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『アベノミクスによろしく』~アホノミクスの愚劣さと恐ろしさを凝縮した本

2017.11.04.14:59

 例の「講演会もどき」も無事終了し(お集まりいただいた皆さん、お世話いただいた方々、どうも有難うございました)、翻訳の方も、版権契約が完了したとのことで、一昨日、出版社から正式にゴー・サインをもらったので、編集者との作業に入るにはまだちょっと時間がありそうですが、訳はすでに完成していて、後は手直しをするだけ(とは言っても、それはそれで手間取る)なので、一息入れがてら、書かせてもらいます。

 先日本屋をウロウロしていたとき、添えられたマンガに思わず笑ってしまい、中身をパラパラ見て「中身もしっかりしていそうだ」と思って買ったのですが、これはほんとに面白い本です。この前の選挙では、二十代、三十代は自民党に投票したパーセンテージがとくに高かったそうで、「何考えてんだ? いや、何も考えてないのか?…」と僕は呆れたのですが、その中には「株価は上がって、経済指標も改善してるし、大学生の就職率も上昇している。安倍総理のトランプへの異様なゴマスリも、憲法改正も、現実的には“それしかない”対応で、野党は些細な『もり・かけ』問題で批判してるだけで、政権担当能力はゼロ、自分はパヨクなんかと違って、現実的な考えができる人間だから、自民に入れたのだ」なんて、真面目な顔して言っている若者がたくさんいるのでしょう。

 そこまでアホなのではどうしようもないな、と僕のようなヒネたオヤジは思ってしまうのですが、この本の著者、明石順平氏は1984年生まれの弁護士で、まだ32歳です。つまり、今の若者にも賢い人はちゃんといるということを示しており、その点でも心強い。

 尤も、ヒネたオヤジにもアホは珍しくないので、とくに専門家やインテリを自任する人は、例の有名な童話『裸の王様』を地で行くみたいなのが多く、王様は実際は裸で、パンツもはかないで粗末なアレをブラブラさせているだけなのに、その「見えざる衣装」を専門用語を駆使しつつ、とやかく論評して、「もののわかった人間」であることが示したつもりになっていることが少なくないのです。一般世間のオトナも、「ホンマでっか?」なんて言うと、自分の無知を暴露してしまうのではないかと恐れて、尤もらしい顔をして、そういう話にいちいち頷いて見せたりするのです。

 この本の著者はその『裸の王様』の男の子と同じで、そのような猿芝居には騙されず、自分の目と頭を信じ、データを精査した上で、逆立ちした驚くべき現実そのまま(「王様は裸だ!」)を暴露した。あの童話ではそれをきっかけに、周りもその虚偽の幻想から目覚めるのですが、大勢の人がこれを読めば、「安倍さんの極右がかった政治姿勢と独善性はちょっと心配だけど、アベノミクスのおかげで経済は持ち直したからね」なんて馬鹿げたことを言う人は一人もいなくなってしまうでしょう。要するに、安倍は全部ダメ!ということがよくわかるのです(「謙虚な対応」などと言いつつ、その舌の根も乾かないうちに、「野党の質問時間を削る」などとたわけたことをほざいているのはいかにも安倍らしいのですが)。

 ある程度はすでにこの馬鹿げた幻想から人々は覚め始めていると言っていいでしょう。先の衆院選のさなか、株価は上昇を続けていましたが、それで「景気がよくなっている」という話につなげるような人は、虚言症の安倍以外には誰もいなかったからです。すでにあれが官製相場だということは知れわたっていて、それを利用して儲けているのは海外の機関投資家だけ(それは海外のハゲタカに国富の収奪を許しているということを意味する)ということは常識になりつつあり、一般の日本人は貧乏になるばかりなのを人々は実感しているからです。

「アベノミクスはたんなる亡国的詐欺」だと承知している人には、この本の三分の二は周知のことだろうと思いますが、それでもこれだけきっちりデータを示して論じている本は珍しいし、「第4章 GDPかさ上げ疑惑」などは、僕も全然知らなかったので、そこまでセコい操作――これを国家的犯罪と呼ばずして何をそう呼ぶか!――をしていたのかと、驚きを新たにしました。太郎君とモノシリンというキャラの対話形式で話は進行し、非常に読みやすくできているし、展開もすこぶるロジカルなのでわかりやすい。元々はブログ記事だったそうですが、これだけ明快な文章が書けるというのは頭がいい証拠です。

 これはだから、高校生からお年寄りまで、幅広い年齢層にお薦めです。経済学の知識がなくても説明がわかりやすいので十分理解できる。ちゃんと頭を使わされるから、論理的思考力アップにも、認知症予防にも役立つし、一石三鳥ぐらいの効果はあるでしょう。アマゾンのランキングを今さっき見てみたら、79位になっていて、馬鹿売れしているのがわかる(今度出す僕の訳本もそれぐらい売れてくれれば嬉し泣きするのですが…)ので、アベノミクスがアホノミクス以外の何ものでもなく、日本の経済社会と日本人一般の暮らしがそのために破壊的損傷を受けて終わりになりかけていることを理解する人が倍増して、安倍退陣どころか、「奴を刑務所に入れろ!」という声まで出てくることになるかもしれません。尤も、安倍は人文学的教養が全くないのはもとより、法律学も経済学もまるでわかってない男なので、その「全面的無知」ゆえに「責任能力がない」ということになってしまうかも知れませんが(トランプと安倍というのはそのあたり、全くお似合いの組み合わせです)。

 そういうわけで良書なので書評を書こうかと思ったのですが、ご本人がブログに自己推薦文を載せているので、代わりにそちらを紹介しておくことにします。ぜひご一読を。

モノシリンの3分でまとめるモノシリ話

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