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いっそのこと小沢一郎を総理にしたら?~今の政治を考える

2012.07.02.23:56

 もうじき日付が変わりますが、大方の予想どおり、今日の午後、小沢一郎が“子分”または“同志”を引き連れて民主党に離党届を提出したそうです(同調者は衆院38人、参院12人の計50人の由)。

 これに先立って行なわれたマスコミ各社の世論調査によれば、小沢新党に「期待しない」という有権者がいずれも8割近かったそうで、僕もその一人ですが、小沢氏のことだから、「もっていき方次第で世論は味方に転じる」と考えているのかも知れません。「以前のマニフェスト堅持」「消費増税反対」「脱原発」なのだから、民はいずれわれらに味方するだろうと。

 先の衆院本会議で消費税増税法案の投票が行われているとき、反対票を投じた小沢一郎には満面の笑みが浮かんでいました。結果としては民主党から57人の造反者(棄権は他に15人)が出たので「してやったり」の心境だったのでしょうが、それで否決になるわけではないし、つまらないこと喜んでいる場合かと、それを見て不快に感じ、これは政治というより権力ゲームが好きなだけの人間なのではないかと思った人は少なくないでしょう。離党カードで民主党執行部に増税案撤回を迫るといっても、それは今さら相手には呑めるはずのない話です。法案は参院の審理を経て成立しますが、参院では民主は過半数に届かず、自公が賛成すれば可決されるから、この法案は通るでしょう。

 彼はそれは承知でこの挙に出た。小沢美学によれば、「男には負け戦とわかっていても戦わねばならないときがある」ということなのかも知れませんが、これが全く美しくないのは、別に彼はそれで切腹を迫られるわけでも、殺されるわけでもないからで、「ボクちゃんはマニフェストを裏切ってませんからね」という自身のアリバイ工作でしかないと見えるからです。今のままでは次の選挙で民主はボロ負けする、だからここは党を割ってでも新党を作るのが得策だと考えたのだろうとしか有権者は見ないので、支持も集まらないわけです。

 自民はもとより、民主党内部にも「小沢嫌い」は少なくないようですが、彼らのやり方が稚拙だなと僕が思うのは、小沢が政権につくのを妨害ばかりしてきたことです。そんなことをするより、一度政権につかせて、彼が言っていることが実行できるかどうか、本人にやらせてみればよかったのです。大盤振る舞いの子供手当てもマニフェストどおり実行する、消費税増税も断固としてやらない、今回の大震災、原発事故にもかかわらず、予算の無駄を削って赤字国債の発行は減らす、そういうことが現実に出来るかどうか、彼を総理にして、やらせてみればいいのです。

 僕はこの前の総選挙で民主に投票した者の一人ですが、別にマニフェストがいいから民主に入れたというわけではないので、子供手当て案など、筋違いもいいところのバラまき政策だとしか思いませんでした。親は自分の働きで子供が育てられて、それで初めて親としての誇りがもてるものなので、母子家庭などの気の毒なケースにはすでに生活保護制度がある。だから問題は、親が自力で子育てができる経済社会環境の整備・創造なので(保育園の待機児童をなくすのなどはこれに含まれるでしょう)、赤字国債を増発すれば別として、財政的にもそれは無理だろうと思っていました。後期高齢者医療保険制度なども、別に低所得者層には厳しいものではないし、金持ちの老人にはせめてもう少し負担してもらおうという程度のものでしかないので、マスコミが言うほど悪法ではないだろうと、僕は思っています。

 僕が民主党に投票したのは、自公政権の“しがらみ政治”にウンザリしていたからで、おかしな特殊法人は廃止し、国家公務員の不当な天下りをなくし、税金の無駄づかいにつながる官僚政治に風穴をあけて、もう少し“民主的”な風通しのいい政治をやってくれることを期待したのです。

 そういう動機で民主党に入れた有権者は少なくなかっただろうと思われるので、だから民主党は大勝できたのです。別にあのマニフェストのおかげではない。一言でいえば、“嫌自公政権”の空気が世にみなぎっていたからです(次の参院選では一転して大負けしたのは、鳩山、菅政権がお粗末すぎたためです)。

 政治というのは基本的に「利害調整の技術」だと僕は思っていますが(だから空想的な「夢」を語るのは別のところでやってもらいたいものです)、それだけに難しいといえるので、その構造・関係を変えようとすると、既得権益を手離すまいとする側からの強力な抵抗に直面します。大方の場合、それは既存の構造で大きな権力をもっている側だから、手ごわいのです。それは原発問題でもはっきり出ているので、「原子力村」は今、総力をあげて脱原発の動きに抵抗しています。いいも悪いもない、大方の場合は「悪い」のですが、改革によって権力と恩恵を失う側は、組織・団体の総力を挙げてその改革に抵抗するのです。彼らには国の未来も正義もない。組織防衛、既得権益の護持こそすべてなのです。

 そうした利害構造に大きな変化を強いる改革を一気にやってのけるには、暴力革命しかない。あるいは、世界恐慌などで経済システムが一度完全にパンクしてしまうことです。このいずれの場合にも、次の瞬間には権益獲得ゲームが始まり、しばらくたてばまた別の(ある意味似たような)利権構造ができてしまうのですが。

 そういったことを考えると、今の日本の政治の難しさがよくわかります。財政赤字は空前の規模にまで膨れ上がり、今後経済が拡大して税収でそれを埋め合わせできる見込みもない。既存の年金制度はとうの昔に実質的に破綻している。少子高齢化の急激な進展で、それでなくとも生産年齢人口の負担が増えているのに、労働者人口全体の正規社員の比率は逆に減っている。しかも、その減り方が激しいのです。「8割中流」の幻想など今は昔で、貧困層が増え続け、生活保護受給者は制度発足以来最多の210万人を突破、そこに大震災と原発事故が重なってしまったわけで、為政者としては大変な状況です(14年連続年間自殺者数が3万超という不名誉な記録もこうした社会情勢と密接に関係しているでしょう)。にもかかわらず、従来のシステムは維持されていて、長く続いた平和の中で、既得権益の根は強固になっているのです。

 ついでに一言させてもらうと、かつて自民の小泉純一郎は「改革には痛みが必要だ」と説き、自分に反対するものは何でも「抵抗勢力」と呼びましたが、彼が竹中平蔵と組んでやった「改革」なるものは、富裕層の税負担を減らし、企業の人件費負担を減らすための雇用分野での「規制緩和」、つまりは非正規社員急増の流れを後押しすることと、国家官僚に「改革」の丸投げをして、官僚政治を強化することだけでした。要するに、彼は既得権益層のむしろ守護神の役目を果たしたので、だから無事だったのです。それで「自分が政権についている間は消費税は上げない」などと言っていましたが、それは後の政権はいずれ近いうちに消費税を上げざるを得なくなるだろうということで(彼の政権中も財政赤字は増え続けていたので)、そういう無責任男がやんやの喝采を受けていたのだから、国民もアホだったのです(僕が彼に腹を立てたのは、“ブッシュのポチ”と呼ばれた――それは正しい呼称でした――あのひどすぎる外交政策にもあったのですが)。竹中平蔵によれば、金持ちを守ってあげれば、彼らがカネを使ってくれて、貧乏人もそのおこぼれにあずかることができるのだという話でしたが、結果としては購買力を失った貧乏人が増えただけで、消費はさらに冷え込み、それが新たなデフレ要因となっただけなのです(彼はいまだに「改革」が成功しなかったのは「抵抗勢力」のせいだと言っているようですが)。

 この前もちょっと書きましたが、僕は目下の情勢では消費税増税はやむを得ないと思います。この不況下、タイミングが悪すぎると言う向きもありますが、景気がよくなる兆しはない。その間も財政赤字は膨らみ続けるのです。先に税金の無駄づかいを減らす必要があるという意見についても、それは同時並行でやってくれればいいのです。

 ついでに言うと、わが国の社会保障制度は中途半端です。いっそのこと、税金で半分以上もっていかれても、老後は国が面倒を見てくれる北欧式のシステムにすればいいのではないかと思います。そうすれば、老後の資金がどうのと心配せず、あるカネは全部使って大丈夫なのだということになって、もっと消費分野でのカネ回りがよくなり、景気もよくなるのではないかと思うのですが、これは愚かな素人考えにすぎないのでしょうか? 赤字国債がどんなに多くても、個人貯蓄がそれを上回るから大丈夫なのだという説もありますが、その個人貯蓄なるものはごく一部に偏在して、その大部分が消費には回っていないのです。大体それは個人のお金であって、国の資金ではない。いざとなったら政府がそれを自由に徴収できるというのでもないかぎり、おかしな理屈だと思います。

 話を小沢一郎に戻します。要するに、彼は国民には「おいしい」話ばかりしているわけです。「国民との約束を果たすために党を割って新党を作る」と言っても、その新党が政権与党になる可能性はほとんどないと、彼にもわかっているでしょう。「国民との約束を果たす」はつまり嘘なので、政権が転がり込んできたら、逆に彼の方が困ってしまうでしょう。だからさも残念そうな顔をして、実現困難なことを主張し続けることができる。

 この前の検察審議会の議決に基づくおかしな裁判(あれは多くの識者が指摘するようにおかしいと僕も思います)で彼は無罪になったものの、検察官役を務めた弁護士たちは、「結論は無罪でも、わが方の主張は大方認められた」と控訴し、裁判は続くことになったらしいので、裁判の被告人が党首につくことは差し控えるべきだということで、彼はまたもや“影のボス”の地位につくと見られているようですが、意地の悪い見方をすれば、それは彼自身の延命には好都合なことなのです。

 だから、“反小沢”の人たちは、彼を排除することに懸命になるのではなく、逆に小沢を持ち上げて、政権の座につけてしまえばいいのです。「私が政権をとっていれば、あのような愚かなことはしないだろう」と彼は言い続けているのだから、逆に政権当事者にしてやればよい。もしも彼の「剛腕」の噂が本当で、見事に「増税なき財政再建」が果たされ、必要なところに必要な援助が行く、ということになれば、彼は名宰相です。むろん、次元の低いところで彼の足を引っ張るのは感心できないので、この前の週刊文春の「妻の離縁状」報道など事実とすれば甚だ遺憾で、とりわけ「七十にもなって放射能がこわくて自分だけ東京から逃げ出した」なんて話は、まさかと思われるような話で、いくら何でもそれは嘘だろうと僕自身は思っていますが(離婚や隠し子は事実の由)、かんじんの現実政治の場で何ができるのか、やらせてあげるのです。小沢一郎の政策実行能力そのものを僕は見たい。地元への利益誘導の類や、裏であれこれ画策するのが得意なのは実証済みとして、今まで彼が本丸で勝負したことは一度もないのですから。

 むろん、小沢新党が今度の選挙で多くの候補者を当選させるのは見込み薄です。だから彼が仮に新党の党首に就任したところで、小沢総理の目はない。橋下徹率いる維新の会や、みんなの党との連携も、向こうにとってはメリットがない(小沢新党が人気になれば変わるでしょうが)ので、断られてしまうでしょう。あるいは、それらの新党が躍進して、国会で微妙な数になって、人数が僅かでも自分たちがどちらにつくかが政権運営に大きな影響を及ぼすようになった場合、またフィクサーとして暗躍できると思っているのかも知れません。いずれにしても彼が政権当事者になることはないから、調子のいいことを言い続けられるわけです。政権党になっても、彼は自分の主張を生かすことができなかった男ですが、「小沢外し」だの何だの、いつでも都合のいい言い訳があって、容れられなくなったら外に出るということを繰り返してきたのです(ちなみに、彼に今の民主党執行部の自公との連携をとやかく言う資格はありません。福田内閣当時、自民の福田総理から「大連立」をもちかけられ、それに乗ろうとして党内の猛反対から断念したのは他でもない小沢一郎その人だったからで、そのあたり彼はまことに無節操な男なのです)。

 こういう政治家を何と呼べばいいのか? 彼は裏であれこれ画策するのが好きな人間であることからも、理想主義者ではありません。やることがしばしばえげつないからです。そのくせ政権当事者として責任を負うことはしない。巧妙にそれは避け続けてきたという印象です。政治家はその政治の実行力で評価されるべきだと思いますが、彼はこれまでの長い政治家人生の中で、社会のためになるどんなことをしてきたのでしょうか?

 彼は一部の小沢ファンが言うように「悲運の政治家」なのか、それともたんなるデマゴーグ、“政局”命の政界のトラブルメーカーにすぎないのか?

 いずれにせよ、今度の選挙(参院で法案が通過成立すれば、すぐ解散総選挙になるでしょう)は小沢一郎にとって世論の「最後の審判」になる可能性大です。昔ながらの自民党的利益誘導政治家の一人である彼は、地元にたくさんのカネを落としてきただろうから、ご本人が落選することはまずない(あの「妻の離縁状」なるものが本物なら影響は小さくないとしても)でしょうが、小沢チルドレンたちがどうなるかで、その結果はわかるでしょう。

 最後にもう一つ言わせてもらうと、民主党は初め小沢、鳩山、菅の“トロイカ体制”でしたが、よくもこうまで能書だけの無責任オヤジばかり中心になっていたものだと、今さらながら呆れます。この三人を切り捨てて、民主党は再出発したらどうかと思います。あの、「黄門様」と呼ばれている意味不明コメントだけの渡部というおかしなじさまもいらない。

 そうして、実現可能性をよく吟味したマニフェストで戦う。それならもう一度、僕は民主党に賭けてみる気になると思います(僕は自公があのナベツネの読売ジャイアンツと同じくらい嫌いなので、その“復活”を喜びません。「君が代日の丸条例」の橋下のおかしな国家主義もいただけないし、このままではどこに投票すればいいのかわからなくて困るのです。同じような悩みをもつ人は少なくないのではありませんか?)。
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