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原発避難民 賠償金という名の麻薬

2014.08.03.02:30

 これは先週の『週刊新潮』(7月31日号)の特集記事についての話なのですが、僕はその記事を見て驚いた者の一人なので、一週遅れながら書いておきます。こういう話、マスコミなんかにはほとんど出てきませんよね? 僕が知らなかっただけなのでしょうか?

 ネットで検索してみると、この種の話は大量に出てくるので、僕が無知なだけだったのかもしれません。その新潮記事に関連するのが、Youtubeのこれ(←クリック)です。おかしな中傷ではないので、見ても大丈夫です。

 原発避難民の場合、たとえば4人家族なら、赤ん坊からお年寄りまで、全員一律に10万(体育館などの集団避難所の場合は12万)ずつ、毎月「精神的損害賠償」金が支払われていて、それだけで毎月40万円になるという話です。これに加えて、「就労不能損害賠償」というのもあって、「震災前の収入は自己申告すると全額補償」ということになるので、仮にそれ以前の月収が夫が30万、妻が10万なら、合わせて80万になる。

 むろん、自宅や田畑などの賠償金はこれらとは別なので、新潮の記事に出てくる「楢葉町から避難してきた60代の男性」の場合、そちらの賠償金は約2000万だったとか。この人は、「夫婦と息子の家族を合わせて7人」で「借り上げ住宅に避難」したそうですが、精神的損害賠償金だけで70万、「一時は月収が200万近くにな」ったとか。

「なおかつ、家賃は無料、医療費は免除され、所得税や地方税も支払う必要はない」(この最後のは住民票を移さなければ、ということのようで、実際移さない人が多いようですが)

 それで避難先の土地住民と軋轢が起きている、というのですが、それは起きるでしょうね。税金も医療費もタダで、必死に働いて税金を納めている人たちより、何もしなくても数倍は収入があって、ということなのですから。

 避難民の多い福島県いわき市では、そんな“避難民効果”で宝飾店の売り上げが伸び、高級外車も飛ぶように売れるようになり、彼らが買うことから、不動産まで大幅値上がりして、地元のサラリーマンなどには手が出せなくなっているとのこと。当然ながら水商売も繁盛し、キャバクラ嬢が言うには、「豪勢なおカネの使い方をするのは、だいたい避難民です」ということになるのです。パチンコ屋も大盛況で、「ここら辺の大型パチンコ店の売り上げは、どこも全国トップ10にランク入りするほど」なのだという。

 うーむ。賠償が必要なのは当然ですが、何か腑に落ちない。僕なんかは、東電が払う賠償金なんて微々たるもので、自分の家も仕事も奪われて、貯金を取り崩しながら明日も見えない絶望と闘いながら日々を懸命に生きている、というのが避難民のイメージだったので、正直、唖然とさせられました。原発関係の交付金でおかしくされていたのは、事故後も同じだったのです。

 これはむろん、東電から「原発避難民」と認定された人たちにかぎっての話なのでしょうが、そこらへんの報道がほとんどなされないのは、ほんとにおかしな話です。同じ震災の被災者でも、原発と直接関係がなければ事情は全く異なるはずで、苦境と必死に戦っている人は実際にたくさんいるでしょう。どういう立場の人はどういう補償を受け、という具体的な話をなぜ大手メディアは報じないのでしょう? そしたら、「ここらあたりはバランスが悪すぎる」ということで、被災者間のおかしな「格差」の是正にもつながるだろうと思うのですが。

 避難先のいわき市の地元民も、最初は避難民に同情したようですが、こういう実態を知るにつれ、「同情して損した」と思うようになったようですが、それは無理からぬことです(ある年配の避難民女性は、スーパーのレジ待ちの列に割り込んで店員に注意されると、「私は被災者よ! なぜ優しくできないの!」と逆ギレしたそうですが、そんな勘違いオバハンまでいるとなると、なおさらでしょう。こういうのは単純に頭が悪いだけ、という見方もできなくはありませんが…)。

 新潮の記事はこう結んでいます。

【東京電力の原発避難民への補償金は、原子力損害賠償支援機構からの交付金によって賄われている。いずれ、原発をもたない沖縄電力以外の全国の電力会社で返済しなくてはならず、その分が電気料金に転嫁されることは自明だろう。
 惜しげもなくジャブジャブと注ぎ込まれる補償金のツケは、国民全体に回ってくるのだ。】

 仮に回ってきても、それが理にかなった有意義なものなら仕方がありませんが、こういうおカネの使い方は人をスポイルするだけです。かえって自主的な生活再建への意欲を削いでしまう。

 ネットを見ていたら、「『30km圏利権』という罠」というタイトルで、次のように書かれているブログがありました。

【先日、某新聞社記者から電話があって、「川内村がいち早く帰村宣言をしたが、今の気持ちと村の現状を聞かせてほしい」という。
 逆にその記者に、「本当のことを書けるのですか?」と訊いた。
 テレビでは「除染が完全に済んでいないのに帰れない」といったことを言う「避難者」が映し出される。それを見て視聴者は「汚染された村に帰れだなんて、村長は人殺しか」などというトンチンカンなコメントをネットに書き散らす。
 全然違う。
 放射能汚染はもはや関係ない。最初から、村の中心部の汚染は避難先の郡山市などより低いということをここでも何度も書いている。
 帰れないのは、帰ると補償金がもらえなくなるから。
 非常にシンプル、かつ切実な理由からだ。】

 詳しくはこちら(←クリック)を見ていただきたいのですが、要は「一人当たり10万」の先の賠償金のことなのです。

 同じ被災者でも待遇に差がありすぎるようなので、国会でもそのあたりはきちんと突っ込んだ議論がなされるべきでしょう。マスコミも「被災者の苦しみに寄り添う」みたいな偽善的なお涙頂戴の報道ばかりせずに、こういう暗部はちゃんと伝えるべきです。それをしないと、こういう話はネットで拡散しているようなので、福島だというだけでロクな補償も受けていない人たちを一緒くたに扱って、二重に傷つけることにもなるでしょう。

 それにしても、原発というのはどこまでも罪つくりな存在だなと、あらためて思います。
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