「TOEFL」の効用を信仰してやまない三木谷氏に対するあてつけのような意見であるが、同様の考えを抱く学者は数多い。日本語もまともに書けない学生がほんとうにグローバル人材といえるかどうか。「ハリボテ英語力」とはよく言ったものである。


 僕はこの「明海大学外国語学部教授、大津由紀雄氏の発言」に完全に同意するものです。英語教育に従事していて、「ハリボテ英語力」の無意味さをいくらかでも知っていれば、大方の人はこの大津教授の意見に賛成でしょう。前に書いた「有識者会議はアホの集まり」は撤回しなければならない。特定の、現場教育に無知なビジネスパーソンが正論を排除して決定をゴリ押ししたということなのですから。

 2014年9月4日に開かれた8回目の会議でのことだ。取りまとめのために配布された資料に「CEFR」の文字が散見されることに大津教授が疑問を呈した。「CEFR」は語学の熟達度を測る国際的な基準で、下はA1から上はC2まで6段階のレベルが判定される。
「TOEFL iBT」「GTEC」「英検」など異なる7種類(6団体)の英語民間試験で出るバラバラの点数を一つの評価基準にまとめるため、文科省は昨年3月、各試験の点数を「CEFR」のどのレベルにあてはめるかの対照表をつくり、民間試験導入に備えていた。2014年の時点でも「CEFR」を使う考えだったのだろう。
 しかし、そもそも、比較できない別のテストの結果を比べ、一つの評価基準にあてはめるというのは、どだい無理なやり方である。大津教授はこう述べた。

「項目横断的に見え隠れするCEFRを日本の英語教育という文脈に置いたとき、それがどういう位置付けを与えられるのかについて、有識者会議で体系的に論じられたことがなく、これまでの議論におけるとても重要な欠落だと思う」


 これも正論です。「そもそも、比較できない別のテストの結果を比べ、一つの評価基準にあてはめるというのは、どだい無理なやり方」なのです。そういういい加減なことを平気でやる忖度文科省官僚の無責任は批判されるべきです。それとも、あのつまらないセンター試験や公務員試験で高得点を取って官僚になる手合いは、こうした対応の出鱈目さ加減もわからないほど頭脳の緻密さに欠けるということなのか?

 ともあれ、それで激論になったが、

 座長が三木谷氏の意見を重視したため、英語民間試験の導入を前提とした協議会の設置へと話は進んだ。後日、発足した協議会のメンバーが英語試験業者だらけだったのは言うまでもない。もちろん、英語など学習コンテンツの供給に熱心な楽天の三木谷氏やドリコムの内藤裕紀社長らも加わった

 のだという。全くもってテキトーな話で、安倍政権は「ビジネスを活性化」させるためなら、教育だろうと福祉だろうと、それがその結果どうなるかは考えず、何でも利用すればいいのだと考えているとしか思えない。こういうところ、韓国のアホな文政権のおかげで高支持率を得られているが、「亡国政権」ぶりが露わになっているのです。

 実際のところ、今の日本の教育はすでにしてボロボロです。日本の労働生産性は先進諸国の中では最低レベルにあると言われますが、教育もそうなので、彼らは「無駄な多忙さ」を強いられているのです。塾のことを英語では cram school(直訳すれば「詰め込み学校」)と言いますが、塾ではなく学校がそうなので、彼らは「センター試験に必要」と脅されつつ、ひたすら暗記を強いられ、少なくとも僕の塾はそれによって機械的になった彼らの頭の働きを「修正」するのに苦慮しているのです。立ち止まって自分の頭で考え、工夫してやることを知らなければ、将来社会人になっても同じで、何のためにこれをしているのかということは考えず、無駄なしなくてもいいことばかりして、労働生産性も低下するでしょう。その「不毛な資質」を学校が作っているのです。

 英語の民間試験では、地方の都市部以外の受験生は不利になるとか、そういう議論ばかり目立ちますが、新テストもセンターと暗記科目の多さは変わらず、それに新たに「記述式」(その無意味さについては前に引用した筑駒生の指摘を参照)と英語の民間試験が加わり、新たに「対策」が必要になって、受験生の多忙さはさらに増す、ということが問題なのです。意味のないことで多忙になるだけなので、それは彼らの教養面の貧弱さや国語力、「自分で考える力」のさらなる低下を招くだけでしょう。一体誰が得をするのか? 新たな「対策講座」を売り込む予備校や教材業者たちが儲かるだけです。これには「英語など学習コンテンツの供給に熱心な楽天」なども含まれるというわけです。

 地方の公立高校などは、対応能力のない教師たちが業者に全面依存することになって、新テスト用の効果の疑わしい売り込み教材をとっかえひっかえ使って生徒を無駄に混乱・疲弊させることになるでしょう。中には、これは延岡の高校で実際に起きていることですが、1・2年の生徒と保護者相手に「夏休みホームステイ体験」を売り込む業者の説明会を学校で開いて、「公立の学校でそんなことをやっていいのか?」と僕を驚かせたほどです。十日かそこいらのオーストラリア・ホームステイが40万なんて、相場からして高すぎるだろうと呆れましたが、結構な数の参加者がいたらしいので、そんなので語学力や国際性がつくのなら、誰も苦労はしない。親の負担を考えて月謝を低く抑えて地道に塾なんかやっているのが馬鹿馬鹿しくなってくるのです。

 親に余分な出費を強い、受験生は多忙さを募らせるだけで、別に高い思考力や語学力、国際性がつくわけでも何でもない新テストと民間試験導入。関係業者に新たなビジネス・チャンスを与えるためだけにこんなことを国が音頭を取ってする国に、「明るい未来」などあるはずがないではありませんか。

 今の子供や若者は高齢者人口のさらなる増大と、温暖化などの地球環境悪化の中で、社会に出てから困難な事態に遭遇することが予想されます。そのとき必要なのは後ろ向きに適応することではなくて、現実を見据えて創造的な解決策を見つけ出す能力と、それを果敢に行動に移せるパワーです。その両方を奪うようなことばかり今のオトナたちはやっているわけで、一体誰がその責任を取るのか、僕は無責任な連中ばかりなのを彼らに申し訳なく思います。

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