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NHK「全力応援」、もうやめたら?

2014.02.12.17:37

 四位に終わった女子スキージャンプの高梨選手の姿を見て、周りがもっと静かにしてあげて、押しつけがましい「応援」(というより、「さあ皆さん、期待しましょう、感動しましょう、盛り上がりましょう!」みたいなよけいな煽り報道)をしなければ、彼女は実力が発揮できていただろうにと、気の毒に思いました。この分では「期待のフィギュア」も危ない。

 NHKがいつから「民放以下」になったのかは知りませんが、中継に雑音が多すぎる。いちいち「五輪テーマソング」なるもの(やかましいだけ)を鳴らし、「さあ、いよいよです。皆さん、いよいよですよ! 期待しましょう!」それで始まるずっと前からあちこちで拾い集めてきた「これまでの道のり」話や選手インタビューを流し、選手地元の応援ぶり(何で自宅のテレビで見ないの?)を生中継し、ゲストに「見どころ」を語らせ、競技中継の合間にはいちいち「応援メッセージのご紹介」なるものが入るのです。躁鬱病患者が躁状態になったときとそっくりで、「どうでもいいけど、プレーそのものをもっと静かに見せてくれないかな」と思ってしまいます。いちいち「感動の仕方」まで指示されているみたいで、不愉快この上ない。そういうクレームが来ていないのかなと、僕には不思議でなりません。

 これはとくに、高梨選手みたいな責任感の強い、生真面目な少女(まだ十七歳です)にはきついでしょう。彼女はいつも「先輩方やこれまで支えてくださった皆さん」への感謝の言葉を口にしていました。彼女の場合それは社交辞令ではないので、そういう人たちのためにもいい結果を出さないと申し訳ないと、あの小さなからだの下ではそういう強い思いが渦巻いていたのでしょう。そこへもってきて、あの節度もクソもない“外野”のうるささ(「さあ、全国民があなたに熱い声援を送ってますよ! 期待はマックスですからね!」)です。プレッシャーはピークに達していたに違いない。それが僕にはかわいそうに感じられるのです(どうせ、「天才少女、金メダルへの知られざる苦難の道のり」みたいな“感動的な”話を用意して、いつ流そうかと待ち構えていたのでしょう)。

 僕は商売柄、毎年大学受験生を見ていますが、勝負事にはメンタルが非常に大きいので、ただ励ませばいいというものではないのです。相手の性格にもよりますが、よけいなプレッシャーをかけずに元気づけるというのは非常に難しい。「固くならずに、落ち着いて実力を発揮しさえすれば結果はついてくるからね」と言っても、はいそうですかとはいかないのが受験生です。ましてやオリンピックの大舞台ともなれば、その緊張にはすさまじいものがあるでしょう。コーチの人たちは祈るような気持ちで選手を見守っているに違いない。親御さんも同じでしょう。「応援メッセージ」なるものを得々として読み上げたり、「地元の熱い声援」なるものをインタビュー中継してマスターベーションにふけったりするのとは天と地の差です。何でそういうよけいなことばかりしたがるのか。

 選手たちはむろん、「静かにしてくれ」とは言えません。「皆さんの応援のおかげで」と言い、うまく行かなかった場合も「ご期待に添えず申し訳ありません」と言うのです。「同じ応援をするのなら、邪魔にならないように、もっと静かにやってくれませんか」とは言えない。大変だなと、僕はその気持ちを察します。

 NHK式の躁病的「全力応援」は確実に日本選手のメダル数を減らしている。本当の“戦犯”はおまえらだと、誰も言わないようなので言っておきたいと思います。
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