わが子を学校から守る方法

2012.07.19.17:32

 そういうタイトルで本を書けば、このご時世ではベストセラーになるかも知れません。「学校から子供を守るって…学校は子供を保護してくれるところではないの?」とまともな国のまともな教育者なら言うでしょうが、あにはからんや、今のわが国の学校というところはそうはなっていないのです。

 話を戻して、僕の結論を言うと、今のところそれには「自衛」しかありません。よい担任の先生、よい管理者(校長・教頭)、責任感のあるよい教育委員会が存在するところなら、相談すれば解決するでしょうが、そういうのは宝くじに当たるみたいなものだと、今では多くの人が思っているでしょう。そう思わせるような事件や、事件化しないまでもお寒い現実が、目につきすぎるからです。

 こういうことを言うと学校の先生たちは憤慨するでしょうが、教師集団というのはかなり異常な集団です。異常でないとすれば、その先生は例外で、掃き溜めに鶴みたいな貴重な存在だと、文字どおり有難く思った方がよい。

 何か心配な問題が起きたとき、世のお母さんたちは、学校に「自分(や子供)の気持ちをわかってもらいたい」と思います。それをやめろと、まず僕は言います。そんなものがわかる連中は今どきの自己保身に凝り固まった教師の中にはほとんどいないからです。

 教師の「常識」は一般世間の「常識」とは驚くほどかけ離れています。だから「気持ち」もおわかりいただけないので(ふつうに話したのでは話が全く通じないと、いじめ問題ではありませんが、個人的にも僕はこれまで幾度となく聞かされています)、初めから交渉、ネゴシエーションのつもりで臨まないとうまくいきません。大体、学校というところは、相手がどういう人間かで態度がガラリと変わるのです。善良ではかなげな母親が一人で行くのと、県会議員や弁護士のような有力者を連れてゆくのとでは、対応が全然違ってくる。言うこともまるで違うのです。学校の教師ぐらい力関係に敏感なものはないほどで、それはどんなお役人よりひどいのです。

 だからときによってうまく持ち上げたり、必要とあらば思い切りへこませたり、しなければなりません。相互理解ではなく、交渉だと言うゆえんです(学校や教委がいじめを認めたがらないのは、言うまでもなく、そうなるとそれを止める責任が自分たちに生じるからです。「認識」していなかったといえば、どんなひどいことになろうと、その責任は免れると考える。それはおかしいではないかとふつうの人は思いますが、学校の教師ぐらい形式論理に縛られた人種も珍しいので、彼らは現実的にものを考えることができない人たちなのです)。

 たとえば、いじめが発覚したします。わが子がいじめられていて、それが放置できないレベルに達している。そういう場合、学校に「善処をお願い」するだけではうまくいかないことが多いでしょう。きっちり「止めてください」と言い、「学校にそれができないのなら、こちらで独自に対処させていただきます」と言うのです。

 そういうとき、学校が「いじめとは認識していない」などと言っても、「ひどい!」などと言って泣き崩れたりしてはなりません。そういうのは与し易しと見られるだけなので、先にも言ったように、「常識」がまるで異なるのです。だから冷静に、「そちらではそう認識しておられても、こちらではいじめだと認識しているので、だから『止めて下さい』とお願いしているわけで、それができないのなら、こちらでそれなりに対処するということなのです」とはっきり言うのです。

 すると学校側は、「対処って、何を…?」と不安げな面持ちで訊くでしょう。そこで、その子たちに即刻やめるように直接こちらから言うとか、その子たちの親御さんとも、家を訪ねてじかに話すとか、考えていることを言うのです。「うちの主人は血の気がいくらか多いものですから、それでもいじめがやまない場合、返礼として相手の父親をボコボコにしに行くと申しております」などと、付け加えてもよい。そのようなアンタッチャブルな夫をお持ちでない場合(それがふつうでしょうが)には、こうした学校側との話し合いや、子供から聞き出した詳しいいじめの状況などを細かく綴った「悲しむ母の日記」と題したブログを毎日書き綴り、ツイッターやフェイスブックなどでも話を広めまくる所存です、と答えるのです。教育委員会はもとより、文科省にも相談の電話を入れますし、マスコミともコンタクトを取る、とにかくできることは全部するつもりです。むろん、いじめ少年たちの実名を出すなどという違法なことはしませんが、と。

 断固たる決意を表情ににじませてそう言えば、学校が何もしないということはないでしょう。そんなことされたら大騒動になりかねないので、自分たちの責任問題にだけは敏感な彼らは困ると思うからです。とにかく「いじめとは認識していない」のは学校の勝手で、こちらはそうだと認識しているから、それに見合った対応を取ります、ということを明確に伝えるのです。学校側に自発的な「いじめの認識」など求めるのは、百年河清を待つがごとしだと、肝に銘じて事に取り掛かるのです。

 善良なお母さんたちの中には、「そんなことを言ったらモンスター・ペアレントだと思われてしまう…」と心配する人もいるでしょう。実際、ちかごろの親には、自分の責任はきれいさっぱり棚上げして、執拗に勝手な要求を並べ立てる非常識な手合いが少なくないそうで、見かけはそういうのと区別がつきにくいからです。しかし、そんなことを気にしているようでは、今どきの学校からわが子の命は守れないのです。

 モンスターというのは、例の大津市の教育長のような人をいうのです。おととい、僕はインターネットのニュースサイトで「大津市教育長『家庭に自殺原因』」という見出しの記事を見て、「いまだにそんなこと言ってるわけ?」と驚きました。記事の内容は以下のとおりです。

【大津市の中2男子いじめ訴訟の口頭弁論で、市代理人が自殺といじめの因果関係を認める方針を示したことについて、市教育委員会の沢村憲次教育長が17日午後、記者団の取材に応じ、代理人の主張とは一線を画し「いじめと自殺の因果関係は判断できない」とする従来の主張を繰り返した。
 「一因である可能性がある」とする一方、「自殺の背景には家庭内の出来事などもあると聞いている」と指摘。警察や調査委員会が、家庭背景などについても明らかにすべきだとの認識を示した。
 沢村教育長は市と歩調がずれていないか記者に質問されると「全てを明らかにすべきという点で、意見は一緒。大きな部分で考え方が異なるわけではない」と説明した。
 また、市と市教委への電話、メールが同日までに1万件を超えた。大部分が抗議や苦情という。】(産経新聞電子版)

 このケースでは生徒たちの数多くの証言からも「いじめと自殺の因果関係」は明らかだと思いますが(子供は大人ほど嘘はつきません)、生徒アンケート(これも事件解明のために“自発的”に行なわれたものではないので、そのような事件が起きたときはアンケート調査をするよう文科省から通達が来ているからです)を全部見ているはずの、調査の責任者である教育長自身がまだそう言って頑張っているわけです。「伝聞で事実と確認できない」などと言って、不都合なものは全部隠していたのが市教委で、そのことで頭を下げたにもかかわらず、まだ自分は正しいと言い張る。その明確な自覚があるかどうかはともかく、「伝聞」だから彼らはそれを公表しなかったわけではないのです。その証拠に、今この教育長は「自殺の背景には家庭内の出来事などもあると聞いている」と言っているのですが、それも「伝聞」にすぎず、教育長という立場上、安易に口にしてよい言葉ではないはずですが、そういう「公正さ」はまるでないのです(ついでにいえば、「問題」を抱えていない家庭の方がむしろ稀なので、にもかかわらず、子供が自殺するほどの「問題」はめったにあるものではありません)。要するに、自分のメンツが大事で、死んでもそれだけは守りたいと、強弁を続ける他なくなっているのです(こういうのは“お困り教員”の人格特性の一つです)。

 学校に任せておくと、子供が死んでのちも、「あれは家庭の問題のせいだ」などと傷口にさらに塩を塗りこむようなことを言われねばならないのですよ。この教育長自身、「子供時代の家庭の養育」が悪すぎたせいでこういう腐ったパーソナリティの持主になったのではないのかと皮肉の一つも言いたくなりますが、こういう御仁が元締めをやっているような組織と、信頼関係に基づく関係なんて、どうやってもつのですか? だからそれははなから諦めていた方が賢明なのです。

 話して通じる先生や学校なら、相談しながら協力して問題の解決に当たることができる。そうなればメデタシ、メデタシです。しかし、そうでないと判断される場合には、このやり方をお勧めします(延岡ではあまりいじめの話は聞かないのですが、もし深刻な問題になっているようなものがあるなら、ご相談下さい。同じ地域の住民の一人として、僕なりにできるだけの助力はさせていただきます)。

 この前も書いたように、こうした問題は教育委員会の組織のあり方から、教員採用のシステムまで、根本的なメスを入れないと解決しないでしょう。しかし、差し当たって“緊急避難”的な対策が必要なので、書いてみたのです。子供の問題は、大人が逃避せずに、からだを張って当たる覚悟さえあれば大方解決すると、僕は思っています。学校にその気がないのなら、親自身がそうする他ないのです(学校が真摯に対応してくれる場合でも、そちらに丸投げで、親が知らんぷりでは、問題を解決することはできないでしょう)。
スポンサーサイト
プロフィール

大野龍一

Author:大野龍一

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR