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下村博文・文科相の不正献金疑惑問題

2015.03.04.13:40

 川崎の少年の事件に気を取られて書きそびれましたが、その前にほんとはこちらについて書く予定でした。先週の週刊文春のスクープはなかなかにインパクトのあるもので、記事のリード文にはこうありました。

「安倍首相との親密さを喧伝、自ら熱望して文部科学大臣に就いた下村氏。塾業界を全国8つの後援会に続々と入会させているのだが、驚くことにすべての後援会が政治団体の届け出はなし。つまり“闇の資金”を吸い上げているのである。見返りは何か? 後援会幹部による爆弾告発。」

 彼は安倍総理の「お友達の中のお友達」で、「別格」なのだそうですが、「下村氏の文部科学大臣就任は、本人と塾業界の“悲願”だった」なんてところは、この業界の片隅にいる僕のような人間には、「へえー」と驚く話でした。何でも「●●博友会」というのが全国各地にいくつもあるそうで、そこから会費だの、講演会、懇親パーティ料だのという紛らわしい名目でカネを吸い上げているが、このうち政治団体として届け出られているのは、東京のそれ一つだけだという。ああ、これはもう完全にアウトだなと、一読して僕は思いました。

 それにしても、この業界の人たちは何用あってそんなものに入会するのか? こちらにも「九州・沖縄博友会」というのがあって、年会費が6万だという話が出ています。彼とのツーショット写真など塾に飾れば、「地域での信用力や認知度を高めることができるため、数万円の出費なら塾経営者にとっては安いもの」だというのですが、政治家との関係が塾のよしあしと関係すると考える保護者がもしいたとすれば、そちらの方がよっぽどどうかしています。裏口入学のコネでももっているのではないか、と期待するのでもないかぎり。

 そもそもが、なぜ彼が文科相になったのかということ自体、僕には疑問でした。元が東京・板橋区で小中学生相手の塾を経営していたといっても、それはべつだん彼が教育に造詣の深い人物だということにはならない。学生時代、早大雄弁会(一般学生には「アホの集まり」と見られていた)に入っていて、元から政治家志望だったようですが、経歴を見ても、何か特別な取柄があるようには思えず、たんなる安倍の腰巾着の一人でしかないように見えるのです。「お友達」だったから入閣できた、というにすぎないのでしょう。

 学習塾というのは、別に違法ではないが、“非正規”の教育機関です。そこの出身者が文部科学大臣になれば、「日陰の存在」(文春記事の表現)から国家公認の「表の存在」になり、塾営の学校(それはすでに存在する)設立なども容易になるし、利便を図ってもらえると業界人が考えているのだとすれば、不健康きわまりないことです。

 塾のいいところは、国家や行政の保護は何もないが、その代わりあれこれの縛りもなく、自由だというところにあります。生徒も出入りが自由で、そこに行ったからといって、何か資格がもらえるわけでも何でもない。それはまた、社会のはぐれ者の雇用機関にも、少なくともしばらく前までは、なっていたのです。経営者自身が学生運動世代で、一般企業には就職口がなかったから、仕方なく食うために始めた、というケースも少なからず、僕が昔雇われていた塾の塾長はそういう人でした。だから僕みたいな経歴不詳の怪しげな人間も面白がって採用してくれたわけで、かつてそれは、社会のはぐれ者に生息場所を提供していたのです。だから変わった人間がけっこういて、子供たちは学校の先生とは全く違うタイプの人間にそこで遭遇して、勉強以外の点でも知見を広げることができたのです。学校の先生よりも、塾や予備校の先生から大きな影響を受けたという子供は少なくなかったはずです。保護者も、塾との方がホンネで付き合えるというので、進学相談だけではなく、勉強以外の話をあれこれ持ち込むことができた。わが子の進路の件で相談に訪れながら、途中から夫婦間の葛藤についての長い話になってしまって、まだ独身の塾教師は困惑してしまう、なんてこともあったので、僕が昔、塾勤めの傍ら、大学院というところに行って、臨床心理学をかじったりしたのは、お勉強以外の相談が多くて、対応に困難を感じたからでした。

 そういうのも塾が“裏の教育機関”で、近寄りやすかったからです。それが政治家とつながって、表に躍り出ようとしたりすると、そうしたよさも失われる。何を考えているのだ、と僕には感じられるのです。

 今は新たな大学入試改革案の答申(前にも書いたとおり、それは多くの疑問点を含むものですが)も出て、大事な時期です。文科相にはすぐれた見識と采配が求められる。元からそれがあるかどうか疑わしい人物に、こうした献金疑惑の浮上です。答弁は二転三転して、言い逃れは難しくなっているようですが、「特定の利益団体への便宜」をはかりかねないこうした人物が「国家百年の計」を要する教育行政の長の地位にあるのはどう見てもふさわしくない。潔く辞任すべきでしょう。
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