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憲法改正について

2016.05.03(19:08) 385

 憲法記念日の今日、憲法改正についての世論調査に関する、次のような記事が毎日新聞電子版に出ていました。

 日本国憲法は3日、施行69年を迎えた。毎日新聞が憲法記念日を前に行った全国世論調査では、憲法9条について「改正すべきだと思わない」とする人が52%で半数を超え、「改正すべきだと思う」とした27%を大きく上回った。「憲法を改正すべきだと思うか」については「思う」「思わない」がともに42%で拮抗(きっこう)した。
 集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法が施行されるなか、9条改正には特に慎重論が根強い。昨年4月の調査では9条を「改正すべきだとは思わない」が55%、「思う」27%だった。

 内閣支持層では憲法改正に賛成が59%で、反対が27%。9条改正に賛成が42%、反対が38%だった。一方、不支持層では憲法改正に賛成が26%、反対が61%。9条改正に賛成が12%、反対が71%だった。
 安倍晋三首相は衆参両院で改憲発議に必要な3分の2以上の議席を確保したい考えだ。参院選で、憲法改正に賛成する勢力が参院の3分の2以上の議席を占めることを期待するかどうかを尋ねたところ、「期待しない」が47%で「期待する」の34%を上回った。

 調査は4月16、17日に実施した。【須藤孝】


 これを要するに、憲法改正そのものには賛成する人でも、9条改正に関してはなおも慎重な有権者が多いということで、日本人の良識が示されたかっこうですが、安保法制とカップリングして、アメリカのアホな戦争の下請けをやらされても、罪のない人たちがよけいに殺されるだけで、世界は平和になるどころかかえって不安定化するだけだし、自衛隊にも死者が出るだけで、何の意味もないということは大方の人がわかっているということなのだろうと思います。アベノミクスが「浦島太郎の経済学」であるのと同じように、安倍晋三が考える「安全保障政策」も、「帝国主義時代」のそれで、実は安全保障にも何にもならない、かえって安全を害するだけなのです。経済面の失策よりも、人の命が直接かかっているだけに、こちらの方が害悪ははるかに大きい。

 たぶん、それでも9条改正に賛成と言う人たちは、安倍と同類の低レベルの観念右翼を除けば、「中国脅威論」を念頭に置いている人たちでしょう。中国が経済的に大混乱に陥れば、戦前の「日本帝国」みたいになる可能性はあります。そのとき今の9条では国は守れない、その人たちはそう言うのでしょう。

 中国政府と軍の要人がまともな人たちなら、そういうことにはならないでしょう。次の日中戦争は第三次世界大戦につながり(中東はすでにあの通りだし、ロシアはEUと本格的にドンパチを始める)、その戦争では勝者はいないでしょう。通常の戦闘における死傷者にとどまらず、無残に破壊されたいくつもの原発の周辺から放射能汚染が広がり、それは世界を覆うでしょう。核兵器は使用されなかったが、実は「原子力の平和利用」のつもりの原発こそが人類の命取りになるものだったと、そのとき世界は思い知るのです。原爆で一気に殺されるのと、深刻な放射能汚染の中で死んでゆくのと、どっちが残酷かわからない。

 いや、だからこそ抑止力としての強力な軍が必要なのだと言われるかもしれませんが、戦争は理性が正常に機能しなくなった時起きるのであり、正常に機能しない理性にとって、抑止力は抑止力ではありません。それはたんなる「脅し」としか映らず、暴走への刺激剤になりかねないので、双方の愚かな政治家と軍人が「愛国心」に訴えて、「戦争やむなし」という世論世形成に尽力するのに役立つだけなのです。「見ろ、あの態度を! あんなのをほうっておいて男と言えるか!」「そうだ、そうだ!」ということになって双方盛り上がり、一人ではこわくて喧嘩もできないような腰抜けにかぎって勇ましいことを言い出すのです。安倍晋三なんかその典型でしょう。だから僕はああいう奴が嫌いなのです。

 しかし、それ以前にとんでもない事故が起きて、こうした「盛り上がり」に水を差す皮肉な結果になるかもしれない。次は先月22日のロイター通信の記事です。

 中国共産党機関紙・人民日報傘下の有力国際情報紙、環球時報は22日、南シナ海で行う活動に電力を供給するため、中国が海上浮動式の原子力発電所を建設する計画だと報じた。
 中国は南シナ海で軍事演習を行ったり施設を建設するなど軍事拠点化を進めており、周辺国が反発している。中国政府は、建築物の大半は灯台など民間での利用が目的だと主張している。
 報道によると、この原発は遠隔地に「移動」させることができ、安定的な電力を供給するという。
 原発の設計・建設を担当する造船大手の中国船舶重工集団幹部が同紙に対し、計画を進めていることを明らかにした。この幹部は「何基の原発を建設するかは需要次第だが、需要はかなり強い」と述べた。


 これって、相当恐ろしくありません? パクリ技術の集大成で作った高速鉄道列車が脱線事故を起こすと、証拠隠滅のために穴を掘って車両を丸ごと地中に埋めてしまうようなことを平気でするお国柄ですよ。頻発する工場の爆発事故などでも、周辺を直ちに立ち入り禁止にして、ロクな原因調査もせず、「緑の公園を跡地に建設して、市民の憩いの場とする」などという発表をしれっと行う。それが、おそらく世界初であろう「海上浮動式の原子力発電所を建設する計画(例によって、建設費のかなりの部分がワイロに化けるのでしょうが)」だなんて、大胆を通り越して戦慄をもたらします。それで悲惨な事故が起こったら、領有権がどうのこうのという程度の問題ではすまなくなるでしょう。中国本土に建設されている原発それ自身も、その安全性には大きな疑問があるという話なのに。

 いや、だからこそ何をしでかすかもしれないあの国は危険なのだ、という向きもあるかも知れません。けれども中国人民はそういう国家や軍をほとんど信用していないのではないかと思われるので、この前の日中戦争のときは、勝手に攻め入ったのは日本だったから「抗日」の大義は誰の目にも明白だったが、今の中国の拡張主義にはそうした大義はない。そういうことのために命をかけようなどという一般兵士は少ないと思われる(上の連中が自分たちの出世と利害打算のためにやっているだけだということを、中国庶民はシビアに見ている)ので、いわゆる民間の「草の根交流」を深める方がよっぽど抑止力としては強力なものになるでしょう。そうすると、上がどうでも「笛吹けど踊らず」の状態にすることができる。

 これは日本の場合も同じです。安倍応援団の連中のお粗末はすでに人も知る通りで、田母神元航空幕僚長が公職選挙法違反の罪で起訴されたのは先頃ニュースになりましたが、全体に彼は「国士」を自称する割にやることがセコすぎるし、百田尚樹なんかも、その言動の出鱈目ぶりには笑うしかありません。安倍が送り込んだNHK会長の籾井と来た日には、「歴代最低の会長」の誉れがすでにして高いようで、最近僕はNHKのニュースすら見なくなりました。元から人畜無害すぎたが、今は全き御用放送局となり下がったので、何らまともな情報は得られないからです。視聴料をそれで強制徴収するというのはいかなる根拠によるのか、合点のいかないことです(この前の熊本地震では、鹿児島の川内原発に「不安を抱かせる」ような報道は断じてしないよう、上から指示が出ていた)。

 これは一例で、他にも安倍応援団の文化人や偉いさんたちには??がつくようなおかしなことを言っている人たちがたくさんいるわけで、国家に自己同一化して、心理学でいう病的な「自我膨張」に陥っているような手合いが多いのです。そういうことがだんだんと一般の人にもわかってきたので、改憲論議も盛り上がらなくなってきたわけです。それは幸いなことだと僕は思うので、安倍政権の「裸の王様」ぶりが明らかになってきた昨今、9条改正が現実のものとなる危険はかなり遠のいたでしょう。

 尚、一つだけ付け加えておけば、文言を忠実に読むかぎり、あれは自衛隊そのものを違憲とするものなので、それを合憲とする従来の政府・最高裁解釈それ自体、一種の解釈改憲に他ならないという一部の法学者の説には理があります。もしも今の自衛隊程度のものは必要だと国民の大多数が考えるなら、そこを明確にして、改めてその上にきっちりタガをはめておくことは悪いことではないかもしれませんが、その「タガをはめ直す」能力は今の日本の政治家にはないと、残念ながら僕は思っています(もとより、国家主義者の安倍一派が考えているのはそのような方向のものではありません)。他の有権者の多くも、今の9条の下に成立している「暗黙の了解」のままにしておいた方がよいと考えているのでしょう。
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祝子川通信 Hourigawa Tsushin


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