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祝・延岡星雲高校、朝課外廃止!

2018.11.18.22:22

 ほんまかいなと、しばらく前に塾の生徒から話を聞いたときは疑わしく思ったものですが、調べてみると本当のようです。以下をご覧ください。

平成31年度から「学び」が変わります(宮崎県立延岡星雲高校のサイト)

・0限(朝課外)の廃止
 1 朝のゆとりで心にも栄養チャージ
 2 ゆっくり登校・自主学習ができる
 3 学習意欲の向上・家庭学習の充実


 力強く、そう明記されているではありませんか!「自主学習ができる」だの「学習意欲の向上・家庭学習の充実」だの、それなら今までは自らそれを妨害していたのか、と突っ込みを入れたくなる人もいるかもしれませんが、そんな野暮な真似は僕はしません。朝課外の廃止によってそのような「プラス効果」が期待できることについては、このブログでも再三書いてきたからです(最初の「朝のゆとりで心にも栄養チャージ」というのは、健康食品かトクホの広告文みたいで笑えますが)。

 収まらないのは、延岡高校の生徒たちです。「何で星雲が…」と彼らは心穏やかではないので、星雲高校はこれまで課外だけでなく大量の「クソみたいな」意味のよくわからない宿題でも悪名を馳せていて、それと較べれば延高の方がはるかに自由で、マシだと思われていたのです。

 それが、「朝課外廃止」で一気に形勢逆転となり、星雲が優位に立った。あんな眠たいだけの朝課外なんて意味ないと思いつつも、これまでは選択の余地がなかったのが、朝課外がない方をえらべるようになったのです。

 こうなると、意識の高い保護者や生徒は、「それなら星雲に…」となる可能性が高くなった。僕が中3の子をもつ親なら、間違いなくそちらを勧めるでしょう。僕もかつてわが子に、併願で受けた私立にしたらどうかと言ったことがあります。どのみちこのへんの高校の「指導」なんて、言っては悪いが、大学受験の役には立たないので、それなら朝課外がなくて負担が少ない私立の方がマシなように思えたからです。彼は、しかし、人数が多くて活気がありそうだという理由で、延岡高校をえらびました。当時、星雲はそれよりさらに管理的で負担が多いとわかっていたから、初めから選択肢には入っていなかったのです(MS科ではなく普通科にしたのも、本人がたぶん文系だろうというのもありましたが、普通科の方が勉強面でやかましくなくて楽だと判断したからです)。

 しかし、朝課外が廃止になったということなら、話は違ってくる。それなら星雲がいいと、わが家の場合なら考えるでしょう。僕は大学受験の勉強は勝手にやるものだとわが子に教えていました。だから、学校の言うことなんか聞かなくていい、それでは受かるものも受からなくなってしまう。こちらはその道のプロだから、その都度必要な助言はすると。それで足りるので、学校全体の偏差値がどっちが上だの下だの、そんなことはどうでもよかったのです。この見地からすれば、朝課外があるのとないのとでは大違いです。

 おそらく、この朝課外廃止によって、星雲には優秀な生徒がこれまでよりずっと多く志願するようになるでしょう。「クソみたいな」(これは僕の言葉ではありません。星雲・延高両方の生徒がそう言っていたのです)宿題がそのままとか、朝課外がなくなった分さらに増えたというのでは台無しなので、それでは再び悪評が燃えさかることになるでしょうが、生徒の自主性を尊重してそれも「控えめ」になったとすれば、星雲人気が高くなって、十年後には大学進学実績まで逆転している、ということもありうるのです。

 このサイトの説明によると、一回の授業時間も5分ずつ短くなって、「Ⅲ 主体的な学びをサポート」の項を見ると、その分、35分の「青雲プログラム」なるものが導入され、これも「基礎学力を定着させ、得意科目を伸ばす」とか、講座の選択制など、見た目はよさそうです。3年生の、夜の8時まで学校に縛りつけていた悪名高い「超夕課外」はどうなるのか知りませんが、そういう病的なものも廃止されるのでしょう。でなければ、朝課外だけなくしても意味はなく、「自主学習ができる」「学習意欲の向上・家庭学習の充実」アピールは嘘だということになるからです。

 何にしても、星雲高校のこの勇気ある方針転換は画期的で、僕は拍手を送りたいと思います。ぱちぱち。

 問題は延岡高校です。聞けば、朝課外がそのままであるだけでなく、3年の夕課外は70分になって、前より長くなっていると言う。時代に逆行しているというか、空気が読めていないというか、去年(厳密には今春)の大学入試(一般・前期)で難関大受験組が惨敗(過去十年間で最悪と言える)したことへの反省が裏目に出ているとしか思えないので、僕に言わせれば、それは生徒たちの能力不足でも、彼らへの管理が不足していたためでもなく、よけいな朝夕課外や宿題で生徒から自主的な勉強時間を奪うことで十分な二次対策ができないまま受験した生徒が多かったからでしょう(難関大は例外なく二次比率が高いので、センターだけ取れても仕方がない)。なのに、そこがわかっていない。

 唯一の「進歩」は、かねてここでも批判していた英語のベーシック・グラマーなる無駄に量だけ多くて文法力は全くつかない(解説に嘘まで入るおまけ付き)文法プリントを今年の一年生から完全廃止したことですが、今度は文法の体系的な授業が全く入っていないという結果になり、要するに、「これをやめたら、次は代わりにこうして…」という計画性が何もないのです。とても給料に見合った仕事をしているとは思えないので、だから「学校の授業は役に立たない」と言われてしまうのです。

 挙句、10日間の夏休み(春休み?)オーストラリア・ホームステイなるものを旅行業者の片棒を担いで勧め、その費用が40万だというから聞いて呆れるのです。そんなので英語力がアップするわけはないし、料金が高すぎる。調べてみると、オーストラリアのホームステイ費用の相場は1ヶ月で10万弱、学生がよく使う格安航空券を使えば、往復の飛行機代も10万からあるという。たった10日間で何でそんな金額になるのかわからないから、そんな話には乗るなと生徒には言ったのですが、公立の学校で業者を呼んで説明会を開くなんてのは大いに問題があるのではありませんか? つまらん世話を焼いているヒマがあるのなら、本業の方をもっと真面目にやれ。そう言いたくなります。

 今の日本企業の長時間労働と生産性の低さはよく問題視されますが、課外の弊害はこういうところにも出ているので、教師もそういうので多忙になって、かんじんの教えるという仕事の質が低下するのです。それできわめて「生産性の低い」授業を行き当たりばったりダラダラやることになって、それに付き合わされる生徒も「生産性の低い、意味に乏しい機械的学習」に時間とエネルギーを取られて、学力が伸びなくなる。ふつうの仕事の場合でも、能力の高い人はやり方を工夫して、そうでない人よりずっと少ない時間でずっと大きな成果を上げます。仕事の精度もずっと高い。そして仕事が終わればさっさと帰って、オフ時の充電も怠らないから、仕事能力自体が上がってゆくのです(僕が塾の生徒に、「つまらない宿題プリントは手抜きしていいから、少しは本を読め」と言っているのも、そちらの方が知力の底上げに役立つからです)。今後は「創造性」だの「主体的に考える能力」だのが学校でも養成目的として重視されるようになると言いますが、教師にそんなものがまるでなければ、一体どうやってそれを「養成」するのか、「国際性」の時代になったから、皆さん、夏休みに40万使ってオーストラリアに十日間ホームステイしましょうなんて、アホかと言いたくなるような創造性・主体性のなさです(親の懐の痛みも考えていない)。

 このままでは延岡高校は改革に後れを取って、人気でも進学実績でも、星雲高校の後塵を拝するようになるでしょう。星雲の改革意欲が本物で、カリキュラムの編成や、教材、授業の質をよく考えて、先生たちが本気でその改革に取り組むなら、十年後には両者の立ち位置は逆転する。延岡高校は、「昔はあそこも割とよかったんだけどね」と過去を懐かしがられるような存在になるのです。

「まさか…」とこれを笑う人たちは、かつて公立のスベリ止めでしかなかった私立が、多くの地域(九州には有力私立が少ないが、むしろそれは例外的です)で公立の上に立ち、優秀な生徒を集めるようになったプロセスを考えてみるといいでしょう。そうした私立は初めから優秀な生徒を集めていたのではないのです。むしろ公立の落ちこぼれを拾ったので、そういう生徒たちを伸ばして徐々に実績を挙げ、「あそこに行けば子供は伸びる」という評判を勝ち取るところから、変化は始まったのです。同じ公立同士の間でも、同様の逆転現象は起きうるので、それは改革に取り組んだのと、変わるのを拒否して旧態依然たる状態に安住していたのとの差がもたらす結果なのです。

 延岡高校は今後、どうするのでしょうかね?

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