北朝鮮が核ミサイルを使う日

2016.09.11.01:27

 それはだいぶ現実味を帯びてきたようです。以下、毎日新聞電子版の記事。

北朝鮮:「核弾頭の威力判定」核実験成功を発表

 北朝鮮はこれまで、いわゆる「瀬戸際外交」なるものを続けてきました。それはbluff、はったりにすぎなかったわけですが、金正恩は側近の「処刑」をエスカレートさせており、軍幹部や政府要人ですら、恐怖心から従っているだけで、彼の孤立感はこの上なく深まり、加えて中国との関係も悪化させているので、あれだけぶくぶく太っていれば病気もちに違いないし、こういったことを全部考慮すると、自暴自棄の行動に出る可能性は相当高くなっているのではないではないかと思われます。つまり、あの国はこれまで「核カード」を食糧・経済・技術援助等々を得るための脅しに使ってきたが、海外との外交関係好転の期待はもてず、国内的にも信望はゼロで、部下にいつ寝首をかかれるやも知れず、おまけに若いのに成人病のデパートみたいな有様で、もう大して長くないと思えば、やけのやんぱちの自滅行動に出ることは十分考えられるということです。

 仮に今回の核実験が本当に「成功」していたとすれば、問題は核ミサイルをどこに向かって飛ばすかということです。この前のミサイル発射実験では、三発のミサイルが日本の排他的経済水域の「ほぼ同じ地点」に落ちたそうで、その「精度の向上」が注目されましたが、日本国内まで飛ばす能力を、むろん北朝鮮はもっているわけです。決まり文句みたいな脅し、「ソウルを火の海にしてやる」の実行はむろん可能でしょうが、「世界を震撼させる」効果からすれば、日本国内に落とした方がインパクトは大きいと、彼らは計算するかもしれません。うまくすればそれで中国との関係をよくすることができるかもしれないと不安な金正恩は妄想する。アメリカまで飛ばすことはしない。口ではいくら「米帝」を非難はしても、やはりアメリカは恐ろしいし、ちゃんとそこに到達するか、技術的な不安もあるからです。

 狂人の頭の中は読めないから、そこらへんはわからず、「敵の敵は味方」だから実はISと連絡を取り合っていて…、なんてこともあるかも知れませんが、たぶん北朝鮮のミサイルのターゲットとして一番有力なのは韓国と日本でしょう。それでいっときは「世界を震撼」させても、戦争になれば米日韓の連合軍にイチコロにやられてしまう。それがわかっているから父親の金正日の時代にはそんなことは決してしないだろうと考えることができたが、「どうせ長くない」三代目の金正恩は、愚行の積み重ねですでに十分追い込まれているから、自暴自棄になって何をしでかすかわからないところがある。「糖尿を患う情緒不安定のヤンキー」が「絶対権力」を握っているのだから、危なくて仕方がないのです。

 たぶん犠牲が一番少なくて済むのは、軍がクーデタを起こして金正恩を監禁し、各国に支持と援助を仰ぐようなかたちでしょう。つまり、自発的に「金王朝」を終わらせることで、いったんは軍政を敷いて、そこから徐々に民主的な体制に移行する。「朝鮮半島統一」は「民族の悲願」だそうですが、それはまずそれをやってからの話です。

 内部からのヒトラー暗殺計画がついに実現しなかったように、それは容易なことではないかも知れません。嫌疑がかけられれば即「処刑」というのが、今の北朝鮮だからです。何せ、公的な場で居眠りしたというだけで、「偉大な同志」の自尊心を傷つけたといって殺される始末なのですから。それではなおさら、諫言などできないわけです。しかし、そういう幼児人格であるからこそ、自分で自分の首を絞めるような愚行を重ねて、どうにもならなくなって自滅的な暴発に出る危険性は高い。

 軍の幹部たちは三代にわたる金独裁政権下でその片棒を担ぎ、さんざん非道の行いをしてきたから、クーデタを起こしても国民の信頼が得られない、という不安があるのかも知れません。しかし、下からの革命を期待しようにも、それができそうな人たちは政治強制収容所で片っ端から殺してきたから、そんな勢力は残っていないわけです。

 冒頭の記事には国連の非難決議のことが出ていますが、ああいうのは何の法的拘束力もないし、金正恩の被害感情を強めて暴走をエスカレートさせるのに役立つだけのように思われます。かつてのオウム真理教みたいなもので、数々の「疑惑」を追及される中で彼らは一方的に被害感情を募らせ、ロシア製軍用ヘリによるサリンの首都圏空中散布と、「自社製」自動小銃で武装した信者たちの一斉蜂起を計画するにいたったのです。実現しなくて幸いでしたが、際どいところでした。僕には金正恩が麻原彰晃よりはマシだとは思えません。その精神は崩壊の瀬戸際にあるように見えます。

 だからと言って、どこやらの右翼や宗教団体のように、「北朝鮮を先制攻撃せよ!」なんて勇ましいことを言う気はもとより僕にはありません。端的に、そんなことは許されないことだと思うからです。僕はあのような愚かな独裁君主を戴く貧しい北朝鮮の一般国民に深く同情しています。昨今、「為政者の幼児人格化」の問題は何もあの国特有のものではないとしても、システムがシステムだけに、その弊害は甚だしいのです。

 だから何とかして早くあのトンデモ政権を「安楽死」させるのが望ましい。アメリカのCIAはかつて、「親米的でない」「共産化しそうな」国の民主的に成立した政権を、裏で糸を引いてクーデタを起こさせるなどして、少なからぬ「成功」を収めました。それはアメリカには好都合でも、当事国の国民にとっては迷惑この上ないことで、おかげでアメリカに忠誠を誓う軍事政権に逆戻りしてしまったりしたのですが(その政権が言うことを聞かなくなると、今度は「反民主的」だという理由でまた潰そうとしたりするのだから、経緯を知る人間には相当いかがわしい「正義」ではあります)。

 アメリカをはじめとする各国の諜報機関が北朝鮮問題でどれほどの情報を得ているのか、もとより僕は知りませんが、そこらへんは各国で情報交換して、情報の精度を高めると共に危険度をきちんと査定し、「これはほんとにやる気だ」ということがわかった時には、ミサイルの発射基地に爆撃を加えてその企図を潰すことぐらいは必要になってくるかもしれません(それはあくまで戦争を止めるための措置です)。先にも言ったように、内部からのクーデタで金正恩の暴走を止めるのが一番望ましいと思いますが、CIAなんかはその方面のノウハウはかなりもっているだろうから、こういうときにこそそれを「善用」してもらいたいものです(今のアメリカは他のことで手いっぱいで、北朝鮮にさほどの関心はもっていないようにも見えますが)。今の安倍政権は言うことは勇ましくても、そこらへんの情報収集をきちんとやっているのか、いくらか心許なく思われます。

 以上、あくまで素人考えですが、僕にはこれは杞憂とは思えないので、書いてみました。北朝鮮をジョークのネタにしていられる時代はもう過ぎ去ったのではないでしょうか。
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