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馬鹿丸出しのオリンピック報道

2013.09.09.17:59

 昨夜、いつも見るNHKのサンデースポーツというのを見たら、オリンピック出場経験者をズラリと並べ、2020年の東京オリンピック決定祝賀番組になっていて、僕はその日のプロ野球の結果を知りたかったので、少しこれをやって、次は今日のスポーツの情報に移るのだろうと待っていたら、さにあらず、えんえんとそれが続いて、短いニュースをはさんで、またその続きをやるのだと言われて、「何?」とそのしつこさに呆れてしまいました。結局、二時間近くにわたってその面白くとも何ともないベタベタした話をやったらしいので、かんじんのその日のスポーツ報道はしないで、よけいな御託ばかりとは、全くもって恐れ入りました。

 僕は途中でそれを見るのをやめましたが、だいぶたってから民放のスポーツ番組で野球情報を見ようとしてまたテレビをつけたら、今度はレスリングが種目に入ったというニュースで、これも投票で種目が決まるまでの中継映像から、レスリング関係者のインタビューまで、長々とそういうのをやっているのです(うんざりしてまた消したので、結局野球情報は得られずじまい。仕方がないので、後で勝敗だけネットで見ました)。

 招致のPR活動には大金がかかった(一説によれば75億円)そうで、何でそこまでしてオリンピックを自国開催しなければならないのか、僕にはさっぱりわからないのですが、NHKのその特番でも、東北大震災がどうたらという話が何度も出てきて、それで「日本が一つになった」というようなステレオタイプの話にはヘキエキさせられました。福島原発の今も続く汚染水漏れはオリンピック招致にマイナスイメージを与えると、首相自らその打ち消しに出向くという念の入りようでしたが、「オリンピック開催で日本が元気になる」なんて、そんなアホなことを大方の日本人が信じていると本気で思っているのでしょうか?

 スポーツ関係者が東京開催を喜ぶのはわかります。しかし、身内で勝手に喜んでいればいいので、「私にとっての五輪の意義」なんてものをいちいち一人ひとりにしゃべらせても、聞かされる方は「へえー、そうなんですか」としか言いようがないし、「スポーツで世界に平和を!」みたいな寝言も、世界の現実を見てからものを言えよ、と皮肉りたくなるので、よく言えばお幸せな人の希望的観測、悪く言えばスポーツ人の驕りでしかありません。

 何より、番組制作者の「日本人なら喜ぶのは当然だ」みたいなあの妙な押しつけがましさは一体どこから出てくるのでしょう? オリンピックはたんなるスポーツイベントの一つにすぎません。僕はスポーツ観戦は好きな方ですが、それはスポーツとして楽しんでいるのであって、たんなる生活の一コマでしかないのです。何十億もかけて招致に奔走して、それで落選したら税金の無駄ですが、決まったからと言って、別に特別名誉なことだというわけではないので、一般国民にとっては「まあ、よかったですね」程度の話でしかない。「一億火の玉」(戦時中のスローガン)になってそれを応援し、喜ばねば「非国民」みたいな雰囲気は正気の沙汰ではありません。

 安倍首相によれば、五輪東京開催は「アベノミクスの第四の矢」だそうです。たしかに関連施設建設で関係業者は潤い、いくらかの経済的波及効果はあるでしょう。オリンピック開催時は多数の外国観光客も訪れるから、東京とその周辺は、一時的なものでしかないとはいえ、ガイジン景気に沸くわけです。今はそういうことよりも、今後都会で急増すると見込まれる要介護のお年寄り向けの福祉施設でもつくった方が長期的に見ていいのではないかと思いますが、そういう「元気の出ない」出費では、“気分”頼みのアベノミクスにはマッチしないのでしょう。「東京は安全です!」と満面の笑みを浮かべて、首相はIOC委員と居並ぶ世界の報道機関を前に断言したのですが、「安全でない」郷里を追われたままの福島の被災民はそれをどう聞いたのでしょう?

 実際はその会場でも誰もそんな話は信じていなかったはずで、いつ経済的に沈没したり暴動が起きたりしかねない“直接的脅威”のある国よりはまだマシかも知れないと判断されたにすぎないのでしょう(大体、あれはプロセスだけはやたらと物々しいが、いい加減な決定機関にすぎないというのは有名な話です)。

 その2020年東京オリンピックのスローガンは「世界はひとつ」だそうです。このところ僕はシリア情勢がどうなるか、勝手に気を揉んでいるのですが、エジプトもあの有様だし、中東の諸国関係図を前にあれこれ今後のことを頭の中でシュミレーションしていると、下手したら中東発の第三次世界大戦もありうるなと思えてきて、気が滅入りました。「世界は一つ」ねえ。それを聞いて、よけいに気が滅入りました。説明、いりますか?

 地震に、やがて大地震につながるスロー・クエイク(地下深くのプレート境界で岩盤が非常にゆっくりと動く現象)というのがあるのだそうです。なぜそうなるのかというメカニズムはまだ未解明とのことですが、今の世界はすでにそうした兆候がいたるところに見られて、中東なんかのそれはすでに本格的な地震で、“液状化現象”が起きている、というのが僕の見立てです。例の2001年9.11テロ以後、アメリカが始めた対アフガン、イラク戦争で、世界の関節は完全に外れてしまったので、シリアの反政府勢力にもイスラム過激派が入り込んで、よけいにややこしくなっているという話ですが、今のイスラム過激派の世界的な跳梁跋扈の最大の“功労者”はあの低脳ブッシュだと言って差し支えないでしょう(あの非道な戦争を率先“熱烈支持”した小泉純一郎の国内人気は僕には理解不能でした)。ああいうのを大統領に選出してしまうこと自体、アメリカがすでに“終わっていた”証拠ですが、そこに“自己矛盾の大国”中国が新たなメイン・プレイヤーとして加わるといった展開で、リーマン・ショックもさることながら、もうかなり前から世界規模での危険なスロー・クエイクは始まっているのです。

 自然界の異変と、人間の文明内部の病変はしばしば重なるというか、平行関係をもつことがあるようで、過去に栄華を誇った文明も多くがそうして滅んだのですが、今の文明が危険水域に入っているということは、いくらかでも国際政治に関心のある人なら誰でも感じていることでしょう。一昨年、「未曾有」と呼ばれる震災と悲惨な原発事故に遭遇した日本人は、そうした文明のありようそのものにもいくらか思いをはせてよかったはずですが、それにも懲りず、原子力ムラはほとぼりが冷めるのを待って原発再稼動にこぎつけようとあれこれ画策しているようだし、「昔の夢よ、もう一度」みたいな古くさい経済政策を振りかざす自民党政権がまたも復活して、震災も「あれで気持ちが一つになった」とか何とか、オリンピック誘致に向けての大政翼賛会的雰囲気づくりに利用する始末です。軸がどんどん悪い方にズレていっているとしか僕には思えない。憲法改正して、軍隊としての武力行使ができる“ふつうの国”にしようというのも同じです(戦前の日本もそうですが、古今東西、軍が力をもつようになるとロクなことにはならないのは歴史の教訓です)。

 僕はオリンピック開催地は「東西文明交流の要衝」イスタンブールになるのではないかと思っていました。今の不安な世界情勢を意識して、平和の祭典の象徴として適切な場所をえらぶというのならそうなる可能性が一番高そうに思えたからです。

 こんなことを言うとまた叱られそうですが、僕らが学生の頃、企業は“体育会系”の学生を好んで採用すると言われていました。体力と根性があるし、何よりいいのは、あまり物事を深く考えることがないことで、素直に上からの命令に従うから使いやすくていい、と思われていたのです。「何のためにこんなことをするんですか?」などとよけいな疑問をもって命令に逆らったりはしないから企業としては好都合なのだと。

 今はしかし、全部が頭だけは“体育会系”化して単純になったようで、むしろスポーツ選手の方が思慮深いくらいです。げんに有名なスポーツ選手が「人生指南」書を書いて、皆が有難がってそれを読むくらいなのですから。

 2020年オリンピック東京開催のどこがそんなにめでたいのか? 関係者の涙まじりの「喜びの声」インタビューを聞かされながら、僕は白々しい思いを禁じえなかったので、かえって醜悪に感じられたほどです。テレビも新聞も昨日はそれ一色になってしまったようですが、平和ボケもここまで来れば立派な病気だと思います。競技を見て興奮するというのならまだわかるが、たかがオリンピックの開催国に決まったというだけの話ですよ。それでも誘致にからむ不透明なカネの流れでも報道してくれるなら僕は関心をもちますが、あらゆる意味で「おめでたい」話ばかりとは、戦時中の「大本営発表」を“感動話”の尾ひれをつけて垂れ流していた新聞か、今の北朝鮮と同じで、先が思いやられます。
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