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大学受験英語の基本戦略

2012.12.11.14:04

 センター試験まであとわずかで、受験生をもつ家庭ではピリピリムードになっていることでしょう。今年うちの塾では開塾以来最も三年生が多い年に当たっていて、幸先よく推薦組四人は全員合格を果たして喜んでいるのですが、テキトーをもって知られる僕といえども、さすがに今年は肩の荷が重いかな、という感じです。それで今回は、このブログを読んでくれている受験生や親御さん向けに、センター前の注意事項をちょっと書いておこうかと思います。

 周知のように、センターの英語は発音・アクセント・文法(イディオム・語彙含む)の問題が55点、残り145点は長文(これにも色々ありますが)、別に50点のリスニング問題、という構成です(通常は250×0.8=200で計算する)。これはここずっと変わっていない。

 センターの問題は平均点が6割前後になるよう設計されていて、英語の実際の平均点も大体そのあたりですが、これは全受験生の平均であり、8割、9割台がどっさりいるというのがこの試験の特徴です。学校の定期試験ではあるまいし、何でそんな高得点が取れるのかといえば、それだけ易しいからです。標準的な学力があれば、長文問題は満点を取るのもそう難しくはない。それで、アクセントや語彙の問題には、「これはちょっと難しいかな」というのがいくらかあったとしても、他ができれば180~90点台の高得点になり、相当ミスっても、8割160点を切ることはまずないだろうという、これは試験なのです。

 だから、偏差値55と70以上の生徒であまり差がつかない。よくできる生徒の場合でも、妙なところでひっかかったり、深く考えすぎたりして、時間が足りなくなり、思わぬ不覚をとったりすることがあるので、そういう場合は“逆転”現象が起きることさえあるのです。それでは不都合だというので、二次の個別試験では問題が一気に難しくなり、ことに難関大学の二次の問題などは、センターとはほとんど別物です。そちらでは学力差が点数にはっきり出るでしょう。二次は記述が中心なので国語力や英作文能力も問われ、ごまかしが利かない。

 こんなことを言うと、「じゃあ平均点がやっとの僕ら(私たち)は何なんですか!」と怒る受験生がいるかも知れませんが、そういう生徒でもあと10分、15分時間を多くもらえれば、7割は行く、という人が大半でしょう。つまり、そういう生徒は速読能力に劣るか、時間配分が下手なだけなのです。今も言ったように、よく出来る生徒でもヘンなところで時間が取られて時間不足に陥り、思わぬ失敗をすることがあるので、センターは学力がどうのという問題ではあまりないのです(あの程度の英文もチンプンカンプンというのでは相当ヤバいので、高1でも優秀な生徒は140点ぐらいは取ってしまうのです)。
 僕は毎年、インターネットにアップされた段階で時間を計りながら自分で解いてみるのですが、眠たい試験だなといつも思うので、平均点設定を100点(5割)に下げてもいいから、表面的なトピックに終始せず、もうちょっと歯応えのある英文も入れて、考えさせる要素を強化したらどうか、と思っています(ほんとは廃止すべきだと思っているのですが、そんな議論を始めると長くなってしまうので、ここではやめときます)。二次で英語の試験を課さない大学・学部の場合、あれだけで英語力を評価するというのでは、後々かなり問題が出てくるのではないでしょうか。

 話を戻して、だからセンターの英語は速読力と要領に尽きると言っても過言ではありません。どういう順番でやるのがいいかと聞く人がよくいますが、それも好みによるので、頭から順にやる人もいれば、最後の大問6(あれがセンターの一番英語らしいいい問題です)から手をつける人もいる。途中に英文の穴埋めをする問題(大問3のC)が一つあって、あれに時間を取られて失敗する人が多いので、あそこだけ飛ばして最後にやった方が賢いという程度のことは言えますが、あとは好き好きでしょう(僕自身は頭から順番に全部解きます)。

 「時間が足りなくなった」という人に多いのは、文法問題に時間をかけすぎていることなので、四択の問題など、英文の意味には十分注意を払って読んでもらわないと困りますが、選択肢からえらぶ段階では三秒以上の時間をかけてはならない、と僕はよく生徒に言っています。ああいうところは“瞬殺”でやっていかないと、時間が足りなくなるのです。また、グラフや図表が出てくる長文のところで時間を食われるという人にお勧めなのは、読みながら余白に数値などのメモを取っていくことです。そうすれば英文を読み直す手間が省けて、時間の節約になる。

 これは国語でも基本的に同じだと思いますが、文章を読むスピードには個人差が大きいので、読むスピードが早ければ、それだけ設問に時間を多くかけられることになって、ミスが減ります。だから基本戦略としては、速読力の養成が不可欠だということになる。

 先にも言ったように、二次試験の問題(とくに難関大のそれ)と違って、じっくり考えながら読んでいかないと設問にも回答できないような高度な内容の英文は、センターには含まれていません。だからなおさら「速く読む」力がモノを言うことになるのです。

 速読力の養成には、辞書を引かなくても大体の意味が取れる易しめの英文を大量に読むことが有効だと、よく言われます。僕もそう思いますが、今の段階では、センターレベルの一定の長さの英文を制限時間(分量に応じて5分とか10分とか)を設定して読む、という練習が一番いいかも知れません。とにかく、意識的に速く英文を読む、という訓練をするのです。それだけでもずいぶん違ってくるだろうと思われるので、読むのが遅い人はそうした練習をして下さい。そうすれば、最後の長文に行き着いたときは残り五分しかなくて、やむなく当てずっぽうに選択肢をえらび、大方間違っていたが、後で読み直すと、時間があれば全問正解できるはずの問題だった、なんて残念なことにはならずにすむのです。

 僕がかねて不可解に思っているのは、忙しすぎる(延岡の県立高校生などとくにそうですが)今の受験生は、学校のお勉強を離れて易しめの英語のペーパーバックを読んだり、左右見開きの対訳になっている英語の本を読んだりすることが少ないように見えることです。そっちの方が退屈な学校のリーダーの教科書なんか読むよりずっと面白いのに、何でそれをしないのかと不思議なのです(そういうことをしていれば、英文特有の自然なリズムというのもわかって、英作文などでもいいものが書けるようになる)。センターにかぎらず、今は昔と違って入試問題が全般に長文化し、多量の英文を読まなければならないのに、かえってそういう英語での読書は少なくなっているのです。今は地方でも英語の原書はネット販売で早くかんたんに取り寄せられるし、適切な対訳本などもたくさんあるのに、です。塾でも「こういうのがあるよ」と紹介することはあるのですが、買ってもそれを実際に読んでいるかどうかは疑わしいので、重箱の隅を突っつき回すような下らない学校の文法プリント(何であんなものをえんえんと、くどくやっているのか、僕には理解不能です)をやったりするより、楽しみながらそういう英文を読むほうがずっと入試対策としても効果的なのです。速読力がつくのは言うまでもない。だから一・二年生はそういう「英語での楽しんでする読書」を日頃から心がけるといいので、そしたらセンターレベルの英語に苦労させられることはまずなくなるでしょう。センター対策なんてものは何もしなくても、8割9割が自然に取れるようになるはずです。

 構えた受験勉強は、精読を要求される、二次の個別試験用のかなり高度な長文問題でやればいい。精読、厳密なテキスト・リーディングは、たんに語学力だけでなく、考える力そのものを鍛え、頭の緻密さを養ってくれるから重要なのです。幸いに二次の問題(私大の一般入試も含めて)には、タイムリーな興味深い英文や、教養を培ってくれそうなためになるものがたくさんあって、一石三鳥ぐらいの効果は見込めるので、勉強のし甲斐もあるのです。そういう試験で7割取れるだけの実力をつけておけば、後で困ることもない。どんな厄介な英文でも、辞書片手に大方は読みこなせるだろうからです。英文の全訳が課される大学院の入試でも困ることはないでしょう。

 私大第一志望の受験生の中には、自分が受ける大学は大部分がマーク方式なので、記述の練習なんかするのは無駄だ、と言う人もいるかも知れません。僕も昔、私大第一志望の受験生でしたが、マーク(記号選択)方式は嫌いで、面白くなかったので、記述の問題を多く解きました。その際、英文の内容そのものが“読むに値”しそうかどうかをまず見て取りかかったのですが、一番好きだったのは英文の要約を日本語でする問題で、東大では今でも第一問がそうした要約の問題ですが、ああいうのを好んでやったのです。入り組んだ構文や、そのまま訳したのでは意味が通じない英文の下線部訳なんかも、“解読”の面白さがあって、楽しんでよくやりました。マーク方式の問題にはそれなりに問題慣れしておく必要はあるので、それは過去問などでやっておいた方がいいが、英文の読解力そのものが上がれば、形式がどうあれ、問題も解けるようになるわけで、記述はやったら損というようなセコい料簡で勉強するのでは“上げ底学力”しか身につかないでしょう。自分の能力を伸ばす障害を自らつくってしまうことにもなるわけで、そういうケチな勉強の仕方はやめた方がいいだろうと思います。難は易をカバーするが、その逆は成り立たないのです(他に僕が力を入れたのは英作文の練習です。今はメールでたやすく世界中の人とやりとりできる時代なので、とりわけその重要性は高まっていると言えるでしょう。可能なかぎりシンプルな英文で、可能なかぎり高度な内容を盛り込むことができれば、それがベストです)。

 ついでに、リスニングとスピーキングについても言うと、僕自身は「昔受験生」の悲しさでこの二つがひどく苦手なのですが、リスニングはセンターでも、さらに一部の大学の二次でも課されるので、今の受験生は避けて通れません。自分が苦手なだけに、どうすればいいか聞かれても困るのですが、今はたいていの問題集に掲載英文を音声で収録したCDが付録としてついているし、リスニング用のいい教材も出ています。他に洋画のDVDを活用する(英語字幕にもできるし、字幕なしも選択できる)という手もあるので、そういうので耳を慣らせば、自然に聴き取り能力もついてくるでしょう。

 スピーキングに関しては、前にアメリカの大学に留学中の元塾生からメールが来て、他の国からの留学生たちは皆話せるのに、自分も含めて日本の留学生たちはみんなダメで、どうすればいいですか、ときかれたことがあります。

 いちいち細かい文法を気にしすぎるからで、とにかくしゃべれ。こんな言い方でいいのかなというところは、後で自分の部屋に帰ってから辞書で調べるなどして確認し、そういうフィードバックをうまくやりながらしゃべっていれば、「知ってるだけで使えない」構文や表現も「使える」ものに変化してきて、だんだん板についたスピーキングができるようになるだろうから、初めはブロークンでも上等、というつもりでやればいいと返事をしたのですが、彼女はそのメールに、「日本の学校はもっとスピーキングの教育をした方がいい」と書いて、そのうしろに!を十個もつけていたので、よほど日本の学校の語学教育のダメさ加減を思い知らされたようです(ちなみに、その生徒はセンターのペーパーの方は190点、リスニングもほぼ満点でした)。
 そしてしゃべるときには、別に「外人ぽい」発音を無理にしなくてもいい。国際会議の映像など見ると、ドイツ人やインド人の英語など、やけに聴き取りやすかったりするので、喉を鳴らしたり、舌を転がすような凝った発音など別にしなくても、ちゃんと通じるのです。この前ノーベル賞を受賞した山中教授の英語講演なども、発音そのものはいかにも日本人的で、「途中から関西弁になってしまった」とご本人がおどけて言うようなわかりやすさですが、相応に板についた自然な感じがするので、要はそうした自然さと、後は語るべき内容のある話ができるかどうでしょう。相手が同国人であれ、外国人であれ、中味のない話しか出来ない人の相手をさせられるほど退屈なものはありません。それですむのは物珍しさが伴う最初のうちだけでしょう。だから、「語るべき内容のある人間」になる努力を、同時にしておかねばならないのです。

 以上、大ざっぱに「英語はどんな勉強をすればいいか」について書きましたが、中堅以上の国立大学はたいてい理系でも英語の問題が二次に入っているので、受かるかどうかはそれがどの程度解けるかで決まってくるということは忘れないで下さい。僕の塾で意図しているのは、二次で5割が合格ラインという二次のかなり難しい問題でも、7割は確保できる学力を生徒につけてもらうことです。センターで思わぬしくじりをしても、二次の比重が高い大学なら挽回が利くし、逆にセンターがいくらよくても、二次学力がなければひっくり返されてしまう。だから出願時はその大学の二次の問題がどの程度できるか、よく見極めて決める必要があるのです。

 ともかくあとしばらくの辛抱なので、受験生たちは集中力を切らさず頑張って下さい。延岡の県立高校の生徒なんかは、自分の勉強時間を確保したいだろうに、12月になってもまだ朝夕課外の長時間拘束が続いていて、各科、宿題もさらに増えているという話で、うまく付き合わないと今の時期必要な自分の勉強がおろそかになるし、本番前に疲労困憊して、満足なパフォーマンスができなくなるおそれさえあります。何でそんな“余計なお世話”を学校はするのか、先生たちは自分の不安に引きずられているだけなのではないかと思いますが、宿題の類はうまく取捨選択して、自分のことは自分が一番よくわかっているのだから、自分に不足した部分の手当を一つ一つ着実に行っていくことです。「間に合わない」と焦っている人も、焦るだけならサルでもできるので、落ち着いて一つずつ「ここが弱点」というのを潰していくのです。「完璧な準備」など誰にもできないのだし、勝負事は万事、腰が浮いたら負けなのだということをくれぐれも忘れないで下さい。

 ちょっと早いが、受験生諸君の健闘を祈っています。
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