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阪大入試ミス問題に寄せて

2018.01.09.13:43

「犬ではないのだから、妻の腕には噛みつかないように…」

 これはDVで逮捕された元“アベ友”のネトウヨ経済評論家への助言ですが、そちらはこれだけで終わらせといて、阪大の入試採点ミスの話です。

大阪大入試ミス 外部指摘を学内で共有せず、対応半年遅れに

「弘法も筆の誤り」で、阪大の先生をしているくらいなのだから、すこぶる頭のいい人たちなのでしょうが、誰でもミスはします。僕も塾で英文法のプリントを作るとき、巧妙な引っかけ問題を作ってやろうと腐心するあまり、この前それで失敗して、あの三年前からセンターに出るようになったⓐ-ⓑ-ⓐというふうに組み合わせをえらぶ形式のものですが、正解が二つある問題になってしまって、生徒に謝罪する羽目になりました。辞書を調べた生徒に、「先生、このイディオムにはこれに合う意味もあるんじゃないですか?」と言われて、自分でも確認して、「たしかに…」と認めざるを得なかったのです。イディオムを二つ組み合わせて、こちらを使うと次が不自然になるという仕掛けにしたつもりだったのですが、入試にはその用法ではあまり出ないが、しかしその意味もちゃんとある、というもので、これは明らかな「出題ミス」です。阪大のそのミスは物理の問題で生じて、正解は三通りあったということですが、すでに6月に最初の指摘があったのに、なぜそのままにしてしまったのかといえば、作った先生のプライドもあるのでしょうが、人間は最初にこうだと思ってしまうと、その考えに縛られてしまって、異見を容れにくくなってしまうということがあるからでしょう。正解にしていたその答そのものは正しいのだから、なおさらそれに固執して、別解はできれば認めたくないという心理になったのかも知れません。次の問題はそこで得られた数値を基にして解を求めるというもので、配点はそれぞれ3点と4点の計7点だが、2問目は別の2つの解にすると答は出せないものだったというから、7点差がつくことになってしまう。「これはおおごとになる」という自己防衛心理が働くから、なおさら認めがたかったのでしょう。

 それで追加合格者を今頃になって発表する羽目になったのは遺憾ですが、ロイター記事によれば、それで採点し直すと、今度は不合格になっていたであろう受験生が同じくらいの数いるという話です。その30人が7点加点されると、逆転が起きるわけです。むろん、今さらそちらを不合格にするわけにはいかないから、追加合格だけ出すということになったようです。

 最低点近辺にいる受験生たちの場合には、こういう問題が起きてしまうわけです。入試は1点、センターが圧縮換算される場合には0コンマ何点で合否が分かれることもあるから、ボーダー近辺の受験生の場合、ほとんど学力差はないことになる。しかし、どこかで明確に線引きしないといけないので、それで天国と地獄が分かれるというのは、運以外の何ものでもありません。二次の場合は記述だから、極端なことを言えば、たとえば英語長文の下線部訳で10点満点中8点になったか7点を付けられたかで、合否が分かれてしまうこともあるわけです。そう考えると恐ろしい。

 むろん、最低点より50点上で受かったのと、50点下で落ちたのとでは、100点の開きがあって、学力差は歴然ということになるわけですが、ボーダースレスレの受験生は受かっても落ちても、実質的な差はないということです。僕は推薦入試のよくわからない基準より、当日のペーパー一本で決まる試験の方が客観性はあり、潔くていいのではないかと思っていますが、そのあたりになるとほんとに「時の運」なのです。

 今は情報公開の時代で、多くの大学が申請していれば自分の入試時の得点を教えてくれるので、僕も塾の難関大の合格者には後でそれを連絡してもらっていますが、余裕の成績で受かっているケースが多い。過去二人いた阪大合格者もそうで、彼らは優秀だったということですが、僕がそれを聞くのは、「これぐらいの出来具合だと、この大学の二次では大体これくらいの点は期待できるな」という感触を得ておきたいからで、それは今後の指導に役立つだろうと思うからです。元々はああいうのを始めたのは早稲田あたりで、それは不合格者だけに教えるというもので、その意図は、見込みのない受験生が多浪して人生を棒に振るようなことにならないようにという老婆心によるものだった、というような話を聞いたことがあります。スレスレで落ちたのなら見込みはあるから、もう一度頑張って下さい、みたいなものだったのでしょう。

 尤も、その早稲田の国語の入試問題なんか、マーク方式ですが、予備校によって正解が全部違っている問題が実際にあったりして、大学側は「正解」を発表していないから、何がそこは正解なのか、「永遠の謎」だったりすることもあるのです。まあ、8割方は予備校の解答も一致しているから、ボーダー近辺の受験生の場合、その謎の箇所で大学側が正解としているものを選んでいたら運がよかったということになるわけでしょう。

 全体、僕の印象では入試は8割は実力、残りが運です。私立は実力の部分が7割に低下するかもしれませんが、ということは、やはり予測可能な部分が多いということで、メンタルが弱くて、実力が出せなかったという場合は別として、そんなに大きな番狂わせは起こらないものです。センター判定は、センター段階だけのものでしかないから、二次の比重が高い大学の場合は「参考程度」でしかありません。A判定で落ちて、D判定で受かっても、それは二次力の差が逆転を生んだので、別にそんなに不思議ではなく、運だけによるものではないのです。やはりかなりの程度予測は立つ。

 しかし、ボーダー近辺の受験生は「運次第」を免れないので、それが試験というものです。阪大の出題ミスは、その辺に位置する受験生を直撃した。それで7点差がついてしまうというのは実際の入試ではかなり大きいので、「運が悪かったと諦めて下さい」ではすまない。やはり大学は念には念を入れた問題作成が求められるわけです。

 受験生としては、しかし、この時期ともなればそんなことは気にせずに、思い切って行くだけです。結果はあまり気にせず、とにかく持てる力を出し切れさえすればいいという気持ちで臨むのが、一番いい結果を生むように思います。誰も「完璧な準備」ができている人はいないのだから、焦らず自分を信頼して、「運の部分は神様にお任せ」というスタンスで臨むといいのです。4日後はセンターですが、そういう心持ちで、受験生諸君は頑張って下さい。

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