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大過渡期の到来

2015.02.08(07:13) 302

 先日、ある友人と久しぶりに電話で話して、「この調子では、もう行くとこまで行くしかないだろうね…」というような芳しくない話になったのですが、二人ともその先がどういう世界、文明のありようになるかについては確たる見通しはもてず、ただ「後世の歴史家から見れば、21世紀最初の五十年は一つの時代の終わりと新たな時代の始まりを分かつ分水嶺のような大混乱期だったという位置づけになるだろう」ということでは意見の一致を見ました。

 議論の中では「イスラム国と安倍政権では、崩壊はどちらが先か?」というような“不謹慎”な話も出たのですが、さっきネットで見た読売新聞の記事によれば、「安倍内閣の支持率は58%で、前回調査(1月9~11日)の53%から5ポイント上昇した。不支持率は34%(前回38%)だった」そうで、

 イスラム過激派組織「イスラム国」による日本人人質事件を巡る政府の対応が「適切だった」と思う人は55%で、「そうは思わない」の32%を上回った。イスラム国対策として中東諸国への人道支援をさらに拡充するという安倍首相の方針についても「賛成」が63%で、「反対」は26%にとどまった。人質事件への対応が評価されたことが、内閣支持率を押し上げたとみられる。

 とあります。いくら安倍御用新聞の記事とはいえ、でっち上げではないだろうから、一般の日本人の認識としては、これが「ふつう」なのでしょう。あの「人質事件への対応」のどこが「評価」に値するのかさっぱりわかりませんが(おそらく民主党政権だったらボロクソ言われていたはずで、安倍晋三はその批判の先頭に立って「国民の生命を守るのが政府の仕事ではないか!」などと大見得を切っていたことでしょう)、今の日本人はそういうことには鈍い反応しか示さないので、友人も僕も、安倍政権がもたなくなるのはアベノミクスの失敗が誰の目にも明白になって、いわゆる「リフレ派」の論客たちの「うまくいかない」理由づけがネタ切れになったときだろうと思っています。要するに、それらが全部「無理な言い訳」「嘘」であったことが明らかになったときです。

 それはむろん、一般国民にとっては喜ばしいことではありません。貧富の格差がさらに拡大したというようなことだけですめばまだしも、国債が大暴落した、というようなことになっては目も当てられないからです。今のところそうならないのは、他が、世界経済の状況が悪すぎる(そのおかげで相対的に「優良」扱いになる)からで、今のところは円安のおかげで株価も上がっているし、原油安が続いているおかげで物価上昇も極端なものにはならずにすんでいる(これはインフレにもっていきたい黒田日銀にとってはよろしくないのかも知れませんが、実質賃金が18か月連続で下がっているというようなときに、物価だけバンバン上がられては庶民はたまったものではありません。それで景気がよくなるわけがないのは、小学生にでもわかることです)。

 こうした現状が維持されているかぎりは、暮らし向きは少々悪くなっても、「まあ、こんなものかな。どうせ他の人間がやっても似たようなものだろうし…」ということで、安倍政権への信任が深刻に揺らぐことはないでしょう(経済がガタガタの韓国の場合、朴大統領の支持率は25%まで落ちているとか)。問題は、行き過ぎた円安が大きく円高に振れて、絶好調(基本的にそれは為替変動による数字のマジックにすぎないのですが)の輸出大企業の業績が急速に悪化する可能性もあるというし、上の国債暴落のリスクもあるわけだから、今までは運に助けられてきたが、風向きが逆になると、一気に問題が表面化しかねないということです。「出口が見えない」とかねて言われている日銀のあの「異次元の金融緩和」ですが、急にやめるわけにも行かないようだし、どうするのでしょう? それが「異次元の金融崩壊」のきっかけになったのでは洒落にもなりません。

 そうなって安倍政権の支持率がガタ落ちになった場合、彼は別のところに責任転嫁して、「極右路線」で人気取りに走ることになる可能性が高く、それを自民党が押しとどめられるか、つまり、彼に引導を渡して、もっと経済にも国際政治にも明るい有能な党首に切り替えられるかどうか、そのあたりが問題です。代わりに、まともなしっかりした人が誰かいますか? あまり言う人はいませんが、今回の人質事件での岸田外相の影の薄さは際立ったもので、あんな外務大臣がいるのかな、と僕はびっくりしたくらいです。それとも「ボクちゃんより目立たないでね!」と安倍総理にかねてから釘を刺されているのでしょうか?

 話を国際情勢に移すと、アラビア半島先端にある国イエメンでも、クーデタ同様のことが起きたようです。次はそれを報じた毎日新聞の記事。

【カイロ秋山信一】イエメン北部を拠点とするイスラム教シーア派武装組織フシは6日、議会を強制的に解散し、暫定統治機構として大統領評議会を開設すると発表した。国営サバ通信が報じた。フシは昨年9月に首都サヌアに侵攻後、権限拡大を進めてきたが、今年1月にハディ大統領が辞意を表明したことを受けて、政府の実権を完全に掌握した。事実上のクーデターに対して、国内のスンニ派勢力や国際社会の反発は必至で、イエメン情勢は混迷を深めている。

 そうすると、隣国のサウジアラビアにも緊張が走るわけで、これまた毎日の別の記事。

【カイロ秋山信一】イエメンで6日、イスラム教シーア派武装組織フシが実権を完全掌握し、イエメンに隣接するスンニ派国家サウジアラビアが警戒感を強めている。中東の覇権を争うシーア派国家イランの影響力拡大や、国内のシーア派による反体制運動につながりかねないためだ。サウジは、北部のイラク国境でイスラム過激派組織「イスラム国」(IS)の脅威にさらされており、南北に敵対勢力を抱える難局を迎えている。

 なぜか毎日の記事で統一することになってしまいますが、シリア、イラクのひどい状況は相変わらずで、〈「イスラム国破壊」 オバマ政権、新たな国家安保戦略〉という見出しの、こんな記事も出ています。

【ワシントン西田進一郎】米ホワイトハウスは6日、オバマ政権の包括的な対外政策の指針を記した「国家安全保障戦略」(NSS)を発表した。イスラム過激派組織「イスラム国」(IS)について、有志国連合を主導し、イラク治安部隊やシリアの反体制派を訓練して「最終的に破壊する」との決意を改めて表明。ウクライナ情勢では、制裁を通じて引き続きロシアに大きな代償を支払わせ、「主権の侵害を阻止する」とした。
 NSSは、大統領が議会に対して対外政策を提示するもので、オバマ政権では2010年5月に発表して以来2回目。テロ組織掃討やロシア、中国の威圧的行動への対処など現在の安全保障上の脅威や懸念などへの対処を示した。軍事力を背景にしながらも、問題解決には同盟国など国際社会との連携や外交力などを重視する姿勢も鮮明にした。
 テロとの戦いは、「米国や同盟国とイスラムとの戦争」ではないと強調。また、テロ掃討は、ソマリアやアフガニスタンで有効に機能していると指摘。一方、中東や北アフリカでは、米国の軍事力だけではなく友好国の協力が必要だとし、IS掃討に向けて有志国とともに包括的な対テロ戦略を主導する考えを示した。


 アメリカ自身が「長期にわたる」と見ているようですが、仮に「イスラム国」が「掃討」されたとしましょう。それでもシリアの場合、アサド政権と「(今のアメリカから見れば穏健な)反体制派」の内戦はなおも続き、その先がどうなるかは全く不透明です。イラクの場合も、ISがいなくなれば片が付く、というような単純な話ではないのはわかりきったことです。戦闘の激化が伝えられる「ウクライナ情勢では、制裁を通じて引き続きロシアに大きな代償を支払わせ、『主権の侵害を阻止する』とした」とありますが、こちらはなおさら困難でしょう(「テロ掃討は、ソマリアやアフガニスタンで有効に機能している」というのは旧日本軍の「大本営発表」を連想させるので、事実上は「泥沼」状態です)。

 EUも、抱えているのはギリシャの問題だけではないし、アメリカが警戒心を強めているという中国も、内情は滅茶苦茶です(別に嫌中派ではない人でも、日本の数倍はひどいと見るのがふつうでしょう)。ロシア経済が止まらない原油安で窮地に陥っていることも周知のとおり。

 ローマ法王の言葉ではないが、「第三次世界大戦はすでに始まっている」のです。中東やアフリカなど、今は一応イスラム過激派とそれぞれの国の政府軍、あるいは「有志連合」軍との戦いのかたちになっているが、同時多発的に世界中でこんなに戦闘が多く発生し、世界中に不穏な空気がみなぎるのは、第二次世界大戦以来で、これに第二次、第三次のリーマン・ショックのようなことが重なれば、安倍総理お気に入りの言葉を借用すれば、seamless(継ぎ目なし)に第三次世界大戦に移行、ということになってしまいかねません。

 僕はそういうことだけは何としても阻止しなければならないと思っていますが、一庶民に何ができるでしょう? 政治家や関係各方面のリーダーたちにしっかりしてもらう他はありません。今のところ僕が一番警戒しているのは、アベノミクスが完全にこける頃に、世界情勢が風雲急を告げ、渡りに船とばかり、安倍政権が「経済失政」の目くらましに、極右・軍国主義的な主張を強めて、「積極的平和主義」だの「集団的自衛権」だのといったスローガンを現実行動に移してしまうことです。

「そこまで疑うか?」と笑われるかも知れませんが、僕は疑っています。今回の日本人人質殺害事件でも、「裁きにかける」などと、「おまえはブッシュのもう一人の弟か?」と皮肉を言いたくなるようなことを言い、「今後日本人には指一本触れさせない」なんて、一体何を根拠にそんなことが言えるのだと言いたくなるような、マンガチックな強がりを言わずにはいられないのが、安倍晋三という男なのです。女性ならわかるでしょうが、あなた方はこういう男が自分を守ってくれる、ほんとに頼りになる奴だと思いますか? ブッシュを見ればわかる通り、そういう人間はいとも軽はずみに、自分のケチなメンツのために、幼稚なヒロイズムに酔ったまま、後先考えぬ行動に走ってしまうのです(自分はいつも安全圏にいるのですが)。気の弱いお坊ちゃんなら、カッコをつけたりせず、素直にそのままにしていろ、と言いたくなります。

 僕は、しかし、やりようによってはそうしたなし崩しの第三次大戦は避けられると考えています。先頃、世界的なベストセラーになったという『21世紀の資本』の著者、フランスの経済学者トマ・ピケティが来日して、「r>gの法則(資本収益率(r)は経済成長率(g)をつねに上回る)」なるものを広めましたが、彼の言わんとするところは「資本主義社会では富める者はますます富み、貧しい者はいよいよ貧しくなる。だから所得や資産に対する累進税率や相続税を強化して、格差を是正しなければならない」というものだそうです。

 これは、ある意味で何が新しいのかわからないほど、あたりまえの話に思えます。しかし、著名な経済学者が詳細なデータを基にこういうことを言ったから説得力があるので、他の畑の人が言っても、「あんたは経済のことがわかっていない」などと、自身もどの程度わかっているかは疑わしいエコノミストたちに言われて、議論はおしまいになるのです。

 これは国家内部にだけあてはまる話ではなくて、昔からある南北問題でも同じです。豊かな国が貧しい国を搾取する。カネにものを言わせて、貧しい国の資源と労働力を買い叩くので、だからアフリカなんかはいつまでたっても貧しいままなのです。そしてそれがそれらの国々の政情不安定や内紛につながる。

 僕がかねて疑問に思っていたのは、富裕層や大企業の優遇措置です。アメリカの猿真似をして、彼らを優遇しろと言う。つまり、最高税率を引き下げ、法人税も下げろということなのですが、そうしないと彼らが海外に逃げて行ってしまうからだという。金持ちがいればカネを使ってくれるから貧乏人もそのおこぼれにあずかれるし、大企業を優遇すれば、雇用が生まれる。だから彼らに有利になるような税制にしろと言うのですが、資本主義というのは元から資本家には有利にできています。その上、さらにそれを優遇しろというのは何か話がおかしいと感じられるが、ピケティが言うように、世界各国が協力して統一基準を定め、税制の不平等をなくせば、それも防止できるようになるわけです。

 これは重要なアイディアです。前に僕は塾で授業をしていて、「貧乏人がお金を借りるときは利息が高くなり、金持ちの場合は安くなる」と言ったら、生徒たちは一様にヘンな顔をしました。彼らにはそれは不可解に思われたのです。貧乏な人には安く貸してあげて、金持ちからは多めに利息を取るのが「正義」にかなうと、彼らには感じられたのです。

 瞬時に彼らの「不審」の理由がわかったので、どうしてそうなるのかという理由を「経済学的」に説明したのですが、そんな彼らも大人になればそれを当然のこととして受け入れるようになるのです。しかし、正しいのはそれを「おかしい」と思った今の彼らの感性の方なのです。

 安倍政権はウォール街の顔色ばかり気にしていると言われており、それが正しいことのように思い込んでいるようですが、それは彼が物事を根本的に考える能力を欠落させている証拠に他なりません。一言でいうなら、馬鹿なのです。ウォール街の支配者たちはたしかに絶大な権力をもっている。しかし、それは彼らの正当性を保証するものでは全くないので、やっていることからして、彼らは人類社会に巣喰った悪性の寄生虫のようなものです。世界の政治家たちがその寄生虫の仲間や飼い犬のようになってしまったから、この世界はおかしくなってしまったので、資本主義の酷薄なメカニズムによらず、人間的な互助と友愛の思想に基づいて分配を正しくするなら、世界の貧困や不公平の大部分は解消するでしょう。

 そうすれば、テロリストが生まれる土壌は消失する。一方で人を圧し潰し、はじいて、ギャングやテロリストを作り出すような国家・社会運営をしておいて、それを「悪」として叩く、というようなことをいつまで続けても、永遠に問題は解決しないでしょう。要するに、空爆よりもピケティの理論の方が「テロリストの壊滅」には有効なのです。

 しかし、そういうことを今の世界はやろうとしない。頑なに既得権にしがみつき、やるべきことをやろうとしないから、地獄を見るところまで行く。そのとき初めて、「もうこれでは駄目なんだ」ということで新しい社会、新しい文明が始まる。そういうことになるのではないかと僕は見ているのですが、犠牲を多くしたくないのなら、できるだけ早く目を覚ますに越したことはありません。

 しかし、その「目覚め」はすぐには来そうもないので、21世紀の前半は大混迷の時代になるだろうと、友人と僕は予想している、ということです。若い人たちは、今の大人よりも賢く、豊かな心の持ち主になって下さいね。天変地異もこういう時代にはなぜか増えるようなので、いっときはほんとに大変な時代になるだろうなと、僕は予想しています。しかし、対応の仕方によってはそれが「よい世界」の幕開けにつながる可能性もあるのです。

 念のために重ねて言っときますが、それは安倍晋三が考えているようなアメリカべったりの、マッチョな軍事的空威張り路線によって果たされるものでは絶対にありません。時代の流れが読めていないにもほどがあるので、田母神のおとっつぁんや支離滅裂な百田と一緒に、早く「失言」でもして引っ込んでくれないかな、と僕はいつも思っています。それとも彼みたいな政治家が総理になったのは、「一気に膿を出してダメな時代を早く終わらせよう」という、神の深謀遠慮なのでしょうか? たんにレベルの低い悪魔のしわざのようにも思えるのですが…。
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祝子川通信 Hourigawa Tsushin


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