内閣改造、最大懸念は「首相留任」

2017.08.03.15:05

 今週も、各週刊誌は安倍批判の記事で埋まっていますが、内閣改造の顔ぶれが明らかになったようです。次はまとめの日経記事。

自民新3役決定 改造内閣、外相に河野氏

 目玉は、この記事にもあるように、「外相に河野太郎前行政改革相、総務相に野田聖子元郵政相」というところでしょう。二人とも安倍とは本来相容れないので、不人気に強いられての安倍の「自己否定」の産物です。つまり、そこだけは「まとも」になったということで、とくに河野太郎はかねて僕が注目している政治家です。その著書『原発と日本はこうなる』(講談社 2011)も読んだし、三年前の文藝春秋2014年7月号「隠蔽された年金破綻 粉飾と欺瞞を暴く」(西沢和彦氏との共同執筆)も読んだ。いずれも鋭く、的確な指摘で、「自民党にも人物はいる」ことを示すものでした。安倍とはオツムのレベルが違う。ちゃんとアメリカの大学を出ているから英語も達者で、外務大臣も官僚の協力があれば無理なく務まるでしょう。それで経験を積んで幅を広げてもらいたいものです。

 韓流歴史王朝ドラマの「悪徳重臣」さながらの麻生、二階、菅がそのままなのは笑えるところで、とくに麻生と二階は、「へっへっへ。わしの顔を潰すとあんたは一発で終わりでっせ」という脅しをかけていて、安倍は逆らえない。この二人は権力が自己目的化している古いタイプの政治家で、それ以外のことはほとんどどうでもいい(むろん、ご本人たちはそうは言いませんが)のです。高村副総裁もそのままですが、これは年長ながら安倍の腰巾着と化していて、憲法改正の推進役(言ってることが出鱈目すぎますが)なので、「目立たないかたちで安倍色を残しました」ということなのでしょう。

 ポスト安倍の最有力候補と言われる岸田文雄は政調会長で、ご本人も満足げですが、彼は「リベラル派」なのはいいとして、「優柔不断の殿様」気質が抜けないので、どうも頼りないなというのが周りの評価のようです。むやみやたらと喧嘩をするのはただの馬鹿ですが、勝負どころではきっちり喧嘩ができないとリーダーは務まらない。人柄がよければいいというものではないので、こういうのでは政権を取っても軍部の暴走を許した昔の近衛文麿みたいになりかねないのです。

 しかし、何といっても問題は「内閣総理大臣・安倍晋三」というところでしょう。「もり・かけ」問題は全然片づいていないし、ともちん問題も「何じゃ、あれは?」という疑念を残したまま(アッキー、加計孝太郎、下村博文、ともちんの証人喚問が真相解明には不可欠ですが、応じない構えです)。アベノミクスも終わっているし、外交上の「成果」といえば、ご本人は忘れてもらいたいでしょうが、IS人質事件のさなか、中東歴訪に出かけ、イスラエルのネタニヤフと熱い握手まで交わした上に、「IS対策にン億ドル」という演説を嬉々としてぶって、日本人人質の後藤さん殺害を後押ししたというだけの話です。北方領土問題でも、プーチンに「経済協力」を約束させられただけで進展はゼロ、対中国では習近平に終始一貫シカト扱いを受け、中国メディアは今回の安倍政権の凋落ぶりを面白おかしく微細にわたって報道しているという話ですが、すでに「終わった政権」扱いされているのです。トランプに対しては、就任直後あわてて駆けつけ、媚態を凝らした上「信頼できる政治家」と、アメリカ人も驚く持ち上げ方をして、世界の失笑を買っただけでした。

 おそらくまともな「成果」といえば、韓国との慰安婦問題の「最終決着」(それも安倍としては渋々だったのですが)だけですが、これまた文政権に代わって反故にされかかっているわけで、踏んだり蹴ったりとはまさにこのことです。原発や年金(「百年安心」とは笑える)などの重要問題はそっちのけ、いりもしない憲法改正にばかり熱心で、日本会議とネトウヨの「組織的な熱い支援(ネトウヨもネットでは少数の人間が多数派工作をする)」でここまで来たが、お友達とイエスマンばかりで周りを固めたがる性癖が災いして、忖度政治・情実政治を行き渡らせて社会を腐らせるだけの「裸の王様」であったことがもはや誰の目にも明らかになったのです(加計のための「岩盤規制の突破」に意味があると思うのは、安倍と加計の理事長だけでしょう)。

 だから首相の首をすげ替えないことには真の「内閣改造」にはならない。この期に及んでもまだ安倍は、「反省」を表明すれば何とかなり、自分のために党規改正をした総裁3選が可能だと思っているのかもしれませんが、その目はもうなくなったのだから、「名誉ある撤退」の方法を考える余地あるのみです。真面目にその準備をしておかないと、党内からも「石もて追われる」結果にしかならないでしょう。アッキー流に言うなら、自身の早期退陣こそ「神様の思し召し」なのです。
スポンサーサイト
プロフィール

大野龍一

Author:大野龍一

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR