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定員厳格化による「追加合格」激増の問題点

2018.04.05.16:43

 まずは次の日経記事をご覧ください。

大学の「駆け込み合格」増える 受験者、喜びと困惑

 これは大学受験関係者には事前に予測されていたことで、「文科省というのはやるべきことはやらなくて、混乱をもたらすだけのよけいなことばかりやりたがるな」と呆れられていたのですが、大方の予想どおり、多くの私大は正規合格者を減らし、足りなくなった分を補欠合格または追加合格で補うという「姑息な手段」に頼らざるを得なくなったのです。

 国立と違って、私大は併願がふつうで、同じ大学でも学部間併願もできるから、合格者を余分に(1.5~5倍ぐらい)出すが、その歩止まり率を事前に正確に予測するのはほぼ不可能です。ところが、アホな文科省は、入学者が定員の1.1倍以上になったら補助金を全額カットすると言い出した。仮にある大学のある学部の定員が300人だったとして、330人になったら補助金カットなのです。それでこれまでだと800人の合格者を出していたのが、これだとその許容範囲の29人をオーバーする可能性が大だというので、一挙に600人台に減らしたら、今度は100人近い欠員が出て、あわてて追加合格を3月中・下旬に出すことになった、というような話なのです。

 そしてこれは玉突き連鎖を起こす。A大に落ちてB大に手続きを取ろうとしていた受験生にA大から追加合格通知が届くと、B大が定員割れになり、B大に落ちてC大に手続き中の受験生のところに今度はB大から追加合格通知が届いて…というふうに、こういうのはおそらく一人や二人の話ではないので、ドミノ的に連鎖してゆくのです。

 その追加合格者の数が半端ではないのは、この記事からもわかります。上智は3月になってから600人もの追加合格を出したという。今年の分は未確認ですが、慶応など、昨年は追加合格が計1000人を超えていた(!)のです。そういうのが上から下へと降りてくるのだから、中位・下位校はモロにその影響を受けてしまう。

 私大の場合、昔から受験生は学費の二重払いが不要なように、C大の一次入学手続き締切日前にB大の合格発表があり、受かっていればC大は流して、今度はB大の締め切り日前にA大の合格発表があって、A大が受かっていればB大も流す、というふうにして、大体は二重払いしなくて済むようにしていたのです。国立前期が本命の場合は、そのA大に入学金相当額だけ収めておいて、国立に受かれば、それはそのまま流してしまう。この場合、私大一つ分の入学金は掛け捨ての保険みたいな位置づけです。

 今年のような状況では、しかし、私大間の併願でも入学金相当額を捨てねばならなくなる。もう一つ困るのは、連絡が来る時期が遅いので、アパート探しにも苦労するだろうということです。そして、その追加合格には、あらかじめ補欠として発表していた受験生の上からとっていくものと、いきなり追加合格の電話が入るものと両方あるようですが、補欠にカウントされていても、入学が許可されるという保証はないし、補欠の形で発表されていない場合には、追加合格は青天の霹靂みたいになってしまうので、どちらにしても受験生にとっては不安定な状態に置かれて、精神衛生上すこぶるよろしくない。入学予定だった大学の入学金(それ以外は戻ってくる)の支払いがよけいなだけでなく、アパートを探し直すのも二重手間です。

 要は受験生・保護者泣かせなだけです。なのにどうしてこういうことをするかというと、私大の4割強、無名私大のほぼ全部が慢性定員割れを起こしているので、文科省はそれら大学の経営悪化を防ぎたいという思惑があってのことでしょうが、実際はその効果はごく僅かなものでしかない。そういうところに行くぐらいなら浪人するか、専門学校の方を選択するという受験生の方が多いだろうからで、実質的な意味はあまりないのです。定員割れがひどくなりすぎて潰れる大学はそのまま潰してしまえばいいのだと僕は思いますが、文科省の役人はそうは考えないのです。安倍の「腹心の友」の加計孝太郎氏の加計学園グループなど、いくつもそういう大学を抱えているので、こういうのも「総理案件」の一つだとでも言うのでしょうか? 

「超過は定員の1割未満。でないと補助金を全額カットする」というのはやりすぎなので、「できれば定員どおりが望ましいので、1割前後の超過ですむように努力せよ。それ以上の場合には度合いに応じて補助金を減額し、25%以上の超過になった場合には全額カットする」ぐらいなら、大学としてもある程度の幅があるので、今回のような極端なことにはならずにすむでしょう。

 こういう対応は推薦をさらに増やして受験生を青田買いして、一般入試の定員をさらに減らすように、各大学には作用するでしょう。原則として、推薦だとほぼ確実に入学するからです。しかし、推薦の濫用がいいことだとは僕には思えない。もっと問題を全体的視野に立って考える知恵を文科省はもつべきで、受験生と保護者に無用な負担をかけるだけのことはやめるべきでしょう。センターを廃止して、民間の英語検定試験(それらは本来趣旨も目的も異なる)を活用するというのも、いい加減そのもので、現場の混乱は必至ですが、何につけてもやることが行き当たりばったりすぎるのです。

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