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2019年センター試験英語について

2019.01.20(18:53) 620

 予備校の「講評」によれば、河合塾と東進が「昨年並み」、駿台が「やや易化」となっていますが、僕もゆうべ夜の10時半から、パソコン画面で時間をはかって解いてみました。問題によってはスクロールして問題文を読み返さねばならないので、このやり方は面倒なのですが、いつもこのやり方でやっています。

 去年・一昨年の平均点は123点台だったので、上の予備校の見立てでは120~25点ぐらいということになりますが、最近精度が落ちてきたわが“カンピューター”に基づくと、やや下がって118点とか、そのあたりに落ち着くのではないかという気がします。

 その根拠は? ヤマカンというのは明確な根拠はもたないものなので、あらためてそう問われても困るのですが、やってみて、長文のセクションでミスを誘いそうな箇所がいくつかあったというのが、根拠といえば根拠です。文法はいつもにも増して易しいなという印象ですが、今年のうちの受験生には文法が苦手な子が多いので、behind schedule とか it can’t be helped とか、皮肉なことにこれは去年のセンター直前文法演習でやったもので、その頃2年生として在塾していた子たちにはついでにやらせたはずですが、それも一年も前の話なので、忘れている可能性が高い。あと、不要文削除の㉘は迷った生徒がかなりいたでしょう。恩師への贈物の㉛㉜あたりも迷いそうです。大問4は、例によってと言うべきか、内容が死ぬほど退屈ですが、それさえ我慢すれば設問自体はかんたんなので、ここは大部分の生徒が無傷で通り抜けたでしょうが、続く大問5の㊺は、消去法で3しか残らないが、微妙にニュアンスがズレているようにも感じられるので、厳密に考えるタイプの受験生は釈然としない思いが残ったかも知れません。大問6は悩ませられるような箇所はほとんどない。㊾で invisibly がわからないと痛い、というぐらいです。センターの英語は深く考える能力は何ら問われないスピード勝負の試験なので、読むのが遅い人は時間不足で落とさなくていいものまで落とす。そこはいつもと同じです。

 去年は、しかし、あのセンターの問題にしては珍しく笑えた「タコ型宇宙人」の海中探査の問題で「途中でわけがわからなくなってしまった」と言っていた生徒が何人もいたので、それと較べれば今年は意表を衝くような英文がない分、やりやすかったと言えるかもしれません。そう考えるなら、今年の受験生全体の学力にもよりますが、平均点が125点ぐらいに上がる可能性もあるわけです。生徒のためにも下がるように祈っていますが。

 問題はこれからです。こんなこと言うと気を悪くする人がいるかもしれませんが、センターの英語は高いレベルの読解力や英作能力などとは無関係で、スピードと基本知識さえあれば、9割得点することは難しくなく、差がつきません。学力の高い子の方が下になることもあって、優秀でも凡ミスの多い子はそれで10点前後落とすことがある。ただ、二次の英語では、正味の学力差がはっきり出るので、たとえばセンターで185点だった方が二次の記述で7割、195点だった方が4割というような大きな差が出ることも、とくに難関大の入試では珍しくないのです。センター得点しか見ていないリサーチの結果というのは、その意味でアテにならないので、判定がCやDでも、二次力があると見ている子には僕は迷わずゴー・サインを出します。逆の場合にはA判定でも心配する。むろん、これは英語だけ見て判断できることではなく、二次の他の科目がどれくらい取れそうかにもよる(とくに理系は数学理科の配点が大きい)のですが、出願の際には同じ判定でも、大学によって二次の問題レベルにかなりの差があることがあるので、そこらへんよく見て判断しないと失敗します。

 こういうのは受験指導では常識ですが、地方の公立高校の先生などには、そこらへんが全くわかっていないまま「指導」している先生が珍しくない(「またうちの学校の悪口が書かれているのではないか…」とこのブログを“警戒チェック”している先生たちはマシになっている?)ので、要注意なのです(大学別のいわゆる冠模試に関しては、形式は似ているが問題文がおかしな具合に難しすぎたり、採点基準が本番の入試とはかなり違うと思われるので、「参考程度」の扱いでよろしい)。

 そういうわけで、受験生はそのあたりよく考えて志望校を決め、国立の前期二次試験まであと1カ月余り、もう一頑張りして下さい(塾では月曜に、3年生から自己採点結果を教えてもらうのですが、聞くのがいつも恐ろしい)。

 ちなみに、今年の国語の評論部門には、沼野充義氏の「翻訳をめぐる七つの非実践的な断章」というのが出ているというので、翻訳屋のはしくれである僕も読んでみましたが、問題文はいいとして、設問の面白くないのには閉口したので、自分も昔、受験生の頃はこういうのをやらされていたのだなと、あらためて国語の試験問題の特殊性というものを感じました。英語はよくできて、文章力もちゃんとあるのに国語(とくに現国)が苦手という子はいますが、ふつうに文章を読んで理解するのとはまた違う頭の使い方を要求されるわけで、そこらへんの要領がそういう子たちはわかっていないのでしょう。いわば「国語ムラの掟」というものを知らないからで、それは自然な国語力とイコールではない。そこらへんをうまく解説した参考書を一冊読めば、コツがわかって高得点者に変身できるのではないかと思います。そういう人は「自分は国語力がない」と決めつけず、それを試してみればいいのです。


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祝子川通信 Hourigawa Tsushin


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