安倍辞典における「誠実」の定義

2017.05.09.21:16

 安倍政権が大騒ぎしてみせた割に、その後の北朝鮮はおとなしく、ゴールデンウイーク中もミサイルは飛んできませんでしたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか? この間、フランスでは25歳年上の妻をもつ若いマクロン新大統領が誕生し(この前の米大統領選のこともあるので、極右のルペンが勝ってしまうのではないかという懸念も一部にありました)、韓国大統領選の結果も今夜半には判明する見通し(勝つのは文候補で、朝鮮半島情勢はさらに混迷を深めるものと見られていますが)で、色々ありましたが、僕自身はここ十日ほど、部屋の掃除・片づけに励み、golden week ならぬ sweeping week になったのですが、無精な人間には珍しいことなので、周囲には「凶事の前兆ではないか?」と恐れられています。

 すでにして世の中は大小様々な凶事に満ちているので、今さら「前兆」もヘチマもないと思えるのですが、日本国民として目下最大の凶事は、戦前的国家主義回帰への妄想にとりつかれた安倍政権が存続しているということです。僕が一番懸念しているのは、この手の幼稚な観念右翼ぐらい現実的、実際的な情勢認識や判断力に乏しいものはないからで、何かといえば「国民の安全を守る」なんて言っていますが、そんな能力などありはしないことです。端的に言って、安倍晋三は頭が悪すぎる。デンデンだけの話ではないので、日本会議その他が彼を担ぐことにしたのは、一番おだてに乗りやすく、利用しやすい政治家だったからにすぎません。閣僚に馬鹿が揃っているのも、基本的には頭(かしら)が彼だからです。

 いい加減、日本人はそのことに気づくべきです。夫婦そろって自分個人の内面の始末がつけられないまま、コンプレックスにまみれ、共に手を携えてそれと自覚のないまま政治を私物化するうちに「負の遺産」をどっさりこしらえて、それが後々日本社会に深刻な禍根を残すことになりかねないので、マスコミも世論も考えが甘すぎます。

 以下は、「首相、昭恵氏の国会招致改めて拒否 森友問題」という見出しの、朝日の昨日の記事です。

 学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題をめぐり、安倍晋三首相は8日の衆院予算委員会で、学園が新設を予定していた小学校の名誉校長だった妻昭恵氏の国会招致について、「もうすでに何十時間も議論し、(私が)家内のことについても誠実に答弁している」と述べ、応じる必要がないとの考えを改めて示した。
 学園前理事長の籠池泰典氏が先月28日、国有地をめぐる交渉経緯を昭恵氏に報告していたなどと明らかにしたことを受けて、民進党議員が「籠池氏のことをウソだというなら、昭恵夫人も国民の前に出てこないと説得力がない」(宮崎岳志氏)などと求めたのに対して答えた。委員会室では籠池氏も傍聴した。
 財務省の佐川宣寿(のぶひさ)理財局長は、籠池氏と同省の田村嘉啓・国有財産審理室長が昨年3月15日に面会した際に籠池氏が録音した音声データについて、「(田村氏)本人に聞くと、『当日のやりとりを記録したものと思われる』ということだった」と初めて認めた。田村氏は学園との取引を「特例」と発言していた。(後略)


 これで「アッキード事件」が終わってしまうなら、それこそ日本はもう終わりでしょう。道理もへったくれもない国になってしまったということの、それは明白な証拠だからです。森友問題は不透明な安倍式忖度政治、身内の利益優先を当然とする不正なお友達政治の象徴として大きな意味をもつので、アホな首相夫人と右翼学校の癒着というだけの問題ではない。基本的にこれは韓国・朴大統領の「崔順実ゲート」と変わらないので、加計学園の件もそうですが、安倍はお友達理事長のために「国家戦略特区」なる制度まで悪用したのです。女房のことをとやかく言えるわけはないので、夫婦そろって似たようなことをしているから「妻だけの問題」にとどまらなくなるのを本人は恐れるのです。

 この手の国政の私物化を、安倍は多数やってきました。内閣法制局長官や最高裁、NHK会長の人事から、何とか諮問会議の人選にいたるまで、従来の慣例を無視した「お友達ゴリ押し」人事を乱発し、それが機関の独立性を害し、民主主義を踏みにじる暴挙だという批判には何ら耳を貸さなかった。他方で、自分に批判的なことを言うマスコミには「公正さに欠ける」という噴飯ものの屁理屈で容赦なく圧力をかける。情実政治の韓国を超えて、北朝鮮の金正恩に近くなっているのです。ヤンキー政治とはよく言ったもので、それが「戦後政治の総決算」なら、未開の野蛮国への転落としか言いようがないでしょう。国辱ものです。

 今回の北朝鮮問題でも、やることの程度が低すぎる。森友学園に始まる一連の問題から目を逸らさせるためにむやみと恐怖を煽って、「ミサイルが飛んできた場合の対処法(実は対処にも何にもなっていない)」を政府自らが広報するなど、馬鹿すぎて物も言えない(4月29日早朝、一部地下鉄や新幹線もこの政府の煽りにおつきあいして運転を見合わせたという話ですが、それは打ち上げ後40分も経ってからだったというのは笑えるので、どんな“鈍行”ミサイルがあるのかと思います。しかも、それは数分後には爆発、落下したのは「北朝鮮内陸部」だったというのだから、泣けるのです)。危難の際に政府が自らパニックを招来しようとする国など聞いたことがありませんが、ブッシュも9.11の後、「またいつテロが起きるやも知れない!」と煽りまくっていたので、あれを真似たのかもしれません。オツムの程度もブッシュと安倍ではいい勝負ですが、あれは不法盗聴など国民監視の正当化と無理なイラク戦争への布石だったことを思えば、意味深長です。あのときブッシュは悪名高い「愛国者法」をドサクサ紛れ成立させましたが、安倍の場合は危機感を煽って「テロ等準備罪法案(この前も書いたように、大方はテロとは関係がない)」を通したいのです。

 姑息にもほどがあるので、先の朝日記事には、「『もうすでに何十時間も議論し、(私が)家内のことについても誠実に答弁している』と述べ、応じる必要がないとの考えを改めて示した」とありますが、説得力はゼロで、ごまかすから議論が長引くのです。一体『安倍国語辞典』では「誠実」の定義はどうなっているのでしょう?

 ネットのgoo辞書によれば、

私利私欲をまじえず、真心をもって人や物事に対すること。また、そのさま。

 とあって、この定義が標準的なものだとすれば、「安倍辞典」にはその反対の定義が書かれていることになるでしょう。たとえば、「自分の言いたいことだけ言い、不都合なことを訊かれると逆ギレして、それには答えず、相手の些細な落ち度を見つけだして、カサにかかってそれを攻撃すること」などです。これはいわゆるモンスター何とかの人たちに共通する性格ですが、安倍答弁も大方がこれで、安倍辞書では「誠実」はそう定義されていると見て間違いなさそうです。だからご本人にしてみれば、嘘をついているという自覚はない。

 問題はこういうモンスター総理に、国民が「そんな態度は通用しませんよ」とはっきり引導を渡せるかどうかです。森友問題をうやむやにして、昭恵夫人の証人喚問も行われず、そのまま政権が存続して、支持率も維持されるということになるなら、それを承認したのと同じになってしまう。「あの手にかぎる」と、他の政治家たちにも学習させることになって、説得によって相手を従わせるという民主主義の手法は死んでしまうでしょう。それでいいのか、ということです。どんな程度の低いヤンキーでも、それがボスになればその意向を忖度し、忠勤合戦に励むのが保身と昇進の最良の方策だということに、すでになってしまっているようですが、それが定着して日本政治の“常態”になれば、この国の有様はどうなってしまうでしょう? これは大げさな話ではないのです。

 安倍はやかましく教育問題にも口をはさんでいますが、彼の政治スタイルは子供の道徳教育の見地からしても甚だしく有害なので、オトナたちはそのあたりのことも心配しなければならないでしょう。最低限のけじめもつけられないような内閣は総辞職すべきです。「妻や私が関係していたとわかれば、総理も議員も辞める」と見えを切ったのは安倍自身で、役人たちがいくら口裏合わせしようと、「関係していた」のは明白で、夫人の証人喚問に応じられないこと自体、それを証明しています。

 野党議員の皆さんには頑張ってもらいたいので、昨8日、衆院予算委の審議中、森友問題で民進党の福島伸享議員に突っ込まれた際、安倍は「『ずぶずぶの関係』とか、そんな品の悪い言葉を使うのはやめた方がいい。それが、民進党の支持率に出ている」とうそぶいたそうですが、総理にあるまじき低級なヤジを飛ばす安倍ごときに「品の悪い言葉」などと言われる筋合いはどこにもないので、ご自慢の自民の支持率というのも、ネトウヨはともかく、大半が「積極的支持」ではないのです。いい加減、国民も愛想が尽きかけているから、安倍流「誠実」の正体が誰の目にも明らかになれば、支持率は急落するでしょう。彼が墓穴を掘るのを野党は手助けしてやればよいので、追及の手を緩めないことです。繰り返しますが、有事の際、口で勇ましいことを言うだけの、こういう腰だめのない無責任で幼稚な政権ではうまく対処できない。倒閣はだから、国益にもかなうのです。こういう安手の観念右翼もまた、「平和ボケ」の産物の一つなのだと気づいた人は、すでにかなりの数に上るでしょう。いつぞや彼は迷彩服に身を固め、戦車に乗って手を振るという「戦車パフォーマンス」をやって、「カッケ―!」とやんやの喝采を浴びてご満悦だったそうですが、今回の北朝鮮ミサイルへの騒ぎ方も、同じように妙に自己陶酔的でマンガチックなのです。

 そういう政治屋に国のかじ取りを預けて平気でいられる神経が僕には理解できないので、もう少し有権者も危機感をもった方がいいでしょう。北朝鮮は危ないが、それに対応するのがこういう政権だということが、事態をいっそう危険なものにしているのです。
スポンサーサイト
プロフィール

大野龍一

Author:大野龍一

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR