睡眠不足の新たな脅威が判明!

2012.10.21.07:31

「生徒を慢性的な寝不足に追い込む有害無益な朝課外は廃止すべし」
 そういうことを僕は懲りずに何度もこのコーナー(延岡の高校)に書いてきましたが、前回の「海馬の縮小」に続いて、睡眠不足の“新たな危険”がまたも報じられました。何と今度は「心臓病」で、「後年になって心臓病にかかるリスクが高くなる」というのです。

 有難いことに参照先に英文の原記事も示されているので、英語のお勉強兼ねてそれを一緒に読んでいきたいと思うのですが、英語恐怖症の人は、URLを付けておくので、せめて次の日本語記事をごらん下さい。

◎「2度寝のいい言い訳!? 10代の子どもが睡眠時間を削ると後々心臓病にかかる確率がアップする

 こういうのを見ると、お母さんたちも「さすかにこれはまずすぎる…」と思うのではありませんか? 例の九州大学入試英文(2009年度)にもあったように、それは抑うつや非行、摂食障害、学業成績の低下など様々な副作用を伴うだけでなく、大事な海馬(その働きの重要性については各自でお調べください)が縮小したり、さらには後で大きな心臓病のリスクとなってはね返ってくるというのだから、ダメダメ尽くしで、言葉は悪いが、潜在的な人殺しにわが子の教育を委ねているようなものだからです。むろん、それは意図的なものではなく、無知によるものです。しかし、これらはすべて科学(医学)の裏づけのある情報で、かつそれは一般の人々向けに公表・紹介されていることなのだから、教育者ともあろう者が「知らなかった」ですむ話ではないのです。延岡高校なんか特に、「メディカル・サイエンス科」なんてのを設けているくらいなのだから、それでその方面のことはまるで知りませんでは、ブラック・ジョークにもならないでしょう(生徒に聞いた話では、課外で平常授業ができなくなったことに関しても、「何でなんだろ?」なんて間抜けなことを言っている先生が延岡高校にはまだいるらしいので、このブログの記事を読め、と教えてあげて下さい。教育行政のことも全く知らなくてよく学校の先生が務まるなと思いますが)。

 さて、元の英文記事を一緒に読んでいくことにしましょう。まず、タイトルと見出しは次のようになっています。

Now that's a good excuse to stay in bed! Teenagers who
skimp on sleep are more likely to suffer heart problems later
in life
・Lack of sleep linked to high blood pressure and cholesterol
・Teenagers need around nine hours of sleep a night - and
weekend catch-ups don't count

 大方の人が「知らない」というのはskim on sleepでしょうが、skimの基本的な意味は、skim the soup(スープのあくを取る)のように、「表面をかすめる」ことです。だから、「本をななめ読みする」なんかも、skim a bookです。だからこれは、要は「ロクに寝ない」ことです。be more likely to doは高校生にはおなじみで、「~の確率がより高くなる」です。そうすると、「これで寝床でグズグスしている言い訳が見つかった! 寝不足のティーン・エイジャーは、後年、心臓病で苦しむ確率がより高くなる」と訳せます。

 見出しの方はわかりやすい。
「睡眠不足は高血圧、高コレステロールと関連している(見出しなどではこういうふうにbe linked toのbeが省略される)」「ティーン・エイジャーは一晩あたり9時間前後の睡眠が必要で、週末の“かため寝”は利かない」です。countは他動詞の「数える」だけでなく、自動詞の「重要である」の“重要な”意味があります。ここはそちらです。
 本文を見ていきましょう。

Teenagers who don't get enough sleep are more likely to develop heart disease later in life, Canadian research has found.

 ここはOKでしょう。「十分な睡眠をとらないティーン・エイジャーは後年心臓病を発症することが多くなる、ということをカナダの研究者たちが突きとめた」です。
 最初は若者全般についての話になっています。そこを見ていくと、

Researchers studied 4,000 young people and found the one-third with the poorest sleep quality were more likely to be overweight or have unhealthy blood pressure or cholesterol levels.

「研究者たちは4千人の若者を調べ、最も睡眠の質が劣悪な(要するに寝不足が過ぎる)若者の3分の1が肥満傾向や、不健康な血圧・コレステロールのレベルにあることを発見した」

While the findings do not prove that sleep problems are to blame for heart disease, it's known that poor sleepers tend to take less exercise, spend more time in front of the TV and eat a worse diet than their better-rested counterparts.

「この発見は睡眠不足が心臓病の原因であることを証明するものではないが、ちゃんとした睡眠をとらない人が、よい休息をとっている人たちと較べて、運動不足や、テレビの前で長時間過ごしたり、食事も劣悪なものになる傾向があることは知られている」

 何だ、じゃあ、「生活の乱れ」が心臓病の原因なので、睡眠不足そのものが悪いと言っているわけではないじゃないか、と思われるかも知れませんが、そう結論を急がず、先を読んでみましょう。

That was also true of the sleep-deprived teens in this study.

「それはまた、この研究における、睡眠を奪われた10代の子どもたちにも当てはまる」

 ここのbe true of は大学受験生には忘れると痛い熟語なので、憶えておいてもらいたいのですが、寝不足になると何事もおっくうになり、かえってダラダラしがちになるのは年齢を問いません(だから学力も伸びないのだとは、かねて僕が言っていることです)。そしてこう続きます。

But even when the researchers factored those things in, poor sleep was still linked to a higher rate of potential heart risks.

「しかし、研究者たちがそうしたことも考慮したとしても、睡眠不足はなおも潜在的な心臓病リスクのより高い確率と結びついていたのである」

 ここでは、factorは名詞ではなく、動詞として用いられていて、後ろにinを伴って、「計算に入れる」という意味になります。ここからその研究者たちのコメントが出てきます。

'When people think about cardiovascular risk, sleep doesn't usually come up,' said
senior researcher Dr. Brian C. McCrindle, of the Hospital for Sick Children in Toronto, Canada.
'These findings give more evidence that sleep is one of the things people should think about.'

「『人々が心臓血管のリスクについて考えるとき、睡眠の問題は通常出てきません』と、カナダのトロントにある、子ども病院の上席研究者ブライアン・C・マクリンドル博士は述べている。『これらの発見は、睡眠が考慮されるべき問題の一つであるという、より明確な証拠を提供するものです』と」

The study, published in the Canadian Medical Association Journal, asked 4,100 teenagers about their sleep quality.All of the teenagers were healthy, but the third with the worst sleep scores showed signs of potential heart trouble in the future.

「その研究は、『カナダ医学協会』誌に発表されたものだが、4100人のティーン・エイジャーたちに、彼らの睡眠の質について聞き取り調査を行なったもので、そのティーン・エイジャーたちは全員健康だが、乏しい睡眠しかとっていない3分の1は、将来における潜在的な心臓障害の兆候を示していた」

Overall, 48 per cent were either overweight, had elevated blood pressure or high cholesterol.
Only 39 per cent of the well-rested teenagers had these symptoms.

「全体としては、48%が肥満か、高血圧、高コレステロールだった。よく眠っているティーン・エイジャーの場合には、その39%だけがこうした兆候をもっていた」

The findings are worrying because these risk factors for heart disease, such as being overweight or having high cholesterol, tend to continue into adulthood, said Dr McCrindle.
Previous research in adults has linked poor sleep to heart disease and diabetes.

「これでわかったことは憂慮すべきものである。なぜなら、高血圧、高コレステロールなどのこうした心臓疾患の危険因子は、大人まで持ち越される傾向があるからだ、とマクリンドル博士は言う。先の大人対象の調査では、睡眠不足が心臓病や糖尿病と関連することが示されていた」

 ここから先、終わりまでまとめて紹介します。

One theory is that getting too little sleep could have negative effects on certain hormones, including those that regulate appetite and fat metabolism.
People who are awake late at night may also have more chances to snack, and less energy to exercise the next day.
Studies suggest that half of teenagers get fewer than seven hours of sleep on week nights.
Yet up to nine hours is much better, say the researchers, adding that sleeping in on the weekend 'doesn't repay the sleep debt'.
'Parents should remove "stimulants", such as TVs, computers and mobile phones from bedrooms,' advises Dr McCrindle.
Cutting down on caffeinated drinks during the day can also help, he says. 'Some of the biggest culprits, such as energy drinks, are very popular with teenagers.'

 「一つの理論(的説明)は、睡眠不足は、食欲や脂肪代謝を司るそれを含む、特定のホルモンにネガティブな影響を及ぼす可能性があるということである。夜更かしする人は、スナックを食べる機会が多くなるし、翌日、運動するためのエネルギーはより少なくなる。研究は、ティーン・エイジャーの半分が週日の夜、7時間以下の睡眠しかとっていないことを示唆している。けれども、9時間の睡眠の方がずっと好ましいと、研究者たちは言う。週末にかためて寝ることはふだんの睡眠不足の十分な補いにはならない、とも付け加える。
『親たちは、テレビやパソコン、携帯電話などの“刺激物”を(子どもたちの)寝室から取り除くべきである』とマクリンドル博士はアドバイスする。日中はカフェイン入りの飲み物を減らすことなども助けになるだろう、と彼は言う。『エネルギードリンクなどの“犯人”の最たるもののいくつかは、ティーン・エイジャーの間ではとても人気があるので』」

 要するに、睡眠不足それ自体がよろしくない、という結論なのです。それはホルモンの働きを乱して、健康な食欲を奪い(だからスナック類をだらだら食べたりしがちになる)、脂肪の代謝を妨げ、運動嫌いにもなって、高血圧や高コレステロールを結果する。そういうことなのだろうと思われます(海馬へのダメージなんかもこれとは別にあるわけです)。

 ここで取り上げられている話は、いわばティーン・エイジャーたちが“勝手に”そういう生活に流れてしまうことに対して警告を発したものと見えますが、延岡の県立普通科高校の生徒たちの場合には、それは“学校によって強いられた”ものなので、事は一段と深刻なのです。今はやりの言葉で言えば、それは「自己責任」ではないからです。

 ここを、学校側はよく自覚してもらわないと困る。
 慢性的な睡眠不足のまま、毎日部活で激しい運動など続けていた場合はどうなのでしょう? それはなおさらよくない結果をもたらすはずで、まさかそんな非常識なことを強いられているティーン・エイジャーがいるとは思わないから、それについての研究報告はないというだけの話です。しかし、延岡の県立高校の生徒たちの場合には、これが当てはまる生徒が相当いるのです。真面目な子ほどそうなりやすい。親御さんたちはそうなるとどうなるか、一度医者に意見を聞いてみるとよいでしょう。「うちの子は毎晩4時間睡眠でハードな部活も頑張り、夜中までかかる多すぎる宿題もきちんとやっていっているのですが、だんだんやつれてきています。こういうのを三年続けても平気なものでしょうか?」と。相手がよほどのヤブでないかぎり、「そんなことはすぐやめさせろ」という返事が返ってくるはずです(実際僕は帯状疱疹を発症している生徒や、うつ状態になっている生徒もいると聞いています)。

 一方でそんなことを強いながら、授業中よく寝る、やる気がない、宿題をやってこない、だらけている、等々、おかしな精神論をぶつのはただの馬鹿です。そんなことをグチグチ言う前に、自分たちが強要していることがどんなに子どもたちを疲労させているか、学校の先生たちは今少し真剣に考えてみるといいのです。僕は延岡に来て以来、県立普通科高校の鈍感と無神経、非常識な独善性には腹の立て通しです。とても日々の生徒の様子を観察しているとは思えない。悪いのは例の大津の中学みたいに、いじめに見て見ぬふりする学校だけではないのです。生徒の健康状態に無関心なのも同じくらい罪悪なのです。

 いつも言うように、大体それでは学力そのものがつかない。学校は知らないのでしょうが、延岡の保護者の間では、「学校の言いなりになんかなってると、疲れるだけで学力は伸びず、本人の能力よりずっと下の大学にしか入れなくなる」という声があちこちで広がっているのです。僕が広めているわけではない。卒業生の多くがそう言っているので、それは実体験に基づくだけに説得力をもって受け止められているのです。

 9時間の睡眠などと、僕はぜいたくなことは言いません。せめて7時間は寝られるように、学校側は配慮すべきなのです。あの朝課外と無駄に量ばかり多いクソ宿題(失礼!)では、その上に長時間の部活をやっている真面目な生徒は4~5時間しか眠れない。慢性的な睡眠不足に多くの生徒は苦しんでいるのです。それで学力が伸びたらその方がよっぽど不思議なので、げんにさっぱり伸びていないのです。伸びている生徒はうまく手抜きしているので、この夏、元塾生ではない二人の若者が塾に突然現れて、ここの記事に賛意を表明してくれましたが、彼らは県立高校の最優秀の卒業生たちで、「うまく手抜きした」からこそ難関大学に合格できたのです。「よくあんな学校に通っていてそんな大学に受かったねえ」と僕は感心したのですが、考えてみれば、これは実に皮肉なことです。というのも、僕の見るところ、延岡の県立高校の最大の被害者は成績中間層とその下の層で、よけいな課外や多すぎる宿題がなければじっくり自分のペースで勉強ができて学力もつくのが、ゆとりがなさすぎてそれができず、頭の混乱状態が深まるままひどい成績(これは学校の定期試験の成績ではなく、模試などの実力試験の成績です)に落ち込み、やる気を失ってしまうのですが、一方、上の層は上の層で「あんな授業や宿題にまともにつきあっていたら絶対に受からない」と思っているということなのですから。そうすると、学校のあの「指導」は一体誰の役に立っているのでしょう? 僕には深い謎なので、どなたか教えてくれる人がいたら、教えてください。英語など、あれほどしつこく文法プリントをやらされて文法力がつかず、試験のたびに何百もの単語を暗記させてテストをやって語彙力がつかないのはなぜなのか? それはやり方がまずすぎる以上に、生徒が寝不足で疲れすぎているからでしょう。だから理解力も記憶力も、知的能力全般が低下してしまうのです。

 そして、今回も紹介したように、寝不足は健康上も将来にわたって深刻な悪影響を及ぼす。どれをとってもいいところは一つもないように思われるので、反省の全くないこういう学校を税金で運営するのに何か意味があるのかな、と思ってしまうのです。ありますか? むろん、先生たちに雇用の場を提供しているということの他に、です。
 暴言多謝。

※ 英文の行末処理がうまくいっていないようなので、読みづらいと思います。後で下記原文を参照して下さい。 尚、内容理解には差し支えないと思いますが、上の引用では段落を一つ省いています。

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