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VIPとしてのパンダ

2011.02.25.18:54

 今日25日は、国公立の前期試験の日です。うちの塾(名前がないので、どこに行っているのかと聞かれても答えようがないので、付けてくれないと困ると昨日も生徒たちに言われたばかりですが)の三年生たちも、推薦や私立の確定組は除き、全国に散らばって九人が受験しているはずですが、東京でも春一番が吹くという陽気で、延岡はとにかくやたらと暖かい土地(粉雪が舞っただけでもニュースになる!)なので、寒いのが苦手な子が多く、これは助かったなと思います。逆に暑すぎて困ったという受験生もいるかも知れませんが。

 こういうぽかぽか陽気の日には、乱れた政治の話なんかではなく、動物の話が適しています。…と勝手に決め込んで、来日したパンダなんかについて少々。
 以下は、先日見た朝日新聞電子版の記事です。

「中国から東京都立上野動物園に貸与されるジャイアントパンダのつがいが21日、来日した。同園のパンダは2008年4月にリンリンが死んで以来、約3年ぶり。2頭はともに5歳で、雄が中国名『比力(ビーリー)』、雌が『仙女(シィエンニュ)』。3月下旬の一般公開まで、1カ月ほどかけて環境に慣れさせる。東京都が募集した2頭の日本での名前は、一般公開の際に発表する予定。
 2頭は20日に中国・四川省のパンダ保護研究センターを出発して成都を経由。パンダ柄に塗装された全日空機『FLY!パンダ』にオリごと載せられて上海を21日夕に出発し、同夜に成田空港に到着した。日中の獣医師や飼育係が同行。成田から東京まで運ぶトラックにも同乗した。
 2頭は『繁殖のための共同研究』を目的に、年95万ドル(約7800万円)で中国側から貸与される。期間は原則10年間。同園によると、2頭は人間なら思春期。子どもが生まれた場合、所有権は中国にあるが、生後2年間は日本で育てることができる。
 同園は来日が決まると、飼育係と中国の専門家が両国を行き来して準備を進めた。約9千万円かけてパンダ舎を改修し、水飲み場や室内運動場の床を自然に近い状態にした。若く元気な2頭の脱走やけが防止のため、柵や樹木の周囲に電気を通した『電柵』を設けた」

 うーん。まさにVIP待遇で、大変な気のつかいようです。昔、パンダ騒動の際、ある週刊誌が「この英語は Very Important Panda の略と解するのが正しいのではないか(Personではなく)」と書いているのを見て笑ったことがあるのですが、中国名「大熊猫」(このネーミングも笑える)たちは生まれながらの大スターなのです。

 それにしても、あんなのがほんとに野生でそのままいるとはにわかには信じがたい話で、大の動物好きの僕はむろん、上野動物園で実物のパンダを見たことはあるのですが、あれに初めて山(竹林)で遭遇した人は、わが目を疑ったのではないでしょうか。こんなのがホントにいていいのか?! そう叫んでしまったのではないかと想像されるのです。マントヒヒなんかにも顔からして超ど派手な色彩のがいて、ああいうのも僕には不思議でならないのですが、パンダの場合は、何とも言いようがないデザインです。それが胡坐をかいたような姿勢で、「ここの竹はイケる!」なんて、器用に手を使って食べているのなど見ると、神は実際に存在して、しかもそれはかなり冗談好きな神様にちがいないと思わないでしょうか。

 まあ、動物はどれも個性的で、面白いとは言えます。延岡には九州保健福祉大という私大が一つ、山の中にあるのですが、そのすぐそば、道路を隔てた雑木林の下の斜面には、かなり大きなアナグマがいます。息子が小学低学年の頃、クワガタを探しに出かけて、熊野の山奥育ちの僕は子供の頃、クワガタ探しの名人だったので、大体どういう感じのところに行けばクワガタが見つかるか見当はつくので、あのあたりはいそうだと息子に「ここで待ってろ」と言い残して、高い草の茂みに飛び込みました。息子を同行させなかったのは、そこの茂みにはマムシがいそうだったからです。僕のカンでは、その下の斜面の木に、クワガタがいそうに思えたのです。それで、上から木を物色していると、何やらバキバキという音が聞こえる。一体何が出てきたのかと見ていると、丸々太った、毛艶のいいアナグマでした。あれはタヌキに似ているが、体型がタヌキとはだいぶ違う(胴体が長い)し、そのうち顔がはっきり見えたので、「ああ、あいつか」とわかったのです。彼または彼女は僕のことなどすっかり無視した様子で、堂々の貫禄で下方を横断していきました。大体、あのへんに巣穴があるのだろうと見当がついたので、一度息子に見せに連れてってやろうと思いながら、そのままになりました。あれはかなり性格は獰猛なので、近づきすぎると噛みつかれかねませんが、こんなに近くにアナグマがいるのかと一種の感動を覚えたものです。見た目には、あれもユーモラスで、味のある動物です。イタチやタヌキ、サルやシカなどは延岡でも割とよく見かけますが、アナグマは珍しい。あれはしかし、里山に住む動物なので、各地にまだ残っているはずです。

 ベリー・インポータント・パンダに話を戻しましょう。 あれはクマに近い動物のようですが、周知のように「絶滅危惧種」で、前にテレビのドキュメンタリーで、道路建設やら何やらで、生息区域が分断され、食行動のための移動もままならなくなって、個体数が大きく減少しているという話でした。しかし、有名ゆえにパンダにはお金をかけた保護策が講じられているだろうから、彼らは生き延びるでしょう(今は改められたようですが、中国ではパンダの違法捕獲には一時「死刑」が科せられていたそうです)。が、生物学的には貴重な動物であっても、一般に“無名”だとなかなかそうはならないので、猛烈な勢いで「種の多様性」は失われつつあるようです。

 日本の場合は、ツキノワグマが絶滅の危機に瀕しているという話で、貴重な原生林(国の無用で過度な植林政策のためそれが激減してしまったから、人家周辺にまで出没するようになった)ともどもそれを守れと、「日本熊森協会」というのが設立され、活動に取り組んでいる人たちがいます。九州ではすでにツキノワグマは絶滅してしまったようですが、延岡にもその支部ができ、それに関係している人たちが知人だという関係で、僕もそれの幽霊会員になっています。文字通りの「幽霊」会員で、何もしないのを申し訳なく思っているのですが、色々話を聞くと、あれは日本の森の生態系(正確には食物連鎖)の頂点に立つ動物で、パンダに優るとも劣らない重要な動物だという話です。見方によっては、胸のあのナイキのロゴマークみたいな「月の輪」は実に“渋い”もので、日本の山の神様のセンスの良さをよく示しているようにも思えます。日本熊森協会は募金を募って原生林を丸ごと買い取るなど、大胆な保護対策にも出ていて、支援の輪は広がりつつあるようだから、もし成功すれば、ツキノワグマの危機的な個体数減少には歯止めがかかるかも知れません(若者たちも多くその活動にボランティアで参加しているという話です)。

 どうも、なかなかパンダの話に戻れませんね。実のところ、来日した二頭のパンダは「思春期」の男女だというので、この前の「トキとカラスの会話」みたいに、「思春期パンダの会話」を書いてみようかと思ったのですが、どうも二番煎じの感が否めないので、それはやめておきます。

 パンダも、いくらお金のかかった冷暖房・保護設備完備の施設より、野生の方が幸せだろうと思いますが、日本の場合は、動物園の人たちの配慮が行き届いているので、長生きする傾向があるようなのは幸いです。別にパンダがいなくても、動物園は十分に面白く、楽しいところですが、たんに彼らを見て面白がるだけでなく、自然が生み出した同じ仲間なのだということを親しみをもって実感するきっかけになれば、それは人間の文明のありようを再考する貴重な機会になるかも知れません。とくに都会に暮らす子供たちには野生の動物と間近に接する機会がほとんどないので、動物園の訪問は大切な意味をもつことになるでしょう。子供のときは、学校のお勉強や習い事などより、そっちの方がずっと大事で、教育的意味もありそうに思われるのです。
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