マストドンの復活か? 「ゼネコン政治家」の幹事長就任

2016.08.02.00:50

 安倍晋三首相は3日に行う内閣改造・自民党役員人事で、サイクリング中の事故で入院している谷垣禎一幹事長を交代させ、後任に二階俊博総務会長を充てる方針を固めた。首相はいったんは谷垣氏を続投させる意向を固めていたが、復帰の見通しがはっきりしないことから断念した。また、首相は、外交の継続性が求められる局面だとの判断から岸田文雄外相の留任も決めた。
 首相は、谷垣氏が党内の意見を取りまとめてきた手腕を高く評価しており、留任を強く望んでいた。しかし、事故で頸髄(けいずい)を損傷し手術を受けた谷垣氏の回復時期は現状では不明。谷垣氏は事故後に辞意を伝えていた。首相は、9月中旬からの秋の臨時国会までに谷垣氏が復帰することを期待していたが、谷垣氏の回復時期が明確にならないため、交代させざるを得ないと判断した。
 二階氏は衆院当選11回のベテランで経済産業相などの閣僚経験もあり、谷垣氏に代わる党内の取りまとめ役にふさわしいと判断した。当初は総務会長に留任させる考えだったが、谷垣氏交代の決断を踏まえ、首相は7月31日に電話で二階氏に幹事長職を打診。二階氏は受け入れる考えを伝えた。(毎日新聞電子版より)


 この御年77歳の二階俊博という政治家は「ラストボス」なんて呼ばれていて、田中角栄時代の露骨な利権政治の伝統を今に受け継ぐ御仁で、ニュースで「いかにも」というその悪相を見るたび、「これはほとんどマフィアの親玉だな…」と苦笑させられるのですが、僕の郷里の和歌山県選出の議員です。「黒さ」が見た目にも露わなので、「あんなのしかおらんの?」と田舎に帰ったとき周囲の人たちに聞くと、「おらん!」という苦々しげな返事が返ってきます。僕の田舎は彼の地元ではないので、利益誘導政治の恩恵もあまりないようで、新しい国道だの橋ができるといっても、大手のゼネコン(政治献金をしこたましているのでしょう)に丸投げされていて、地域の土建屋などはお相伴(しょうばん)にあずかれないようです。それで、彼らを食わせるために生態学的配慮ゼロの、いりもしない砂防ダム建設などが日常的に繰り返し行われ、川も谷もおかげですっかり台無しになってしまったので、僕は怒っているのですが、有力な対抗候補がいないから、ずっと彼の天下が続いているのだという。嘆かわしいことです。

 しかし、それもそろそろ終わりではないかと言われています。これは全国的なニュースになったので、ご存じの方も多いでしょうが、彼は今年5月22日に行われた地元の御坊市の市長選挙に、自分の政策秘書なるものを務める長男(51歳)を立候補させました。現職市長が高齢(75歳)のため引退を表明していたのでそうなったようですが、二階氏側が立てるのが長男だということを知って、あんな奴では困ると辞意を撤回し、争うことになったのです。元々この市長は二階氏の支援を受けて市の職員から立候補し、以来六選、ずっと両者の蜜月は続いていたようですが、親の威光をカサに着た長男の俊樹はその並外れた傲慢さと品性の下劣さで地元では有名で、「あんなのに市政は任せられない!」と態度を硬化させたもののようです。

 御坊市は人口わずか二万五千人の町ですが、自民党の総務会長の息子がそんな田舎の零細自治体の首長選挙で落選するようでは沽券にかかわると、今を時めく小泉進次郎や稲田朋美まで応援演説に駆り出し、むろん二階会長の地元組織も総動員して(公明党=創価学会の支持も取りつけたのは言うまでもありません)、異例の必勝態勢で臨んだようですが、ふたを開けてみると、現職9375票に対し、長男は5886票という「ダブルスコアでの惨敗」になったのだから、いかに地元での長男の評判が悪かったか、わかろうというものです。ふつうなら「義理票」だけで半自動的に勝ってしまうはずなのに、人気国会議員まで駆り出してもなお大差で敗れたのです。

 二階氏の「計画」では、このお困り長男を地元御坊市の市長にして、国会議員の席は三男に譲り渡すつもりだったようですが、こうした「政治の私物化」のプランは、その第一歩で躓いたのです(三男は長男よりはマシという話ですが、アホな世襲はいい加減にしてもらわないと困ります。北朝鮮ではあるまいし、それが日本の政治家の質の劣化の大きな原因の一つになっていることは明白だからです)。

 しかし、ここで谷垣氏の事故のおかげで幹事長のポストが転がり込んできたというのは、二階氏にとってはもっけの幸いで、「やはりオレは強運だ!」と一人ほくそ笑んだことでしょう。呆れるのは、この古い古い「ゼネコン政治家」の幹事長就任に株式市場は「ゼネコン株急騰か?」と色めき立っているらしいことです。

(自民の)政権復帰後、ゼネコンの業界団体「日本建設業連合会」から自民党の政治資金団体への献金額はおよそ3倍に膨らんだ。“国土強靱化”の名の下、政府が大型公共事業を乱発。その見返りにゼネコンが献金をバラまいたわけだが、自民党の「国土強靱化総合調査会長」を務めるのが二階氏だ。
「政府が来月初旬に閣議決定する経済対策の事業規模を、10兆円から最大30兆円に膨張させたのも二階氏です。今月(=7月)21日、財務省の福田淳一主計局長を党本部に呼び出し、『もっと上積みするように』と一喝し、税金の支出拡大を迫りました」(霞が関関係者)。
 その結果、大型のクルーズ船が利用できる港湾整備、リニア中央新幹線の建設などゼネコンが喜びそうな案が盛り込まれたわけだが、“二階幹事長”が誕生し、実権を握れば、ゼネコン業界がますます潤うのは間違いない。株価の急上昇も必至だ。どんな銘柄を狙えばいいのだろうか。(ライブドア・ニュースより)


 ということで、マネーゲームに興じる向きには絶好の金儲けのチャンス到来と見られているようですが、これでまた赤字国債が積み上がる速度がアップするわけです。亡国政治屋に、亡国投資家…。何という「美しい国」でしょうか。

 にしても、今の自民党は政治イデオロギーでは「戦前回帰」、伝統的なもので残っているものはと言えば、相も変らぬ土建利権政治で、新旧の悪いもの同士の結合しか見られないというのは真に驚くべきことです。代わりを探したら、こんなオッサンしかいなかったというのは、今の自民党はいかに人材が払拭しているかの証拠ですが、野党の方もこれに輪をかけているようなので、有権者は「最悪のものからの選択」を余儀なくされ、おかげで安倍政権は4割台の支持率を維持できるのです。和歌山県出身の僕としては、遠回しに「遺憾の意」を表明すると共に、次の衆院選では野党が協力して、二階に勝てそうなパンチ力のある候補を立ててくれることを願うのみです。そうなったら僕の田舎の知り合いは皆、その人に投票すると思いますけど。

(ちなみに都知事選、大方の予想どおり、小池百合子氏が勝ちましたが、「野党統一候補」の鳥越俊太郎氏は準備不足がどうの、過去の女性スキャンダルがどうのという以前に、「年のとりすぎ」です〔満の76歳ですよ!〕。前にも「反原発候補」で小泉元総理が細川のお殿様を担ぎ出したりして、野党もそれに相乗りしていましたが、あちらもご老体で、当選しても任期を全うできるのかと危ぶまれる始末で、それがマイナスに響いた。野党が過去の名声や知名度に頼っていてどうするんだという気がするので、発想に清新さが感じられないのです。国会で鋭い追及を見せる山本太郎あたりを出して、ガンガンやっていれば、ひょっとしたら勝てたかも知れないと、僕にはそれが残念です。)
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