「加計学園監事」から「最高裁裁判官」に“出世”した木澤克之氏

2017.10.10.16:32

「そういえば、そういう人がいたよな…」と、衆院選と同時に行われる「最高裁裁判官国民審査」の新聞記事を見て思い出しました。これは信任しない判事には×を付けるだけのかんたんなもので、過去それで実際に罷免された最高裁判事はいないという話ですが、ネットを見ると、今回この人には相当注目が集まっているようなので、ひょっとしたら過去最高の×票を獲得するかも知れません。

 加計学園獣医学部の問題では、お友達ゆえの「忖度」だの「えこひいき」だのは一切なかった、ずっと前から何度も申請を却下されていたのが、国家特区の「公平厳正な審査」で通っただけだというのが安倍の「釈明」ですが、国家特区という恣意的運用のしやすい制度を作ったからこそ、お友達への便宜が図りやすくなり、これ幸いと圧力をかけてその件を通してやった、というのがほんとのところでしょう。

 安倍は何にでも手を突っ込んで、そこらじゅう「お友達だらけ」にしないと安心できないという狭量小心な公私混同男(女房のアッキーはそれを見習っただけ)ですが、この木澤克之氏の最高裁判事任命もその疑いが濃く、この人物は加計孝太郎理事長と同じ立教出身で、彼のお友達、加計学園の監事を2013年から務めていて、その後2016年7月に、安倍内閣によって最高裁判所判事に任命されたのです。安倍の「政治の私物化」がピークに達しかけていた頃、この御仁の「最高裁入り」も決められたわけです。

 調べてみると、別に目立つほどの業績がある人とは思えない。但し、この人は日弁連が「弁護士枠」用に推薦した何人かの候補には含まれていたようで、当時は「日弁連にも責任がある」という声が聞かれましたが、安倍にとっては「その中から選んだら、たまたま加計さんの友人だっただけ」という申し開きができるので、好都合だったわけです。加計の獣医学部の件で、「前からずっと申請は行われていた」と言うのとどこか似ている。

 ちなみに、最高裁判事の任命権者は「内閣」なので、時の内閣に好都合な人物ばかりえらぶのを防止する明文法規は元来ありません。それでも暗黙の了解のようなものはあって、法曹各界から推薦で名前の挙がってきた人の中からえらぶという慣習はあります。上の弁護士出身者枠への日弁連推薦もその一部で、それが時の政権から一定の「独立性」を保つのに役立ってきたと言われているのですが、上の木澤氏の件は「推薦された人からえらんだ」と言い訳できるものの、実は安倍はそうした「慣例」も無視しているのです。

 これを書くのに、ネットで関連記事を検索していたら、次のようなものにぶつかりました。

 今年1月13日、内閣は弁護士出身の大橋正春判事の事実上の後任に、同じく弁護士出身の山口厚氏を任命した。「弁護士枠」を維持した形ではあるが、山口氏は日本弁護士連合会が最高裁を通じて示した推薦リスト7人には入っていなかった。
 その6日後。日弁連の理事会で、この人事が話題に上った。中本和洋会長は「政府からこれまでより広く候補者を募りたいとの意向が示された」「長い間の慣例が破られたことは残念だ」と語った。
 それまで最高裁判事の「弁護士枠」は、日弁連が示した5人程度のリストから選ばれており、最高裁で人事を担当していた経験者も今回の人事について「明らかに異例だ」と語る。一方、別の官邸幹部は「責任を取るのは内閣。内閣が多くの人から選ぶのは自然だ」と意に介していないようだ。(朝日新聞2017年3月2日)


 要するに、推薦名簿に都合のいい人がいればそれからえらぶが、そうでなければ勝手に決めさせてもらうということなので、「慣例を尊重して木澤氏をえらんだ」とは言えないわけです(ちなみに、この山口厚氏というのは、法曹界ではマイナー中のマイナーである立教卒の木澤氏とは違い、東大法卒→そのまま東大法学部助手、助教授→東大教授〔定年後、早稲田の教授〕という絵に描いたような学者エリートで、弁護士としての経歴はごく僅かです。大方は安倍ブレーンの一人の「お友達」だったか何かでしょう)。

 何にせよ、こうした手法で最高裁判事に登用された人物は、それを恩義に感じて「政府に優しい」裁判官になるであろうことは容易に想像されます。元々最高裁は「時の政権寄り」だったのが、そのあたりいっそう露骨になる恐れがあるのです。むろん、それこそが何より自制のない安倍の欲するところで、彼はそうして「翼賛体制」を構築すべく、多方面で「お友達人事」実現に身をやつしてきたのです(NHKの籾井会長なんかはあまりにひどすぎて長続きしませんでしたが…)。

 この意味で、北朝鮮の金正恩なんかも、安保法制拡大、憲法改正推進には不可欠な「悪役」なので、安倍にとっては「お友達」以上に大切な存在と言えるでしょう。国内においてはお友達による「翼賛体制」を作って「忖度」による「なしくずしの独裁化」を図り、外には北朝鮮や中国など「敵役」を作り、その脅威を強調して、自己の妄想実現を容易ならしめようとする。それは周到な計算によるというより、半ば無意識的な行動で、彼個人の歪んだ内面による「必然」の産物のようなものだろうと僕は見ていますが、ご本人は「国事に身命を惜しまず奔走する愛国者」のつもりなのです(アッキーが「神様のお導き」のつもりで無責任な行動に突っ走るのと同じで)。

 朝鮮半島問題に早期の平和的解決がもたらされたのでは、安倍の宿願は成就しない。だからその方面の外交努力は何もしないのです。相手が応じるか応じないか以前に、その気がそもそもない。日本本土をミサイルが直撃するのを、ほんとは彼は期待しているのではないかと、僕は疑っています。自分の無意識への洞察力が欠落している彼は、それはとんでもない濡れ衣だと言うでしょうが、これまでずっと彼を観察してきた僕はそう見ているので、本当に危ない人間というのはそういうものなのです。彼には自己の病的な無意識についての自覚が何もない。

 だから、何度も言いますが、早く彼を退陣させないと、安倍自身が「危険な国際情勢」の一部なので、危機はかえって強化される。公私混同の幼児的ナショナリスト、亡国総理の退陣を迫るに足る結果が出せるかどうか、その意味では今回の選挙は重要です。思えば「もり・かけ問題」で彼が躓いたのは幸いなことでした。アッキー流に言えば「神様のおかげ」ですが、そのチャンスが活かせるかどうか…。

 最高裁判事の話から脱線しましたが、今回の選挙ははからずも加計学園元監事の最高裁判事任命を問う選挙にもなっているということです。大方の人はそんなことは忘れているでしょうが、思い出す人が多ければ、木澤克之判事に付けられた×の数は過去最高を記録するかもしれません。それが過半数になることはまずないだろうから、木澤氏が罷免されることはないでしょうが、その数がどれくらいになったか、結果は公表されるはずなので、そちらにもご注目ということです。

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