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台風と意志

2018.09.29(12:11) 600

 今年は台風の当たり年らしく、24号が接近中ということで、こちら延岡でもだんだん雨脚が強くなってきました。高校は来週が中間テストで、生徒たちには「性格のよくない台風」だと不評です。どうしてかというと、土曜から降り出して、日曜が大荒れ、月曜はもう通過して晴れているなんて、全然「恵み」を与えてくれないからです。どうせ来るのなら、平日に来て、学校を臨時休校に追い込んでくれないといけません。「台風としての心がけがなっとらん」ということになるのです。

 こういうのは子供の「普遍的心理」です。僕も子供の頃、大人たちは台風で稲が倒れてしまうと憂い顔なのに、学校が休みになって、雨戸を閉め切った家の中で、ビュービューいう音を聞きながら、興奮して走り回って叱られたりしたことを覚えているので、台風には何かそういうところがあるのです。台風の後、落ちた栗や柿の実を拾いに行くのも楽しみだった。一度だけ、「台風の目」を見たことがあるので、ほんとにそこだけ青空が見えている。あれは不思議でした。

 うちの息子の場合には、小学生の頃、テルテル坊主とは反対の「雨鬼(あめおに)」「風鬼(かぜおに)」という人形を発明して作り、台風の直撃を祈願する儀式を執り行ったりしていました。学校の屋根が飛んだり、建物が倒壊したりして、授業ができなくなり、「ずっと休みになりますように」と、母親の話によれば、古代の霊媒師よろしく自分で考案した儀式をやっていたそうで、学校で好きなものはと訊かれると、「給食と体育と、昼休み」と即答し、「他にはないの? 算数とか国語とか…」と促されると、「面白くない!」と言下に切って捨てる子供にはいかにもありそうなことだと、僕は聞いて笑ったものです。

 地理的なことが原因する気圧の関係からか、台風が列島を縦断することは割とよくあることです。日本人は「禊(みそぎ)」の類が好きですが、多少の被害は出ても、台風はそれによって空気を浄化し、瘴気を払ってくれる存在だと言えるかもしれません。風邪をひいて熱が出るときなども、高熱が長期間続けばまた別として、からだには悪くないことで、それによって体内に蓄積した有毒物が排出され、気の詰まりを取り除いてくれるものだ、という考えがあります。台風もそれに似ている。

 今の日本の場合、いかがわしさの極致みたいな安倍政権が三期目を迎えていることに象徴されるように、停滞と瘴気は並大抵のことでは払えないので、それで台風もしばしば到来することになっているのかもしれません。この24号は「非常に強い」に分類され、その上は「猛烈」に分類されるそうですが、今の日本のこのおかしな雰囲気を払うには「超猛烈」な台風が必要で、しかしそれだと壊滅的な被害をもたらすので、小分けにしてたくさんということになっているのかも知れず、そこに僕らは大自然の慈悲を読み取ることができるとも言えるわけです。

 週末に来て平日を避けたのは、これ以上学校の休みを増やすと子供たちのためにならないと台風が考えたからなのでしょうか? だとすると、この台風は「教育的配慮」に満ちた台風だということになり、PTA臭が強いので、子供たちに嫌われるのもむべなるかな、ということになるのです。


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祝子川通信 Hourigawa Tsushin


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