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最高裁人事も「お友達人事」でやるつもりか?

2015.06.16(14:26) 324

 次の「日本版人民日報」こと読売新聞の記事(16日付)を見てそういう疑いをもちました。

 4日の衆院憲法審査会で安全保障関連法案を「憲法違反」と指摘した長谷部恭男早大教授は15日、日本記者クラブで記者会見し、「与党の政治家は参考人が自分に都合の良いことを言った時は専門家だとし、都合の悪いことを言ったときは素人と言い、侮蔑の言葉を投げつける」と不快感をあらわにした。
 長谷部氏は自民党推薦で審査会に参考人出席したが、審査会後、自民党から「憲法の番人は最高裁で、憲法学者ではない」(高村正彦副総裁)と批判が出ている。


 NHKの会長だけではない、日銀の総裁も、内閣法制局長官も、安倍は自分に都合がいいように首をすげ替えているのです(内閣法制局長官の「お友達人事」については、「集団的自衛権の行使を禁じているとの憲法解釈を積極的に見直す考え」をもつ元外務官僚の小松一郎氏を登用して、「個別的自衛権のみ認められる」とするそれまでの内閣法制局の見解を一変させたのは記憶に新しいところです。この小松氏、国会でも聞かれてもいないことをとうとうと論じる珍答弁をして、「安倍政権の番犬」と揶揄されて怒りまくったりしていたのですが、病没したために、今は次長だった横畠裕介氏が昇格してその地位に就いています)。

 こういう夜郎自大な「職権の乱用」は安倍の最も得意とするところで、彼は民主的な手続きによらずに重要ポストの人事が決められるのをいいことに、「お友達」を長に任命してその組織を自分の意向に従わせ、事実上独裁に近いかたちにもっていこうとしているのです。こういうのを世間では「中2病」と言いますが、そういう「権力の自制」を知らない男を(古代アテナイの政治家ペリクレスのように成熟した聡明な人物ならまだしも)平気で総裁に据えて恥じない自民党と、そんな政権に高い支持率を与え続ける日本国民の「見識」には驚くべきものがあります。

 この調子では最高裁の判事(内閣に任命権がある!)も、その多くを「お友達」で固めて、「安保法制合憲」判決を出させようと企みかねないので、要注意です。そうやっておいて、「憲法の番人たる最高裁がそう言ったのだから、何の問題もないのだ!」なんて言いかねない(その場合、最高裁は「憲法の番人」ではなく「権力の番犬」になり下がったということなのですが…)。

 僕らはふだん、選挙の際の国民審査で、そこの箇所には何も印をつけずに自動的に「信任」を与えてしまっていますが、安倍政権の下では用心しなければならないということです。有権者の過半数が×をつけた場合にのみ罷免されるので、これまでそういう例はないのではないかと思いますが、それというのも歴代政権は最高裁の意向を尊重して、そうした露骨な司法への介入は自粛してきたからです。安倍政権にはそれはないと、僕らは覚悟しておいた方がいいでしょう。これはそれほど「どうしようもない」政権なのです。

 ちなみに、菅官房長官は「安保法制を合憲と考える学者はたくさんいる」と胸を張ったものの、冒頭記事の長谷部教授は「95%は反対」だろうと述べ、実際「たくさん」いるはずがあまり見つからなかったらしく、今度は「数の問題ではない」と言い始めた由。では、何の問題なのだ、と言いたくなりますが、産経新聞によれば、自民は苦労して探し回った「合憲」派学者の名前を10人挙げたという。以下、その名前です。

 八木秀次麗沢大教授、百地章日大教授、西修駒沢大名誉教授、長尾一紘中央大名誉教授、小林宏晨日大名誉教授、池田実教授、東裕教授、青山武憲元教授、松浦一夫防衛大教授、石田栄仁郎近畿大名誉教授。

 ただの「教授」となっているのは、所属が明らかではありませんが、冒頭の八木秀次なんて、例の右翼教科書、「新しい歴史教科書をつくる会」で妙に有名になっただけの御仁で、当時僕は自分の大学の後輩にこんなのがいるのか、と経歴を見ていくらかゲンナリしたことを憶えているので、ウィキペディアを見てみると、こうあります。

「新しい歴史教科書をつくる会」で3代目会長を務めていたが、2006年(平成18年)2月28日、会の内紛および中国への無断渡航の責任を問われ解任された。一部の八木派の尽力で副会長に留まったが、同年4月30日、藤岡信勝の日本共産党員歴の怪文書事件の責任を問われ、副会長および理事も解任。つくる会から脱退した。
 2006年の第1次安倍内閣発足に際し、中西輝政、西岡力、島田洋一、伊藤哲夫と共に安倍晋三のブレーンとして報じられた。同年10月22日、八木を理事長として一般財団法人「日本教育再生機構」が、2007年(平成19年)7月24日には八木を事務局担当として教科書改善の会が発足した。現在、育鵬社から歴史、公民科教科書を発行している。
 2013年1月、第2次安倍内閣より「教育再生実行会議」委員に指名。


 要するに、前々からの安倍の「お友達」の一人で、最後の一文を見ればわかるとおり、彼もまた「お友達人事」の恩恵に浴しているのです。彼によれば、「ジェンダーフリーは日本を崩壊させようとする左翼とフェミニストの陰謀であり、『ジェンダーフリーは狂気の思想である』」そうなので、戦前の男尊女卑の封建思想に則った「道徳教育」を学校で復活させようと、あれこれご尽力なさっているわけです。

 他の「安保法制合憲」学者たちがどんな人たちなのかは知りませんが、とにかく安倍の「お友達」にはこの手の人間が異常に多い。

 僕に自然に連想されるのは、アフガン、イラク戦争と、次々いりもしない戦争を始めて世界を大混乱に陥れたアメリカのブッシュ(「神のお告げ」で大統領選立候補を決めたという)が、キリスト教原理主義団体を有力な支持母体にしていたことです。そのキリスト原理主義(福音派と呼ばれる)がどんなガチガチの「化石のような封建道徳」を主張するものであるかは、ちょっと調べてもらえばわかるのでここには書きませんが、安倍もこれとよく似ています(むろんこの団体はブッシュの「正義の戦争」を、昔の「十字軍」よろしく熱烈に支持したのです)。

 何はともあれ、「必要だ」と言うばかりでまともな説明は何一つせず(論理的つながりがないので、したくてもできない)、自分の思い込みに基づいて勝手なことばかりやらかしてきたこの政権はアンフェアな「お友達人事」を重ねて強引にその実現を図ろうとし、この分では次は最高裁人事に手を突っ込みかねないので、皆さん、用心しましょうと僕は言いたいのです。上の記事に名前が出ている学者先生たちの名前をしっかり記憶しておけば、「有識者」代表として突如としてそのうちの誰かが最高裁判事の名簿に登場したりするとわかるので、防止には役立つのです。

 ちなみに、ハフィントンポスト日本版の吉野太一郎氏による以下の記事は、長谷部教授と、小林節・慶應義塾大学名誉教授が15日に東京の日本外国特派員協会と日本記者クラブで会見した際の講演内容を筆録したものですが、非常に有益な、熟読に値するものです。「憲法学者は机上の空論を並べているだけで、物の役には立たない」なんてしたり顔で言っている人たちは、現実の国際政治のありようを見据えて発言しているこういう学者の批判に、正面から反論できないといけないでしょう。それはしないでごまかしを並べ立てて強行採決に突き進んだり、「お友達人事」で法制局長官の首をすげ替えて無理やり「集団的自衛権」を「合憲」にしたのと同じ姑息な手段をこれからも使い続けるなんてことは、有権者は断じて許してはならないと思います。

安保法制に「違憲訴訟を準備」 小林節氏・長谷部恭男氏が安倍政権を批判(会見詳報)
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祝子川通信 Hourigawa Tsushin


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