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面妖な空気

2013.04.06(02:55) 208

 「面妖」という言葉は今の若い人には聞き慣れないでしょうが、辞書には「奇妙なこと、不思議なこと」という説明が出ています。しかし、僕の語感ではこの言葉のもつ「薄気味の悪さ」はそういう言葉では尽くせない。英語にweird(ウィアードと発音する)という言葉があって、こちらは「不思議な、気味の悪い、この世のものとも思われない」という訳語が並んでいますが、これがぴったりする感じです。

 これを書いている今は「台風並の低気圧」が接近中だそうで、妙に空気が生ぬるくて暖かく、遠くで地鳴りのような不気味な風の音が聞えていますが、こういうのも「面妖な」感じです。面妖なのは、安倍政権が妙に順調な滑り出しで(能があるから隠しているのかも知れませんが、「タカの爪」がどこかにしまわれているように見えるのも不気味)、株価が急騰しているのなんかも、理由はあまりよくわからないので、同じです(僕は株を持っていませんが、持っていたら、これ幸いと早めに売り抜けるでしょう)。

 そして、連日報道されている北朝鮮の動向です。僕はテレビで大写しにされる金正恩の小学生みたいにふくれたほっぺたを見ながら、「こいつは一体何を考えてるんだろ?」とその面妖さに何とも言いようのない感じを受けるのです。先のアメリカ大統領、ジュージ・ブッシュ・ジュニア並の本物の低脳なのか? そうとしか思えないが、だとすれば何をしでかすかわからないので、なおさらコワイのです。

 専門家たちの解説によれば、「伝統的な」かの国の「恫喝外交」は「体制の温存」を第一の目的としていて、最近のあれこれも「アメリカを交渉のテーブルにつかせようとしてのこと」だというのですが、「体制を温存」していたのでは、北朝鮮国民のひどい苦難は続くでしょう。他の国もそれは以前からわかっているが、いきなり「崩壊」されたのでは難民が中国や韓国にどっと押し寄せて困ることになる。とくに中国はそう考えて、自国の利益のために金王朝の支援を続けてきたのだろうと思いますが、最近の様子では、そういう段階ではもはやなくなってきて、潰さないでおくと自国の害になると、そう考えざるを得ない事態にだんだん近づいてきているように見えます。イランなんかの行動は、それなりにちゃんと戦略があって、大人のやっていることだという感じがしますが、ジョンウンのやることは小学生並で、名目は「最高指導者」でも完全なガキなので、指南役がいてしかるべきところを、それがいないとしか思えないようなお粗末です。

 ネットでニュースを見ていたら、こういう記事が目につきました。最初は「外交団退避求める=「10日以降の安全保証できず」-北朝鮮」と題された時事通信の記事。
 
【北朝鮮外務省は5日、朝鮮半島情勢の緊張の高まりを受け、平壌に大使館を置く各国外交団に対して国外退避を検討するよう通告した。ロシア、英国の外務省当局者が明らかにした。国際社会を揺さぶる瀬戸際戦術の一環とみられる。
 英外務省声明によると、北朝鮮は「10日以降、紛争の際には駐在する大使館や国際機関(の関係者)の安全を保証できない」と文書で警告した。英側は「北朝鮮は国際条約で外交使節団を保護する責任を負っている」と反発を示し、次に取るべき方策について「検討中」と述べた。
 ウズベキスタン訪問中のロシアのラブロフ外相は「北朝鮮外務省に照会する一方、中国をはじめ米国、韓国、日本の6カ国協議参加国と緊密に連絡を取っているところだ」と述べ、現状把握に努めていることを明らかにした。(2013/04/05-23:24)】

 勝手に「緊張の高まり」を作り出しているのだから始末に負えませんが、もう一つ、こちらは「北ミサイルは2基、通告なしに発射実験の可能性」という見出しの読売新聞の記事です。

【韓国政府当局者は5日、北朝鮮が日本海側に移動させた中距離射程とみられるミサイルについて「今週初めに列車で2基が運ばれた」と明らかにした。
 米韓両軍は、ミサイルはグアムに到達するとされる弾道弾「ムスダン」(推定射程3000キロ・メートル以上)で、近日中に、事前通告なしに発射実験を行う可能性があるとみて警戒を強めている。
 同当局者によると、2基は貨物列車で運ばれ、北朝鮮東部の元山(ウォンサン)付近で降ろされた。その後、移動式発射台付き車両に搭載され、別の場所に移されたとみられる。聯合ニュースは、2基とも特殊な施設に格納され、米韓両軍が同施設を監視中だと報じた。
 同当局者によると、元山付近にはムスダンを運用する北朝鮮・戦略ロケット軍の拠点はない。このため米韓両軍は、今回の動きが単なる部隊間の移動ではなく、今月15日の金日成(キムイルソン)主席の誕生日などに合わせ、発射実験をするために移動させた公算が大きくなったと見る。一方で、同当局者は「発射のそぶりを見せ、米国を威嚇するための行動である可能性も排除できない」との慎重な見方も示した。(4月5日20時26分)】

 これ、いくらおなじみの「瀬戸際外交」の続きだと言っても、父親の正日には明確なその自覚があったが、彼にはないのではありませんか? 中国はすでにこの前の国連議決にも賛成したし、アメリカは迎撃ミサイルを用意するというのだから、以前のような「所期の効果(相手の譲歩と支援を引き出す)」は何も見込めなくなっているわけで、「瀬戸際外交」でも何でもなくなっているのです。自分で自分を「窮鼠猫を噛む」状態に追い込んで、「戦争するぞ! おまえら、覚悟しとけ!」と叫んでいるわけで、それが口だけで終わるなら、オオカミ少年として内部でも笑いものにされて、食糧危機が深刻化する中、支援は止められるは、孤立は深まるはで、いいとこなしになって、軍事クーデタが起こる事態にまで追い詰められるでしょう。むろん、そうはなりたくないだろうから、それを阻止しようとして、結局は核ミサイルをぶっ放す(どこに飛んでいくかわからないのもこわいところです)ことになって、大惨事になりかねない(すでにして、KYな軍部の言いなりになっているのではないかという見方もできますが)。

 その戦争、始めたとしても北朝鮮に勝ち目はありませんが、日本だって昔、アメリカ相手に勝ち目のあるはずのない戦争を仕掛けたりしたので、十分ありえる話です。そしてその戦争では、むろん他国も深刻な被害をこうむることになる、ならざるを得ない。

 わが国にもお粗末な世襲政治家、二代目三代目はいくらもいますが、幸いにそれは「絶対権力」を与えられていない。かなりの馬鹿でも十年二十年と経験を積めばそれなりに知恵もついてくるが、彼は早くそうなりすぎました。すぐれた参謀や指南役もいないとすれば、この先どんな暴挙に走るやも知れないので、常識では「ありえない」面妖な事態に、僕らは今遭遇しているかも知れないのです。

 むろん、だから「北朝鮮を先制攻撃せよ!」なんてどこかのカルト宗教の教祖のようなことを僕は言おうとしているのではありません。愚かな、野心と虚栄心以外のものを何も持ち合わせていないような若者が絶対権力を握ると、どんなとんでもないことが起きるか知れたものではないということで、「常識」に従って事態を予測していたのでは足りない状況になりかかっているのではないかということです。

 僕はかねてあの国の「体制を温存」していたのでは北朝鮮国民が幸福になる道は閉ざされたままではないかと考える者ですが、それにはどういうかたちであれ、ソフト・ランディングが望ましい。しかし、このままでは外部にも惨禍が及ぶ「自爆的崩壊」になりそうだとの懸念を強めています。あちこちに爆弾を抱えた今の国際情勢でそれが起きたのでは、「風が吹けば桶屋が儲かる」の話ではないが、それがどんな予測困難な連鎖反応を惹き起すかはわからない。大戦後わが国は朝鮮戦争で漁夫の利を占めましたが、今回はそうはならないでしょう。

 これは国際政治の素人の杞憂にすぎないでしょうか? それならいいのですが…。
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祝子川通信 Hourigawa Tsushin


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