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安倍政権が次に期待しているもの

2016.03.01.14:43

 このブログ、しばらくご無沙汰しました。理由は単純で、忙しくて書くヒマがなかったからです。国立二次の前のドタバタと、翻訳の校正ゲラの直しが重なって、いっときは毎日15時間ぐらい仕事をしていたので、ふだんはヒマなのに、忙しいときは重なってしまうようです。受験の方は、自分が受験するわけではないので生徒たちの頑張り次第ですが、翻訳の方は、僕はこういうところだけ異様に細かい人間で、加えてこれは今までで一番手をかけたものなので、妙な言い方をすれば、「原書よりよくなっている」と自負しているのですが、疲れた分、納得のいく仕事ができました(しつこく直すので編集者には迷惑ですが)。出版社の都合にもよりますが、数か月中には読者の手元にお届けできるでしょう。

 この間も、ロクでもないニュースがたくさんあって、株価の低迷(1万6千円をはさんで神経質な展開が続いていますが、あと3千円下がるところまでは行くだろうという観測が専らです)、自民党議員の相次ぐ不祥事・失言(小学校で習ったはずなのにハバマイが読めないとか、アホみたいな「電波停止」発言とか、日本をアメリカの51番目の州にできるよう憲法改正できないか考えろとか、この最後のは実質上わが国がアメリカの植民地にすぎなくなっていることに対するブラックジョークならまだしも、真面目に言っているみたいなので、国会議員のセンセイたちには「基礎学力テスト」の受験を義務づけるよう、法改正した方がいい)など、悲惨を極めています。

 海外に目をやると、こちらはもっとひどくて、シリアからの難民流出(その数すでに670万!)は続き、経済はどこも一様に不調、中国経済がヤバいのは前々から言われていますが、EUの優等生、ドイツの銀行も危ないのだとか。さっきニュースを見たら、イギリスのEU離脱もありうるのだそうで、そうなると大混乱は避けられないそうです。中東は、僕は先日、山内昌之氏の『中東複合危機から第3次世界大戦へ』(PHP新書)という物騒なタイトルの本を買って読み始めたのですが、その関係図のややこしさには辟易し、一体誰がこの深刻な混乱を収めることができるのだろうと溜息をつきました。事態は素人の僕が考えていたよりはるかに深刻であるようです。

 お隣の朝鮮半島が滅茶苦茶なのは言うまでもありません。金正恩が完全にイカれているのは周知のとおりで、父親の金正日はまだしも計算づくで恫喝外交をしていたというところがあるけれども、こちらは頭のネジがいくつも飛んでいるので、それだけに何をしでかすか、予測がつかないところがある。そのお隣の韓国は、自国民から「地獄」呼ばわりされている始末で、その財閥支配の経済構造がいびつなだけでなく、経済全体が深刻な不調に陥り、それを脱出する方途は容易には見つかりそうもないようです。

 その他、ニュースにはあまりならないだけで、ブラジルなど新興資源国も経済は絶不調のままだろうし、テロで騒ぎになったフランスは、極右政党が勢力を伸ばし、アメリカではまさかと思ったあの「反知性主義」丸出しのトランプが共和党選出の大統領候補になりそうな雲行きです。先の山内氏の本によれば、ロシアのプーチンも、ソ連時代の「帝国」復活の野望に燃えているようでもあるし、全体に世界はキナ臭いなんてものではありません。

 不幸なことは、こうした外部の悲惨で危険な情勢に安倍政権は大きな恩恵をこうむっているらしいことです。もっと安定した時代なら、彼はたんなる幼稚な観念右翼として相手にされず、政権に就いたとしても早くにその座を追われていたでしょう。しかし、こういう不安な時代には、経済音痴と国際政治音痴が重なっていても、そのタカ派的なポーズが「頼もしさ」に見えてしまうのです。マスコミに加える不当な圧力にしても、「安定」のためにはそれも必要だと不安の裏返しで考える。またマスコミ自身が政権批判を自粛して、翼賛体制構築に進んで協力しようとしているのです。

 僕は当初、アベノミクスがコケたらこの政権も終わりだろうと見ていました。国民はそのあたり現金だろうと思ったのです。しかし、それは実際にはコケたも同然になっている(失業率が微妙に改善しているなんてのは、急激な労働力人口の減少から生じる自然現象にすぎません)し、閣僚や自党議員のお粗末が続いても、ほとんど支持率は下がらず、何と今でも46%もあるのです。暮らし向きが今後悪くなるだろうと答える有権者が多いにもかかわらず、です。

 これは国民の政治への「期待水準」がそれだけ下がっているということに他なりません。野党の頼りなさもむろんありますが、政権交代などでバタバタして、政局が不安定になるのを国民は何より恐れているのです。面倒な是非善悪の議論なんか聞きたくもない、今後世の中は悪くなるばかりで、それは変えられないのだから、せめて波風は立てず、静かにそっとしておいてほしい、みたいな心理が作用していると見られるので、これはほとんど老人の心理です。この前の民主党政権の時代みたいに、期待して失望させられるなんてみじめな思いはもうしたくない。どうせなら静かに逝かせてください、みたいな心理が、それを自覚しているかどうかはともかく、じわじわと広がってこういうことになっているのでしょう。

 これが不健全な心理状態であることは論を俟ちませんが、恐ろしいのはこういう雰囲気になると、「何を言っても無駄だ」という気分に誰もがなってしまいやすいことです。無気力は伝染性をもつ。それでこういう政権が続いていたところに、世界情勢は上に見たとおりなので、いつ戦火が飛び火してくるということにもなりかねず、そうなったら政権には経済の大失策を帳消しにする得難いチャンスでもあるし、一気に全体主義的な政治体制を整える方向に持ってゆくでしょう。そのときは、「やはりサヨクどもは甘かったのだ」ということにされて、ヒトラー体質丸出しになっても、誰も文句は言わないのです(念のためにお断りしておくと、別に僕はサヨクではありませんが)。

 グローバル経済の進展が、その行き詰まりと共に、各国のナショナリズムやセクト主義を強めて、極右政党や排他的な宗教がらみの団体(実際は両者がセットになっていることが多い)の勢力を強め、第三次世界大戦を準備する結果になるというのは皮肉なことです。安倍政権は妙な具合に悪運が強くて、彼はこれまでもそれにずいぶん助けられてきたのですが、彼は次なる「天祐」として、戦火の訪れを待っているのではないでしょうか。その時こそ、この国の「運の尽き」です(最終的には、再稼働を始めたわが国の原発に敵が攻撃を仕掛けて、それでジ・エンドになってしまうだろうと予想されますが)。
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