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日銀、必死の株価操作 行き着く末は?

2016.02.02.15:44

 素人に経済のことはわからないと叱られそうですが、玄人の予測も出鱈目をきわめているので、「素朴な疑問」を書かせてもらうことにします。

 アベノミクスは根本的に間違ったものだと僕は思っていますが、ボロが出そうになるとまた禁じ手を使って延命を図る、それで問題は解決するどころか、いっそう泥沼にはまる悪循環に陥っていると見えるので、こういう経済・金融政策ならサルでもできるでしょう。馬鹿馬鹿しいのを通り越しています。

 まず、いくつかニュースを見ておきましょう。まずは今日のNHKニュースのウェブサイトから。

 日銀が大規模な金融緩和で目標としている世の中に出回るお金の量、「マネタリーベース」は先月末時点で358兆円余りまで増え、2か月連続で過去最高を更新しました。
 マネタリーベースは、市場に流通している紙幣や硬貨それに民間の金融機関が日銀に預けている資金である「当座預金」の残高を合わせたもので、日銀が大規模な金融緩和で目標としている世の中に出回るお金の量を示します。
 日銀の発表によりますと、先月末時点のマネタリーベースの残高は358兆7612億円と、前の月、去年12月よりおよそ2兆6000億円増え、2か月連続で過去最高を更新しました。
 これは日銀が2%の物価目標の達成をめざしマネタリーベースを年間でおよそ80兆円増やす方針を掲げ、国債などの金融資産を大量に買い入れて市場に巨額の資金供給を続けているためです。
 しかし、原油価格の下落などの影響で物価は思うように上昇せず、日銀は先週開いた金融政策決定会合で2%の物価目標の達成時期について、これまでの「来年度後半ごろ」から「再来年度前半ごろ」に遅れる見通しを明らかにしました。
 こうしたなか日銀は、マイナス金利を導入する新たな金融緩和に踏み切ることを決めましたが、中国経済の減速などで景気の先行きに不透明感が増すなか、大規模な資金供給を通じデフレ脱却を果たせるか課題となっています。


 はいはい、何が何でもインフレにもっていきたくて強引なことをしているのだなということはわかりますが、収入が増えない貧乏人にはインフレになっていいことは一つもないわけで、そういう貧乏人は増えこそすれ減ってはおらず、「先の明るい見通し」なんてものは何もないのだから、「出費を抑える」ことに努めるのみです。それで景気がよくなったら、その方がよっぽど不思議です。

 この記事にも出てきた「マイナス金利」ですが、年初来株価が暴落して、政府と日銀は相当慌てたようです。例の「五頭の鯨」による度の過ぎた株価の上方操作にもかかわらず、「下げ圧力」に屈してしまったわけで、これではならじと、また無茶をやる。このまま下がり続けたのでは、年金資金もバクチにつぎ込んでいる手前、「ちょっと失敗して、大幅に目減りしてしまいました。ゴメンね」ですむかと非難轟々になるのは火を見るより明らかなので、何とか「底を打たせる」必要があったのです。次は昨日1日の朝日新聞の記事。

 週明け1日の東京株式市場は、1月29日に日本銀行が決めたマイナス金利政策への好感が続き、大幅高で取引を終えた。日経平均株価の終値は、前週末より346円93銭(1・98%)高い1万7865円23銭。東京証券取引所第1部全体の値動きを示すTOPIX(東証株価指数)の終値は、同30・60ポイント(2・14%)高い1462・67だった。出来高は35億株。
 日銀の新たな政策で、株式市場への資金流入の期待が高まり、朝方からほぼ全面高の展開になった。外国為替市場の円相場が、1ドル=121円台で推移し、電機や機械などの輸出関連株を中心に買いが膨らんだ。売買代金は3兆8千億円に達するなど活況で、「日銀のサプライズ効果が続いている」(大手証券)との見方が強い。


 この記事の「マイナス金利」のところをクリックすると、「用語解説」が出てきます。そこは、こうなっている。

<マイナス金利とは>
金融機関が日本銀行に持つ当座預金のうち、任意で預けている額について、マイナスの金利をつける政策。手数料を取られる形になる金融機関は、日銀に預けていたお金を企業や個人への貸し出しに回すことが期待され、結果として経済の活性化につながる可能性がある。日銀は今回、この当座預金口座の金利全体をマイナスにするのではなく、0・1%、0%、マイナス0・1%と3段階に分け、金融機関の収益が大きく悪化しないよう配慮した。(2016年1月29日夕刊から)


 要するに、こういうことです。この「マイナス金利」のおかげで、普通預金だけでなく、定期預金の利息もほぼゼロになってしまったそうですが、政府日銀の「インフレ政策」に照らせば、これは銀行に預金していたのでは確実に貯金が目減りしてしまうということです。だから株式などの投資に回さないと、「資産防衛」ができなくなるから、一般国民ももっと株を買うようになって、株価が上がるだろうし、銀行の方は、「銀行の銀行」である日銀に金を預けていたのでは損をすることになるから、積極的に「企業や個人への貸し出しに回すことが期待され、結果として経済の活性化につながる可能性がある」というのです。

 この「可能性がある」というのが言い得て妙です。つまり、「確実にそうなる」とは言えないから、そういうビミョーな言い方になるわけで、現実にはならない可能性の方が高かったりするのです。どうしてか? 企業が銀行から金を借りるのは新たな設備投資などをするときですが、それは「新たな需要」が見込めるときにかぎります。でないと、今の中国みたいに過剰設備投資に陥って、後々大変なことになってしまうからです。それでその「新たな需要」があるのかといえば、消費は冷え込んだままで、そんなものはないのだから、売り上げが減って運転資金に困っている中小零細企業しか借りに来ない。銀行が仕方なく貸したとすれば、それは不良債権になる可能性が高いから、新たな火種を抱え込むことにしかならないわけです(大体、今の大企業は内部留保をたっぷりもっていて、金持ちです)。

「個人への貸し出し」についてはどうか? 僕がたとえば銀行の窓口に借りに行ったとします。商売がうまくいかなくて、赤字がかさむばかりだし、ここは一つ、バーンと株でも買って、大儲けしたいから、1億とは言わないまでも、2、3千万貸してくれませんかと言えば、それはアベノミクスに協力する「模範国民」だというので、喜んで貸してくれるでしょうか?「冗談は別の時にしてもらえませんか?」とウンザリした顔で言われるのがオチでしょう。何にせよ、こちらも景気のいい個人が借りに来ることはまずないわけです。

 要するに、物事の考え方がアベコベなのです。需要がないのに、マネーサプライだけ増やしても意味はない。株価だけ人為的に上げても、実態経済はよくならないのです。それで儲かるのは潤沢な投資資金をもっていて、マネーゲームにふけっていられる人間だけで、額に汗して働く多数の庶民はそんな知識もなく、銀行になけなしのお金を預金するだけだが、それはひたすら目減りして、おまけに円安誘導で意地でも物価を上げて、実質賃金を下げてやろうというのだから、踏んだり蹴ったりなのです。それでどうして「需要が拡大」するのか、どこの経済学者がそんなアホなこと言ってるのでしょうか?

 だからアベコベノミクスなんて揶揄されているわけですが、世のエコノミストだのアナリストだのの大半は、それで食っているのだから、自分たちの商売に都合のいいことしか言わない。これはたとえば、大手予備校が文科省や大学入試センターの悪口を言わないのと同じです。それですぐ、「新テストへの対応」についてレクチャーしたりするのですが、商売上それが得策と考えて、既成事実と新方針なるものに無批判に迎合するのみです。僕のような田舎の零細塾の教師は、そんなものクソ食らえで、文科省の「頭の悪さ」を罵倒し、眠たいセンター試験なんてクソ以外の何ものでもない、とかねて言ってきた(新テストもロクなものにはならない)のですが、こちらの方が正しくても、皆さんそういう声は聞かないのです(「代案を出せ!」という声には、こう言っておきます。センターを廃止してのち、入試は個々の大学の創意工夫に任せればよいのだと)。

 経済に話を戻して、問題は数字上の「経済成長」ではなく、所得分配をもっと公平なものにすること、あるいはもっと効果的な所得再分配のシステムを作ることです。そうして年金などの社会保障を確実にものにするというアナウンスをすること。そうすれば安心感が出て、消費ももっと活発になる。民主党政権のとき、消費税は上げるが、それを基礎年金の原資にして、月7万ほどは皆がもらえるようにする(それ以上は個人の積み立てによる)という話だったように思うのですが、安倍政権になってそんな話はどこかへ消し飛んだようで、今の年金制度は遠くない将来崩壊するにきまっているし、それがかたちだけもちこたえても、無年金者が大量発生した暁には生活保護を支給する他なく、そうなると税金もべらぼうに上がるだろうから、「いくら蓄えがあっても安心できない」というので、若い世代の大企業正社員ですら、ひたすら節約にこれ努める(子供の教育費も高騰が予想され、国立大でも授業料が年間百万近くになると試算されている)ということになってしまうのです。「明日をも知らない」貧乏な非正規労働者(若い世代に多い)となるとなおさらで、日々の生活自体がカツカツなのです(しばらく前に、年金が15万しかなくて生活できない、というので新幹線で“抗議”の焼身自殺をしたおっさんがいました。マスコミはえらく同情的な扱いでしたが、ああいうのは同情には値しないので、それだけあれば老人一人、いくらでも生活の手立てはあるだろうに、何を馬鹿なことやってるのだという感じです。今後はそんなぜいたくな話ではすまなくなるのですよ)。

 どこをどう見ても消費=景気が拡大しそうな気配はない。この前、大学生の元塾生たちが何人か一緒に遊びに来て、彼らの「日本社会の将来見通し」の暗さにあらためて驚いたのですが、公務員志望のある学生は、「2020年の東京オリンピックが終わったら、(アベノミクスのメッキもはがれて)もう日本経済そのものが終わりですよね」と言って苦笑いしていました(カッコ内は僕の補足)。「まあ、そうかもね」と僕も笑ったのですが、他から反論は出なかったので、彼らは全員国立大学の学生なのですが、公務員か学校の教師にでもなるしか「経済崩壊」後の安全な生きる手立てはないかのようで、他が壊滅なら公務員も無事ではすまないので、それも危ないかもよ、と僕は脅したのですが、大方は親の負担を減らすためにアルバイトもしているようで、昔のお気楽な大学生とは心情的にも大違いなのです(今の受験生は大学を選ぶとき、必ず「就職先」をチェックします)。

 彼らの名誉のために言っておけば、いずれも陰気な若者ではなく、皆元気なのですが、それは若いから元気なので、それと「将来見通し」は別の問題なのです。実際問題、ペテンに等しい金融・経済政策に頼って、株価とGDP の数値にしか関心がなく、社会の内実向上にはなすところのないこういうインチキ政権が「明るい未来」を切り開く可能性はほとんど絶無です。

 それでいて、直近の世論調査では、安保法制騒ぎで下げた政権支持率が8ポイントも上昇して、51%になったとか。そこにあるのは政策判断とか何とかいったものではなく、たんなる「気分」です。あのときは「戦争になりそうで、何となく不安になったから」下がっただけだったのでしょう。他方であの下らないSMAPやベッキーの騒ぎで、この国の国民はほんとにお幸せな人が多いのだなと、ため息が出ます。まあ、今の世の中、そういう下らない芸能ネタで憂さ晴らしするしかない人が多いのかもしれませんが、愚民化もここまでくれば、まともな判断など出来っこなくなるだろうから、「東京オリンピックで終わり」という先の学生の言葉も正しいのかもしれません。要は高い議員歳費をもらっている政治家はじめ、社会の中枢にいる人間が給料に見合った働きを全然していないからこうなるので、その無能さは咎められてしかるべきです。僕は腹立ち紛れこんなことを書いていますが、今は塾商売は受験生への対応で忙しい時期で、自分の仕事は誠実に、きっちりやってますよ。少しは見習ったらどうですかね。

【追記】笑えるニュースだったので付け足しておきます。
「黒田東彦日銀総裁は4日午後の衆院予算委員会に出席し、日銀のマイナス金利政策の導入を受けても、個人の預金金利がマイナスになる可能性はないとの見解を示した」[ロイター]とのこと。そんなの、あたりまえすぎる話でしょ? いくら今の日本人がおとなしく、無気力でも、そこまで行ったら暴動が起きてしまいます。尚、「今後、マイナス金利幅を拡大させていく可能性については『否定しない』と語った」そうで、お楽しみなことです。そのスバラシイ「経済効果」については、専門の先生方が解説して下さるでしょう。
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