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「サル化」する人たち

2017.01.18(15:25) 432

 サルとヒトではDNAは僅か2~3%しか違わないという話ですが、その僅かな差が大きな違いを生んで、今のこの文明があるわけです。サルとヒトの大きな違いの一つは、「こうすればこうなるだろう」という推理推論に基づいてシミュレーションができる能力と、全体的な視野から物事を把握し、再考できる能力にあると思われますが、最近はこうした能力が欠落した、「サル返り」の人が増えている気がします。病的に独善的、一方的、一面的で、そうした自分の考え、というよりは思い込みに基づいて短絡的な行動を取り、近視眼的・自己中心的だから、「こうすればこうなるだろう」という全体的視野からの未来予想もできないので、周りからの反応に狼狽して、また混乱した行動に走ることになるのです。

 最近の韓国がそうだし、トランプを選出して、「何でこんなことになったのか?」と困惑している今のアメリカなんかも未来予見能力のなさの好例に見えます。一般世間でも「この人は何を考えて生きているのだろう?」みたいな近視眼的な行動・反応を示す人が増えているように思われるので、善良か悪辣か以前に、思慮が足りていないのです。行動する前に、立ち止まって考えてみることができず、そのときそのときの思い込みや気分だけで動いてしまうので、それによって生じるであろう周りの反応や他人の迷惑などは「思慮の外」なのです(そういう人は、それで困ったことになっても真摯な自己反省には向かわないので、失敗が教訓にならず、成長しない)。

 次のニュースなんかもその典型に見えます。

・「不正を罰する」威圧ジャンパー問題で市謝罪

生活保護受給者の自立支援を担当する神奈川県小田原市の複数の職員が、ローマ字で「保護なめんな」とプリントされたジャンパーを着て各世帯を訪問していたことがわかった。
 ジャンパーは職員が自費で作り、「不正を罰する」といった受給者を威圧するような英文も書かれていた。市は17日、記者会見を開き、「受給者に不快な思いをさせてしまい深くおわびする」と陳謝した。
 ジャンパーの胸には「HOGONAMENNA」のローマ字や、×印が付いた「悪」の漢字をあしらったエンブレムがある。背中側には「我々は正義だ」「不当な利益を得るために我々をだまそうとするならば、あえて言おう。カスである」という意味の英語が書かれている。(読売新聞1.18)


 ここまで次元が低いのも珍しいので、「世間の目」を過度なまでに気にする、慎重なお役人のやることとはとうてい思えない。誰かがこういうものを「提案」しても、それが非常識であることは歴然としているので、職場の賛成を得られず、「何を馬鹿なこと言ってるんだ」で終わってしまうでしょう。ところが、そうではなかったのです。

 こんなことを考えた理由は何か? 別の読売の記事によれば、

「受給者に対する差別意識を持っている職員はいない」「内部に対して『生活保護(担当を)なめんなよ。みんな頑張っているんだ』と訴えたかった」。市役所で行われた会見で、市福祉健康部の日比谷正人部長らはこうした説明を繰り返し、職員の連帯意識を高めることが目的だったと強調した。
 ジャンパーは2007年、生活保護の受給を巡って職員が切りつけられた事件をきっかけに、有志の職員が作ったという。1着4400円で、その後に配属された職員も含め約10年間で計64人が購入。複数の職員が受給世帯の訪問時にも着用していたという。


 という話で、「受給者に対する差別意識を持っている職員はいない」「内部に対して『生活保護(担当を)なめんなよ。みんな頑張っているんだ』と訴えたかった」というのは大嘘だと思いますが、「職員が切りつけられた事件をきっかけに」始まったというのも解せないので、ヤンキーや暴走族が同じド派手な刺繍なんかをあしらったジャンパーを着て強がり、対抗グループや一般市民を威圧しようとするのと心理的には同じなのです。

 しかし、相手はそれでなくとも「心苦しい」思いをしている生活保護受給者ですよ。いや、「不正受給」を強く疑われる相手にだけこれを着用した、ということなのでしょうか? おそらくそうではないはずで、無神経の極みです。

「何や、おまえ、そのジャンパーは?『悪』て何のことや? ゴチャゴチャ横文字で書いとるのも、きっちり日本語に訳してみんかい!」そう、「不正受給」の暴力団の組員もどきに脅されたら、ビビってそれで終わりなのではないですか? 大体、あの手の連中をいくらかでも知っている人間なら、そういうのは逆に相手につけ込む材料を与えるだけだとわかるはずです。頭が悪すぎるので、それで結果として、そうでない善良な受給者を不当に貶めるだけになるのです。別に自分の財産を相手に与えているわけではなく、自分も税金から給料をもらっている身なのに、ですよ。

 僕も過去に、その手の“もどき”から「不正に」三度ばかり脅迫されたことがありますが、一度は完全無視で、残りは言いがかりとしか思えないそのふざけた言い草に激怒してしまいましたが、その反応を見て、「こいつはやばい」(今頃気づくな!)と思ったらしく、早々に退散して下さったので無事でした。別にジャンパーやイレズミ(大阪市の職員にそういうのがいるというニュースが前にありました)なんかはいらないので、そもそもの話、そんなものは何の役にも立たないのです。

 要するに、まともな人を不快にさせるだけで、何のメリットもない。市の上の方から、「受給者が増え続けて困る。何とかしてそれを抑えろ!」という命令が出ていて、「不正受給は許さない」というアピールをするために、また、個人としては弱々しいのが揃っているので、何とかして強がりたいとそんなものを考えついたのでしょうが、それがどういう効果、反応を引き起こすか、全く予見していなかったのです。そこらへんの思慮の乏しさは「サル的」と言う他はない。

「自分はひょっとしてサルではないのか?」と、たまには自省してみたらどうですかね? 僅か2~3%の差しかないのだから、油断するとヒトは容易にサルに戻ってしまうのです。コマギレの知識・情報の類をいくら集めても、それはヒトのサル化を防いでくれるものではない。むしろ情報洪水の中で自己を顧みることが少なくなったために、「サル化」は加速していると見るべきでしょう。
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祝子川通信 Hourigawa Tsushin


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