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東京五輪、支持率再暴落でガースーが中止を発表するXデー

2021.04.30(17:43) 824

 結局はこの前のGo To トラベル全面停止のときと同じことになるだろうと僕はにらんでいます。あのときは決めるのが遅すぎた上に、ゴーツー旗振り役の後見人の二階のじさまの了解を事前にとっていなかったというので、お詫び方々二階主催のステーキ会食にあわてて駆けつけ、自ら自粛を呼びかけていた「多人数の会食」に出るとは何事かと世論のさらなる反発を招いたのですが、その直前のマスコミ各社の世論調査で支持率が“爆下げ”していたのにショックを受けて、後先考えず一斉停止を決めたものと見られています。

 今回の東京五輪も、たぶんあれと同じになるでしょう。われらが親愛なるガースー(自分で「こんにちわ、ガースーです」なんて言ってるのだから、ご本人も蔑称だとは思っていない)の場合、「空気が読めない」というより、正常な判断力が欠落しているのです。昔、自民党の某法務大臣は「政治家に倫理を求めるのは八百屋で魚をもとめるようなもの」と喝破し、「この程度の国民ならこの程度の政治家」と言い放って、僕個人は「たしかに…」と笑ったのですが、マスコミから大バッシングを受けたことがあります。それをもじって言えば、「今の日本の総理大臣にまともな判断力や見通しを求めるのは海で山菜を探すようなもの」で、「この程度の国民なら、この程度の総理」ということになるのかもしれません。

 こう言うと、「おまえは国民が馬鹿だと言うのか!」とお叱りを受けるかもしれませんが、実際僕らは彼を「現実的で、実務能力に秀でた政治家」と勘違いしていたのです。マスコミも「秋田の貧しいイチゴ農家出身の、苦学して大学を出た叩き上げ」と称賛し、親しみやすそうな「パンケーキおじさん」のイメージも振り撒くなどして、大いに持ち上げた。実際は実家はかなり裕福で、苦学して大学を出たわけではなかったようだし、庶民的でも全然なかった。彼の政治家人生は小此木衆院議員の秘書としてスタートしたのですが、横浜市議になるとその威光をカサに着て市の人事に介入し、「影の横浜市長」と恐れられるようになり、その時代にJR東日本とのコネなども作って、それは国会議員に転じるとさらに強力なものとなり、起業した実弟がJR駅構内に店を出したり、それが潰れてからは関連会社に役員待遇で再就職させるなど、色々身内のために役立てたのです。総務大臣時代には、ミュージシャンのなりそこねでブラブラしていた長男を秘書官に抜擢し、のちにその長男は菅のスポンサー企業の一つである東北新社に入社、優しいパパらしくマンションなども買い与えていたのですが、それが親の七光で順調に出世していたまではよかったものの、コロナ禍のさなか総務省の役人たちに違法接待を繰り返していたことが文春にすっぱ抜かれて騒ぎになったのは、皆さんご存じのとおりです。

 彼は安倍長期政権で長く番頭役を務め、だから「実務能力に秀でた政治家」という誤解が生まれたのでしょうが、彼がやっていたのは横浜市議時代に覚えた、権力を盾に人事に介入して役人を従わせる手法と、コワモテを演じて異議や質問を封殺するやり方でした。だから学術会議新会員任命拒否事件でも、一部の人間が擁護のためにとやかく言った学術会議自体の問題がどうのなんてこととはほとんど無関係で、首相就任時の挨拶代わりに一発ガツンと食らわせておけば、あいつらも忖度して自分の政策にケチをつけるようなことは恐れて自粛するだろうといった程度のものだったのでしょう。「人事のことは説明できない」と彼は当初言いましたが、この「説明しない」というのがキモで、そうすれば相手は理由がわからないから不安になるし、反論もできないから好都合なのです。彼はずっとそれでやってきた。政治家の説明責任などというものははなからあるとは思っていない人間なのです。

 彼は派閥形成能力はもたないが、二階などと同じ古いタイプの利権政治屋で、独自の未来ビジョンがあって、それに従って政策を立案するなどという能力はなく、近づいてくる業者たちの意向や提案を土台に政策を考え、彼らとウィンウィンの関係を作って、それで自らの政治基盤も強化するというタイプの政治家でしょう。横浜カジノ構想などもその一つで、港湾関係のドンと呼ばれる人が「地域のためにならない」と大反対しても、“利権による経済活性化”が目的なので、それ以外のことは知ったことではないのです。

 あいにくなことに、コロナウイルス相手にはこういう手法は通用しない。安倍政権時代からコロナ対応はマンガみたいなものばかりでした。世界の失笑を買った何十億もかけたアベノマスクだの、SNS受けを狙った(逆効果になりましたが)星野源コラボ動画だの、「何考えて生きとるんねん?」と言われるようなものばかりで、アベノミクスの化けの皮もすっかりはがれてしまったし、危機管理能力なんてものは実はカケラもない(あの北朝鮮ミサイル用のJアラートなんか笑えましたが)ことがわかって、頭の痛いアッキー問題や桜を見る会のこともあるし、持病の腸の病気を口実に身を引くことにしたのですが、あれは安倍が官邸官僚に取り込まれて官房長官のガースーの言うことを聞かなくなっていたからなので、有能なガースーが総理になったからには大きく対応が変わるだろうと国民は期待したものの、それは見事に裏切られたのです。

 それもそのはず、元からそんな能力はなかったので、全体を見て、こうなったらこうするという手順を念頭に、関係各方面に準備の指示を出しておいて、推移を見ながら先手を打って今度はここを手当てする、なんて高度なことは到底できない人なのです。この前はゴーツー優先で、今は東京五輪優先。私が総理になったからにはコロナも忖度して、それが可能になるようにおとなしくしてくれるだろうという希望的観測に基づいて動いているだけなのがわかってしまったのです。今後も感染は拡大する見込みで、ゴーツーは早く停止すべきで、東京オリパラは到底無理でしょうなんて言うと激怒するから、誰も本当のことは言えなくなって、集まってくる情報は先の大戦時の大本営発表みたいなものばかりになって、一般国民ですら知っているような情報すら彼だけは知らない、ということになったのでしょう。その方面の事前の手当は何もしないでおいて、医療現場が逼迫していますと報告すると、ブチ切れて「何でそんなことになるんだ!」と怒鳴るだけなのだから、周りはこわくて何も言えないのです。幼児人格そのもの。度量の広い政治家なら、広く専門家の意見を仰いで、冷静に事態を把握し、その都度必要な決断を下しますが、彼の場合には、ゴーツーだの五輪だのがまず頭にあって、そちらが駄目になるような情報や見通しは聞きたくないと来ているから、それに合わせた大本営情報しか上がってこなくなり、やることが全部後手後手の、かつ一貫性のない混乱したものになるのです。

 思うに、現実家というのは、現実をありのままに見て、それを受け入れるところから始める人です。それでその現実に圧倒されて投げやりになって何もしないというのはただのフヌケですが、現実家はまずその現実を受け入れた上で見通しを立て、アクションを起こす。だから有効な行動が可能になるので、ガースーの場合はこの基本ができていない。ゴーツー再開、東京五輪開催にこだわるあまり、現実を否認したい心理が前面に出てきて、感染拡大のたび、「何でこんなことになるんだ!」と周囲に当たり散らすだけになっているのです。

 IOC会長のバッハが強気の姿勢を崩さないのはわかる。それは五輪開催が彼の存在理由みたいなものだからです。しかし、ガースーが五輪にそこまで固執しなければならない理由はないはずで、一国の首相としての彼の目下の最大の使命はこのコロナ禍に真剣に対処し、できるだけ被害を小さくすべく努めながら終息への道筋をつけることです。「東京五輪開催時の日本国首相」なんてものは、彼のケチくさい個人的メンツの問題でしかなく、国民には何の関係もない。五輪開催にこぎつけさえすれば内閣支持率が上がるだろう、そうすれば今度の総選挙も自民有利になる、なんてこともたんに党利党略から出たものにすぎず、国民不在のたわごとでしかないのです。大体、こういう状態で五輪を開催して、それが支持率アップにつながると考えるという感性自体がどうかしている。年齢的に少し早すぎるが、もう認知症の症状が出ているのかと思うほどです。

 岸田でも石破でも、他の誰でも、他の人間が総理になっていれば、頑固なガースーほどには五輪開催にこだわらなかったことでしょう。そうしてもうすでに中止を決断している。感染力の強い、若者や持病をもたない人でも重症化するおそれがあると言われる変異株が急拡大する中、それは当然の決断だと、海外諸国にも無理なく受け入れられるでしょう。国内的にも、むしろその方が支持率は上がるのです。国民の大半が「オリンピックよりコロナ対策」だと思っているのだから。

 それがまだ五輪はやるのだと言い張って、看護師を500人、オリンピック用に集めるのだとか。それもボランティアでやってくれという話で、この期に及んで何を馬鹿なこと言っているのだと、医療関係者がぶち切れるのはあたりまえです。

「#看護師の五輪派遣は困ります」 Twitterで訴えの連帯広がる。「患者を守ることに必死で五輪どころでない」

 民意無視の五輪強行開催という無理がこういうおかしな「要請」につながっているのです。どうしても開催するというのなら、この手の無茶な要請が今後も連発される羽目になるでしょう。それで混乱はさらに深まり、医療関係者は疲弊する。そのあおりを受けて、助かったはずの重症患者が必要な治療を受けられずに亡くなる、といったケースも倍加するでしょう。本末転倒もいいところです。

 さっき見たら、こういう記事も出ていました。

菅総理”乱心”でワクチン1万人接種センターぶち上げ クラスター、人手不足など問題山積み

 何ともはや…ですが、「全国的なコロナ蔓延で東京五輪開催に対し、国民の風当たりが強い。ワクチン接種にしか支持率回復の望みを持てない菅政権の焦りのあらわれです」ということで、何が何でも東京五輪を開催しなければならないと思うから、こういう無茶なことを言い出すのです。「有能な実務家」の片鱗もない。

 こういう状況でどうやって、ガースーの言う「安心安全な大会の実現」になるのか? 海外観光客は受け入れないことになっていて、今は日本人観客もなしの「無観客」実施が検討されているという話ですが、そんな騒ぎまでして何で開催しなければならないのかわからない上に、各国選手団はかなりの数にのぼるので、今回の東京五輪はコロナ新株ウイルスの世界への恰好の媒介拠点になりかねないのです。そしたら後々非難されるのみならず、開催時にも選手村でクラスターが発生したりして、競技よりもそちらのニュースの方がメインになるということにもなりかねない。そのたびにしどろもどろの言い訳をするガースーのあの生気のない引きつった顔が世界中にニュース配信され、「ダメな日本」の象徴のように使われるのです。五輪コロナ対策で人的資源も税金も浪費されるから、その後の国内社会、経済へのダメージも深刻です。その後で総選挙をやれば勝てると自民党が本気で思っているとすれば、おめでたいどころの話ではない。

 だから、この前のゴーツーのときと同じで、遅れに遅れてガースーは五輪中止を発表せざるを得なくなるだろうと僕は見ているのですが、それはいつ頃になるのか? 目下の僕の関心はそこにあって、早ければゴールデンウイーク明け、遅ければ六月上旬ぐらいでしょうか? この前知り合いともその話をして、彼は早い方に、僕は遅い方に賭けたのですが、皆さんはどうお考えですか? むろん、開催強行という“自爆”プランもありえます。ガースーの融通の利かない性格からしてその可能性が一番高いかもしれませんが、彼は内閣支持率には敏感らしいので、それが30%を切ったなんて報道があると、すぐ中止を言い出すかもしれません。もしかしたら、やれば大成功になって「支持率爆上げ」になるかもしれないという「大逆転」の希望的観測(仮に「五輪クラスター」にならなかったとしても、それは奇蹟的な幸運にすぎないのですが)にすがって、それでも開催に突き進むかもしれませんが、他の自民党の政治家先生たちも同じなのでしょうかね?

 この件で思い出すのは先の大戦末期のことです。そこに至るプロセスのお粗末は省くとして、あの戦争、せめて無条件降伏の前年、1944年中に降伏を決断していれば、被害はずっと少なくて済んだのです。それは無理な話ではなかった。100%負けるのは軍上層部や政府関係者は重々承知だったのですから。にもかかわらず、誰もそれを言い出さなかった。

 一夜にして10万人もの人が亡くなった1945年3月の東京大空襲は有名ですが、民間の死傷者数は大規模空襲を受けた最後の年に集中していました。この頃になると日本軍の動きは米軍に完全に読まれていたので、戦地に送られた兵士たちも艦船で運ばれている途中、船ごと沈められて亡くなるケースが目立ったし、目的地に着いたとしても、兵站無視の日本軍のやけっぱち作戦のため、戦闘ではなく飢餓で命を失った人の方が多かったと言われています(僕の戦死した二人の伯父もこのそれぞれに該当する)。にもかかわらず、「一億玉砕」「本土決戦」などという、とても戦争のプロとは思えない愚劣なスローガンを掲げてやめ時を知らず、民族絶滅の瀬戸際まで行ったのがあの戦争だったわけです。フィナーレのあの二発の原爆も、あれは落としたアメリカが悪いと言われていますが、前年中に降伏していれば落とされることはなかった。なぜなら、そのときまだ原爆はできていなかったからです。

 今の菅自民のやることを見ていると、この「退くべき時に退くことを知らない」大日本帝国時代の軍人、政治家の愚行が場面を変えて再現されているような気がしてなりません。何か悪いものにでもとりつかれているのではないかと思うほどで、その自覚はガースーにはもちろんないのでしょうが、戦況がひたすら悪化を続ける中で、我を張って現実を否認し、泥沼に入る一方で、国民がその深刻なとばっちりを受けた、あの戦争のときとよく似ているのです。

 幸い、当時と違って国民は洗脳されていない。言論の自由もあって、こういうことも書けるのですが、ひとり菅自民のみは五輪「玉砕」モードに入っているのです。


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祝子川通信 Hourigawa Tsushin


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