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あるオカルト的見方

2015.09.19(16:56) 346

 国会は多数決なので、途中の議論がどうでも、そのまま成立すると初めからわかっている法案審議を見るのは空しいものでしたが、安倍とその取り巻きの皆さんには「めでたく」安保法案は可決・成立したようです。以下はそれを受けての日経の記事。

 安倍晋三首相は19日未明、安全保障関連法の成立について「国民の命と平和な暮らしを守り抜くために必要な法制であり、戦争を未然に防ぐためのものだ。平和な日本に必要な法的基盤が整備された」と表明した。
 自民、公明両党に加え、日本を元気にする会、次世代の党、新党改革の野党3党が賛成に回ったことに触れ「参院では野党から複数の対案が提示され、議論も深まった。民主的統制をより強化する合意がなされた」と強調。「幅広い支援の下に法案を成立させることができた」と語った。
 報道各社の世論調査で、依然として反対論が根強いことを踏まえ「国民に誠実に、粘り強く説明を行っていく」と指摘。その上で「今後も積極的な平和外交を推進し、万が一の備えに万全を期していきたい」と訴えた。首相官邸で記者団に語った。


「議論が深まった」とか「幅広い支援」「積極的な平和外交」というのは何の話なのかと失笑を禁じ得ませんが、今回の件の教訓は、道理があろうとなかろうと、国会では「数がすべて」なのだから、一党が独裁体制を敷けるような状況を用意してしまえば、何をされてももうアウトになるということです。今回の場合、かんじんな点に関しては何一つまともな政府側の答弁はなく、審議は実質上無意味に等しかったのですから。

 これは安倍晋三という政治家の特殊性にもよります。「立憲主義を破壊するものだ!」「国民の大多数が反対してるのに、これが民主主義と言えるのか!」などといくら批判しても、「祖父の時と同じ」と、反対が多いのがむしろ「正しさの証」と信じ切っている彼はこゆるぎもしない。むしろそれは彼の“信念”とヒロイズムを強化してしまうだけだったのです。

 こういう妄想型の幼児人格につける薬はありません。仮に次の選挙で自民が今回以上の「圧勝」をして、公明と他の零細保守野党の賛成も取りつけて3分の2になれば、いよいよ憲法改正の発議に乗り出し、国民投票で過半数の賛成を得られれば、安倍君の「宿願(というより妄執)」は果たされることになるわけです。ハレルヤ!

 まあ、そうはならないと思いますが、そうなったら僕はアマゾンかニューギニアの奥地にでも一人で行って、そこでそう長くない老後を過ごし、生を終えるつもりです。行った早々、アナコンダの餌食になったり、巨大吸血ヒルか何かに襲われて死ぬかもしれませんが、こんな国でくたばるより百はマシです。

 むろん、安保法案が成立したからといってただちに「アメリカのやらかす戦争に巻き込まれる」というわけではありませんが、アメリカがこの法案成立を喜んでいるのは、自国内での厭戦気分が強まる中、戦争の下請けを進んで買って出る国ができたことへの満足に他なりません。オバマの後は、民主であれ共和党であれ、よりタカ派色の強い政権になるのは確実と見られているので、まことに都合のよろしいことなのです。日本側からこれを見ると、「飛んで火に入る夏の虫」になったのと同じです。

 安保法案が通って喜んでいる人たちには、これでようやく「アメリカとの対等な軍事同盟」関係が結べる端緒ができたということなので、アベノミクスという名の貧富拡大政策も順調に進んでいることからして、アメリカ軍並に貧乏人の子弟を組織的にリクルートして、「わが軍」の陣営を整えることもよりたやすくなるでしょう。中国相手にでも、イスラム過激派相手にでも、好きに戦争をおやり下さい。「存立危機事態」という理屈は、いかようにでもつくでしょう。今の自民党は無理も道理も一緒くたで、要は自分の言うことだけが「正義」なのですから。

 歴史というのはしばしば予測が困難です。かつてオウム真理教事件が起きたとき、僕は「この先、これだけではすまないだろうな…」という悪い予感を覚えました。あそこに僕は、教祖・麻原や信者たちの個人的な意識とは別の、彼らを操る別次元の破壊的な“あるもの”の存在を感じたのですが、その“あるもの”はいつかまた、別の組織、団体を使役して恐ろしいことを企てるかもしれないと思ったのです(この“あるもの”とは、陰謀論者のお好きな「ユダヤ金融資本」とか、そういったものではありません)。

 人間は衰弱すると、たやすくそうした力に操られるようになる。オウムのときは、バブルの狂躁を背景にしていて、そこに阪神大震災が加わるなど、日本社会には何か異常な気配が漂っていたのですが、その後バブルは崩壊し、日本経済は低迷の中に落ち込み、バブル時の妙な空虚感や不安は、長期間にわたる経済停滞の中で、濃度を増した気体のようなものとして日本人の無意識に沈殿するようになりました。無力感はさらに深化し、屈辱感に彩られた対象をもたない憎悪のようなものは強化されたのです。

 僕の見るところ、麻原彰晃が安倍晋三に取って代わられたのであり、オウム真理教は自民党に取って代わられたのです。今の自民党は一種のカルトで、誰も党首の安倍には逆らえない。いつだったか、僕は安倍晋三の隣に、手を取らんばかりにして立つ武市早苗の妙な恍惚の表情を見て、カルトに妄信的な女性幹部の存在はつきものですが、それと全く同じだなと思って、背筋に冷たいものを感じました。他の取り巻きの男女も、かつてのオウムの幹部たちと同じなのです。よく注意して見てごらんなさい。

 今回も東北大震災があり、かつ、福島第一原発の恐ろしい事故があった。そこに「日本を取り戻す」と呼号する、極右原理主義者の安倍が登場したのです。彼は経済を復活させ、政治的にも「強い日本」を取り戻すと約束した。事実としてはアメリカの意向を体現して、その植民地的隷従を強化するものでしかなくても、それは自信を失い、衰弱した日本人には十分魅力的なものと映ったのです。

 彼が時代錯誤の復古主義者であるのは、何も今に始まったことではなく、それは彼の個人的なコンプレックスと奇妙に入り混じったものであるだけにかえって強固なものなのですが、そういう男がこれほどのカリスマになるとは、誰も予想しえなかったところでしょう。しかし、それはユングの言う「集合的無意識」に奇妙にもアピールするもので、日本人の精神的衰弱が無意識のその層を活性化させ、ためにそれを体現する彼は強力なカリスマとなりえたのです。

 むろん、こうした見方は大方の人には一笑に付されるでしょう。しかし、オウムの麻原がいっとき快進撃を続けて、教団勢力を拡大させ、奇妙なほどの悪運の強さに恵まれたのと同じで、安倍晋三にはこれまで、いくつもの「神風」が吹いたのです。アベノミクスもそのおかげで頓挫せずにすんだ。そうして新安保法案も成立にこぎつけて、「国のかたち」を変えることにも成功したのですが、彼の一連のこうした快進撃の背後に、僕は先に述べた“あるもの”の関与を感じ取るのです。

 その自信たっぷりの「悟り」顔とは裏腹に、深刻に精神を蝕まれつつあった麻原は、やがて教団と社会全体を巻き込むような自滅的行動へと突き進みました。彼はクーデタを目論んで、国家を転覆させ、「麻原王国」を樹立せんとしたのですが、そこに強力に作用していたのは、実は自己破壊衝動の方だったのです。ほどなく彼は廃人同様となった。

 安倍晋三の場合はどうなのか。彼は意識の上では本当に「国民の命と平和な暮らしを守り抜くために必要な法制であり、戦争を未然に防ぐためのものだ」と信じ込んでいるのかも知れません。そうして今後も政権の座にあり続ける限り、「そのために必要な行動」をとり続けるでしょうが、それはマッチポンプ的な行動になる可能性が高い。つまり、一方で他国との対立や緊張を煽って、それを強化しながら、その自らの行動によって招いた「危機」を利用して、「わが軍」の出動を命じることになりかねない、ということです。

 あのジョージ・ブッシュ・ジュニアがやらかした一連の非常識な愚行を、わが国の国民は忘れるべきではないでしょう。それは「自由と民主主義の総本山」を自任する国で起こった。そして彼にはそれは「自由と民主主義を守るための聖戦」だったのです。そのおかげで何十万という人が死傷しただけではない、世界は一層不安定化し、テロ組織の世界的跳梁跋扈まで招いたのです。誰が見ても不当なあのイラク戦争に、当時の小泉政権はアメリカの歓心を買うべく真っ先に支持を表明し、自衛隊のイラク派兵まで行いました(その時の「ヒゲの隊長」は今や国会議員サマですが)。それに先立つ対アフガン戦争にも「国際法違反だ!」と腹を立てていた僕は、あれには呆れかえってものも言えませんでしたが、その程度の国際政治認識しか持ちえない国の政府が、今は自ら縛りを解いたのです。「兵を出せ! あの法案はそのために作ったんだろ」とアメリカに言われて、断われる胆力が今の日本の政治家にあるはずがない。

 最初のケースは、そこから逃れた大量の難民がヨーロッパに押し寄せているシリアあたりでしょうか。オバマがもたついているシリアとイラクにまたがる対IS戦争にも、次期アメリカ政権はもっと積極的になって、日本の「後方支援」を要請してくるかもしれません。「中国の脅威」の手前、アメリカにいざというとき加勢してもらうためにも協力を断ることはできないと、無理な理屈をこねてでも「これも存立危機事態の一つ」として、「わが軍」はそれに参加を表明する運びとなるでしょう。

 現時点ではこれはマンガみたいな話に思えるかもしれませんが、ブッシュ以来、マンガみたいな話が全部現実になっているので、こういうのは必ずしも杞憂ではないのです。それは同時に、「軍事力による安全保障」の論理がかえって世界の安全を破壊していることの証左でもあるのですが、そこらへんのことはあの安保法案には全然加味されていないのです。

「日本が戦争に巻き込まれる」というのは利己的だと言う人がいますが、問題は、そうした戦争に義理立てして加わっても、世界は全然平和になんかならず、かえって無秩序が拡大し、戦乱が拡大するだけだということです。今回成立した安保法案は、その「適用」を通じて自他の破壊を結果することにしかならないだろうと、僕は憂えています。

 多くの人も、そう思うからこそ反対した。これは「自己破壊法案」でもあるので、そのあたりもオウムの麻原と安倍は似ているのです。当時オウムは「毒ガス攻撃を受けている」と信じ、主張して、それに対抗すべくサリンの製造や自動小銃の製作に励み、ロシア製ヘリコプターで首都圏へのサリン散布を計画し、国家を転覆した暁には、麻原を王に戴く「理想の千年王国」を築くという妄想にとりつかれていたのですが、目前に危機が迫っているかの如く「国際情勢の緊迫化」を言い立て、いりもしない「戦争法案」で自ら危機を招くようなことをしている今の安倍政権は、それと大して変わらないのです(前にも書きましたが、麻原と安倍は「同級生」です)。

 安倍は麻原であり、今の自民党はかつてのオウムである。そして彼らはそれと自覚のないまま、アメリカだけではない、不可視の何かよからぬ力に使役されている。宗教カルトだと思えば、通常の論理が通じない彼らのあの妙な頑なさも理解可能になるので、そういう連中を相手にしているのだと腹をくくった方が、今後の対処を考える上でも有益だろうと、僕は思うのです。今後も「神風」が吹き続け、アベノミクスのボロが出ないうちは、財界も国民もその正体には気づかないまま、政権への大きな支持を与え続けるかも知れず、その結果こうむる惨害は深刻なものになるだろうと、僕は予測するのですが。
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祝子川通信 Hourigawa Tsushin


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