FC2ブログ

読売のこのアホくさい社説、誰が書いてるの?

2015.09.20.20:33

 ラグビー日本代表がW杯で南ア相手に「歴史的勝利」を挙げたということで、世間は「喜びの声」に沸いていて、それとは別に、贔屓のヤクルトがセリーグのペナント争いで首位に立っているというので、僕は個人的には機嫌がいい(しかし、僅差なので喜んでいると後がこわい)のですが、今回はまた面白くない政治の話です。

 これを僕は偶然ネットで見つけたのですが、書いたのはあのナベツネ(僕の嫌いな読売巨人軍のドンでもある)なのでしょうか? 「安倍御用新聞」「日本版人民日報」の評価を不動のものにしている昨今の読売ですが、ここまでくれば、ただの低級プロパガンダ紙でしかないだろうと、あらためて呆れました。
 以下、「安保法案成立へ 抑止力高める画期的な基盤だ」と題された、読売電子版9月19日 03時00分配信の記事です。


 ◆「積極的平和主義」を具現化せよ
 日本の安全保障にとって画期的な意義を持つ包括的法制が制定される。高く評価したい。
 今国会の焦点の安全保障関連法案が19日に成立する見通しとなった。
 歴代内閣が否定してきた集団的自衛権の行使を限定的ながら、容認する。日米同盟と国際連携を強化し、抑止力を高めて、日本の安全をより確実なものにする。
 自衛隊の国際平和協力活動も拡充する。人道復興支援や他国軍への後方支援を通じて、世界の平和と安定を維持するため、日本が従来以上に貢献する道を開く。
 この2点が法案の柱である。

 ◆国際情勢悪化の直視を
 日本は今、安保環境の悪化を直視することが求められている。
 北朝鮮は、寧辺の核施設の再稼働を表明した。衛星打ち上げを名目とする長距離弾道ミサイルを来月発射する可能性も示唆した。中国は、急速な軍備増強・近代化を背景に、東・南シナ海で独善的な海洋進出を強めている。
 大量破壊兵器と国際テロの拡散も深刻化する一方である。
 北朝鮮の軍事挑発や中国の覇権主義的な行動を自制させ、アジアの安定と繁栄を維持する。それには、強固な日米同盟による抑止力の向上と、関係国と連携した戦略的外交が欠かせない。
 安保法案は、外交と軍事を「車の両輪」として動かすうえで、重要な法的基盤となろう。
 戦後70年の節目の今年、安倍政権は、法案の成立を踏まえ、「積極的平和主義」を具現化し、国際協調路線を推進すべきだ。
 この路線は、米国だけでなく、欧州やアジアなどの圧倒的多数の国に支持、歓迎されていることを忘れてはなるまい。
 220時間にも及ぶ法案審議で物足りなかったのは、日本と国際社会の平和をいかに確保するか、という本質的な安全保障論議があまり深まらなかったことだ。

 ◆国民への説明は続けよ
 その大きな責任は、野党第1党の民主党にある。安易な「違憲法案」論に傾斜し、対案も出さずに、最後は、内閣不信任決議案などを連発する抵抗戦術に走った。
 多くの憲法学者が「違憲」と唱える中、一般国民にも不安や戸惑いがあるのは事実だ。
 だが、安保法案は、1959年の最高裁判決や72年の政府見解と論理的な整合性を維持し、法的安定性も確保されている。
 日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある――。そうした存立危機事態が発生した際さえも、憲法が武力行使を禁止している、と解釈するのには無理がある。
 政府が長年、集団的自衛権の行使を禁じる見解を維持してきたのは、今回の「限定的行使」という新たな概念を想定しなかったためだ。従来の解釈が、むしろ過度に抑制的だったとも言える。
 安倍首相は、第1次内閣の2007年に有識者懇談会を設置し、解釈見直しに着手した。13年に懇談会を再開し、昨年5月の報告書を踏まえ、行使容認に慎重だった公明党や内閣法制局も交えた協議を経て、法案を作成した。
 国論の分かれる困難な政治課題に、ぶれずに取り組めたのは、3回の国政選に大勝し、安定した政権基盤を築いたことが大きい。選挙公約にも平和安全法制の整備を掲げており、「民意に反する」との批判は当たるまい。
 無論、今後も、安保法案の意義や内容を分かりやすく説明し、国民の理解を広げる努力は粘り強く継続しなければならない。
 安保法案が成立しただけで、自衛隊が効果的な活動を行えるわけではない。法案は、自衛隊法95条の「武器等防護」に基づく平時の米艦防護や、海外での邦人救出、「駆けつけ警護」など、多くの新たな任務を定めている。

 ◆防衛協力を拡充したい
 まず、自衛隊が実際の任務にどう対応するか、自衛官の適切な武器使用のあり方を含め、新たな部隊行動基準(ROE)を早急に作成しなければならない。さらに、そのROEに基づく訓練を十分に重ねることが大切である。
 平時の米艦防護が可能になることで、自衛隊と米軍の防衛協力の余地は大幅に広がる。米軍など他国軍との共同訓練や、共同の警戒・監視活動を拡充すべきだ。機密情報の共有も拡大したい。
 新たに必要となる装備の調達や部隊編成の見直しなども、着実に進めることが重要である。
 それらが、安保法案の実効性を高めるとともに、様々な事態に切れ目なく、かつ機動的に対処する能力を向上させるだろう。



「文は人なり」と言いますが、まるでロボットが書いたような硬直した文章です。それとも僕が知らないだけで、今はIT技術が進んで、ロボット論説委員というのが現実に存在しているのでしょうか?
「日米同盟と国際連携を強化し、抑止力を高めて、日本の安全をより確実なものにする」というのは聞き飽きた紋切り型ですが、いまだに「抑止力」論なるものを信仰していられるというのは驚きです。

 日本は今、安保環境の悪化を直視することが求められている。
 北朝鮮は、寧辺の核施設の再稼働を表明した。衛星打ち上げを名目とする長距離弾道ミサイルを来月発射する可能性も示唆した。中国は、急速な軍備増強・近代化を背景に、東・南シナ海で独善的な海洋進出を強めている。
 大量破壊兵器と国際テロの拡散も深刻化する一方である。
 北朝鮮の軍事挑発や中国の覇権主義的な行動を自制させ、アジアの安定と繁栄を維持する。それには、強固な日米同盟による抑止力の向上と、関係国と連携した戦略的外交が欠かせない。


 …とあって、今にも日本が北朝鮮にミサイルをぶち込まれたり、東アジア全体が中国の植民地にされかねないような感じですが、北朝鮮に関しては、今回の「安保法制」ができようとできまいと、戦争して勝ち目がないのは北朝鮮政府にはわかりきったことなのだから、金正恩が自殺衝動に駆られたのでないかぎり、そんなことはせず、したとした場合、それは自暴自棄によるのだから、日米の軍事協力が緊密になっていようがいまいが、ほとんど関係はないのです。これは「常識」ではありませんか?

 中国に関しては、今や共産主義とは縁もゆかりもなくなった(個人の土地所有権を認めないという点でだけはそれらしい?)共産党という名の政党の一党独裁体制下における資本主義国家で、汚職と腐敗が蔓延し、社会的公平性が担保されないまま、貧富の格差は極端なまでに拡大し、上から下まで拝金主義に冒されて、公平性を求め、不当な土地収奪などに抗議する貧困農民などを助けようとする社会活動家や弁護士は片っ端から検挙、投獄されるというような「暗黒国家」です。この前の天津の化学工場爆発事件などでも、政府は原因究明も済まないうちに幕引きに走って(何でも当局はその跡地に「市民の憩いの場としての緑の公園」を作る計画を示しているとのこと)、それはあの化学工場それ自体が官民の癒着のシンボルみたいなもので、だからこそ安全性チェックがろくすっぽなされていなかったそうですが、そういう都合の悪いことは何でも政府の強権を背景に隠蔽してしまうという、GDPだけは世界第二位になったが、内情は前近代的そのものの国家なのです。

 そういう中国共産党が一番恐れているのは、自国民の反乱であり、暴動だと思われるので、図体が大きい割には装備も古く、大して役に立ちそうにないと言われるあの軍も、むしろ国民向けの脅しの側面が強いのではないかと思います(だから、あれは「人民解放軍」というよりむしろ「人民警戒軍」でしょう)。

 読売社説にもある「東・南シナ海で独善的な海洋進出」は、海底資源確保と軍事的な意味合いの両方をもつようですが、こういうのも経済的意図と共に、国民統制のための「愛国教育」に励んでいる手前、国民向けに「強い国家」をアピールする狙いがあってしているのでしょう(「独善的」なものであるとはいえ、中国がいずれに関しても「固有の領土権を行使しているだけ」と主張している点も重要です。ならば理をもって対抗するのが正しい)。

 僕は前にここに、「中国はだんだん戦前の日本に似てきた」と書いたことがありますが、経済が大混乱に陥り、暴動が頻発するようなことになると、「海外利権」を求めて「侵略」行為に乗り出す可能性はゼロではないでしょう。

 しかし、それは中国政府にとっては「最悪の事態」なので、そんなことになれば世界から敵視され、海外資本はすべて外部に逃げ出し、経済制裁も受けて、政権は崩壊するしかなく、いいことは一つもないのは明白なので、そういうことはまずしない。「中国の覇権主義」を力説する人たちは、無意識に戦前の日本をイメージしていて(それが何かにつけ戦前戦中の日本を肯定するかのような発言をしている保守派の人たちなのは皮肉ですが)、だから中国は侵略行為に出て、日本も危ない、みたいな煽り方をするわけですが、「感情的」なのはむしろこうした見方の方なので、今の中国はそこらへん、ずっと計算高くて冷静でしょう。

 米中の関係も、「日米同盟を強化して、中国を牽制する」というのは、図式的に単純化しすぎた見方なのは言うまでもありません。アメリカと中国の経済関係はすでにして密接で、アメリカに中国と事を構える気はないし、中国もそれは同様です。下手に日米共同軍事演習を強化したりなどすれば、それは中国「愛国」世論の反発を買って、中国政府はそれを無視できないので、よけいに態度を強化させるということにもなりかねない。「牽制」したつもりが逆効果になるわけです。日中戦争を勝手に妄想して、アメリカの戦争の下請けをして、媚びを売っておけば、日中有事の際にアメリカは日本の見方をしてくれると考えるのも、かなり子供じみた発想です。国際政治はそんな甘いものではないでしょう。

「大量破壊兵器と国際テロの拡散も深刻化する一方である」云々については、他でもないアメリカが馬鹿な戦争をするから、テロリストに対する共感は逆に増え、こういうことになってしまったのではありませんか? そこらへんには頬かむりをしたまま、日米軍事同盟を強化すれば安全が確保されるというのは、全くの寝言でしかありません。この前の二人の日本人人質殺害事件にしても、安倍がイスラエルくんだりまで出かけて行って、「対IS(イスラム国)との戦いのために」大金を寄付するなどと自慢げによけいなことを言ったのが災いしたので、日米軍事同盟強化をこの時点で世界にアピールすることの効果は、海外在留日本人の身の上に危険を招くことでしかありません。よけいな危険を自ら作り出しておいて、「邦人安全保護のための対策を講じる」などというのは、いつも言うようにマッチポンプでしかないのです(しかもその保護は、現実的に考えてつねに後手に回るでしょう)。

 彼らを「テロリスト」「ならず者」と呼ぶのは勝手ですが、アフガンやイラクの国民、及びその周辺のイスラム教徒にとっては、アメリカがテロリストであり、ならず者なのです。アメリカがやらかしたことを思えば、それは僕には十分理解できる。だからISのような組織も支持を取り付けることができたので、だからといってISのやっていることが正しいとは僕は全然思いませんが、「アメリカに歯向かうことが正義」という風潮を生み出してしまったのは、他でもないアメリカ自身なのです。

 わが国はこれまで、「日本国憲法九条」を盾に、アメリカの要請をのらりくらりとかわしてきました。そこらへん、以前の自民党は知恵があったというべきですが、今度の「実質改憲法案」で安倍自民はその有利なカードを自ら捨ててしまった。しかも、目に余る乱暴狼藉でアメリカが世界的に信用を失ってしまったこの時期にです。中東においても「戦争をしない国」というので日本はよき評判を打ち立てていたということですが、それもこれで失われたわけです。「何を考えているのだ?」と言われても仕方はないでしょう(げんにISは、今月10日、そのインターネット上の機関誌で、「『ボスニアやマレーシア、インドネシアにある日本の外交使節を狙え』と、攻撃対象として日本を名指しした」と伝えられています。彼らが敵視する「十字軍」に、日本も“正式加盟”したと認められたのです)。

 過激派組織に対して、「軍事同盟」なるものが「抑止力」にも何にもなっていないことは、今の中東情勢を見れば誰にでもわかります。いつのまにかアルカイダよりISということになったのですが、仮に「有志連合」軍がISを軍事力で潰すのに成功しても、また別の過激派テロ組織が出現するでしょう。平和は軍事力では買えないのです。

 読売のこの社説は、そこらへんの現実認識が全くできていない空論ですが、これが安倍自民の考えていることと同じなのは明らかで、こういう硬直した一面的な議論にたやすく説得されてしまう人もいるのでしょう。アベノミクスが「浦島太郎の経済政策」なら、政治外交も、「浦島太郎のそれ」なのです(前にも書きましたが、これだけ原発が乱立していれば、そこを攻撃されたらひとたまりもないので、日本はもう戦争なんかはできないのです。なのに原発防護の議論などは何もなく、安全保障が万全になったなんてのは、それが空想的なものであることの何よりの証拠ではありませんか)。

「この路線は、米国だけでなく、欧州やアジアなどの圧倒的多数の国に支持、歓迎されていることを忘れてはなるまい」とも書いていますが、「圧倒的多数の国に支持、歓迎されている」なんて話は初耳で、同じ「安倍御用新聞」の産経の次のような記事を見ただけです。

 安全保障関連法の成立について、同盟国の米国や、中国の軍事的台頭を警戒する国・地域からは歓迎する声明が相次いだ。
 米国防総省のビル・アーバン報道官は安全保障関連法の成立について、「日本は戦後70年にわたって平和、民主主義、法の支配を一貫して守ってきた模範だ」と強調した。マケイン上院軍事委員長ら軍事、外交両委員会の超党派議員も「改定された『日米防衛協力のための指針』に則し、日本と新たな方策の導入に取り組むことを期待している」との声明を発表した。
 (中略)
 台湾の外交部(外務省に相当)は19日、報道官談話を発表し、「日米安保体制は地域の平和と安定の基礎だ」とし、同法は「日本の国際的な安全保障への関与を増進すると同時に、日米同盟を強固にし深化するものだ」と評価した。
 南シナ海の領有権をめぐり中国と対立するフィリピンのデルロサリオ外相は19日、日本の安全保障関連法の成立を「歓迎する」との声明を出した。声明はまた、「日本との戦略的関係を強化していく」とし、自衛隊との共同訓練拡充などを進める意向を示した。
 オーストラリアのビショップ外相も関連法成立を歓迎する声明を出した。


 これだけの話で、「同盟国の米国や、中国の軍事的台頭を警戒する国・地域から」のそれだけなのです。一体これのどこが「圧倒的多数の国」なのか? 他にはあったとしても、諸般の事情から断り切れず、アメリカの「有志連合」に加わって自国の兵士を危険にさらすほかなかった国のそれでしかないでしょう。そうした国は、「下請け」国が増えれば自分も助かるからです(外交関係が悪化した中韓の反応が芳しくなかったことについては言うまでもありません)。

 他に「安保法案は、1959年の最高裁判決や72年の政府見解と論理的な整合性を維持し、法的安定性も確保されている」が嘘であることについては、今さら説明するまでもないでしょう。自民がその破綻した論理を振り回し、誰も説得できずに終わった、ということを確認しておけば十分です。

 唯一説得力のありそうな記述は、「自衛隊の国際平和協力活動も拡充する。人道復興支援や他国軍への後方支援を通じて、世界の平和と安定を維持するため、日本が従来以上に貢献する道を開く」ですが、「人道復興支援」はこれまでもしてきたのであり、「他国軍への後方支援」が中東でアメリカがやらかしたような国際法上違法な戦争へのそれなら有害無益であり、しかし、それも今回の安保法案のせいで断われなくなるだろうというのが、国民の最大の懸念なのです。

 最後に、この社説が指弾する中国の「独善」以上にひどい独善が次のくだりです。

 国論の分かれる困難な政治課題に、ぶれずに取り組めたのは、3回の国政選に大勝し、安定した政権基盤を築いたことが大きい。選挙公約にも平和安全法制の整備を掲げており、「民意に反する」との批判は当たるまい。

「選挙公約にも平和安全法制の整備を掲げており」、それを承知で自民を勝たせたのだから、今さら文句を言うのはおかしい、という論理ですが、僕みたいに自民に投票しなかった人間はもとより、入れた人でも、その中身は知らなかったのであり、今国会での成立に、7割近い人が反対していたのだから、「『民意に反する』との批判は当たる」と考えるのがふつうでしょう。大体の話、選挙ではアベノミクスの景気のいい話ばかり、自民の候補者は触れ回っていたのではなかったのか?

 しかし、今度の選挙では有権者ももうだまされないでしょう。こういう低級な「安倍広報紙」の出鱈目な社説にもだまされないようになっていただくことを祈るばかりです。
スポンサーサイト



プロフィール

大野龍一

Author:大野龍一

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR