FC2ブログ

大学の今後

2018.01.06.17:03

 今年、2018年のセンター試験は「史上最速」の1月13・14日です。受験生の中には「こんなのありですか!」と怒っている人もいますが、「あり」なので、それは「1月13日以後の最初の土日に行う」というセンター試験の実施規定があって、今年は元旦が月曜日に当たったためこうなってしまったのです。「何日分も損した!」と言う人には、国立二次の日程が2月25日からなのは変わらないので、その分二次試験までのゆとりはいつもより多めにあるのだ、と言っておきましょう。「ええい、間に合わんわ!」と焦っている人は、「その分二次で挽回できる可能性がアップした」と前向きに考えましょう。

 何事もものは考えようです。たとえば、頭がハゲたお父さんは、「これで寝癖を直すとか、ヘアースタイルに悩む必要がなくなった」と考えることができるし、僕のような年齢になると、「このうっとうしい世の中からも、あと10年から20年ぐらいの間に解放されるのだ!」と思って幸福感を覚えることができるのです。認知症による物忘れなどでも、よけいな思いに煩わされなくてすむようになったのだと考えれば、大きなメリットと受け止めることができるでしょう。

 たとえがあまり適切でなかったかもしれませんが、このセンター試験も寿命はあと僅かで、2021年度からは新試験が始まります。「紛らわしいことはやめて、あの大学入試センターごと全部廃止しろ。大学別の個別試験だけで足りる!」と僕は前から主張しているのですが、全然聞き入れられないのは、「安倍は駄目だから、さっさと交代させろ!」という正しい主張が無視されてしまうのと同じです。既成事実のみ優先されて、良い意見は聞かれないというのが、今のこの「残念な日本社会」の特徴なのです。原発なんかでも、福島のあんな恐ろしい事故があって、どこからどう見てもよろしくないということが証明されたので、いくらなんでもこれでもうやめるだろうと思ったら、いつのまにか再稼働に戻っているのだから、理性や論理というものが全く働いていない。センターに代わる新試験は「論理的思考力重視」なのだそうですが、「そんなもの、この世界に出番はないんじゃありませんか?」と皮肉の一つも言いたくなってしまうのです。げんに見てみなさい。日本は安倍とアッキー夫妻で、アメリカはトランプ、北朝鮮は金正恩、韓国は文在寅なんてのが大統領なのです。近場を見ても「論理的思考力」がとくになさそうなのばかりが政治リーダーを務めているので、なまじそんなものがある人は現実世界の理不尽に憤死しそうになるのです。

 というふうに書いていると、いつまでたっても本題に入れず、「論理的思考力の欠如」を指摘されそうなので、強引にそちらに話を移すと、「安倍御用新聞」ぶりが露骨すぎて部数を減らしているという読売に、次のような記事(12/31)が出ていました。

私立大112法人が経営難、21法人は破綻恐れ

 これは塾業界などの人間には周知のことで、今さら驚くようなことではないのですが、印象深いのは記事に添えられたグラフで、18歳人口は見事な「右肩下がり」です。むろん、こういうグラフの作り方には問題があるので、早とちりしやすい人は一番下の目盛りが95万人になっているのを見落として、「日本人が消滅する!」なんて思ってしまいかねませんが、とにかく子供の数はこれからどんどん減って、2032年にはついに100万人を割り込んでしまうのがわかるのです。かつては下限が150万で、第二次ベビーブーマーの頃は200万を超えていたことを思えば、すさまじい減り方です。

 だから、大学はこれからどんどん潰れる。とうに潰れていて不思議でないところまでまだ残っているのがむしろ不思議なので、僕はこの仕事を長くやってきて、年々入試のハードルが下がってきているのを感じます。東大や京大のような大学でさえ、上の方は変わらないでしょうが、下はレベルが下がってきているのはたしかだと思われるので、他は推して知るべしです。僕の体感では、今の中堅国立は、昔の下位国立と同じレベルです(現にそう言って嘆いている教授がいるという)。私立となるとなおさらで、今は有名難関大でもAOやら推薦やらの乱発で、一般入試の定員を昔の半分以下、甚だしい場合には三分の一にまで絞って、なのに偏差値は昔より低くなっているのです。万年定員割れの地方私立と来た日には、目も当てられない。

 僕は第二次ベビーブーマーが大学受験に差しかかった1990年前後、現場にいたので、そのときの入試の大変さもよく知っています。かつては「誰でも入れる」と思われていた東京の某下位私大の偏差値が55~60になるなんて怪現象まで起きていたので、差し障りがあるので大学名は挙げませんが、あそこは今はどうなっているのだろうと調べたら45前後です。少なくとも今より10ポイントは高くなっていたわけで、「今の受験生は大変だな」と当時は同情したものです。

 そういうのは「今は昔の物語」で、18歳人口の激減に伴って受験生数も減ったのに、大学の総定員をそれに合わせて減らすことはしなかった。ぴったりそれに合わせるのではなく、緩やかに減らして無理のない数に誘導すればよかったのですが、それすらしなかったから受験者より入学定員の方が多くなってしまい、私大の4割が定員割れを起こすような事態になったのです。今は国立ですら公立高校入試並の低倍率になっているところは珍しくないので、「選考の多様化」と称して推薦枠を増やし、一般入試の枠を減らして、何とか一定の競争倍率を保とうとしているのですが、ネームバリューのないところはやはりしんどいので、国立でも今後は存続が危ぶまれるところが出てくるでしょう。いわんや私立においてをや、です。

 上の読売記事によれば、「2019年度末までに破綻の恐れ」が21校、「2020年以降に破綻の恐れ」は91校、「経営悪化の兆候が見られる」が175校です。合計287大学が「潰れる心配がある」で、「経営状態に問題がない」は373大学。例の加計学園が経営する大学などは全部この「潰れる恐れがある大学」に含まれているわけですが、そういうのは国の補助金(原資は国民の税金)と、新興私立には立地自治体が安易に「町おこし」のつもりで誘致したものが多い関係から、自治体の援助でもたせているにすぎないものなので、それがなければ大半がすでに潰れている計算です。

 そんなことをして残す必要があるのかといえば、「ない」が正解でしょう。卒業生たちにとっては「母校がなくなる」というのは悲しいことかも知れませんが、すでに小中学校や高校など、少子化や過疎化によって統廃合されて母校が消えたという経験をした人はたくさんいるので、田舎の出身である僕なども、小学校から高校まで、昔の形で残っているものは一つもないのです。大学だけは今のところ潰れる心配はなさそうですが、それも話を聞くと、昔とは学風も中身も相当変わってしまったようだなと感じられるので、いつか消えても「諸行無常がこの世の習い」と心得ているので、さほどショックは受けないでしょう。

 新しい大学でも、コンセプトが明確で、それに見合った中身をもたせ、成功した大学はあります。公立では秋田県の国際教養大、私立では大分県の立命館アジア太平洋大学がその代表です。東北と九州のかなりの僻地で、どちらも立地はよくないが、グローバリズムも追い風にして、ちゃんと成功している。魅力があれば学生は集められるということで、なければ慢性定員割れになってやがて消滅、というのは、健全な競争原理に基づく道理にかなったことではないかと思われるのです。民間の場合には、税金による支援など当て込めません。大学は教育機関だから例外だというのは、どこまで通る話なのか、疑わしいところです。多すぎるのだから、自然淘汰の原理が働くに任せ、魅力に乏しくて学生が集まらないところは潰れるようにした方が、大学全体の質の向上にも役立つでしょう。

 今は手取り足取り、面倒見がいいという大学が人気のようです。これも大学側の危機感の表われの一つということなのかも知れませんが、僕のような昔人間は話を聞いていて馬鹿馬鹿しくなることがあるので、過剰管理の中で育って、大学に行ってもそれというのでは、若者はいつ自立するのかと思います。昔はほったらかしにしてくれるのが大学の一番の魅力で、ことに文系学生は、下らん大学の授業なんか聞いているより勝手に本を読んだ方が早いし、仲間と遠慮のない議論を戦わせる方が身になると感じていたものです。自分は世界的な大思想家たちを直接相手にしているのだから、大学の教員なんぞよりエラいのだと思い込んでいる始末に負えない自信過剰学生も一定数いて、「就職対策セミナー」なんてものが開かれると聞くと、人を馬鹿にするのかと怒り出すのです。むろん、「将来の生活設計」なんてものは、考慮に値しない些事として、何も考えていないので、後でしなくてもいい苦労する羽目になるわけですが。

 今はそういう放任主義、放し飼いで学生を遇する大学は激減したようで、そんなポリシーを表明すると、よほどの有名大学は別として、「お客さん」が集まらないのです。受験生も親たちも、先ず大学のホームページで就職先をチェックする。次に、「きめの細かい指導」が行われているかどうかを確認する、というわけで、「うちのカリキュラムは一応こうなっていますが、学生たちはあまり出席しないので、それはあまり気にしないでください。勝手にやれる若者を歓迎します。就職先も一覧を掲げていますが、留年したり、卒業後も就職せず、行方不明になる学生が毎年2割ぐらいいます」なんて書くと、なんて恐ろしい大学なんだと、受験生とその親たちを戦慄させるに十分なのです。

 僕のような人間から見ると、それも大学の魅力のうちなのですが、時代の趨勢として、そういうのは今は受けないので、セールスポイントにはならず、「指導のきめの細かさ」や「少人数授業」「手厚い就職支援」をアピールする大学が増えたのです。「国家試験合格率№1」は売りになっても、「アウトサイダー輩出率№1」なんてのは自慢にならない。

 またもや「論理的思考力」に疑いがもたれそうな脱線に及んだので、話を戻して、要するに、大学は受験生の数に照らして多すぎるのだから、潰れる大学が続出するのは避けられないことで、そしてそれは別に悪いことではないということです。その大学の関係者にとっては職場を失うのだから大問題でしょうが、それは必然的な理由でそうなるのだから、仕方がないと観念して、新しい職場を探すしかないでしょう。それは親方日の丸の公務員は別として、世間の人が誰でもする苦労なのです。

 残るのは結局、老舗の私大と、新興でも勢いがあって人気のある個性的な大学だけでしょう。不人気大学より評判のいい専門学校もあることから、上の記事の調べに基づけば、私大は373校と、そういう特色ある専門学校だけが受け皿として残ることになる。それで足りるならそうなるしかないので、見込みもないのに無理に存続させて、在学生がいる状態で倒産というのでは学生に二重に迷惑なので、そのあたりの見切りは早くつけるのがかえって親切というものでしょう。

 諸行無常の鐘の音。諦めがかんじん、ということも世の中にはあるということです。むろん、受験生はまだ今頃諦めてはいけませんよ。こういうのはそれとは別の話なのです。

スポンサーサイト
プロフィール

大野龍一

Author:大野龍一

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR