二次英語の注意点

2016.02.07.15:03

 何となく可笑しかったので書いておきます。

 先日、塾の女生徒が僕に紙片を渡して、「これ、学校の友達のなんですけど、二次でどれぐらい点数が必要か、先生に聞いてきてくれって頼まれました」と言いました。そこには二人分のセンターの得点と、志望大学・学科が書かれていて、要するに、二次でどれくらい得点すれば受かるか知りたい、というわけです。

 これは妙な質問です。というのも、各大学の過去の合格最低点は赤本にもネットにもいくらでも出ているし、そもそも塾生ならまだしも、塾の生徒の友達の面倒まで見る義理は僕にはないからです。たしかに僕は、「勉強の仕方を教えてほしい」というような電話でもあれば、外部の生徒でも気軽に相談には乗ってあげる方ですが、こういうのはヤフー知恵袋なんかで聞くまでもない質問をするのと同じです。今は二次に向けて「鬼の赤ペン先生」になっているところで、それでなくとも忙しいのに、何たるトンチンカンな要請か!

 …とは思いましたが、こういうのは電卓でかんたんにその場で数値が出せるものなので、一応出してあげた(少し厳しめに見て、それぞれ71%、61%の得点が必要という計算結果だった)のですが、たぶん受験生心理として、そういう計算は「恐ろしくて自分ではできない」ということなのだろうと想像し、思わず笑ってしまいました。物理的にはかんたんでも、心理的には困難、という場合もあるのです(それは両方とも男子生徒のようでしたが)。

 ついでに、その生徒たちがこれを読んでいるかどうかは知りませんが、補足しておくと、過去の最低点というのは入試倍率だけでなく、その年の試験の難易度にもよります。英語だけ見ても、同じ大学の問題でもかなり大きな難易度の差があることがあって、有名どころはそのあたり比較的安定していて、そう極端な差は出ないようですが、地方の国公立なんかにはそういうことも珍しくない。だから急に問題が難しくなったように感じた場合、「もうダメだ!」と諦めてしまうのではなく、最低点が下がるか、採点が甘くなるかで、粘り強くやれば合格圏に入れる、ということもあるわけです。また、「二次で70%以上必要」という場合でも、そこの大学は問題が比較的平易だから最低点が高くなっているということもあるので、ビビらないことです。逆に「5割あればお釣りが来る」という場合にも、採点が厳しかったりするので、ナメない方がいい。

 もう一つ、二次の記述式では、とにかく「読んでわかる」答案を書くことです。下線部訳や、「傍線部が指していることを本文に即して80字以内で説明せよ」というような問題で、支離滅裂な日本語を書いたのでは満足な点はもらえないでしょう。読まされる採点官の身にもなってみることです。英作文では、文法的に成立しえない文を平気で書いたり、これは直訳しようとするときによく起こるようですが、構文的にはそれらしくなっているが、英文としては全く奇妙な、意味不明の文になっているということもままあるのです(こういうのは、どうして駄目かということを説明するのは結構難しいのですが)。減点にもレベルがあって、小さな綴りミスとか、主語は単数なのに動詞に三単現の-sをつけ忘れたというような凡ミスの場合と、今見た文法・語法的に完全にアウトというものでは、採点官の心証に大きな違いが出るということも覚えておいた方がいいのです。後者は言語のcommand(使いこなす力)に深刻な問題があると見られるからです。

 そのあたり、自分の答案にどういう欠点があるかは、信頼できる人に添削指導を受けるのが一番効果的かと思いますが、英作文をしていて、自分でも「こんな言い方できるのかな?」と疑問に感じたときなどはすぐに辞書の用例に当たるなどすれば、かなりの程度修正できるし、進歩もするでしょう。これはわが国の学校教育の欠陥だろうと思うのですが、アウトプット、表現の練習に重きを置かないために、語法に鈍感な受験生が多くて、単語さえ思いつけばそれで何とかなると思っているような人が少なくない。だから、迷うべきところで迷わないので、それではよろしくないのです。また、英作文は日本語で書かれた意味を英語に移す作業なので、そこらへん、日本文の「意味をとる」作業が不可欠(逆に言えば、語単位での直訳の必要はない)なのですが、個々の言葉を“移転”することだけに多忙になってしまう本末転倒に陥る人が少なくないのです。時間もかぎられているし、そうそう立派な答案は書けないが、日本語の意味をとった上で、自分がうまく使いこなせる構文で平易な表現を心がければ、わかりやすくすっきりした文ができるはずです。尤も、その「使える構文」が貧弱すぎると、それも難しいので、基本的な重要構文ぐらいはマスターしておいてもらいたいのですが(最近増えている意見英作文については、別に卓抜な見解を示す必要はないので、指示に従った論理的に破綻のない英文が書けさえすればいい)。

 英文和訳の場合には、生徒たちのそれを見ていると、読んで思わずニッコリしてしまう珍訳も珍しくありません。一体どこからそんな話になったのかという感じで、僕ならそういう答案には「愛嬌点」もしくは「面白点」というのをあげたくなるが、採点官が必ずしもユーモアを解する人とはかぎりません。「自分でも何かヘンだとは思ったんです」と生徒も苦笑いしますが、ヘンテコな文になったり、支離滅裂な日本語になってしまった場合には、構文や語の修飾関係などがよく把握できないまま訳していたり、イディオムなのに個々の語単位で強引に訳してしまおうとするからそうなってしまうのです(とくに女の子に多い面白訳の場合、そうした不備を自分の豊かな想像もしくは妄想で補ってしまう)。なかには単語を別の単語と読み違えて、気づかないままだったりすることもある。だからそういうときは、もう一度文を全体としてよく読み直してみることです。そうするとカン違いにパッと気づくこともある。わからない単語やイディオムが含まれていても(本番ではむしろそれがふつうだと思いますが)、前後の文脈から「大体こういう意味だろうな」と推測できることが多いので、急がば回れで、まず文を全体として把握することに重きを置くのです。中に出てくる単語の訳はそこそこ合っているから、全体としては意味不明の日本語でも、かなりの点はもらえるだろうというのは甘いので、それでは根本的に英語というものがわかっていないとみなされる。逆に細部に多少の誤訳や脱落はあっても、ちゃんと構文が取れて、全体としての意味は大体合っているという答案なら評価はよく、減点は僅かですむでしょう。

 以上のようなことを、二次の英語の試験では気をつけた方がいいということですが、マーク式と違って記述ではボロが出やすく、点数差もその分大きくなります。受験生たちは何より「読む側にわかる」答案を書くよう心がけて、頑張ってください。
スポンサーサイト
プロフィール

大野龍一

Author:大野龍一

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR